233 逢魔時の喫茶店
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−昼間、ヴェスパタインと−
[今度こそごゆっくり、と言い残し向けた背に届く。 提供した品々への感想に。>>0:314
首から上だけ捻り、漸く伸びた前髪の隙間から 一度だけ視線を合わせた。]
あー……、うん。伝え、とく
[伝わった、なんてことは勿論言えず。 だろ? とドヤ顔する場面だったかもなんて思っても遅い。 別に手柄を立てたいわけじゃないし。
とはいえ、美味いと褒められれば当然悪い気はしない。 再びカウンターに戻る足取りは軽く、口元は僅かに緩み。
そよ風のような優しい涼が頭を掠めた気がして、 明後日の方を向いている空調を見上げ、首を傾げた。]*
(3) 2015/08/03(Mon) 02時頃
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− cafe & bar ≪Twilight≫ −
[ふわふわと、ほんのりアルコールで酩酊する頭を揺らし、 けれど足取りは迷うことなく通い慣れた職場へと向かう。
呼び出しに気づいたのは、いつものように 『バー ファミリア』で飲んでいた時のこと。
どうにも性質の悪い男に絡まれ、 まじで蹴りかかる5秒前の着信はトレイルを救ってくれた。 ――色んな、意味で。]
ホレさーん、それ全然 悪いと思ってるように聞こえなーい
[やや間延びした声を上げて、店内の惨状と店主に肩を竦める。]
(*3) 2015/08/03(Mon) 02時半頃
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[暴力沙汰を起こし、 『ファミリア』を出禁になることは免れたが 一難去ってまた一難。]
つーか、風呂敷拡げすぎでしょ…… これどっから手をつければいいの?
[びしょびしょの床と、 すっかりできあがってる店主へ呆れた視線を向けて。
スニーカーの踵を鳴らし近づくと、 手にしているグラスを半ば無理やり奪おうと手を伸ばす。
この半端な状況、どこから片付けようか考えて まずは飲み足りない酒を身体に補充し、難を興に変えようかと。]*
(*4) 2015/08/03(Mon) 02時半頃
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あ、こら 出かけるじゃなくて帰るだろ
[それぞれが思い思いの時間を過ごす中。 大人たちとは違う趣向で、 店にいた少女の背中に向けて小言ひとつ。>>0
気をつけてなあ、と見送りもう来るなよ、と裡で告げる。 好物なのか、ごっこ遊びの中の台詞のひとつなのか。
生憎冷蔵庫にプリンは入っていないから。 戻ってきて、ねだられでもしたら面倒だ。]
(12) 2015/08/03(Mon) 02時半頃
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[さて、次は何をしようか。 改めて店内をぐるりと見渡し、ひとまずカウンターに戻る。
一通りオーダーは行き届いたようだし、 タイミングを逃していた食事でも摂ろうかと。
勿論、どこからか声がかかればその都度応じ 何なら此方から声をかけるかもしれない。
どうとでも動けるように、 いつもならバックヤードで取る食事や休憩も 今日はカウンターで立ったまま。
メニューにないものを客の前で堂々と口にする遠慮の無さは、 店主の影響だと誰に向けるでもない言い訳を。]**
(17) 2015/08/03(Mon) 03時頃
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[ブローリンが再び扉の先から顔を覗かせても、 軽く眉を上げるだけで会釈を返し。
カウンター席にに腰掛けるのを待って、 目の前に水の満ちたグラスを置く。
珍しいことには違いないが、 店の出入りは日に一度きりと決まっているわけじゃない。]
こら、それ食べちゃだめだぞ まだ腹減ってるなら、こっち
[猿が興味を示した、酒漬けのグミ。>>28 肩に乗ってる方のブローリンがただのオマキザルだと 思い込んでいるが故の牽制だ。
タルトのおかわりもまた、身体に悪そうだから ガラスのキャニスターからビスケットを取り出し ほいよ、と差し出そう。]
(76) 2015/08/03(Mon) 21時半頃
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[前後して。 トレイルが注文を受け、ケイ彼が用意し、 コテツが提供したアイスコーヒーを 色んな意味で堪能していた客の素性をケイに聞かされ。
記憶の糸を辿るように、彼の――ゴロウの顔を盗み見る。
生憎、トレイルはひとの顔を覚えるのは苦手だ。 瞳をを合わせるのも怖いから、どれだけうっとおしくても 緩く跳ねる前髪で視界を狭めている。
だから、精悍な東洋人の表情を伺っても、 記憶の糸は紐解けず。
代わりに、コテツが見せてとねだった懐中時計。 其方の方を見やれば、ふ、っと瞬間的にタイムスリップした。
幼い頃。店員でもなく、客でもなく。 客の連れという形でこの店に訪れていた時、 聞かせてもらった機械音。]
(78) 2015/08/03(Mon) 21時半頃
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――…そっか…残念だな
[弔いの提案には賛同するが、 トレイルには何をすればいいのか解らず。 漏らすのはそんな、そっけない一言。
家族を無くす悲しみと、亡くす悲しみは同じだろうか。 だとしたらさぞや寂しいことだろうとは思う。
――思うが、彼の孫とはいえ会うのは今日が初めての男。 どう接したらいいのやらと逡巡しながら、 視線が合えば、ぺこっと頭を下げるだろう。]
(79) 2015/08/03(Mon) 21時半頃
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エフさん、また寝ちゃった?
