224 Cнег дьявол〜凍ったケツ村〜
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― 回想/ドロテアの店 ―
[そろりとワンピースの袖に腕を通す。 その場でくるりと回ってみせれば、丁寧に裾まで刺繍があしらわれたスカートが、振り返ったわたしの動きに合わせてふわりと踊った。]
素敵…です。わたしには、勿体ないぐらい…。 ありがとうございます、ドロテアさん!
[うっとりと目を細める。ドロテアに微笑んだ。 上質な布なのだろう。柔らかくしなやかな肌触りが心地良かった。]
(6) 2015/05/27(Wed) 14時半頃
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(―…もしも、わたしにお母さんが居たらこんな感じだったのかな。)
[ちょっとだけ、お節介だと感じることもあるけれど。村の子供達を優しく見守るドロテアはみんなのお母さんみたいな存在だった。ワンピースのように、ドロテアの好意に甘えてしまう事も度々あって、ドロテアがひとりになってからは大変そうな時はお手伝いをしようとして。手伝いをしながらそんな考えが考えを過ぎることがあった。 お下がりのお洋服を着せて貰って。浮き足立った足取りで、祭りへと出掛けていった。*]
(7) 2015/05/27(Wed) 14時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2015/05/27(Wed) 15時頃
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― 回想/樹の下で ―
[逃げる様に飛び出してしまったあの子を追いかけて、わたしも会場の外へと。走って、走って、ランタンが吊るされた一本の樹の下で彼女を見つけた。>>1:156]
ケイト!こんな、ところに居たの。
[そして、改めて彼女を近くで見て、 (かれが言えなかった、)心に浮かんだことを素直に告げる。]
…綺麗、ね。とても、似合ってるわ。
(13) 2015/05/27(Wed) 16時頃
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[ケイトは可愛い。こぼれ落ちそうな程大きなお目目、艶やかな唇に林檎みたいな赤いほっぺた。今のケイトは、まるで昔読んだ御伽噺に出てくるお姫さまみたい。]
とっても、とっても、綺麗。まるで、お姫さまみたい。
[それなのに、わたしは。せっかく、ドロテアさんのお洋服を着せて貰ったというのに。普段のとおり、化粧もしてない。紅の塗っていない、白い肌。連日の徹夜で、昨日も明け方まで針仕事をしていたせいで、身なりを気にする事も余裕もなくて、急いで編んだ三つ編みは所々跳ねている。]
(14) 2015/05/27(Wed) 16時頃
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[お姫様になれないわたしはお針子がお似合いで、それなのに一端のナイトを気取ってこうして彼女を迎えに来ちゃったりして。 本当に会いに来て欲しかったのはわたしじゃないかもしれないのに。 彼女にお似合いの素晴らしい騎士がきっと直ぐ現れる。脳裏に蘇るは先程の光景だった。]
(15) 2015/05/27(Wed) 16時頃
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あのね、ケイト…。わたし…。貴女の為に、ワンピースを仕立てた、の。 良かったら、受け取ってくれるかしら…?
[ケイトの為に仕立てた、彼女に良く似合う菫色のワンピースを籠の中から取り出す。そっと両手で抱えて目の前に差し出す。元は白い布だが、隅から隅まで紫色の糸で刺繍が施されていて菫色のドレスに見えるのだ。銀の針でちくちくと一針一針心を込めて縫い上げた。 ケイトが幸せになれるなら、わたしは針子で構わない、の。]
(16) 2015/05/27(Wed) 16時頃
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[――わたしの嘘つき。]
(17) 2015/05/27(Wed) 16時頃
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(…ああ、アニス。貴女に会いたい……。)
(18) 2015/05/27(Wed) 16時頃
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[吹雪は風に乗せ冷気と雪を運び、木々を震わせる。 ケイトの手へと自身の手を伸ばした。もしも、その際に赤くなった目元に気が付けれたのなら。「どうしたの?泣いてたの?」と穏やかに訊ねながら、ケイトの顔へと伸びて優しく触れただろう。]
さあ、吹雪が酷くなる前に戻ろう?
