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今更、だよ。 だってさ、僕らもうすぐ死ぬんだし。 [複雑そうな表情で撫でるセシルに帰す言葉は、清々しいほどにあっけらかんとした絶望。 いや、絶望ですら無いだろう。 最初から無い望みなんて、絶たれる事などないのだし。
それでも、出来そうな事はなるべく手伝い、あまりの要領の悪さにセシルをかなりてこずらせたけれど、出来上がった質素な食事を主のところへ共に運んだ。
食べて良いと言われるまでは拾われたばかりの捨て犬のように隅っこで静かに控えている。 主人の知らぬところでは、先輩たちからの扱いは気まぐれに拾った野良犬のようなもので。 夕飯の残り物を貰えて納屋の隅で寝れるだけで十分破格の扱いだったけど。]
…火事? [戸惑いつつも皆が行くならお伴について行くつもり。]
(450) 2010/07/04(Sun) 23時頃
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→ 火事の方角 ―
[グロリアが鍵を持てば、斜めから手を出して傘持ちを。 上等な傘が、煤で黒くなると勿体無いな、なんて小市民的な考えをめぐらせながら]
……まあ、何があるか分からんからな。
[あの屋敷以外で過ごせないだろうグロリアの為には、物騒な輩に注意するよう伝えた方が良いんだろうとは分かっていたが。 どうせなら、さいごまで、その擦れていない綺麗な部分を大切にしてやりたい気持ちもあり。 首を傾げるミッシェルに、目を合わせるでもなく、曖昧に言葉を返すのだった]
(451) 2010/07/04(Sun) 23時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/07/04(Sun) 23時頃
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――そう、ね。 誰かが残ってても、大変、ね。
[ミッシェルの言葉に、何かしら思うことがあって、少し言葉が詰まりながらも]
――ミッシェル様が来る前に…ね。 幸い、何も盗まれてなかったみたいだけれど。
[誰とは言わない。 そして、もしかして、と言われても答えるつもりはない、と言わんばかりに屋敷に鍵をかけ…外に出ると、門にも鍵をかける]
――火が、大きくなってないと良いけれど…
[鍵をかけるとセシル達の方を見て…少しだけ足早に煙のあるほうへと向かう]
(452) 2010/07/04(Sun) 23時頃
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[鈍い所作で辺りをいっぺん見回した後、立ち上がった。 乱れてばさばさの髪も、泣きはらして浮腫んだ目蓋をもどうするでもなく力なく立ち尽くす姿は、まるで幽霊のようで]
もう一本、あるから のめよ
[それだけ言い残して、重い足をひきずるように兄から離れようと]
(453) 2010/07/04(Sun) 23時頃
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― 屋敷の厨房にて ―
どうせ死ぬ、なんていうのは、今に始まったことでもないですよ。みんな、どうせ死ぬのですし。
でも、終わりがすぐ其処にあるから、先があるかもしれないという時には、しなければいけなかったことも、今はしなくて良い。 なら、やりたいこと、やってみたいことを、最後までしていたって良いんじゃないかと、おれは思うのですけれども。
[死んで欲しくないひとは、勿論居る。 というか、村の誰の死も見たいわけが無い。
けれど、終わってしまうしか、ないのなら。 グロリアに、火事だけでなく様々な要因で、壊れていってしまうかもしれない村を、無くなっていってしまう前に見せたいと思ったのと、同じに。
常に、何もかもを諦めたような青年にも、何か。 してやりたいと思っているのだけど、してやれる事があるのかさえ、分からないのだった]
(454) 2010/07/04(Sun) 23時半頃
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[妹が起きる様子に気付くと、そちらに目をやった。 目に映る、憔悴した姿。 昨日までの妹からは、想像もつかない、姿。]
……おい。
[ふらふらと去ろうとする妹は何処か危なげで、咄嗟に腕を掴んだ。]
…まだ、怒ってんのか…?