[決して広くはなく、BGMもない店内は比較的声を拾いやすい。 それでも、客同士の会話に耳をそばだてることはなく。
だから、ブローリンとエフのやりとりや、 ゴロウと同じく初めてこの店を訪れた青年と、 それぞれの関係も解りはしないが。
彼が動揺していること、 その理由は何となく察することができる。 トレイルも、10年ほど前はそうだったから。
変な店にも、変な店主にも、変な客にも もう、慣れてしまった。
一番消えてほしい郷愁と渇望だけが、 今も色褪せぬまま、泥蜜のそうに胸の底に沈んでいる。]
(84) 2015/08/03(Mon) 22時頃
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[――それはさておき。 トレイルの他人への興味なんてそんなものだから、 カウンターの青年が『ファミリア』の店主に 気まずい想いを抱いていることも、 彼がやらかした青春の一ページのことなど知る由もなく。]
ホレさん ちょっと早いけどさ、店閉めて
『ファミリア』で追悼会とか、どう?
[そんな提案を囁いたのは、 店主の"本業"を知る数少ない人間としてのお節介。>>35
どうするかはゴドウィンと、ホレーショー。 それから周りの客次第。 提案したトレイル本人は参加でも店番でも構わない心算だ。]*
(85) 2015/08/03(Mon) 22時頃
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俺は、どっちでもいいよ
行くなら、ケイのつまみも持ってかない? ほら……"美味しい"し
[料理を作ると申し出たケイに、>>81>>86 意味深なアクセントはきっと、 夜の顔を知る者同士なら伝わると信じて。]
どっちにしても、何か必要なものがあれば 買い出しには行くよ
[サンドイッチとコーヒーを平らげ、腹も満ちた。 予想外の早さで減ったビスケットを観るに、 明日の営業用の菓子やジュースの補充も必要ではと。]
(88) 2015/08/03(Mon) 22時頃
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――えっ?
[トレイルと違い、短く刈られた前髪の下。 二人の男が並んで寝息を立てている状況よりも、 『ファミリア』の名に動揺した様子に、思わず聞き返す。
酒の力を借りて少しでも、人間――特に女性に慣れようと。 通い始めた店で、いつまで経っても 男しか見かけない謎に気づいたのは最近のことだ。
それくらい、人間に関しては鈍感なので、 店で居合わせていても、それについては記憶がない。
街中で走る姿が脳裏に残っていたのは、 速いなあ、元気だなあ、と感心したから。]
(92) 2015/08/03(Mon) 22時半頃
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まあ、いーんだけど。慣れてるし 休日手当、つけてくれるんでしょー?
[ホレーショーから強引に奪った酒の中身は、>>*8 思いのほか濃いアルコールが詰まっていて、ひとくちだけで 喉がかっと熱くなり。
酩酊する頭をぐらり、傾け語尾が更にだらしなく伸びる。 といっても、全長3メートルには遠く及ばない。]
ケイってほーんと、器用だねえ
[今は文字通り、掴みどころがなくなった同僚へ向けて。 昼間、厨房でふるっていた腕がどこへ消えたのか、 ほかにも謎は多いが、謎のまま済ませている。
店主も、店員も、今や気が置けない存在で。 それだけで、トレイルには十分なのだ。]
(*14) 2015/08/03(Mon) 22時半頃
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[どれだけ悪態をついても、 呼ばれれば宴の最中でも駆けつけるのはつまりそういうことで。
それはきっと、ホレーショーにだって伝わっているだろう。 届いていなくとも、それはそれで構わない。]
おお、コテツかっけえ
[純度の高い酒を煽り、軽々と家具を移動させ広がる床に。 感嘆の息を洩らし、しぶしぶモップに手をかける。
何をどうしたって、動かなければ終わらない。 ひとまずはケイの作るつまみをニンジンに、働くとするか。
忠告は先にコテツがしてくれたから>>*13 トレイルやホレーショーの口に合うものが出てくる、はず。]
(*15) 2015/08/03(Mon) 23時頃
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えー……っと?
