88 吸血鬼の城 殲滅篇
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>>3 ……。
[きり、と唇を噛む]
ふざけんな…。 俺は、……
[忘れていた渇きを刺激するような言葉。 ……エリアスの右肩に触れ、 まだ固まらぬ血の色にくらりと眩暈を覚える。
あまい、花の香り。 まるで糖蜜水に薔薇の色を映した様な。
小さく、浅い呼吸が洩れる。 唇を近づけかけて―― ゆっくりと頭を振り、顔を背けた]
(7) 2012/05/02(Wed) 00時半頃
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[客室の寝台を整えてエリアスを横たえる。
恐らくは、その身体は影により、 地下墓地に運ばれるのだろう。]
――…。
[十字を切ろうとして躊躇うが、 試したそれは、自分に何の害も齎さなかった]
(8) 2012/05/02(Wed) 00時半頃
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……。…神なんて、いない、か。
[苦笑して炉に戻り、 消えかけた炎に、最後の包みを放り込んだ。
――銀の杭が燃え残ることも 或いはあるかもしれないが 其れを然程、気にはしていない]
……。
[ボウガンをどうするか迷い、 マントルピースに掛けたまま、部屋を出る。
何処に行くというあてもなく歩き出す*]
(9) 2012/05/02(Wed) 00時半頃
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―二階・宴会場―
つ、……っ…。
[風の刃が切り裂いた腕の傷に触れ、 痛みに眉を顰める。
ヒトならぬ身とは言えなりたての雛鳥。 血を取り込まぬ限り、 恐らくまともに回復はしないのだろう。]
傷薬とか、…きかねえよな。
[苦笑して首をかしげ]
せめて包帯とか。 …あるとしたら、使用人室あたりか?
(14) 2012/05/02(Wed) 00時半頃
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……。
[どこからか聞こえる、低い笑み。 耳に纏いつく其れは嘲笑と揶揄を含んで、 ざらりと男の内側を舐め上げる]
……うる、せえよ。
[ぼんやりと血の抜けた思考の侭、囁きを返す。 酷く唇が乾く感覚には、経験があった]
(――脱水症状だな、コレ)
[補給の少ない荒地での戦い。 ぎりぎり足りぬ水を回し飲みした、あの時と似ている]
(*1) 2012/05/02(Wed) 01時頃
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[もう己がヒトでないことは知っている。 ……かつての同胞を殺めて、 それでも、ぎりぎりの正気を保っているのは
人を殺して、魔物を殺して。 そうやって今までも生きてきたからかもしれない。
殺すことを生業にして生きてきた。 殺せと、そう命じられて。 今も同じだ、と投げ遣りに思う。
だから己は共に旅をしてきた仲間も、 何の害さえもない魔物も、
……クレアさえも――殺せる]
(*2) 2012/05/02(Wed) 01時頃
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(いやだ) (なぜ、俺が)
(エリアスが何をした? なぜこの手に、)
(たす、けて )
(*3) 2012/05/02(Wed) 01時頃
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[――悲鳴に蓋をする。 だいじょうぶだと、いいきかせる。
まだたべていないから。 その水をあじわってはいないから。 いつもどおり。
――まだ、そちらにはゆかなくていい。]
(*4) 2012/05/02(Wed) 01時頃
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>>25 ――?
[誰かに呼ばれた様な気がして、ぴくりと目線を上げた。]
……アンタか…? 何か…、…
(*5) 2012/05/02(Wed) 01時半頃
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>>*6
……。
[思い切り眉を寄せ、声の流れて来る方向を睨む。
この男の『褒美』など、 最初から嫌な予感しかない。]
(*7) 2012/05/02(Wed) 02時頃
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>>*8 ……っ、…。 ………誰が泣くか。
[言い返しながらも、声音は僅かに揺らぐ。 不審と、不安。 ――同時に、揶揄うような遣り取りが快くて]
(*10) 2012/05/02(Wed) 07時頃
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>>*9
……? 怪我でも、したのか…?
[零れた声に、瞬く。 ……暫くの無言と、 どうして良いかと迷うような気配。]
………何処にいる? 俺、行こうか?
[自分が何を言っているか困惑するように 唇を引きしめる。 ――行ってどうすればいいのかとも、 わからなかったが]
(*11) 2012/05/02(Wed) 07時半頃
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─二階客室─
[一階に降りるか、いっそ三階を探索するか。 しばらく考えた末に面倒になり、客室に戻ってクローゼットを開ける]
……ああ、まだあった。
[浴室に落ちたときに漁ったまま、 清潔な白布が何枚か残されていた。
取り上げ、端を咥えてゆっくりと裂く。 簡易な包帯を作り上げると、 怪我をした箇所にいい加減に巻き付ける。]
(42) 2012/05/02(Wed) 09時頃
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…多少は動きやすいか。
[白布はみるみるうちに紅く染まるが、腕を動かす度に走る痛みは、多少軽減されていた。]
……うまくいかねえもんだな。
[複雑げに苦笑して、寝台の方向に目をやった。 ──なにも気づかぬうちに殺してやれればそれでよかった。 だが。
状況をよく知らないエリアスにも、……もう、自分は人間には見えなかったのだろう、と]
(43) 2012/05/02(Wed) 09時頃
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……乾きを癒せ、…か。
[殺せとだけ言われたわけではない。 それは覚えている。
だが、吸血しろとはっきり言われた訳でもないのだ。 ひととしてひとを狩ればいい。 …それなら納得できる範疇だと、何かを飲み込もうとするかのように軽く笑う]
(44) 2012/05/02(Wed) 09時頃
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(──雇い主が、変わっただけだ) (気にくわない主なんて、今までもたくさん…)
[思考にのぼせてひどく胸が苦しくなり、唇を噛んだ。
──違う。 あの男のために動くことが自分は、……嬉しいのだ、と。
短い間とはいえともに手を携えた仲間を殺しても、その命に従いたかった。
だがその欺瞞が直視できず、 ぎりぎりとただ心臓だけが痛みを訴える。]
(45) 2012/05/02(Wed) 09時頃
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……。
[無意識にポケットの上から、そこにあるものを探る。 ほんのりとした熱が伝わり、少しだけ気分が軽くなった気がした]
……?