[嫌がる素振りがなければ彼女の手を握って帰途についた。けれども、ごうごうと吹き付ける吹雪に、祭りの会場へ戻ることはなく、宿屋へとふたりは逃げこんだ。*]
(19) 2015/05/27(Wed) 16時半頃
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― 回想/いつかの ―
[「あのね、しめおん。」かつて、ランタンを片手に一緒に夜道を歩いたとき。わたしはシメオンに教えたんだった。傍にそっと囁く。まるで、内緒話するみたいな声色で。 「あの子はね、わたしの大切なお友達なの。辛いとき、寂しい時、何時も側に居てくれた。 いつか、しめおんにも会わせたいな。アニス、に。」 些細な異変にはわたしは気付けず無邪気に笑った。くすり、くすり、笑い声は雪に吸い込まれて――音は、消える。手のなかにある温度だけが全てだった。]
(20) 2015/05/27(Wed) 18時頃
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― 回想/宿屋 ―
[宿屋へ着くやいなや、疲れているだろうにパルックの手伝いをしようとするケイト。 わたしは見ていられず、]
だめよ、無理しないで。 貴女、疲れてるじゃない。
[そう、声を掛けたが。ケイトは休もうとはせず、あまつさえ自分の事を気遣い厨房へと消えてしまった。]
(21) 2015/05/27(Wed) 18時頃
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[暖炉の近くの椅子に腰を降ろしてホットサングリアを受け取る。 窓の外を見る。吹雪は弱まるどころか更に勢いを増していた。]
(22) 2015/05/27(Wed) 18時頃
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[もし、吹雪が晴れて雲の隙間から夜空が覗くようになったならば。東から冬の星座たちのにぎやかな顔が見られるようになるだろう。そう、澄んだ冬の空には、合計7個もの1等星が燦々と輝く。そのなかに、ふたご座のカストルとポルックス。二つの星がある。 そう、それはわたしとAのようだ。その星までの距離は、此処から2800光年。だからわたしが光の速度で飛んで向かっても、辿り着く前に、死んでしまう。あの子に会えるなら焼け死んだってわたしはかまわないのに。星はわたしをそこへ連れてってくれない。]
(23) 2015/05/27(Wed) 18時頃
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[わたしが吐いた息は、寒さに白く凍った。激しい吹雪のせいで自宅に戻る事が出来ず宿屋に泊まった。 部屋の中と言えども深夜は大分冷える。手を伸ばしても、星を掴めそうにはなかった。伸ばした手は薄い、一枚の壁に阻まれて。 わたしはひとり、窓硝子に手をついて外の様子を眺めている。思い出すのは、昼間聞こえて来た村人達の噂話し。ふるり、身体が震える。]
アニス、貴女に会いたいよ…。
[外は暗くても家の中は明るかったから、窓にはわたしの姿が映る。掌と掌が重なる。黒い瞳のわたしが、笑った。]
(24) 2015/05/27(Wed) 18時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2015/05/27(Wed) 18時頃
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怖がらないで。私が傍にいるわ。 貴女を、護ってあげる。
(37) 2015/05/27(Wed) 20時頃
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[細められたひとみが、瞬かれ、開いて。 ぱちり、透明なブルーのなかで ひとつのほしが輝いた。]
[わたしは、眠ってしまった。窓辺から離れて、テーブルに置かれた籠の中から銀のナイフを取り出す。 優しい、ケイト。幼馴染みの彼に、兄のように慕っていたアラン。母のように気に掛けてくれたドロテア。 だけど、私は知っているの。
誰も、護ってはくれない。]
(38) 2015/05/27(Wed) 20時頃
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[氷雪の様に、冷たい印象を与えるナイフ。 ナイフの握りを左手で持ち、そっと右の親指を刃に垂直に当てて刃の具合を確かめる。滑らかだが硬い刃の感触が皮膚の表面を伝わってきて。]
(「わたし」は私の手で護る 。)
[ふっ、と息を吐くよに 薄い笑み。 鈍く光るソレに 睫毛を伏せた。*]
(39) 2015/05/27(Wed) 20時頃
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― 翌朝 ―
[針仕事を終えた。昨夜は、良く眠れた。 髪を梳かしていく。丁寧に、銀色の髪を編み込めば、鏡を見つめて微笑みかける。]
おはよう、――。
[部屋の外が騒がしい。扉を開けた。]
(41) 2015/05/27(Wed) 20時頃
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[部屋の外にはケイトが居た。>>12 何故だか酷く慌てた様子。何かに怯えているよう。]
どうしたの、ケイト? 何があったというの。
[(怯える、…何に? 既に起きた惨劇も知らずに、)宥めるように柔らかな亜麻色にそっと手を掛けた。 優しく撫ぜて、ケイトから離れてみんなの集まる厨房へと。]
(42) 2015/05/27(Wed) 20時頃
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[自然と、明かりのついた方へ引き寄せられた。人の声がする方へと足は向って。 厨房に入ったわたしの視界に飛込んで来たのは、捲られた毛布から覗いたポルックのすがた。]
きゃあ…!