[動揺を増すばかりの青年に、捻る首は角度を増す。>>94 合間に見つけるとか、見つけないとか聞こえたが。 また誰か探し物でもしている、というわけでもなさそうで。]
いつも、こんなだし 別に、嫌じゃないでしょ?
[真意のほどはまだ理解できないが、 この店にこれだけ長居できている時点で 立派な「変な客」の仲間入りだと暗に告げる。
追悼会の提案については概ね好感触か。 互いに夜の営業が本番なことは承知の上だが、さて。]
(118) 2015/08/03(Mon) 23時頃
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[恋だとか、愛だとか。 トレイルには縁のない感情だし。
ゴロウの祖父についての記憶は、 会ったことがある程度のおぼろげなものだけど。
店内の様々な者から語られるお悔やみの言と、 彼の孫に向けられる視線に 生前彼が愛され、慕われていたことは解る。]
…………
[死者に対して羨ましい、 なんて思いを抱くことの不謹慎さも。]
(141) 2015/08/04(Tue) 00時頃
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いいですか? ありがとうございます お礼はまた今度、金落としに行くってことで
[追悼会について、ゴドウィンから了承を得られれば この中の誰が向かうとも、残るとも、去るとも知らないまま、 いそいそと早期閉店の準備にかかろうか。]
あんたも、行くんでしょ?
[さりげなく水を向けるのは、 酒についての話題を口にした者に向けて。>>132 昔、この店で彼と店主が交わした会話の詳細は覚えていない。 その頃のトレイルの頭の中は、 義父のこと以外に入る隙間などなかったから。
誰が、誰を、どう思っていようといまいと どうでも良かった――あの時は。]
(144) 2015/08/04(Tue) 00時頃
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[今は、どうだろうということは考えたくない。 考えた先、答えがあればまだしも。
――何もない、空っぽの己と対峙するかもと思えば。 思考はそこで強制終了。]
まー。でも、まだ明るいし ゆっくりしたいひとは、遠慮なくどうぞ
えーっと。何くん? もね
[何となくまとまりつつある空気の中。 そそくさと逃げ出しそうな客まで巻き込むつもりはないが。
だからといって、追い出すつもりもない。>>133>>143]**
(149) 2015/08/04(Tue) 00時半頃
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――…? 何を迷う必要があんの?
[断定めいた問いの答えの意外さと、>>152 今まで見せてきたのと違う面持ちに目を瞠りながら、 ひとまずグラスに水を注ぎ足し。
ゴロウやその家族と面識があるだろう彼が、 躊躇する理由は何だろう。 黒糸の隙間から覗く双眸に焦点を合わせようとして。
再び、予想外の言に先を反らす。]
(157) 2015/08/04(Tue) 00時半頃
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[言い出しっぺとして、向かうつもりはあった。]
さあ。――…流れ、次第かな
[されど、店内に客が残るならその番は必要だ。
ゴロウの祖父に対して、思い出がゼロなわけではないが。 他の者に比べたらずっと淡く、儚く。
永遠の別離に対する実感がないのも、事実。
故人と親交の深かったと思しきホレーショーやケイに 哀悼の時間を与えられるのなら、喜んで留守を預かろう。]
(160) 2015/08/04(Tue) 01時頃
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トレイルは、ホレーショーにどうする?と視線を向けた
2015/08/04(Tue) 01時頃
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[半ば強引に呼び止め、 掴みどころのない店員に捕まってしまった新規客へは。]
リツ、ね。俺はトレイル
[名乗られた勢いで、自己紹介を果たす。 これでも緊張しているのだが、トレイル以上に 彼の方がそれどころではない様子。
うまく、普通に、話せていることを願おう。]**
(162) 2015/08/04(Tue) 01時頃
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トレイルは、エフにつられるようにあくびをひとつ、噛みしめた
2015/08/04(Tue) 01時頃
トレイルは、リツが頷くのは見逃さなかった。
2015/08/04(Tue) 01時頃
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−cafe ≪Twilight≫ −
[ほんの少しだけ、 外より時間の流れが緩やかに感じられる寂びれた喫茶店。 けれど時計の針は正確に、澱みなく進んでいく。
人の生は、平均80年。もう少し伸びているかもしれない。 人ならざる者の生は、いかほどだろうか。]
……そう、
[密やかに告げられる独白。>>172 死、そのものと向き合った経験がほとんどないトレイルには、 共感は薄く――余計に重く、のしかかる。
目の前で話している彼との間を隔てる途方もないそれ。]
(211) 2015/08/04(Tue) 20時半頃
