25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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― 池の傍 ― [裏庭に近く、池の傍までたどり着くとほとりに腰を下ろす。 袖口で果実を拭い、口元へ運び]
……?
[身震いをひとつ。 寒気がした。 怪訝そうな顔であたりを見渡す]
(363) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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―本邸・廊下― さて……と。
[使用人を呼び止めて適当な紐を貰い、今は薬入れは何時もの位置に収まっている]
シュレーゲルの旦那さんに挨拶をしておいたほうがいいのかね。
[誰か館の主の場所を知る物はいないかと辺りを見回す]
(364) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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はい。 以降そのように。
[言葉ではなく行動で、という本郷も真直ぐに見て頷いた。 扇の音は不安を掻き立てなくもないが、今はぐっと堪えて]
鵠殿。
[耳に届いた声と鈴に視線を向ける。 歩き出す高嶺の邪魔にならぬよう道を開けた]
(365) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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[背を向けたまま食堂へ向かう歩みを止めると 顔だけ一度振り返る、仰ぐ黒檀は夜光も鵠も見ずに 映すは揶揄の声を投げた花主だけ。]
……高嶺は、猫は飼わぬ。
[甘やかすだけの猫は要らぬと。 茶化す響きの混じらぬ低い声で、其れだけ。 ひらりと、遊ばせるように指先を振り]
…暇つぶしだ。
[選んだわけではないと、それは軽い声で。 溜息つく姿までは見届けずに食堂へと向かった。]
(366) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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……承知いたしました。
[高嶺は此方を見もしない。 丁寧に返しながらかんどられぬ程度に寄せた眉は 長いみどりの黒髪の陰に隠れる。]
――私(わたくし)は ただ茶汲みを命ぜられただけです。
[ちらり、と此方を見るうつくしい花主に、 そう返すは澄ました表情で。 剪定するような音はぱちり、ぱちりと空間を刻み。]
(367) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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手妻師 華月斎は、懐刀 朧が食堂に鵠を伴ってくるとは、まだ気がつかぬまま、呑気に李を齧っている。
2010/08/01(Sun) 23時半頃
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―裏庭― [在るはずのない一枝を手にすれば、 詠の抑揚をもって、呟きが 零れる]
……日陰であれ、日向であれ。
何処であれど、咲くなれば、 野辺と花との違いは何ぞ
[問いかけのような言葉、 それは己に向けられたものであったかもしれず]
手折る意味なし、藪椿……
[過ぎる不安に俯く。 己の主は、いま、何処にいるのであろう]
(@30) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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いねぇものはしょうがない。 また後でくることにしよう。
[結局はヨアヒムには会えぬまま、元の廊下を引き返していく。 もし、使用人に同じく案内されてくる者には、今、まんまるはいねえ、と声をかける。]
買い物行っているらしい。 何を買うんだか…。
[そして、首をこきこき鳴らす、がそれも、見る人が見れば恐ろしげな仕草に見えるかもしれない。]
(368) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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[くしくも己の「選ばれてなどいない」という意味の言葉は 高嶺の「暇つぶし」と重なり それがまた――嗚呼、気に食わない。]
…、――失礼いたします。
[音を刻む花主と 鵠殿、と名を呼んだ夜光へ頭を下げ。 命を果たすために進む。]
(369) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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以後じゃない。 たった今からだ。
[手を緩めることはない。 けれど叱責の言葉は己が買うという確約ではない]
…まったく、あの主宰はどういう基準で花を集めているのだか。
[出会った花を考え、思わず零れる溜息]
当代随一が、聞いて呆れる。
[鵠、と呼ばれた花に視線を向けながら]
(370) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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落胤 明之進は、近く、人の気配に、ゆるりと足を向ける
2010/08/01(Sun) 23時半頃
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…なるほど? 猫は飼わずとも、手遊びに家鴨の子は試すのか。 高嶺の趣味も結構なことだ。
[暇つぶしに命じたことが、舞でも笛でも歌でもなく茶汲み。 こぼれそうになった低い笑いをぱちりと僅かに開いた扇で 口元を隠すことにより隠蔽する]
…まあ、せいぜい気に入られるといい。家鴨の子。
[鵠、と呼ばれたそのせいかける言葉は明らかに。 その名で呼ぶことをしないのはそれに見合う姿とは鉄色に映らなかった故]
(371) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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―本邸・廊下―
[満足そうな黒檀がこちらを向いたのも一度だけ。 それは鵠にすら向けられず、花と花主の違いを表していた。 笛も舞も、いつかあれと並べる位にと願ったことすらある花でさえ花主にとってはそうなのかと、僅かに息を詰めた]
…はい。
[本郷に短く答える。言葉は元から上手くない。 緩められぬ叱責は剪定鋏のような音と共に身を刻むけれど、ここで崩れるわけにいかないと思う程度の矜持はある]
(372) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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>>368 [使用人にヨアヒムの部屋へ案内してもらっているところで強面の男とすれ違い――今は主はいないらしい。]
そうか、出かけているのか。 まあ、仕方ないな。挨拶は後回しになるか……
[首を鳴らす様子に、花主だとは思うけれどまさか花ではないよなあ、と見上げる]
(373) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 23時半頃
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―池の傍ら―
主様――…?
