7 百合心中
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―アパート―
[暗い暗い部屋の中で、女は一人ソファに横になっている。
不安な時の癖なのか、カチカチと親指の爪を噛む姿は、 まるで親を亡くした子供のようでもあり、 飼い主に見捨てられた子犬のようでもあり――]
――……っ。
[自然と荒くなる呼吸を抑えるように、口元に手をあてている。]
置いていかれるのは、いやだ……。 もう一人は、いや。いや、イヤ、嫌、厭――!
(30) 2010/03/24(Wed) 01時頃
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――なら、置いて行かれないように、*したらいいんじゃない?
(32) 2010/03/24(Wed) 01時頃
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……え?
[悪魔の誘惑に、女は顔を上げる。]
……はは。なんだ。 そんな、簡単なことだったんだ。
はは、ははは……あはははははは……っ。
[女は狂ったように、哄笑をあげる。
――そうだ。 置いていかれるのが嫌なら、連れて行けばいい。
しっかりと手を握って。 もう二度と、孤独を感じないように、あの人を私が――]
(38) 2010/03/24(Wed) 01時半頃
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[再び女が顔を上げた時、その眸からは翳りは消えて。 いつになく晴れやかな表情を浮かべているだろうか。]
あの時、結局使えなかったアレはまだ残ってる。 大丈夫。 次はきっと、うまくやれる。
[ぶつぶと呟きながら、ゆらりと立ち上がる。]
ふふ……。先輩が帰ってくるまでに、 準備しておくことがいっぱいだ。 コリーンを迎える準備もしないといけないし、ね……。
[コートを羽織り、袖を通す。 あのとき使わなかったアレを、あの人――先生の墓標へと、取りに行くために。]
(43) 2010/03/24(Wed) 01時半頃
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―大学前―
[コートの裾を翻し、女は人通りも疎らな大学へと続く道を歩く。 あの人が眠る場所へ行くには、此の道を通るのが近道だから。
その表情はいつになく、穏やかで。 ひどく安らいでいるようにも見えるかもしれない。
ふと、前を見ると見たことのある顔の少女の姿>>22が見えて。]
やあ、赤ずきんちゃん。奇遇だね。 今日はお友達と、一緒?
[にっこりと、微笑みながら声をかけた。]
(53) 2010/03/24(Wed) 01時半頃
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[二人の前まで歩いて行き、 俯く眼鏡の少女の方を向いて。]
やあ、こんにちは。 ローズが悪い狼に食べられそうな赤ずきんちゃんだから、 君は…赤毛のアンかな?
[くすり、と笑って。]
せっかく可愛い顔をしてるのに、俯いてたらもったいないよ。
(61) 2010/03/24(Wed) 02時頃
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>>62 今日…? ああ、昨日の話ね。私は別に今からでも良いけど。 ただ、今日はあまり長く時間が取れなくて、ね。 急がせることになるかもしれない。
[どうする…?と尋ねて。
ケイトを紹介してもらえば、にっこりと微笑み]
赤毛のアンはケイトって謂うのか。可愛い名前だね。 私はグロリア。一応、此処の生徒をしてるよ。
(65) 2010/03/24(Wed) 02時頃
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>>68 [真っ赤になる少女の初心さに、眸を数回瞬かせる。 苦笑すると、ケイトの方へと手を伸ばし、 逃げられなかったらぽんぽんと、頭を撫でるだろうか。]
そんな事ないよ。君も十分、可愛いさ。 自信持ちなよ。
お願い? うん、良いよ。 ただし、私にお願いするって事は、 こういうことをされても良いって事になるけど……良いのかな?
[謂いながら、キスをするように顔を寄せて。 寸前で止まると、にっこり微笑み、離れる。]
そう、此処の生徒だよ。
(72) 2010/03/24(Wed) 02時頃
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>>69 [ローズの呟きには、]
昨日、私にあんな事されたのに、警戒しないところをみると、ね。
[と、答えて。 もう一回、食べちゃっても良いのかな? と、自分の唇を指でつついてみせる。]
うん。ちょっとね。忘れ物を取りに行かなくちゃいけなくて。 大事な大事な、忘れ物を、ね。
[くく…っと、愉悦を交えて笑う。]
うん。また後日、日を改めようか。 連絡先を教えてくれれば、メールするよ。
(77) 2010/03/24(Wed) 02時半頃
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……やれやれ。 これは、また。随分と純粋培養で育てられたものだなぁ…。
[ケイトのまっさらな反応に苦笑いを浮かべながら]
”こういう事”に、興味ある…?
