137 海の家 『nave Di mare』
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―五年前の日記―
△月◎日
今日は珍しく雨、台風も近くに来てるらしい。 お客さんがいなくて良かった。 そう思っていたら、たった一人ずぶ濡れになってやってきた。
オレンジの髪、胸元のタトゥー。 恐い見た目の割に優しい人だった。 雨戸を閉めるの、全部手伝ってくれたし。 夜には本当に嵐になって、雷が鳴るわ停電するわで。 だけどずっと傍に居てくれた。 肩を抱いて寄り添って居てくれたの。
好きになるのは一瞬だったわ。 時間なんて関係なかったの。
でもそれはそんなに簡単なものじゃないって。 アタシは、あのヒトの瞳を初めて見た時からわかってた。
(*0) anbito 2013/08/23(Fri) 03時頃
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△月#日
あのヒトに告げたの、アタシの事。 隠さずに全て、嫌われることも覚悟で。 だけどあのヒトは何も云わずに、私を抱きしめてくれた。 それから立った一度だけ、額に唇を寄せてくれた。
その日の夜、アタシたちは一緒のベッドで眠ったの。 やましい事なんて何もなかった。 ただ、寄り添って眠ってくれた。
部屋の歌鳥たちはきっと知っていたから。 だから鳴かなかったのね。
(*1) anbito 2013/08/23(Fri) 03時半頃
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次の日の朝、あのヒトはいなくなっていた。 家中を探した、隅から隅まで。 暫くして玄関に、数日分の宿泊代と書置きの手紙が置いてあったのを見つけた。 アタシはそれをみて、泣く事しか出来なかった。
嗚咽はひとつも出なかった。 だって、それは初恋だったから。
(*2) anbito 2013/08/23(Fri) 03時半頃
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『タバサへ』
大きくなったお前を見られて、よかった。 お前がどんな姿をしていても、お前はお前だよ。 ありがとう、ごめんな。
Hector=Estate
(*3) anbito 2013/08/23(Fri) 04時頃
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『ヘクターおにいちゃんへ』
大切な人が、できました。 アタシはアタシなりに頑張っています。 貴方もどうか、お元気で。 Tabitha=Estate
(*4) anbito 2013/08/23(Fri) 23時頃
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