[掴んだものの、言葉が思いつかなくて。 口から出たのはそんな台詞。]
(455) 2010/07/04(Sun) 23時半頃
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[腕をつかまれた反動でふらりと兄の元に倒れ込むが、弱々しい力で態勢を立て直そうと…兄から距離をとろうともがく]
うっせーバカ 手ェ離せ
[表情がもし見えても、半分寝ているような顔しか見えない]
(456) 2010/07/04(Sun) 23時半頃
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受付 アイリスは、薬屋 サイラスの胸を押し返した
2010/07/04(Sun) 23時半頃
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……お嬢様?
[ミッシェルへの応えに、詰まった音が混じれば、体調が優れなくなったのかと窺い]
ええ。……熱気に中てられて気分が悪くなるようでしたら、すぐに仰って下さいね。
[足早に進む彼女について、歩調を速め。
煙の匂いが、かなり鼻をつくようになった頃]
――…、これは……
[幸い、付近に延焼する家は無く、燃えるものが尽きてきたお陰か、鎮火しつつあったけれど。 落ちかけた陽に照らされて、いよいよ赤く、骨組みに燻る火に、空いた手を気休めに払いつつ、眉を顰めた]
……恐らく、住人は大丈夫でしょう。今朝方、もう人の気配はしませんでしたから。
(457) 2010/07/04(Sun) 23時半頃
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――大丈夫よ。 ただ…ちょっと、嫌な想像をしただけ。
[セシルに、緩く首を振る。 その、現場へと着くと、辺りを見回し…セシルに頷いた]
そう…なら、良かったわ… でも、なら…何故、火事が起きたのかしら?
[辺りを見ても、火事が起きて悲しむ人は居ないように見える]
誰も居ないなら、火が出るはずもないでしょうに…
(458) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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[燃え上がる民家を、ぼんやりと眺める。 感慨も何も、ありはしなかった。]
…水、持ってきたほうがいいのかな? それとも…もう無駄?
[消そうとしてもしょうがないんじゃないか。 そう思うのはまるで、街に助けを求めてもしょうがないんじゃないか。 そんな思いによく似ていた。]
(459) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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っと。
[倒れこんだ妹を抱き留める。 男を押し返す妹の腕。その力も何処か弱々しい。]
…阿呆。人の話聞けっつの。 つか、お前そんなフラフラで何処行くつもりだよ。
[足元が覚束無い状態では外に出せない、と言わんばかりに手は掴んだまま。 まだ然程力の入っていないそれは、強く振り払えば解放されるだろう。]
(460) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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…やりたい事したらいいって、セシルさっき言ってたよね。 誰か、やりたいから壊しちゃったんじゃない? 捕まって処刑される前にどうせ死んじゃうんなら、幾らだって悪いことできるし。
[やりたいことなんて、別に自分にはなかったけれど。
役人に見つからなきゃやってもいいんだとゲラゲラ笑っていた大人たちを、息をひそめながら幾人も見た記憶はあった。]
(461) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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別にどこにもいかねーよ お前の話なんざ聞きたくもないね
[抵抗は諦めたらしく、無理に離れようとする力は失せた。 ゆっくり兄に体を預けてくぐもった声で呟く]
……あたしの告解ごっこにつきあえよ そしたら話聞いてやってもいいぞ
(462) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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[嫌な想像、と答えが返れば、気遣う眼差しで首を傾げ。 何故、と幼子のように不思議がるグロリアを、少しだけ、困ったような笑みを浮かべて見つめ。 ぽん、とミッシェルにそうするような軽さで、見回す頭を撫で]
置き去りにされたランプが倒れて、誰も気づかぬうちに大事になったのかもしれません。 そう、おかしな事でもないですよ。
[持っていて下さい、と傘を彼女へ返すと]
暗がりで誰か躓いて、火傷でもしたら事ですし。 火が残っている箇所だけでも、冷ましましょう。
[ラドルフの声が、問いかけか独り言か、判別はつかなかったけれど。 手伝っていただけますか、と声を掛けて、井戸へ走った]
(463) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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……かもしれません。そうではないかも、しれません。
[走る間際、問われた声>>461に柔く笑み。 だからおれも、やりたい事をやるんですよ、と促すでもなく足を進めるのだった]
(464) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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掃除夫 ラルフは、うなづいて、バケツを抱えて駆け出した。
2010/07/05(Mon) 00時頃
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鏡…―――
[ぽつ、と呟く。 彼女の言葉に対しての、感想が、喉元で引っ掛かる]
貴女は、
つらかった、でしょう。
ぶつけようの無い、想いを抱えるのは
とても残酷だわ――
(*54) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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――そんなに憎かったのかしらね。その方は。
