17 吸血鬼の城
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>>347 [きょとりとする様子に、 眉をあげて、ほんの一瞬だけ、哀れに娘を見た。 だが、すぐにそれは柔和な笑顔に戻る。]
――……貴女がよいのであれば、それでいいのです。 過ぎたことを申し上げてしまいました。
[サクリファイス……そんな旋律が頭を過ぎる。そして、ベッドに近寄ると、飲んでいたカップにその薄桃を足す……。
茶の色は、薄茶から限りなく透明に近い薄紅にかわる。]
これは、貴女の肌がそれ以上、青くならないように、そこで止めるためのものです。あと、貴女がもう少し、楽に呼吸できるように…。
[罪滅ぼしなどではないけれど、 長くない娘に、と思ったのは事実で…。]
お役にたてればいいですね。みなさんの
[その貌は本当に白すぎる。]
(356) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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>>363
[微笑み、それを飲み干す娘。 彼女の今までの歩みとは、どれほどのものだったのだろうかと、しばし考える。
まだ生娘に見える。 美しさとあどけなさは、きっとまだ恋など知らぬのだろうとも。
今まで、たくさんの人にあって、 その中でも、恋も知らず、死ぬことを嘆いて、それでも命繋ぎ止められず、逝ってしまった姿を幾人かは見た。]
(371) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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――……少し、横になられるといい。 眠くなったら、眠っていてもいいのですよ。
[飲み終えたカップを取り、テーブルに戻す。 薬の効用は、いくばくかして出るだろう。
いずれにしろ、休むことが今の彼女には大事な気がした。
それと、一つ、悩む。 その身体、確かに人は死に追い込むであろう。 だが、吸血鬼にはどうなのか。試したことはない。 こればかりは……。
そう考えている顔は、少し、神妙になる。]
(372) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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薬屋 サイラスは、長老の孫 マーゴの手が、想像以上に冷たいことに眉を寄せた。
2010/06/20(Sun) 22時半頃
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>>385
ええ、おやすみなさい。 大丈夫、みていてあげます。
[マーゴがそのままベッドに潜り込む際は背中を向け、薬瓶を片付け、変わりに、香を一本、燭台にたて、火を点ける。 やがて、紫の花がそよぐ香りが部屋を満たす。
振り返り、目蓋を閉じた娘の横に腰掛け、その褐色の髪の乱れを直した。]
――……残酷、とは、こういうことを
いうかと思います。
[その声が聞こえているかどうかはわからない。 ただ、素直な感想として出た。]
(394) 2010/06/20(Sun) 23時頃
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[そう、もしかすると、罪悪感、というものかもしれない。
今まで、割り切って、薬を売買してきた。 それが毒薬であろうとも、
だが、その結果と再びめぐり合うことはそう、ない。 それと、こんな囚われの城の中だからだろうか。
この娘の最期は看取るべきなのかと、 そんなことも思い始めていた。]
(398) 2010/06/20(Sun) 23時頃
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薬屋 サイラスは、長老の孫 マーゴの髪を撫でている。そおっと。
2010/06/20(Sun) 23時頃
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