30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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―廊下― [セシルと共に食堂を出ると、廊下には セシルの蒼い薔薇の香が一層強く香って。
途中で見えるのはサイラスとディーン、 それからロビンの姿。セシルは話しかけるか、 サイラスとディーン、共に気に留めるところは あるのだけれども…他に連れ立つ誰かがいるのなら 翡翠から積極的に話しかけようとはしない。]
(4) 2010/09/06(Mon) 00時半頃
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フィリップは、ロビンの倒れる姿に「あ、」と声が零れて。
2010/09/06(Mon) 01時頃
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……、
[背に添うセシルの姿は彼の同室者と共に在る姿にも似て、 それとも違うようで、それはサイラスにはどう映ったか。
ふわり、蒼い薔薇の香は一層強く 彼らにまで香るだろう。]
……ロビン、どうかしたのか?
[ディーン、サイラス、一人一人を翡翠が捕らえた後に 呟くように零れるのは倒れたロビンのこと。]
(13) 2010/09/06(Mon) 01時頃
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そっか、医務室…。 ベネットもいるんなら、そこがいいね。
[どうして、ロビンは倒れてしまったのだろう。 目を閉じてしまえば人形のような端正な姿は一層際立って。 その姿を見つめて不思議そうに翡翠が瞬く。]
ん。 不躾だね…まだ、返事、してないのに。 ラルフの部屋…、わかった。でも、なんで? これって、ラルフのだったっけ…? それともラルフの部屋にでも泊まるの?
[シーツとタオルケットを押し付けられる形で投げられたら 少しだけ翡翠を細めて、紫を見る色は硝子球にも似る。 ――…また、何か謂おうとしてそれは言葉にならない。 代わりに硝子球が、裡を隠すように笑みを浮かべて頷いてから ディーンの同室者であるサイラスを垣間見る。]
(21) 2010/09/06(Mon) 01時半頃
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フィリップは、疑問は零れただけで、ディーンが答えないのならそれ以上は問わずに運ぶ姿を見送って。
2010/09/06(Mon) 01時半頃
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―――…貸し、だね。
[セシルの言葉にああ、家出か。そんな言葉が零れて。 それ以上を問うことはない。ディーンに小さく頷くと シーツとタオルケットを抱えて運ぶ姿を見送った。 セシルの部屋に行く前に先に置きに行こうとセシルに謂う。 扉の傍に置いておけばそれでいいだろうから。 抱えたケットには、蒼い薔薇の香がまた移って。]
(27) 2010/09/06(Mon) 02時頃
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― セシルの部屋へ ― [から、ころ、からり]
[歩く間に鳴る硝子球の音、開けられた窓からは夜の空が映る。 今宵はどのように星が歪むのだろう、 覗きたい気持ちも窓が閉まって薔薇の香が強くなれば 自然と翡翠の視線は青く変わったセシルの瞳に向かい]
……ハーモニカ。 探さなくて…いいの…?
[同級生達はきっと気付いていない、気付く筈もない。 翡翠の生徒の声は、どんどん潜むかのように小さくなっている。 裡にある何か、硝子球はギリギリの均衡で…、香るのは。 覗き込まれると頷くことしかできず、けれども歌の自信のなさに 躊躇うかのように零れるのは小さな吐息。]
[やがて、掠れた声で歌うのは小さな聖歌。 聖歌だというところまではわかるのだ、わからないのは その曲に与えられた名…、或いは番号。]
(33) 2010/09/06(Mon) 02時頃
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俺、上手くないよ…? 先輩みたいに。
[先輩、とセシルがそう口にするからまた出る人の名。 ぽつぽつと、言葉を零すように歌うのは罪を犯した者の歌、 神との出会いで己の罪を知り、その慈悲深さを謳う歌。
曲名まではわからなくとも、セシルには伝わったようで。 薄く微笑むとまた―――…蒼い薔薇が香る。 それは翡翠からか、それともセシルからなのか。]
(48) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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うん、あげるから… 頑張って、
[練習して、と最後まで紡げない。 謂われた言葉に、潤むそのブルーグレイッシュに… 蒼い薔薇の色に、翡翠の瞳は、囚われてしまって。]
――……っ ぁ…
[硝子の翡翠が、切なげに細められる。 薄く開いた唇からは吐息のような小さな声が零れて。 想いが、気持ちが、其処にあるわけではなく… 気持ちよりも勝るのは、何か――…
求められてしまえば拒めない。]
(49) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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>>52 [唇同士が触れ合う、その瞬間強く目を瞑る。 それは中庭の時の続きにも似て…少し、違う。 麻薬のように身体に溶け込んでいくのは、 薔薇の香ではなく後輩が紡ぐ言葉で。]
――…な …んで… … ……?
