251 【誰歓RP】鬼渡し
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[さくちゃんの顔から鬼の面が剥がれて、その姿が徐々に薄らいでいく。
代わりにどんどんと視界が狭くなって。胸の中に流れ込んでくる、この感情の名はなんだろう?
ああ、これはきっと。]
(0) 2016/07/22(Fri) 00時頃
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ーーなんて自由なんだろう!
(1) 2016/07/22(Fri) 00時頃
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[さっきとまるで逆のことを言っているということに、私は気付いていなかった。 いや、たとえ気付いたとしてもどうでもいい。私は今、生まれ変わったんだ!
もう逃げなくていいんだ。理不尽な上司からも、職場のいじめからも、誰にも相手にされない孤独からも。 もう飲み込まなくていいんだ。抱え込んでいた鬱憤、隠していた欲求全て。
ああ、ああ、本当に。
最高の気分だ。]
(2) 2016/07/22(Fri) 00時頃
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[仮面をしっかり被り直すと、頭の中に鬼のルール>>4:68が流れ込んできた。 行動が制限されるのは嫌だけどしょうがない。 そんなことより、早く他のみんなのところに行こう。そしてみんなに「これ」の素晴らしさを教えてあげなきゃ。
少し頭で考えて、思い浮かべたのはケイイチ[[who]]の姿。 仮面の下でにい、と口角を吊り上げて。 さっきまでとは打って変わって、軽い足取りで歩き出した。]**
(4) 2016/07/22(Fri) 00時頃
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[拝殿の裏手から、来た道を戻る。 こんなに気分が弾むのなんていつぶりだろう? 鼻歌でも歌いたくなる気分だ。 早く誰かに会いたい。会ってーー伝えたい。 この素晴らしさを。この最高の気分を。]
みんな……何処にいるんだろう?
[確か晶くんと智花ちゃんと別れたとき、二人は森の方に行ったんだった。 けれどそれから結構時間も経ってるし、いつまでも同じところにいるかどうかも怪しいし。 そうだな……まずは鳥居の方にでも行ってみようかな。 黙って帰ろうとしてる人がいたら、止めてあげなきゃ。 途中にある手水舎の方にも行ってみよう。 そして、鬼を渡してあげるんだ。こんなに素晴らしいもの、私が独り占めするなんて勿体無い。
私は被っている鬼面をぐいっと後ろにやった。これなら、ぱっと見た瞬間には私が鬼だとは気付かれないかもしれない。勿論じっくり見られたらばれてしまうだろうけど。
何年も浮かべていなかった、心の底からの笑みを顔いっぱいに咲かせながら、私は鳥居の方へ歩き出した。]
(16) 2016/07/22(Fri) 20時半頃
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[この村に帰ってきたとき、私は少なからず思っていた。 帰ってきてしまった、逃げてきてしまった。私は惨めな敗走者だ、と。 けれど今は違う。逃げる?とんでもない! むしろ私は使命を持ってこの村に来たんだ。今なら確信を持ってそう思える。 ああ、一刻も早くこの使命を誰かに伝えないと! と、そのとき。歩き出した視界の先に。]
……みぃつけた。
[連れ立って歩く三人の姿ににたり、と笑う。 そして、息を深く吸い込んで。]
ーーっ、助けて!晶くん!智花ちゃん!
さくちゃんに追われてるの……っ!
[怯えた表情。金切声。見知った二人なら、心配してこちらに手を伸ばしてくれると踏んだ。 追われる獲物を装った鬼の私が、彼らに手を伸ばす。]
(25) 2016/07/22(Fri) 22時頃
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私、さくちゃんと一緒に行動してたの。 でも、色々あってはぐれちゃって……。もう一回出会ったとき、さくちゃんはもう……。
だから、逃げてきたの。逃げて、逃げて……。
ーーねえ、私も一緒にいていい?ずっと走って、疲れてるから……何処かで休めるといいんだけど。
[私の口から出るのは、途中までは本当のこと。逃げた先で追いつかれて、鬼が渡されたその一点以外は。 誰かに拒絶されるのは、とても辛くて悲しいこと。だからこうする。鬼を渡す前に逃げられるなんてあってはいけないことだ。 私の視界に映るのは、晶くんと智花ちゃん。小さい頃から知っている、二人の心が優しいことも。 だから無意識にその隣、素性の知れない半裸の青年から意識は外れていた。]
(32) 2016/07/22(Fri) 22時半頃
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……どうして?
[私を助けてくれると思っていた従弟が、後ずさりながら叫ぶ。>>31 ざわり、と。心がざわめくのを感じた。]
……どうして、私を拒絶するの?
[ざわざわ、ざわり。 忘れたはずの不快感、悲しみが胸を埋め尽くしていく。 従弟が後ずさりしたぶん、じりじりと距離を詰めながら。近づいていくうちに、鬼面が視界に入るだろう。]
(33) 2016/07/22(Fri) 22時半頃
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[意識していなかった方向からの叫び声。とても煩い。 振り向いた私はとても凶悪な顔をしていただろう。木の杖を構える男を睨みながら]
……何?邪魔しないでよ、余所者。
私は今からこの子たちに鬼を渡すの。それはとっても大事なことなの。 入ってこないでくれない?
[鬼を渡すが鬼渡しの目的。 それなのに、素性のしれない彼を目の前にして湧き上がるのは明確な敵意のみ。 それは私が、この村に対して未だ余所者意識が抜けていないことの表れかもしれない……なんて。このときの私には考える余裕なんてなかった。 青年を無視して、二人の方へとじりじり近づいていく。]
(37) 2016/07/22(Fri) 22時半頃
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ーーっ、!
[振りかぶられた木の枝を咄嗟に掴む。冷や汗がたらりとこめかみを流れる。
鬼面を、破壊する。]
ーー愚かな。
[口から出たのは低いしゃがれ声。]
救おうなどと烏滸がましい。鬼渡しはこの村の習わし。いにしえから受け継がれしもの……。
人の力などで、救えるわけがない。
[先ほどまで浮かんでいた敵意は息を潜め、口元に浮かぶのは青年への嘲笑。そのまま腕を動かし、木の棒をへし折る。 そのまま投げ捨てて、青年の肩へ手を伸ばす。 彼に鬼を渡すために。]
(42) 2016/07/22(Fri) 23時半頃
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[がつん、と額に一撃を食らって視界に火花が散った。 体勢を崩し、仰向けに倒れ込む。同じように倒れてくる相手を咄嗟に抱きとめて。
捕まえた、と鬼は笑った。
助けてくれてありがとう、と私は言った。
そうして、後頭部が地面に激突する直前。 視界が暗くなって、私は意識を手放した。]**
(45) 2016/07/22(Fri) 23時半頃
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