233 逢魔時の喫茶店
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[昨夜の宴の名残は、こころだけでなく胃にも残っている。 空腹感はないと答え、 スムーズに水を取り出し、運ぶのをぼんやりと見守り。
流れる銀糸が漆黒に染まるように、記憶の砂時計を反転。]
――ちゃんと、覚えてるよ 千冬のことが好きって……欲しいっつって
一緒に飛んで帰って、それから
[額に残響するくちびるの感触を、 反芻するように髪をかき上げ、まばたきひとつの間の後。]
キス、――した?
(4) mumriken 2015/08/12(Wed) 23時半頃
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[グラスを受け取り、乾いた喉に流し込んだ後。 疑問形の語尾に合わせて、くちびるに弧を描く。]
そこだけはっきりしないから ……どうだったか、思い出させて
[おもむろに立ち上がり、 あの時のように両腕を肩に廻して、ゆっくり引き寄せる。
覚えていない、なんて嘘がばればれでも構わない。 己の大根役者ぶりはとっくに自覚済。>>1:-95
三文芝居はただの、口実だ。]
(6) mumriken 2015/08/12(Wed) 23時半頃
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[夜空と違って、足元は古臭い床板だし、 寝起きのトレイルの髪はきっとぼさぼさだし、 吐息に酒精が残っているかもしれない。
ロマンの欠片もないけれど、 育ってきた環境故にその辺は諦めてもらおう。 恋の作法も、愛の囁きも、これから知っていくだろうから。]
食器、とか。箸とか買わないとね あと着物……?
そういや千冬って普段何してるの
[出勤前のひと時。じゃれ合いの間に。 これから生活を共に過ごすにあたって必要なものを浮かべ。
夜勤の合間か、これから買いに行く?と提案して ひとまず身支度を整えるために風呂場に向かおうかと。]*
(8) mumriken 2015/08/12(Wed) 23時半頃
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[咎める物言いも、憂いを湛えた眼差しも>>15 トレイルを傷つけたりはしない。
水分を得て滑らかになった舌で仕掛ける悪戯に、 あやすような、諭すような。>>17 請うような湿り気を感じれば、鼓動がまた、跳ねて。]
ふ、…… ンぅ――……
[招かれるまま、くちびるを薄く開き。 舌を絡め取るように咥内に誘い、空気ごと閉じ込める。
また、少しだけ。 彼との繋がりが深まったことへの歓喜と、 記憶通りの感触、記憶にない快感に睫毛を震わせ。]
(20) mumriken 2015/08/13(Thu) 01時頃
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あん時は、浮かれてたから…… ね、……もーいっかい
[実際は浮いてたのだが大した違いはない。 自由の利かない体勢では表面を掠めるのが精々だったし。
ちゃんと思い出したと、 そもそも忘れていないと主張しながら再を求め。
かち、こち、かち、こち。 いつだって正確に、そして無常に進む時計の針に、 勤勉さが取り柄の男は、現実に引き戻された。]
(21) mumriken 2015/08/13(Thu) 01時頃
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ん。いーよ 父さんが残していった服も、あるし
[衣類の貸し出しについては快諾して。 視線は自然と和装の合わせ目から覗く肌に寄せられるも、 今は意識しないように努める。
この地を不在の間の出来事については。>>19]
……おんなじだ [居ない間も、胸の裡に在った喜びに目尻を緩め、 狭い室内を、それから街を案内しようか。]
つってもおれも、この辺しか 知らないけどね
[洗面所はそっちの扉、と指で示す。 さすがにそこまでは同行せず、 奥のクローゼットから、サイズの合う服を探そうと。]**
(22) mumriken 2015/08/13(Thu) 01時半頃
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営利政府 トレイルは、メモを貼った。
mumriken 2015/08/13(Thu) 01時半頃
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[普段和装しか見たことのない男に選んだのは、 履物に対して違和感が少なく、 なるだけ着心地が良さそうなもの。
黒のタンクトップとカーキのカーゴパンツ。 養父が愛用していた半袖のシャツ。
パンツの裾が自身が履くときより やや丈が足りてないことには 悔しそうな一瞥を足元に向けて。]
……まるで別人みたい
[袖の短さを気にする様子に笑いながら、 襟を直すついでに項に掛かる髪束を拾い。