(82) 2010/03/24(Wed) 02時半頃
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私に興味? それは嬉しいな。 可愛い子がいれば、可愛がりたくなるのは自然じゃないかな。 子猫を見て、頭を撫でたいって思うでしょう? それと同じだよ。
[軽く頬が赤く染まる様子を、微笑ましそうに見つめる。]
ん、さんきゅ。
[アドレスとナンバーを登録すれば、携帯を閉じて]
都合がいい日にメール入れるよ。
[にっこりと微笑んだところで、 ケイトが真っ赤になって走り出すのを見て]
……あちゃあ。赤毛のアンには刺激が強すぎたかな。
(89) 2010/03/24(Wed) 02時半頃
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そう? 私はよくやるよ。子猫とキス。ちゅーって。
[絵葉書なんかでもよく見ると思うけど。 と、続けて。]
晴れた日が絶対条件なんだね、OK。
随分と箱入りな娘だったね、あの子。 ちょっとからかいすぎちゃったかな。 明日、からかってごめんねって言付けておいてくれる?
(98) 2010/03/24(Wed) 03時頃
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野良は……うーん。 でもそんなこと言うと、飼い猫にしちゃうよ。
[いいの?と、意地悪く尋ねる。]
まあ、確かにね。 天気がいい日の方が、気持ちも良いけど。
[ローズの最後の言葉にはしれっとした顔で]
君は逃げなかったじゃない。だから、いいの。
(106) 2010/03/24(Wed) 03時頃
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違う違う。 飼い猫にするのは、君。
[つんっと人差指でおでこをつついて。]
いいの…?
[と、再度問いかけた。]
あはは、ごめんね。 可愛かったものだから、つい、ね。
[ごめん、ごめんと頭を撫でて。 暫くはそうして話を続けるだろうか。]
…と、いけない。そろそろ私も行かないと。 天気のいい日に、連絡するから。
またね?
(111) 2010/03/24(Wed) 03時半頃
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良家の娘 グロリアは、水商売 ローズマリーと別れると、コートの裾を翻しながら、先生が眠る墓地へと向かうだろう。
2010/03/24(Wed) 03時半頃
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―墓地―
[ローズと別れた後、女が訪れたのは……墓地。 花の香りも濃密に、穏やかな死が支配する場所。]
先生……。貴女が遺してくれたものを貰いに来たよ。 あの時、貴女だけが口にして、私には呉れなかった……くすり。
[過去を思い、眸を閉じる。
ずっと一緒よ。死すら、二人を別つことはない――……。
と、微笑む女性の顔。 それが最後に見た、貴女の笑顔。]
(161) 2010/03/24(Wed) 09時頃
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貴女はひどい人だったけど、少しだけ、今は…感謝してる。
[墓石に手を掛けると、ゴトリ…と音を立てて動いた。 ぽっかりと真っ暗な闇が口をあけて、 死を隠すように闇の帳を下ろしている。
女はその中へと手を伸ばし――]
……あった。
[小さなタブレットが入った小瓶を掴んで。 死の香りがするそれに、うっとりと頬を寄せた。]
(162) 2010/03/24(Wed) 09時頃
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[小瓶が入ったそれをコートのポケットに忍ばせる。]
さようなら、先生。 次は、貴女の世界で。逢えたら……良いね。
[小さな呟きだけを残して、女は墓地を後にする。
そして、ヨーランダとコリーンがアパートに来るころには、 何食わぬ顔をして、穏やかに二人を出迎えるのだろう。]
(163) 2010/03/24(Wed) 09時頃
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[呼び鈴が鳴れば、ドアをゆっくりと開けて]
いらっしゃい。 遅かったから、少し心配したよ。
……さあ、どうぞ。
[荷物を一つ取ると中へと案内し、まずはリビングへと二人を通すだろうか。]
(169) 2010/03/24(Wed) 11時半頃
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[甲斐甲斐しくコリーンの世話を焼くヨーランダを見ると、 ふいっと背中を向けて。]
食料は私が閉まっておきますから、先輩はコリーンについていてあげてください。 部屋はあっち。 ピアノがある部屋がいいと思って……。アップライトだけれど。
[と、コリーン用にと用意した部屋の扉を指で指し、 自分はすたすたとキッチンの方へ。]
(171) 2010/03/24(Wed) 11時半頃
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前にシェアしてた子が置いて行ったものだし、別に……。
[それだけを謂い残して、キッチンへ。
食材を生鮮品とそれ以外に分けて、適当に冷蔵庫の中へと突っ込む。 ちらり…と二人が消えた部屋の方へ視線を巡らせれば、 カチカチと親指の爪を噛んで……。]
…………っ。
[感情が抑制できない。 ひどい独占欲と嫉妬に駆られて、思わず近くにあったグラスを手に取り、投げつけようとして……、