[優しく抱きしめられると小さく身体が震える。 求めていたのは、これで。違う、違って。 求めているのは――…もっと、無機質な…
何の感情もない、ただ綺麗な硝子球のような――…]
(68) 2010/09/06(Mon) 03時半頃
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… …ぁ、
[息継ぎの間に、薔薇が香る。 吐息と共に零れるのは甘い…先を乞うような。 香にあてられて、突然のことで、思考が白くなる。 与えられられるままに、拒まず…受け止めて
混乱した翡翠の色は与えられる甘さに次第に薄く濡れて。 乞うように、縋るように、逃げるように… 抱きしめてくるセシルの背を、やわく指先が握った。*]
(70) 2010/09/06(Mon) 03時半頃
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フィリップは、サイラスは貸しと謂って訊いた話のことは覚えているだろうか…。**
2010/09/06(Mon) 06時頃
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―セシルの部屋― [望まれれば拒むことはできず、けれどもセシルが柔らかな温もり以上を求めなかったのは翡翠の中の迷いをセシルが、或いは蒼薔薇が見抜いたからで。 あれから部屋でハーモニカを探して、気付けば寝てしまっていて。 起きた時には部屋に一人きり―――…目の前に広がるのは大きな空洞で、薄ら開かれていた翡翠が硝子のような硬質な色に変わっていく。]
――――…… …っ ふ…
[薄く開いた唇から零れるのは笑い声にも、泣き声にも似た音。]
(204) 2010/09/06(Mon) 23時頃
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俺、
…何か…
期待―――…してた?
[言葉が空洞の中に落ちていく。温もりが、目が覚めても其処にあると――…そんな、僅かな。 落ちる吐息は密やかな笑い声に変わって、ひぅ…と息を吸う音は悲鳴にも似た音。 好きだと、言ってくれたのだ。甘い口付けも―――あの時と、あの人と同じ。そこまでは…くれたのに。空洞が広がっていく、それを望んでいるのに――…]
―――…いた い…、
……苦しい…よ……、………
[名を呼んでも届かない、此処に残るのは翡翠と空洞と薔薇の香だけだから。 床に横たわったまま、苦しむように喘ぐ息はやがて熱を帯びて]
(211) 2010/09/06(Mon) 23時頃
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[そろりと、手は下肢へと降りて纏うズボンの中へ。 薔薇の残り香にあてられてしまったか、自分の部屋ではない――…後輩の部屋だとは、わかっていたけれど。それも熱孕む場所に触れじんと背を、脳を響かせる甘さを感じてしまえば背徳感すら快楽へと磨り替わっていく。]
―――…ぁ、 あ、ん……ぁ…
[手の中で育った熱を磨り合わせれば擦れた声が零れて落ちて。 硝子色の翡翠を薄く濡らして、一人夢の中の甘い記憶に耽って―――…*]
(220) 2010/09/06(Mon) 23時半頃
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―セシルの部屋― [零れていた声は抑えるような吐息に変わって。 部屋に潜む荒ぐ息は1つきり。 薄く唇開いて熱の篭った息を逃がしながら、 薄く滲んだ硝子のような瞳が虚空を見つめて]
―――…俺… 何してんだろ…
[手の中に残されたのは夢の残滓。 薔薇の香に混じる放ったばかりの青臭さに きたないな、そんな言葉が零れて]
…手、洗わなきゃ…
[熱が醒めたのか醒めていないのかもよくわからない。 曇った硝子球に閉じ込められたかのように、 何もかもが…まるで、夢のようで。]
(263) 2010/09/07(Tue) 01時頃
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フィリップは、手を洗う為に部屋を出ると、浴室に備え付けられている洗面所に向かう。
2010/09/07(Tue) 01時半頃
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―浴室内手洗い― [向かった浴室は玄関とは違う方向。 花の香は一層強くなっているのだろうか、 あまりそうと感じないのは香りが薄れているのか それとももう麻痺してしまっているのか。]
―――…っ
[浴室に入って、誰かがいることに身を強張らせた。]
……ベネット、 …何、見てるの?
[敬虔で生真面目な生徒の名を呼んで。 よごれた手を見られたくなくて、勘付かれたくなくて、 少し強く握る。 じっと、水を魅入る姿にそっと話しかけて。]
(273) 2010/09/07(Tue) 01時半頃
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……ベネットも、そういうの、好き?