[それはまず、幻影をかたどるよりも先に、 水面に姿を映しただろう。虚ろな眼差しはけれどすぐにその焦点を戻して]
……いえ、さすがに 私の主様では、なさそう…… ?
[果実を手にするその姿は、 年代も己と変わらぬように見える。
彼は知己であっただろうか、あるいは名くらい聞き及んでいたかもしれぬが――知っていたとしても、思い返すべき記憶は鈍い痛みにさえぎられる]
(@31) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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―池のほとり― [見間違いでなければ、人影だろう。 裏庭からやってくる気配に 両手で果実を持ったまま、何時も通り レンズ越しに冷たい視線を作る]
…――
[恐らく己と立場は違わないのだろうと一目で知れた。 手にした枝の不自然さに気付けないのは相手の纏う世離れした雰囲気の所為。 初対面のひと相手ならば出会い頭に辛辣な言葉を浴びせるものの、乾いた喉から声はでなかった]
(374) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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― 食堂 ― [食堂へ入るとまた少し変わった毛色の男が見える。 李を齧る姿とは眼が合うことになっただろうか、 黒檀を二度瞬かせてから構わずその傍に座る。]
――…花か。
[訊ねにもなりきらぬ呟き、鵠が続いて戻るのを待つ。]
(375) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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― A棟:湯場→ ― [包帯を替えると気が塞ぐ。 気晴らしも兼ねて稽古に打ち込む気にもなれず。 かと言って気ままに歩くも叶わぬ他人の屋敷。 嘆息一つ。今迄着ていたものを片手に抱え とりあえずは湯場を後にし、廊下へ出る。
湯場からわかるのは、自室までの道のり。 とりあえず、荷物を置きに戻ろうと のろのろと歩き始めた]
(376) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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ボクは、ロビン
[決して手折れぬ、花と 噂が流れてもう数年。 誇大化していく己の姿を、少年は演じている。 漸くのことで紡いだ声は掠れていた。 小さく喘ぎ、首を振る]
そう……キミの花主では無いよ。 見ればわかるだろう?
(377) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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>>373
[顔をじっと眺められ、振り返る。]
ん?なんだ? ああ、主も客人か?
[こちらは、彼が花か花主か区別がつかなかった。]
(378) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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返事よりも行動で、と言ったはずだ。 まずは道を覚えてきたらどうなんだ。
[パチリ、となった扇の先がゆらりと道を促すように示す。 己もまた、暫く散策を続けようとは思えども]
(379) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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記者 イアンは、自室に荷物を置くと、歩数を数えながらもぼんやり廊下を歩く。
2010/08/02(Mon) 00時頃
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―池のほとり― [向けられた冷えた視線に、 何かを機嫌を損ねたか、と瞬いて―― よく考えれば、ぶしつけな一言だったかもしれない、と思い至る。 どうにも己は空気が読めない、らしい]
明之進と申します。 ……ええ、ぶしつけを失礼いたしました。
[それでも、名乗りがあったことに 安堵の笑みを漏らして、言葉を返す。 彼の名乗りに伴う少しだけ掠れた、重い響き。 それが己の纏う常世の気配の影響もあるとは知れず]
……あなたの名は、 名乗るのに重い名なのですか? あ、それとも喉を痛めておいでとか……
[案じるようにその表情を覗く]
(@32) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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―食堂―
げほっ。
[のんびりと李を齧っていれば、開く扉の音。 視線を向ければ、そこに高嶺の姿を見、更に視線が合い、噎せた。
タイミング佳く運ばれた茶を飲んで、息を整えている間に、何がどうなったか傍に相手が座る。]
……一応。華月いいますねん。よろしゅう。
[相変わらずの言葉使いで、聴こえた呟きに答える。 鵠はどうしたのかと、うろっと視線を彷徨わせていれば、彼の人の姿も現れただろうか。]
(380) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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― 食堂 ― [>>356 ――華月の気遣いであるとは思っている。 無駄に高い矜持が鵠にはある。
家鴨と謂われても 今表情は動かさず、緩やかに眼を細めたのみ。 検分も道具扱いも花で在ればこそ。 ならばうつくしく在ってやろうと思うの、だが。