[ラルフの言葉には、そう呟いて。 セシルから傘を受け取ると、小さく頷いた]
そうなのかしら。 おかしくない事なら…気をつけなくてはね。
そう…お願いいたしますわ。
[力仕事に役立てれる気がしなくて、傘を持ったままその景色を見つめた]
(465) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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…ああ、そうかよ。
[聞く耳を持たない様子に呆れたように言ったが、言葉とは裏腹に預けられる身体。 そして続いた言葉に、男は妹を見下ろして何度か瞬きした。]
――――…何だそりゃ。
[まだ酔いが覚めていないのか、寝ぼけているのか。 まあどちらでも構わないかと溜息をついて、話すように促した。]
(466) 2010/07/05(Mon) 00時頃
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あ…ごめ、ん。
大丈夫、きっと…もう、いないとこだと思う、から。
[だからこそ火が上がるのはおかしいと思ってはいるのだけれど、理由は分からないから誰かいるんじゃないかと思って口から出てしまって。
誰かいたら。もしかして、自分から命を─…と、想像してしまって、知らず青ざめながらリアに謝り。
火事場泥棒が、少し前に来ていたと聞くと、目を大きく見開いて驚き、リアとラル二人を心配そうに見た。]
リアとラルは大丈夫、だったの? 痛いこととか、怖いこととか、なかった?
[誰が、とか何を盗みにとか。それよりも、二人のことが心配でそう聞いて。]
(467) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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ある妊婦が、隣の魔女の家のラプンツェルという果実を 食べたくて仕方なくて、 夫は「ラプンツェルを食べさせなければ死んでしまう」と 魔女に乞いました。
(*55) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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魔女は生まれてくる子と引き換えに、 ラプンツェルを好きなだけ食べて良い、と言いました。 そして生まれてきた子は、魔女に浚われてしまいました。
(*56) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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子はラプンツェルと名付けられ、 外に出られないように、塔の上で育てられました。 魔女はラプンツェルの長い髪を伝って、塔に登り それが魔女とラプンツェルの会う唯一の方法でした。
(*57) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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ある青年が、ラプンツェルの髪を伝い、塔に登りました。 二人は一目見て、互いに惹かれ合い、何度も逢瀬を重ねました。 口付け、身体に触れ、深みを知る。 背徳的な逢瀬。
(*58) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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ラプンツェルが子どもを孕んだと、知り、 魔女は怒り狂って、ラプンツェルを塔から追い出し 遠く遠くへとやりました。
(*59) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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青年はラプンツェルの行方が分からず、 絶望して塔から身を投げ 失明してしまいました。
(*60) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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それから暫しの時が経ち、 ラプンツェルは、双子の男女と一緒に暮らしていました。
(*61) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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青年は、ラプンツェルと再会し、 ラプンツェルの流した涙によって、 青年の目は奇跡的に再び光を取り戻しました。
(*62) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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そうして二人は、しあわせに、なりました。 めでたし、めでたし。
(*63) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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[セシルとリア、ラルと4人で移動して。 物の焦げる臭いと、まだ燻るようにパチパチという音が聞こえるその場所に着き。]
…誰、か。 いる?
[呆然としながら、そう声をかけた。]
………なんで。
[在ったモノが、こんな形でなくなるのは、見るのが辛かった。]
(468) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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[こんな時。いつもなら。 鎮火を待たずとも、煙の広がる前に、隣家はなくとも誰かが知らせて、誰かが消火にあたっただろう。
もう、誰か、は居ない。
桶を引き上げる単純作業の合間。 今までの村が、誰か、の善意で成り立っていたのを思い返せば、汲み上げた水の冷たさが身に染みた]
……まあ、そういうものですね。
[ひとりごちて、共用の桶を抱え。 [13]度往復する頃には、陽もすっかり落ちて、織火も消えるか]
(469) 2010/07/05(Mon) 00時半頃
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