88 吸血鬼の城 殲滅篇
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小悪党 ドナルドは、メモを貼った。
tatsuru 2012/05/04(Fri) 00時半頃
小悪党 ドナルドは、メモを貼った。
tatsuru 2012/05/04(Fri) 00時半頃
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[銀鈴の様な音を立て、 ムパムピスの手から聖杖が落ちる。]
…………。
[ムパムピスの首に纏わりついた闇色の鞭は、 彼の首筋にぎりぎりと赤い傷を残し、収縮した。
倒れ伏した彼を覗き込むように膝を突く]
(6) tatsuru 2012/05/04(Fri) 01時頃
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ヒュー、…
……大丈夫か?
[聖術をまともに受けた背後の男。 その安否を気遣うように声を送ってみる]
(*0) tatsuru 2012/05/04(Fri) 01時頃
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[背後に送った『声』の返答を待たぬまま、 ゆっくりと、殆ど息絶えたムパムピスの頬を探る。]
………アンタも、…やっぱ同じ色なんだな。 聖者サマ?
[指についた薔薇色の液体にぼんやりと笑い、 其れに、ざらりと舌を這わせる。
左眼の傷。 聖術に焼かれた腕。
――始祖の血で癒された筈の渇きは、 ゆるりと身の内を駆け巡り始めている]
(8) tatsuru 2012/05/04(Fri) 01時頃
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[小さなくぐもり笑い。 ――熱を帯びた、長い吐息]
……っ、…、 …………な…、…くれよ。
いいだろ?
[斃れた彼に覆いかぶさる。 巻きついた鞭をタイを取り去るようにゆっくりと引き、
露になった首筋の傷に顔を埋める。]
……っ、は……
(11) tatsuru 2012/05/04(Fri) 01時頃
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……ああ。 なんとかな。
[修道士の首筋に接吻ける直前、 苦笑と共に言葉を送る]
………アンタも、…飲んだほうがいい。 今でなくても。
[その言葉は酷く平坦な、感情を伺わせぬもの]
(*4) tatsuru 2012/05/04(Fri) 01時頃
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[その傷に舌を這わせ、 流れ落ちる薔薇色の液体を舐め上げる。
聖術使いの血はさらりとした清さをもって喉を流れ、 まるで澄んだ水を飲み干しているようだと ぼんやりと脳裏に浮かんだ]
…、…――、…、……
[甘く牙を突きたて、ゆっくりと啜り上げる。
全て飲まずに止めるのには、 かなりの自重が必要だった]
(13) tatsuru 2012/05/04(Fri) 01時頃
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………。
[主の気配をうかがうように、 中空に目線を向ける]
………食事、したぜ。 たぶんちょっと残ってる。
な、……どうする?
[彼がムパムピスを眷属に変えたがっていたのは知っている。 此の侭彼を食い尽くしてよいものなのかと、 迷うように首を傾け]
(*5) tatsuru 2012/05/04(Fri) 01時半頃
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>>*1 ……。
[上出来だ、という言葉に、 痛みを感じたように唇を噛む。] (……そんな風に褒められんのは、慣れてんだよ。)
[人殺しで褒章をもぎ取る。 或いは、魔物の討伐で。
……寧ろそれが日常だった筈なのに。
じくじくとした胸の痛みは何故なのだろう、と ぼんやりと、思う。
ヒトとして残る記憶の所為か。 ……男の言葉に、 力の抜けるような安堵を感じた所為なのか ]
(*6) tatsuru 2012/05/04(Fri) 12時頃
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地下聖堂…?
[主が口にする見慣れぬ場所に、隻眼を見開く。 聞いたことのない場所だった。
――尤も、この城の内部を把握したわけでは まるでなかったが]
地下聖堂に…、何があるっていうんだよ?
(17) tatsuru 2012/05/04(Fri) 14時頃
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[男がクレアの復活の為に、 獲物の血を集めていた事は知らなかった。
――彼女が今この時に、 三度目の生を得ようとしていることも]
………。
[眉を寄せる。 エリアスの亡骸を、捨て置け、と言い切ったあの男。
彼が聖堂に自ら足を運ぶだけの何が、 そこにあるのだろう、と]
(18) tatsuru 2012/05/04(Fri) 14時頃
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>>*7 変える、……って。
[戸惑い、揺らいだ声。]
どうやってだよ……? 俺、そんな遣り方知らねえぞ。
[己の拙い知識では、 レオナルドを蘇らせる事もできなかった。
続く言葉に含まれた揶揄には、険を露にした答え]
……っ、要らねえよ、おれは。 ガキなんざ、作りたくもねえ…!
(*8) tatsuru 2012/05/04(Fri) 22時半頃
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―南塔 屋上―
[ムパムピスを眷属に。 ――そう囁く男の声に眉を寄せて振り返り、
石床に横たわる『弟』に歩み寄る]
……大丈夫か…?