似合う、と囁き自身も入れ替わりで洗面所へ。 シャワーを浴びる時間が 普段の倍だったのは此処だけの話。]
(38) mumriken 2015/08/13(Thu) 13時半頃
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んじゃ、いこっか
[昨日と同じ着物と、真新しい洋装。 彼が馴染みの喫茶店の主や店員の動揺は どちらが大きいだろう。
常と違う姿、独り占めしたい気持ちと 自慢したい気持ちを天秤に揺らす。
何処に行こうか。 まずは昨日ショートカットした道を歩き、 朝の日課であるコーヒーを買いに行こう。]**
(39) mumriken 2015/08/13(Thu) 13時半頃
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−数日後−
[あれから、千冬との生活が始まった。 彼の方が何かと変化が多かったように思う。>>49
トレイルは相変わらず、 定められたシフトの通りトワイライトで働いている。 変わったことは、空き時間の過ごし方。
それまで他の店員にほぼ丸投げだった調理や カクテル作りを習うようになった。 給与アップと、自炊による節約を狙ってのこと。
常に傍らで己を甘やかし、支え、 見守ってくれる恋人の存在が。
帰るはずのない養父を待ち、泥濘にはまったように 怠惰に過ごしていた日々を塗り替えていく。
本人すら気づかぬ速度で、少しずつ。それでも確かに。]
(51) mumriken 2015/08/13(Thu) 20時半頃
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− 過日のcafe & bar ≪Twilight≫ −
いらっしゃいませ
[勤続年数は間もなく二桁を越えるが、 畏まったコテツの挨拶を聞いたのは初めてかもしれない。>>5:+32
彼に数テンポ遅れて、いつも通り腰を曲げる。>>3:*4 あのケイですら堪えているのだ。>>5:*3 千冬と初めてここへ来た夜のことを思い出し、 不要な揶揄は裡に仕舞っておくつもりだ――今の、ところは。]
(*0) mumriken 2015/08/13(Thu) 20時半頃
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[この店の、コテツの、秘密を明かす間。 トレイルは何も言わず、給仕に励む。
一時期落ちた客足も、また戻ってきた。>>5:10>>5:14 『あの悪魔、昔はもっと冗談が通じたのに』とか。 『よほど今の主人に惚れ込んでいるらしい』とか。
囁く噂が耳に届いても、聞こえないふりを貫く。 ここではそういう振る舞いを求められているから。 よもやそれがうちの店主のことだとは、夢にも思わず。
『坊主はまだ人間かい?』 なんて、全身を包帯で包み真紅の瞳孔を持つ男に尋ねられても。]
――勿論。俺は死ぬまで、人間ですよ
[当たり前のことだと、静かに答える。 くちびるの端に、ほんの少しの痛みを抱えながら。]
(*1) mumriken 2015/08/13(Thu) 21時頃
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[2杯目のグラスも空になる頃。 そろそろここの空気にも慣れてきただろうか。>>48 あまり間を置きすぎると、逆に声をかけづらくなる。
日ごろ可愛がっている(本人談)同僚にエールを送ろうと、 いかにも通りすがりに目がつきました、という態で近づき。]
どう? 楽しんでる? 今なら珍しい料理がたくさん食べられるよ
[ゴロウに向けて微笑みかける。 ホラーの類が苦手だという前情報は受け取れなかったが、 リツよりはストレートに驚く様は確認していたので。>>5:+41]
昼に比べて、夜は薄暗いから足元には気をつけて
尻尾とか、羽とか ――…目玉とか? うっかり踏まないように
[さすがにそういった落し物をする客は稀だが、0じゃない。]
(*2) mumriken 2015/08/13(Thu) 21時頃
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[コテツから撃が飛ぶ前に、ほどほどのところで留めて。 ごゆっくり、と笑いかける。 二人にとって、忘れられない夜になることを祈りながら。
そして――…休憩を取る前に。 厨房で鍋を振るう、もうひとりの同僚の元へと近づき。]
あの、さ……ちょっと、 聴きたいことがあるんだけど
[きょろきょろとあたりを見渡し、 他に誰もいない――壁に耳も、扉に目もないのを確認後。
そういや蛇の時ってどうやって音を聴いてるんだろ、 なんてどうでもいいことを頭の隅に浮かべながら、問いかける。]
(*4) mumriken 2015/08/13(Thu) 21時半頃
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お、……とこ同士でもさ―― セックス? ってできるもん、なの?