――止まる。]
(174) 2010/03/24(Wed) 12時頃
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……はぁ、はぁ、はぁ…っ。
[震える手からゆっくりとグラスを離し、大きく呼吸を繰り返して]
これぐらいで癇癪起こしてどうするの……。 落ちつけ……落ちついて。
[自分に言い聞かせるように呟くと、気を紛らせようとリビングへ。 ソファに座り、無造作につけたテレビから流れるのは、 人が花になる>>164奇病のニュース――]
なに、これ……。
[その内容に思わず腰を浮かしかけた時、 二人がリビングへと戻ってくるだろうか。]
(175) 2010/03/24(Wed) 12時頃
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[二人が戻ってくれば、無言でテレビを指し示す。
世界の終わりを告げる、終末の始まりの知らせを。]
(177) 2010/03/24(Wed) 12時半頃
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どうやらそうみたい、ですね。
[ひどく覚めた気持ちで、テレビを。 そしてヨーランダを見つめている自分に気づく。
どうせいつかは死ぬのだ。先生だって死んだ。私を置いて。 だからその事に感動を持つことはない、けれど――]
大丈夫ですよ、先輩からは花の香りはしません。 安心して……?
[不安に揺れる眸を慰めるように、声をかける。 許されるなら、その手を取って。]
(179) 2010/03/24(Wed) 12時半頃
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良家の娘 グロリアは、墓守 ヨーランダの手を取り、許されるなら、そっとその手に口づけて――
2010/03/24(Wed) 12時半頃
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ええ。先輩からはいつもの香りしかしません。 だから、安心してください。
[絡まる指に口づけながら、安心させるようにそう告げる。]
どうしようも……ないです。 感染源も治療法も判っていないみたい、ですから。
[淡々とニュースが語る現実を述べて。]
でも……大丈夫ですよ。先輩は、私が守りますから。
(182) 2010/03/24(Wed) 13時頃
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[――そう、貴女を連れていくのは、私。 こんな奇病になんて、あげたりは……しない。]
(183) 2010/03/24(Wed) 13時頃
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先輩に不安な顔をされると、その方が辛いです。 コリーンも、きっと…不安になると思いますよ。
[ね?と、コリーンに話を振って。]
約束します。必ず守るって。
[はにかんだその笑顔に、 女も、自然と……柔らかい笑みを浮かべて。
誰かに必要とされる悦びに、心を震わせた。]
(188) 2010/03/24(Wed) 13時頃
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>>197
[場の空気を変えようとするように、明るく告げられる、聲。 女はコリーンの提案に頷くと]
そうですね。なら私が付き添いましょうか? 先輩は歓迎会の準備もあるだろうし。
[それに…と言葉を続けて]
私もコリーンの事を知りたいし、 散歩がてらお互いの自己紹介するのも良いと思うから。
[どうですか?と二人に提案し、コリーンが了承してくれるなら、 彼女と一緒に外へ散策に向かうだろうか。**]
(199) 2010/03/24(Wed) 18時頃
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[皆の話を聞きながら、ワイングラスを傾ける。 紅い葡萄酒を嚥下すれば、アルコールの心地よい酩酊に、 いつもよりもリラックスした表情を浮かべるか。
寄り添うヨーランダの言葉>>240には、 優しく「どういたしまして」と答えて。
続くマーゴのお世辞には、一瞬ぽかんとした表情になり]
……太陽と月は、褒めすぎですよ。 それに…私よりも先輩の方こそ、太陽みたいですよ。 温かくて優しくて。
[酔いも入っているせいか、真顔でそう謂い、 ワインをくいっと煽る。]
(252) 2010/03/25(Thu) 02時頃
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[コリーンの言葉>>246には、前髪を指でいじりながら。]
ええ、ブロンドですよ。 おかげで大したことのない顔なのに、得させてもらってます。 金の髪は七難を隠しますからね。
[と、ジョークともつかない事を謂って。 アルコールの力もあってか、比較的平静に、 団欒の時を過ごすだろう。]
(254) 2010/03/25(Thu) 02時頃
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別に、謙遜してるわけじゃないんですけどね。 先輩が美人なのは認めますが。
[ピアノを弾くというコリーンに、部屋までの付き添いを。 無事に部屋へ着けば、ピアノの蓋を上げて。]
…………。
[其の指が奏でる音色に耳を傾けた。]
(261) 2010/03/25(Thu) 02時頃
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