25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[じわり]
[血のにおいが広がる]
(*0) 2010/08/03(Tue) 01時頃
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[ぱちり、と響いたのは扇の音]
(*1) 2010/08/03(Tue) 01時頃
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…あぁ、そうか。
[思い出したのは血塗られた記憶。 あの椿の花は主の下へたどり着けるはずもないのだと。
何故ならば…
白い指はそっと、帯の上からするりと己の腹をさすった。]
(*2) 2010/08/03(Tue) 01時頃
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雑草はどうせ、腹の足しにでもするつもりなのでしょう?
[勝手知ったる慣れたる事と、醜い主催に囁いて。]
あぁ、噂のみ聞く空蝉の君も、ただの空っぽであるのならあなたの脂肪に変えてしまいましょうかね。
(*3) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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[広がるそのにおいは、密やかにけれど確実に じわりじわりと白を朱に染めていく]
――…愚かなこと。
私を宴に呼んでおきながら、愉しめと。
[硬質な少年の声でなく 艶を帯びた、色香含むこえ。 パチリと 脳裏で響く音に僅か意識を向けた]
(*4) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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さて
[それから聞こえるもうひとつ]
――…其は誰が事ぞ?
(*5) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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[年経ても衰えず、更に容姿が艶を増すのは。 花上がりの分際でここまでの地位に登りつめたは。
こうして祭に花を添えながら、子を欲しいと乞う貴人達のために胎を貸していたからゆえか。 一人食い、一人産むそのたびに、色香を艶を増していく。 それはまるで、遠い昔に死に絶えた男の対たる生き物に近づいていくかの如しこと。]
(*6) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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…食うには頃合いの柔らかさではあろうがね。
[隠した扇の裏側、呟く声は微か]
(*7) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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種をつけぬ花など、肥やしにしかならぬ事。
[く、と喉奥で哂うは声なき声。]
新しく、面白いものが来るというのは、そなたの事か?
(*8) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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[噂は半分が真実 半分は彼らが見た幻
身に宿る其れを 少年自身自覚の無いまま飼っている。
多彩な芸は全て種付ける相手を引き寄せるが為 花は ときに牙を剥き、生を喰らう]
(*9) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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――さて?
[吐息混じる短な応え。 暗く翳りを帯びた冬色の瞳を細め、薄く哂う]
(*10) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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───……。
[聞こえる言葉達に、僅か眉をひそめた。
本郷の家は、家系として狼憑きの血筋である。 親から子へ、子から孫へ。孕み、孕ませ、其の血の恩恵によって 裏社会でも表社会においても高権力者の立場を一層濃くしてきた家だ。
ただ、次の当主の性は、判明しない。 酷く不安定なのか、誰もまだ
答えを、知らない]
(*11) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[歩むたびに響く痛みは、少しずつ少年を染めていく。 じくじくと響く痛み、滲む朱 与える悦びを、知っている。 交える悦びを、知っている。 黒い塊にしか見えぬ彼を 翳った暗い瞳はしっかりと映している]
――私がこの身を使ったなら 海に巣食う魔物の唄でも 安宿では味わえぬ舌技でも披露してやれるがの。
ふふ……ふ
[たとえ少年に自覚は無くとも 生まれながらに、立派な男娼であった。 この時代で望まれぬ子が何処から出てくるのか ――…元を辿れば少年の血族に行き当たる。 血を受け継いだ親に放り込まれた花の為の学園は、良い餌場。 記憶の無いまま、幾度ひとを魅了してきたか そうして作られた噂の真相を、少年自身知りはしないけれど]
(*12) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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…余計な事を、外に流すな。
[それをこちらで呟いたからにはそれなりの理由もある。 霞のほうを僅かにらんだが、結局はため息に変わった]