[相談相手として、正しいかどうか解らない。 けれどトレイルにとって、恋人以外で 一番信頼を置き、尊敬している人生の大先輩はケイしかいない。
(ホレーショーは、近すぎて逆に言えないし) (コテツは今、それどころじゃないし)
(千冬本人に尋ねるなんて論外)
耳まで赤くなりながら、困りはてたという顔で尋ねる。 普通の人間としての人生をサボってきたツケが回ってきていた。]*
(*6) mumriken 2015/08/13(Thu) 21時半頃
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え、ちょっと。大丈夫?
[調理の間も始終笑いを堪え、時に噴き出していたし。 変なキノコでも食べたのだろうか。
なんて心配が遅れてやってくるほど、トレイルは参っていた。
この数日。宣言通り毎晩共に眠っている。 夜中時折薄く目を開くと、そこに恋人の顔があって。 流れるような項や、熱を込めた吐息にこみ上げるものはあれど。
――…なんてぐるぐるしているうちに、答えが届く。]
(*10) mumriken 2015/08/13(Thu) 21時半頃
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……できるん、だ……?
[相談の相手が千冬だとは、、明言していないが明確だろう。 ケイに尋ねた理由は其処にもある。
一見、彼は自身と同じ身体の構造をしているように思うが、 精霊というのはまた違うのだろうか。と考えて。
可能ということ、蛇のやり方にほうほうと頷く。>>*7>>*8 そういえば彼の舌は長いし、その身はしなやかで器用だ。 なんて感心から。
陶器のような肌を舐めたら、どんな味がするんだろう。 なんて不埒な想像に思考が傾きかけた後。]
ええっと……からかわれる、方?
[逆に問いかけられての返事は、 一言で言えば身も蓋も、ついでにオチもなかった。]
(*11) mumriken 2015/08/13(Thu) 22時頃
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[その日も、千冬とふたり出勤前のデートを楽しんでいた。 いつもの店で買う珈琲はアイスと、ホット。 前者は千冬に。後者は己に。 温かい飲み物を摂ろうと心がけ始めたのは昨日から。
時折リツが駆けているのを見かける公園。そのベンチで。]
やっぱりそっちの方が、似合う気がする
[見慣れた着物姿で、隣に座る男に微笑む。 予想より早く、 洋装にもこの街にも好色を示してもらえたが。>>50 彼の和装姿は幼少の頃は憧れでもあった。
侍ではなかったが、雪のように儚く美しい人。]
(61) mumriken 2015/08/13(Thu) 22時頃
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[――それが、時を経て。 扉を開けて見える姿に、養父じゃないと落胆していたのが。 ああ、今年も来てくれたと安堵するようになって。
今は、肌が触れ合うのを当然とした距離にいる。 養父が突然帰ってきたら、困るなあとさえ思う。
だってもう、あのベッドを貸し与えることはできない。 例え養父でも、並んで眠ることはできないから。
もし、もしその時は、 『ファミリア』の地下へ行けとでも言うつもりだ。]
(62) mumriken 2015/08/13(Thu) 22時頃
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ちふゆ。――…千冬
[カフェインで喉を潤し、 愛しい名を紡ぐことでこころを満たす。 「好き」と繰り返す代わりに。
整った横顔から視線を移し、ふいと逸らす。 頭の中は、先日ケイに持ちかけた相談のことでいっぱいだ。
千冬ともっと、近づきたい。触りたい。 遅すぎた思春期は、反抗期と同じく厄介で。 毎朝浴びるシャワーの時間はどんどん長くなる。>>49]
(64) mumriken 2015/08/13(Thu) 22時頃
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[ボケか、ツッコミかという質問ではなかったらしい。>>*12 これ、と示される様々な食材や酒瓶を目で追う。]