[綺麗、それにまず連想したのは きらきらと、飛沫をたてて流れる水に。 硝子球にも少し興味を示していたな、そんなことを思い出して。
けれどもその後見せられた傷口には翡翠が丸くなる。]
――…怪我? ベネットって…そういうの、好きだっけ。
[たまに、血の色を、傷口を見るのが好きな奴はいる。 けれども目の前の後輩はそのイメージからかけ離れていて。]
……俺も、ちょっと手…洗いに来た。 …あんま、見られたくないんだけど。
[その一言で、察してもらえないだろうか。 首傾ぐ姿には少し気まずそうに翡翠を伏せてそう呟いた。]
(278) 2010/09/07(Tue) 02時頃
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[透明な水に赤が混じる、硝子の中で泳ぐ 赤い模様を思い出して瞳を細めて綺麗、と呟き]
―――…赤、 血の色と…薔薇の…色だね、 あと…後輩の髪も。
ああ、でも…ドナルドは嫌いっぽいね。 花が…かな、薔薇がか、赤い色か…わからないけど。
[隻眼の後輩が花を潰した姿は記憶に新しく、 赤という言葉の連想で思い出したのかそんな言葉。 素直に譲られるとそれはそれで気まずいものがあって、 意味を理解しての言葉なのだろうか… 翡翠の瞳を眇めてベネットを見ると小さな吐息。]
…そこまでしなくていいよ。
[そう謂って、流れた水に手を浸す。 白の残滓は何度か擦れば水の中に消えていって]
(284) 2010/09/07(Tue) 02時頃
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…好きなんだ?
[他意はなく。 同室らしい彼に隻眼の後輩の髪のことを訊く。]
よくわからないけど…。 でも、訊いてないから俺の勘違いかも。
……傷、そんな風にしてたらひどくなるよ。
[幾度も手と水を擦り合わせて残滓を洗い流すと、 白に滲む赤の色に気付いて止めさせようと手を伸ばす。 ふわり…先程まで居た部屋に染み付く蒼の花の香は 翡翠の身体にも染み付いて、伸ばした手から仄かに香り]
…香?なら、サイラスかな。 薔薇の香り、してたね…酔いそうになるくらいの。
それよりも、傷…
(286) 2010/09/07(Tue) 02時半頃
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…そっか。 ベネットは…ドナルドが、大事なんだね。
[互いに…大事。その言葉は裡だけに、ぽつりと落ちて。 翡翠がまた少し、硬質な色を宿す。 想いあう姿はとても綺麗で…、けれども――…]
……そう…って、ちょ…!? あまり、大丈夫じゃないみたいだけど。
…少し、休んでく?
[ふらつく姿に咄嗟に抱き込むようにすれば、 強い薔薇の香は凭れた先にも感じるだろうか。 黒髪からは、何の穢れもない…少しだけ、医務室の匂い。 綺麗だな、裡でそんなことを思って、けれども… 同時に、何処まで…綺麗でいられるのか… 酷く汚してしまいたい気持ちになるのは、何故だろう。 くすり、ベネットを抱いたまま零れるのは微かな笑みで。]
(288) 2010/09/07(Tue) 03時頃
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――…ベネット、 さっきまで俺が…、何シてたのかは、もう気付いてる…?
[囁くように訊く、 何処まで知っているのか…知らぬ素振りをするのか。 何処までが本当で…何処からが偽りなのか。]
(289) 2010/09/07(Tue) 03時頃
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[微笑ましい、けれども同時に… 翡翠が届かなかったものを手に入れてしまいそうな、 そんな後輩の姿に浮かぶのは羨望と、暴力的な…]
……うん。 無理しなくて、いいよ…休んでいこう。
[声音は後輩を気遣うような優しいもので、 けれども硬質な翡翠は違うことを思い描いている。 ね…?同意を促すような声は甘く誘うようで。]
(294) 2010/09/07(Tue) 03時頃
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……手を洗う、前のこと…だよ。
[ベネットを支えていた利き手はそろりと滑るように下へ、 布越しに触れるのは先程まで慰めていた場所と同じ…。 知らない?問う瞳に笑む硝子の色。 知りたくないの…?そう誘うようにも取れただろうか。]
(295) 2010/09/07(Tue) 03時半頃
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[何も疑わずに身を寄せてくる姿、 高潔な姿を崩すことは、硝子の姿を望む己の願望にも似て。 ほう…と、その姿を思い描いてしまえば 体温と薔薇の香に零れる陶酔に近い吐息。]
……知らない、なら…教えてあげる。 ね…?おいでよ…。
[翡翠も誰かに手解きをしたことはないけれども、 強く瞳を閉ざす姿には微かな加虐心すら抱いて。 布越しに幾度と焦らすように撫ぜると支える手はいざなう手に。
ベネットが頷くならば誘い込むのは個室のシャワー室。 閉じ込めてしまえば其処から聴こえるのは透明な水音ではなく…*]
(298) 2010/09/07(Tue) 03時半頃