(*13) 2010/08/03(Tue) 03時半頃
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ひとの裏も見えぬものに、意味などわかるまい。 ――存外に、小心よの。
[恐怖と怒りと羞恥 憎しみ、悔しさ、幾つもの波に呑まれ 小さな冬の白はあっという間に攫われて――――
朱が言の葉紡ぐに至った経緯など、話してもせん無い事。 擦れ混じる声音でからかいの言葉を送った**]
(*14) 2010/08/03(Tue) 03時半頃
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[さて、餌食に喰らわれたは、虎の親か虎の子か…。]
(*15) 2010/08/03(Tue) 04時頃
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[霞の言葉にふと思い出す。 虎の主を食った時には、花は食われた男のそばには居らず。 ただ、つまらぬ食事であったことしか覚えていない。 味はまあ、それなりでもあったが]
(*16) 2010/08/03(Tue) 04時半頃
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つがいで飼うのが無理ならば、共に血肉となってもらうも一興か。
それならば、彼岸でも共にあれようて。 主にはぐれた花の如く、迷い出る事もなかろう。
(*17) 2010/08/03(Tue) 12時頃
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この手を離れて行くならば たれかの元へたどり着く前に
そう、いっそその翼を手折り――縊り殺してしまえばいい
[少年の自覚は無きままに 浮かぶほの暗い朱]
(*18) 2010/08/03(Tue) 13時頃
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[遺しておきたいものと 食らってしまいたいものと
己の感覚にとってそれらは違うもの]
…傍に置くに値しないなら、ただ食えばよいまでの事。
[そうして、生きているのだから]
(*19) 2010/08/03(Tue) 16時頃
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…肉を。
[食らいたいと願う。 あのように追い立てられては、たまらない]
(*20) 2010/08/03(Tue) 17時頃
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[子を為して大成するか、食い殺されるか、二つに一つ。 それゆえ高嶺を名乗れぬ花は、2つと居らぬ高嶺の花と。]
(*21) 2010/08/03(Tue) 17時半頃
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…食ってみたい男でも、見つかったか。
[不意に投げてみる声。 特に目的があるわけではないが。 花祭に出入りする関係、 あの人食い花とは何度か面識もある。
当然、共に"食事"をしたことも、だ]
(*22) 2010/08/03(Tue) 17時半頃
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…乾様も、お父上同様…血は争えぬようで。 このまま色に狂うなら、容易に手の内に落ちましょう。
[嬌声に混じって聞こえる囁き声。]
良い体つきをしておりますし…寺にて節制しておられるのなら、味の面ではあなたのお気に召すのでは?
(*23) 2010/08/03(Tue) 18時頃
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乾? …ああ、あの色坊主の。
[小さくわらう。 引き締まった、と聞けば幾らかは 興味があった]
脂身が多いのは好かん。
(*24) 2010/08/03(Tue) 18時頃
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わたしは悪食ですから…脂のしっかり乗ったものも嫌いではありませんよ。 それに…祭りにて喰らうはただのエサではないのですから。
[子息を送り込んできた家のいくつかは秘密裏に、その子ではない世継ぎを望んでいる場合もある。 当人たちはおそらく知るまい。]
(*25) 2010/08/03(Tue) 18時頃
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[熱が身を侵食していく 満月が 近い
少年は夢うつつ 真っ赤に染まった先を垣間見る]
肉を――…喰らい、種を植えつけて
[裏の路地で 望まず生まれ、捨てられる子供たち この世界に何故、底辺と呼ばれる其れ等があるのか 知っている 知っていた]
(*26) 2010/08/03(Tue) 18時半頃
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壊す この世の理
[遠くに会話を聞きながら さらに深く、夢の奥へと堕ちていく**]
(*27) 2010/08/03(Tue) 18時半頃
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…わかっている。
[食うだけではない。 その言葉がどういう意味なのか]
…ああ、もうすぐか。
[さざめくような声。 もうすぐ、またひとつ人喰らいの花が咲く]
(*28) 2010/08/03(Tue) 18時半頃
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――其は、幾多の言霊 其は、この世ならぬ鳥のうた それから
其は、この私よ
愚かなロビン
[つかの間の歌は 途切れ
脳裏で 哂うこえが
する]
(*29) 2010/08/03(Tue) 21時半頃
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