舐めながら、ぱくっと……? [チョコは、熱そうだしブランデーは酔いそうだ。 蜂蜜ならいけるだろうか。 無意識に掌を見つめ、口元に指先を宛がい考え。そして。]
あー……うん、ありがと できるかわかんないけど、…頑張ってみる
[頷き、礼を述べるとそそくさと厨房を後にした。 相談を持ち掛けておいて何だが、 これ以上続けると、火傷で済まなくなりそうというか。
仕事が手につかなくなりそうで。]
(*15) mumriken 2015/08/13(Thu) 22時半頃
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[名を呼ぶのは、 用がある時だけと言ったのにはそれなりの事情がある。
単純に、この舌が音を奏でるには難しいのだ。 とくに最初の子音が。 時折呂律が廻らなくて、うまく呼べなかった時は 申し訳なく眉を下げ、夢の中で特訓を重ねたり。>>5:+99
――…それでも、仮初の言葉より、 万国共通の愛の囁きより、声にしたいのはやはりこの音で。]
(85) mumriken 2015/08/14(Fri) 00時半頃
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[洋装と、和装をTPOに応じて着こなす。 その優しさが誰のためか、解らないほど鈍感ではない。
粋に裾を払い歩む、凛とした背中を観れば、 長年募らせた想いをよみがえらせ。>>+34
養父が気にいっていた麻のシャツから伸びる細腕に、 思い出すのは幼少の頃、ではなくあの夜の、強い抱擁。>>71]
――…ん、 …
[視線を向けたり、逸らしたり。 わかりやすい構ってのサインに、 相も変わらず跳ねた毛先を抑え、くちびるを攫っていく。]
……もう、済んだ
[白昼堂々でも構わず。欲しいものを、請う前に呉れる。 その都度溢れる歓びと、ひと匙ほどの悔しさへの葛藤は、 隣に居る限りきっと永遠に続くだろう。]
(89) mumriken 2015/08/14(Fri) 00時半頃
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――もう少し、こうしてたい
[接吻の余韻に浸り、こてりと肩先に身体を預ける。 夏のうだるような暑さの中でも、 こうして日蔭にいれば体感としては丁度いい。
そんな願いが届いたのか、 ケイから昼の営業は休みとの連絡を受けた。>>54]
ホレさん、具合悪いみたい 大丈夫かな?
[昨日の昼も非番で、店での様子も知らないままだ。 昨夜の営業時は普通だった気がするが、無理をしていたのか。
なんて、店主への心配をしながらも。 見舞いに行こうという選択肢は浮かばなかった。
頭の中は既に、これで夜営業までの時間、 一緒に、のんびり過ごせるということで一杯だったので。]
(91) mumriken 2015/08/14(Fri) 01時頃
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[――父さん。元気にしてますか。 おれは今、すごく、すごく。幸せです。]**
(94) mumriken 2015/08/14(Fri) 01時頃
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− 後日のcafe & bar ≪Twilight≫ −
[夏の日差しの中、只々甘く優しい愛情をたっぷり受けた後。 鏡の前、後ろに結わいた髪を確認してもう一度前髪をあげた。 仄かに赤い目尻は日に灼けたのか、あの男の熱に焦がされたか。]
あれから。>>17 忘れる間もないほど繰り返し強請り請われ重ねる接吻は 昼夜を問わず、日々深みを増していく。>>107 麻薬のような中毒性に思考を蕩かしながら、 黒く、時に銀の檻に囲われ亜麻色の髪を乱される度。
もっと。深く浸食されたいと募り燻る想いは、 まだ薄い殻に覆われたまま、胸の底で密かに息づいている。]
さーて。今夜もがんばりますか
[惚けた気分を一新。 気合いを入れて、スタッフルームの扉を開けた――。]
(*23) mumriken 2015/08/14(Fri) 15時頃
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……ホレさん、あれ、誰?