踵を返す。鈴が鳴る。
既に先に席に腰をおろした高嶺に、 茶器を運び、茶を淹れた。 華やぐ香りが在る。 おやという表情の華月を見れば内心ばつが悪そうか。]
(381) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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― A棟 → 渡り廊下 → ― [気が塞ぐ時に、風も塞ぐ場所へは行きたくはない。 かと言って、日ごろの陽気さを 発する気にもなれぬから、人が多いところは避けたく 肌に感じる微かな風を頼りと 人の気配がしない方へと 壁に手を触れながら渡り廊下を進む。]
(382) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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―本邸・廊下―
[はたりと黒檀を瞬く。 道を覚えるためには道を辿らなければいけない。間違いない]
失礼致しました。 それでは。
[本郷に頭を下げてその横を通り抜ける。 高嶺と鵠の消えた食堂の方をちらと見やりながら、A棟に向かう。 途中、渡り廊下から再び庭へと降りる心算でいた]
(383) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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>>378 え?ああ、すまない……
[一度見て分かっていても振り返られれば強面に内心びくりとして、つい謝ってしまった。笑顔を作ったが誤魔化せたかどうか]
天満月 邦夜、と申します。 貴方も花主、……ですよね?
(384) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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― 池のほとり ― [手にした果実を取り落とし、僅かに後ずさる。 池の縁、もう後は無い]
明之進? 覚えていないな。
[知らないのか、忘れたのかどちらにしろ 少年は交流が無い相手の事など一々覚えては居ない。 微笑みも、案ずるような表情も、一々が儚げに映るのは何故か。 花らしい花だと、ぼんやり思う]
ボクの名は 舞も琴の音も、詩吟も画も筆も素晴らしいと評判の花の名さ。
[ひとつ咳払いをして]
ただ、喉が渇いていただけだよ。 それで、ひとつそこから貰ってきた。
[少年は決して目前の相手と眼を合わせようとせず、果実を片手に、あけた腕で建物の傍に並ぶ果樹を指す]
(385) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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― 食堂 ― [眼が合った途端に咽る花に薄い笑みが浮かぶ。]
何か面白いものでも映ったか。
[思い当たるものは高嶺には一つしかないが。 先程まで鵠もこの場に居たはず、 そうなると二人で茶の主の話でもしていたか。 変わったのは毛色だけではなく言葉遣いもだ。 物珍しげに華月を見るが、名乗られた名を未だ呼びはしない。]
――…高嶺だ。
[此方の名も告げてから、 鳴る鈴の音が茶を淹れるのを待つ。 茶器が高嶺の前に添えられた後、漸く鵠を見た。]
(386) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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記者 イアンは、草いきれに素足のまま庭に下りる。
2010/08/02(Mon) 00時頃
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>>384
[謝罪しつつ名乗ってくる相手に、ああ、と呟いて名乗った。]
刷衛という。 花ではないな。というかこんな花、頭がおかしくなったとしか思われかねん。 で、主も花主か。 まぁ、この3日間、話をすることもあろう。よろしく頼む。
[その男も美形であった。 この集まりは、なんと美しい輩の集まりだろうか。 まだ若い頃ならば、いずらいと感じ、辞退して帰ったこともあったが…今は図々しくもなったのか平気だ。]
のちにまんまるに会うことがあれば俺も挨拶をしたい旨、伝えてくれるといい。 俺も、天満月さんか、先に会えば伝えることにしよう。
[そう見下ろしながら伝える。]
(387) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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…足りない、
[そう告げてからもう一つ、茶器を用意するように言う。 もう一杯茶が淹れられたのなら其れは鵠に渡された。]
……お前も、座るといい。
[その合図で、自由気ままな暇つぶしは終わった。]
(388) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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― 庭 ― 庭……広い、のかな?
[素足に軽く湿る土の感触。柔らかな芝の感触。 触れる壁もなく、時折低木の枝に触れながら 揺らして、葉のざわめきを聞く ゆっくり、視覚以外で庭を楽しむ。
どこか、人の声が聞こえる。 一つは先ほど聞いた声に似ている。]
(389) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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