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―朝:浴室→ ― [フィリップが浴室を出て行ったのはベネットよりも後で。 穢れてしまった、その言葉には「そんなことないよ。」と 短い言葉を零してベネットの姿を見送った後… 先程まで手解きしていた両の手へと視線を落とす。 其処に残るのは、彼が穢れだと謂った名残と…、…
その後は眠れたのか、眠れなかったのか。
朝になればまた、何時もと同じ姿。 翡翠の色は一見、変わらない。]
(352) 2010/09/07(Tue) 18時半頃
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フィリップは、朝は変わらず、その姿は薔薇園にあって。
2010/09/07(Tue) 18時半頃
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―薔薇園― [何時も通りに薔薇に水を撒く姿。 翡翠の色は一見変わらない。 セシルとの触れ合いも、ドナルドへの誘いも、 ベネットへの手解きも全てがなかったかのように 水を撒く姿は何時もの日常の中に溶け込んで。
傍で香る薔薇は、甘く…しかし蒼のものとは違う香。 赤い花を見つめて――…硬質を宿す翡翠が細まる。
後輩の、好きな色。 そして恐らく――…後輩の、嫌いな色。]
(357) 2010/09/07(Tue) 18時半頃
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フィリップは、そっと、今日蕾開いたのだろう淡く咲く一輪に手を伸ばして―――…
2010/09/07(Tue) 19時頃
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[手を伸ばした先の開いたばかりの花、 緩く握りこむと蕾に戻ることもできずに 一枚花弁を落として手の中に納まって。
更に強く握れば小さな音を立てて。 開いたばかりの薔薇の花弁がひらひらと、散っていく。
茎の部分まで握りこんでしまったのか、 花弁の中に混じる違う赤は棘で傷ついた掌からのもので。
水を遣る手を止めて、翡翠がそれをじっと見つめた。]
(360) 2010/09/07(Tue) 19時頃
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[きらきらと輝く透明な粒と共に舞い落ちる赤、 雫に血の色が混じると花弁の上でくるくると 交じり合って小さくて脆い硝子球のよう。
隻眼の後輩が何を想って薔薇を潰したのか、 真似してみてもそれはわからなかったけれども 散らされた赤い花と血で穢れた出来立ての硝子球はとても]
―――…綺麗…
[だと、思った。]
(363) 2010/09/07(Tue) 19時半頃
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[散った花びらは其処だけ地面を鮮やかに彩って。 水遣りを終えると漸く傷が少し痛みを訴えて… 薄く唇開いて舌を覗かせると血の滴る手首から掌までを舐める。
消毒でもしておいた方がいいのかもしれない、 寮に戻ろうと振り返ると此方を見る誰かの視線に気付いた。]
(367) 2010/09/07(Tue) 20時頃
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――…ドナルド。 後輩もよく、庭を見てるね?
[視線の主の名前を呼ぶ。 舐め取った手首と掌は舐め取りきれなかった赤を微かに残して。 見上げた翡翠は日の光に眩しげに細められて、 其れはドナルドにあげた硝子球の色にも似ている。]
……けが、したんだ。
[見つめる姿にそっと、掌を翳してみせる。 薔薇の棘で怪我をした手、 高潔な後輩を穢した手、 どちらの意味で謂ったのか、くすりと笑って]
医務室、行かなきゃ。
[そう告げる。]
(370) 2010/09/07(Tue) 20時半頃
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…してくれるの?
[手当てを。 問い返すも返事を待たずに姿を消してしまった 後輩の姿には翡翠が二度ほど瞬いて。 傷の残る手を下ろすと医務室へと向かう。]
[から、ころり]
[歩けば今日もポケットからは硝子球のくぐもった音。 その傍から此方を覗くセシルの視線には気付けずに…]
(375) 2010/09/07(Tue) 21時頃
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フィリップは、医務室に辿り着いたのはドナルドが先か、それともフィリップが先か。
2010/09/07(Tue) 21時頃
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―医務室― [入った医務室は夜の淫靡な乱交を知らない 翡翠にとっては何時もと変わらない光景で。 強い香がもしかしれば残っていたのかもしれず、 けれどもとうに麻痺してしまった身体にはわからない。
運悪く血がよく出る場所に当たってしまったらしい、 医務室に来るまでの間にも掌から血は滴って。 床に零すわけにもいかず、また赤い舌覗かせ舐め取り。
消毒薬はどこにあるのだろう。 掌を口許に引き寄せて、少し不自然な姿勢のまま 目的のものを探す。]
(381) 2010/09/07(Tue) 21時頃
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