[ヒューは転がったまま、殆ど動かない。
己の左眼は先ほどの吸血でだいぶ癒えたが、 彼のダメージは自分以上に大きいようだった]
(26) tatsuru 2012/05/04(Fri) 22時半頃
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>>*9 傷口から……。
[レオナルドの唇に塗りつけた時には、何も齎さなかった。 遣り方が間違っていたのか、と瞬きし]
……また適当に、かよ。 何に忙しいんだかな。
[続く言葉にはため息をつき、声を打ち切る。 ――酷く苛立っている自分に気づき、舌打ちした]
(*10) tatsuru 2012/05/04(Fri) 23時頃
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[石床を見下ろし、迷うように眉を寄せる。
己が血を与えれば この男は回復するのかもしれない、と気づいて。
……だが結局、踏ん切りはつかずに、 大丈夫だ、という返事にほっと安堵の息をついた。
複雑げに、僅かに唇を引き上げて笑い]
そっか。 …ならよかった。
(29) tatsuru 2012/05/04(Fri) 23時頃
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……あ、…そういえば
[気づいて胸ポケットを探り、 其処にあるものを取り出す。
明滅するようにひそやかな熱をもった、 紅玉の髪飾り]
(30) tatsuru 2012/05/04(Fri) 23時頃
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[ヒューが見えるように差し出してから、 その掌の近くに、ことりと置く。]
……クレアの…、 アヴァロン伯の持ち物だ。
アンタに渡そうと思って、ずっと忘れてた。
(31) tatsuru 2012/05/04(Fri) 23時頃
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>>36 …ああ。
クレアの傍にいてくれた…… 護ろうとしてくれたアンタが、 持ってるべきだ、って思うんだ。
[この騎士の彼女への忠義を思い、 頷く彼に切なく笑いかける]
俺が、――俺たちが出来なかったことを アンタはしてくれてたんだからさ。
(40) tatsuru 2012/05/04(Fri) 23時半頃
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[己がクレアにとどめを刺した事を、ヒューは知らぬ。
……ヒューがラルフにとどめを刺したことを、 隻眼の男は知らなかった。
大任を果たしたように、ふ、と息をつき]
――…? ………迎えに、って…
[次の言葉に、きょとんと振り返る。 何を言われたかわからない、というように瞠目した。]
(42) tatsuru 2012/05/04(Fri) 23時半頃
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………、クレアが、 ………甦る?
[呆然と呟く。 信じがたい話を聞いたように。
ひとつだけの瞳は見開かれ、
――やがて其れは、
歓喜でもなく 驚愕でもなく、
ただ、]
(45) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時頃
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……ッ、だったら…
[息を呑み込む。 唇が戦慄き、言葉には出来なかった。
何故。
――何故、自分達は、 こんな風にならねばならなかったのか、と]
(47) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時頃
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[浮かぶのは――悲痛。
討伐隊は殲滅された。 ――自分と、主の獲物となったジェフリー。 それ以外の全員が死んだ。
そして、自分は]
(49) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時頃
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(――復讐じゃ、なかったのかよ) (なら、なんで)
(なんで俺を)
[無意識に叩きつける。 それは聞こえない声であったかもしれないが。
……男は、己の血を クレアに直接注いだわけではない。 獲物の血が必要なことなどは知らなかった。]
(俺を――殺さなかったんだ)
(*12) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時頃
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……。…… ヒュー。 俺は行かない。
……悪い…、… ひとりで行ってくれ。
[言い残し、背を向けようとする。 その姿は、ジェフリーとすれ違ったかもしれない*]
(50) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時頃
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………。
[階段を一段一段、下りる。 魔性の力を使わずに、ひとつずつ。
かつん。 かつん。
石床は不恰好に音を反響し、 手すりに腕をかけた影が、ゆっくりと降ってゆく。]
(53) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時半頃
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>>54 [ヒューの声に、足を止める。 一瞬の躊躇い。
振り向かずに、答えた]
――……ああ。 幸せにしてやって欲しい。
[それは本心。だから声は揺らがない。]
アンタと、……アイツなら、 其れが出来るだろうから。
(56) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時半頃
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[一度彼女の命を奪った自分が。 ……今、彼女が甦ることへの歓喜よりも
今の運命に煮え滾るような怒りを覚えている自分が、 その資格はないのだ、と]
(57) tatsuru 2012/05/05(Sat) 00時半頃
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[男の気配に、吸い寄せられる様に意識が向く。 伝わる薄い笑いの波動。 ……頭の中を掻き混ぜられるような惑乱。
――自分への嫌悪感に、 くらりと眩暈のように視界が回った。]
(*15) tatsuru 2012/05/05(Sat) 01時頃
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(領主様はとてもお優しい方よ)
[鈴の鳴るように涼やかな、彼女の声。 微笑いかけてくれた。 薔薇の花を摘んでくれた。 綴られる幸福な思い出。 今頃、クレアは、あの男に笑いかけているのか。 ――あの男はクレアを見て、微笑っているのだろうか]
(*16) tatsuru 2012/05/05(Sat) 01時頃
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[ヒューを残し、螺旋階段を降りる。 隻眼ははっきりと、 その石床の罅ひとつまでを映し出しているのに
――酷く、足元が暗い気がした。]
――>>53へ
(65) tatsuru 2012/05/05(Sat) 01時頃
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[三階の画廊から、二階への螺旋階段へ。 何処に行く当てもなく歩いた。 ――何故、俺を。 その言葉に答えは返らなかった。 伝わったのはいつもの、 揶揄するような笑みの気配だけ。 だが]
(75) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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