[悲鳴を、あげた。無惨にも、その臀部を凍らされていた。まるで、雪鬼の仕業とでもいうように。]
(46) 2015/05/27(Wed) 20時半頃
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[顔からは血の気が引き、震えるからだ。さめざめと嘆く。]
まさか、本当に雪鬼が現れたと言うの? ああ、恐ろしい。
――このまま みんなは雪鬼の手によって凍らされてしまうというの?
(47) 2015/05/27(Wed) 20時半頃
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[リーと、馴染みのないの少女の会話が聞こえて来た。 雪鬼の伝承を知らないとは、余所者なのだろうか。>>44]
そんなことも、知らないのね。 それじゃあ、 知ってる…?
(48) 2015/05/27(Wed) 20時半頃
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[自分の身体を両腕で抱きしめるようにして、呟く。]
雪鬼が現れたら、退治するまで吹雪は止まないの。 また、雪鬼の犠牲者も日々増えていくのよ…。
[つまり、雪鬼に殺されたくなければ――。口に出さずとも、暗に示されていて。 部屋を出て行った少女の耳にも。きっと、届いた。**]
(49) 2015/05/27(Wed) 20時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2015/05/27(Wed) 21時半頃
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>>69 …疑わしき者を処刑するしかないって訳ね。
[小さな、嘆き。口にするのも恐ろしい。]
(71) 2015/05/27(Wed) 22時半頃
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…3人の能力者か。 …ん、なんだったけ。雪鬼を見つける事が出来る者と…処刑した者を…。駄目、思い出せない。 ねえ、リー。貴女、そういった本を良く読んでたでしょう…? どう、貴方、知らないかしら…?
[ずっと昔、教会から借りた伝承について纏められた本に書かれていた気がするのだが記憶があやふやだ。 意外にもリーが読書家である事を知っていた。同じ厨房へいる男へ質問を投げ掛ける。]
(72) 2015/05/27(Wed) 23時頃
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[周囲を眺めて、人が一人足りない事に気が付く。 彼女は無事なのかとわたしの足はドロテアが泊まる部屋へと。]
ドロテアさん?いますか? 起きてますか?返事を、してください… !
(79) 2015/05/27(Wed) 23時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2015/05/27(Wed) 23時頃
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[どん、どん、と扉を叩いて懸命に呼掛ける。今朝のケイトのように。 次いで出て来たドロテアの姿に胸を撫で下ろす。]
ドロテア、さん…!よかった。いきて、た…っ。 聞いて、下さい。…雪鬼が、現れたんです…!
[涙ぐみながら、起きた惨劇を伝えた。]
(84) 2015/05/27(Wed) 23時頃
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[背中を撫でられて、グズっとなる鼻を啜る。俯いた顔はくしゃりと歪んだ。 良かった。ドロテアさんも冷たくなってないかと、怖かった。もしかして、ケイトが怯えていたのも…。]
[顔をあげて、厨房へと向うドロテアを追おうとして。]
みんなは話し合いをしてて…。 化け物がいれば、対抗ができる能力者もいると。
…ドロテアさん?
[違和感を感じる。 さほど、パルックの死に驚きを感じていない様だった。まるで、その死を知っていたような。]
(87) 2015/05/27(Wed) 23時半頃
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[いつもなら、安心する微笑みを見ても、 表情は曇ったままで。]
ごはん、ですか…?ひとがころされた、ばかりなのに…? わたしは…、とてもじゃないですが、食べる気にはなれません。
[言ってから、我に返る。]
ごめん、なさい。 オスカーが狩って来た肉もドロテアさんのお料理も、好きなのに。 こんな事をいうつもりは…なくて。 はい、他の方は、元気が出るかもしれません。…行きましょう。
(94) 2015/05/27(Wed) 23時半頃
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ジリヤは、[ドロテアとふたり、皆の集まる部屋と戻った。**]
2015/05/27(Wed) 23時半頃
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[謝罪の言葉に首を振る。自分こそ、パルックの死はショックが大き過ぎて過敏に反応し過ぎた。>>100 背中の古傷に触れられそうになると知らず無意識に身体が緊張する。]
そうですね。スープぐらいなら…、なんとか。何故だか、寒くて仕方ないんです…。 ありがとう…ございます…。わたしも、お手伝いしますね…。
[自分を労ろうとする言葉は優しく、背中を抱く手のひらは暖かくて。強張った身体から力が抜けた。 ドロテアと一緒にみんなが集まる場所へと戻り、ケイトを気に掛ける彼女の姿を見る頃には、報せた時に抱いた違和感は消えていった。]
(126) 2015/05/28(Thu) 08時半頃
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