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[から、と氷が解け、崩れる音がグラスに響く。 憂いを感じたのは瞬きほどの間。]
別に死に際を看取るわけでもないし 少しでもひとが多い方が喜ぶんじゃないの
[死んだ人間がどう思うかなんて解るはずもない。 ちらりと移す視線の先と主語に当たるのは、故人の孫。]
――…好きにすれば、いいけど
[何故だか"行けば"とも"行こう"とも勧められず。 脳裏を渦巻く言葉の、半分も音にできないまま。 すれ違い様の短い会話はそこで途絶え。]
(212) 2015/08/04(Tue) 21時頃
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[その後、ゴドウィンと酒についての遣り取りや 鍵束を受け取る仕草が見えれば。>>159]
やっぱ行くんじゃん
[嗚呼、また揶われたとひとりごちる。 むくれ、潜む眉根とは裏腹の、若干の安堵を乗せて。]
(213) 2015/08/04(Tue) 21時頃
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[空になったテーブルに置かれた食器を片付ける間も、 役割や行先を定めた者は店を後にしていく。
買い出しはブローリンが名乗りを上げてくれたようで、 店内業務もあることだしと任せることにした。 冷蔵庫で眠っている甘夏のタルトは、 猿のブローリンのために持っていくことにしよう。]
ありがとーございました
[扉が開き、閉まる間に掛ける声は誰に対しても同じだ。]
(214) 2015/08/04(Tue) 21時頃
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[厨房ではケイとコテツが、宴の肴の用意をし。 ホレーショーは店主として必要な作業を淡々とこなしていく。
珍しく、空気が薄く賑やかだった店内も、 次第にいつもとおりの静けさを取り戻して。]
だね。もう今夜休みでもいいんじゃない お、これ美味い
[ケイへ、冗談と共に相槌を打ちながら、 香ばしく焼けた牛肉を一片摘まみ、指先を舐める。 そういえばコテツがご執心らしいネトゲについても、 トレイルは詳しくない。
二人の会話に耳を傾けながら、 咥内を満たす肉の味を噛みしめ、思い出すのは養父のこと。]
(218) 2015/08/04(Tue) 21時半頃
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[満足そうに笑うケイに、再び頷く。 たしかに少々味が濃い目だが、 夏だしこれくらいが身体に丁度いい気がする。]
へえ、ショウユって神秘なんだ
[コテツがそう言うなら、そうなのだろう。 昼も夜も、トレイルの主な仕事は接客と配膳のみ。 自らが用意するのはコーヒーくらいで、 普段料理もしなければ調味料にも明るくない。
コテツが炊き上げた米については知っているが、 ピラフやリゾット以外の姿は初めて見る。
色々と思うところあれども、なくとも。 この料理とゴドウィンの酒がタダで飲み食いできる。 それだけで、追悼会に参加する価値があるのではと思う。]
(223) 2015/08/04(Tue) 22時頃
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−養父−
[トレイルは、自身の正確な誕生日も歳も知らない。
覚えているのは、生温かい女の体温。 揺り籠のように腕の中から解放されたのは、森の中。
女はもしかしたら、 この地にひとの姿をして紛れ、人を喰らう獣に 幼子が"処分"されることを期待したのかもしれない。
実際、トレイルの前にその男は現れた。 油断しているのか、満月の夜だったか、 ハリのある毛に覆われた耳と尻尾を揺らして。
口元からむせ返るような血の匂いがした気がする。]
(224) 2015/08/04(Tue) 22時頃
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[低い唸り声の後、 耳と尻尾が消えてヒトそのものの姿になった男は。
ゆっくりトレイルの顔に鼻先を近づけ、 くつりと笑って、その身を抱き上げ一言呟いた。
『似ている』と。
――言われたのは、それだけ。 太く鋭い犬歯はトレイルの首筋に埋まることはないまま。 男はトレイルを連れ帰り、ふたりの生活が始まった。
時が過ぎ、季節が巡り、喜怒哀楽を繰り返し。 血の繋がりよりも濃い絆で結ばれた親子となり。
男に拾われた夜、幾つだと聞かれ、 五指を大きく開いて見せてから15年ほど経った頃。
穏やかで幸せな時間は、終わりを告げた。]
(231) 2015/08/04(Tue) 22時頃
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おもて、もう鍵していいよねー?
[客人がすべて去れば、少女の侵入を防ぐべく施錠する。 一部の客には無意味でも、必要な行為。>>0:229>>159]
へえ、バターと? んじゃ近々賄いん時でも、よろしく
[続いて牛肉に手を伸ばすコテツに静止などするはずもなく。 ゲームについての簡素な解説には、曖昧に頷くだけ。
トレイルの興味は、 ショウユとバターのマリアージュに傾いている。 スシにはどんな酒が合うのかな、とか。]
(237) 2015/08/04(Tue) 22時半頃
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