[澄ました顔で出迎えの挨拶をするべきなのに。 絵に描いて額に飾ったような、 如何にも禍々しい者が入口にいることに気づけば。>>58
店長の袖を引き、耳打ちして尋ねる。 扉の中にいるのだから、赦された存在なんだろうし。 不思議と怖くはなかった。逆に怖くないのが不思議で。]
え、……ブローリンさんなの?
[正体を聞けば、今まで随分猫かぶってたんだなあ、 なんて呑気な感想。 童話の中で悪者筆頭となっている狼を育ての親に持つトレイルは、 悪魔が人を惑わし狂わせる者だという教えについても。
――そのすべてが悪人なわけではないのだ、と。 目の前の男に、瞬時に認識を改めた。]
(*24) mumriken 2015/08/14(Fri) 15時半頃
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いらっしゃいませ、ゴドウィンさん いつもとは逆ですね
[紆余曲折、すったもんだの末新たに招かれた客が腰を据えれば。 いつも通り――否、昼の3割増しで済ました顔で出迎えを。 理由はもちろん、観覧者の目線を意識して。>>84
人間がひとりで、夜、この店を訪れるのは稀だ。 誰かと待ち合わせだろうか。勿論詮索はしない。]
ごゆっくり、お楽しみください
[知らぬが仏、とは東洋の諺だったか。>>109 何はともあれ、非日常に足を踏み入れた彼が 良い時間を過ごせるようにと願い、通常業務に戻った。]
(*25) mumriken 2015/08/14(Fri) 16時半頃
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[猿のブローリンは、今夜も元気いっぱい。 何やら店員の真似事をしたい風な仕草が見えても、 別段止めることがしない。 そういう面倒なことは店主に丸投げだ。ただ。]
あれ、それって……
[見覚えのある赤い液体。 はてと首を傾げるが、ゴドウィンは普通に飲んでいる。 しかもなんだか、とても、楽しそうだ。>>110
ならば大丈夫か、と。良かった、と。今日も鈍感さを発動。]
(*26) mumriken 2015/08/14(Fri) 16時半頃
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[――それから、数刻。 休憩の時間となれば、炭酸水の入ったグラスと数枚のクラッカー。 それからナッツの蜂蜜漬けをトレイに乗せて、 まっすぐ奥のテーブル席へ向かう。
一歩、近づく度に足元に絡まる冷気の歓迎に頬を緩ませ。]
……ここ、空いてる?
[からかうように目を細め、返事を待たずに向かいの席に座る。 テーブルひとつぶんの距離。 これがトレイルにとって精一杯の、公私の区別。]
(*27) mumriken 2015/08/14(Fri) 17時頃
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[常に口にしているものより安価な酒を嗜むのを見れば、 より勤労への意欲を湧きたたせた。 同時に、見えない気遣いへの感謝と申し訳なさに目を細め。]
おやつ、持ってきた。一緒に食べよ
[手軽に作れて栄養とカロリーが取れて、つまみにもなる一品。 掬う為のティースプーンを忘れたことに気づいたのは腰掛けた後。
とろりと琥珀色の蜜を纏うそれに、 昨夜、同僚に打ち明けた相談事と、助言が過り。 しばし見つめた後、親指とひと差し指にアーモンドを摘まんで。]
はい、あーん
[既に遠い昔のようで、最近の記憶。 いつかの喫茶店でされたように、甘味を男の口元に運ぶ。]**
(*28) mumriken 2015/08/14(Fri) 17時頃
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