[宴会場に出て、目を見開く。 ──何か下が騒がしい気がした*]
(46) 2012/05/02(Wed) 09時頃
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>>*13
……心配なんざしてねえよ。 するような状態だったら、俺が何しても無駄だ。
[いつもよりぶっきらぼうになったその口調に ふ、と息を吐く。 恐らくは彼のプライドを傷つけたのだろう。 余計な事をした、という後悔に唇を噛んだ。 気まずさを誤魔化すように、口早に囁く]
……アンタが斃って、俺が困るとでも思うのか?
(*28) 2012/05/02(Wed) 14時頃
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──。 [右腕の怪我を言い当てられ、眉を顰めた。 男の能力では『我が子』の全てが筒抜けなのだろう。 だが己には、この距離では男の怪我はわからない。
…それが寂しいような気がして黙り込み、 次の言葉に、息を呑む]
──ふざけんじゃねえっ! 余計な世話だ…っ!
[──死に掛けの獲物。
階下からの人声の詳細はわからない。 ただ、恐らく己の知らぬ戦闘があり 怪我人が出たのだ、という事を理解する。]
(*29) 2012/05/02(Wed) 14時頃
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……… アンタが殺せってのなら、殺す。 それで充分だろう…!?
[悲痛を含んだ掠れた囁き。 ──飲むつもりはない。 誰かを自分と同じモノにするつもりもない。 わかって欲しいと訴えるような。 無駄だとは思いながら叩きつけ、 苛立たしげに袖のカフスに手をかけた]
(*30) 2012/05/02(Wed) 14時頃
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[ゆっくりと息を吸い、戦いに向かう神経を研ぎ澄まさせた。
刹那。 闇が揺蕩う気配を、ふと感じる。] (──誰だ…?)
[見覚えのない気配。 獰猛な巨躯を横たえる獣に似た、あの男とは違う。
火球の様な熱さと、鋼の硬さ。 昏く燃える熾火に鍛えられた、鎧]
……。おい。
[声を掛けようか逡巡したあと、短く呼びかける*]
(*32) 2012/05/02(Wed) 16時頃
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>>*31 持ち主が死んで、玩具が困るのか?
[なにかを嘲る様に、喉をならし]
ただ壊れるだけだ。 わかってんだろ?
[玩具が壊れても持ち主は困らない。 またつくれば良いだけだから。 持ち主がいなくなっても、玩具は困らない。 打ち捨てられて壊れるだけ。 ──クレアのように]
(*35) 2012/05/02(Wed) 16時半頃
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…ッ、……。
[自分を抱くように腕を回し、歯噛みする。 ──異端狩りとして、 飢えた吸血鬼を見た事がないわけではない。
男が口にしたような、青黒く干乾び 灰にすらならずに消えた魔物の末路も。 本能的な恐怖に喉が震え、 引き攣る様に息を呑み込む音が響いた]
……俺はもう、死んでるようなモンだろうが…ッ
[其れでも震えを押し殺し、声を絞り出して]
(*36) 2012/05/02(Wed) 16時半頃
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…ぁ、……
[何かを反駁しようと口を開きかけ。 男の声音に、それが千切られる。] ……。っ………。
[肯うこともしない。 否むこともしない。
じくじくとした痛みに耐え、 ただ黙って唇を噛み締める。
それだけが今の唯一の抵抗だった*]
(*37) 2012/05/02(Wed) 17時頃
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─二階 宴会場の窓際─
(──良い子で帰ってきたら) (褒美) (きっと気に入る) (手負いの、餌)
[壁に凭れ、窓から外を眺めながら、 あの男の『声』を反芻する]
(命令) (──衝動を、殺すな)
(71) 2012/05/02(Wed) 17時半頃
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……。痛ぅ、…
[無意識に傷口の上を握り締めていた。 ぬるりとした感触と痛みに、顔を顰める。
骨が見える程に抉られた其れは、 ひとならば意識を失う位の激痛を齎していただろうか]
(72) 2012/05/02(Wed) 17時半頃
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[ぼんやりと紅に見蕩れた。 己の内を蝕む渇き。 目覚めて此方、自らを苛む其れ。 嫌だ、と悲鳴をあげつづける声がある。 褒めてくれるんだろ?と笑う自分がいる。 いいこと尽くしじゃねえか。 あの薔薇色の水に手をのばせば、 何もかも楽になれる。知っている。 ──それでも、]
(73) 2012/05/02(Wed) 18時頃
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……?
[大階段から上るふたつの気配に気づく。 ゆっくりと身を起こし、其方に目を向けた**]
(74) 2012/05/02(Wed) 18時頃
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ドナルドは、ヘクターに話の続きを促した。
2012/05/02(Wed) 19時半頃
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>>*38
[響く嘲笑に目を伏せる。 そうだ。生きている。それがヒトならぬ生であっても。 ――だから、こんなにも苦しい]
(*44) 2012/05/02(Wed) 21時半頃
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……思い通りになる玩具なんて、 つまんねえだろ…?
[そう、小さく肩を竦める。
見ていてやるという言葉に よわよわしく笑んだ。
――クレアを見ていたようにか? と そう口にのぼせかけ、止めた]
(*45) 2012/05/02(Wed) 21時半頃
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