240 なんかさ、全員が左を目指す村
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[祖父の仕事に関する手腕は誰より尊敬しているし、良い理解者でもあるのだが。 黍炉自身のプライベートについて、互いの主張は平行線を辿る一方。
祖父曰く、曾孫の顔を見たい。 その気持ちはわからなくもないのだが、如何せんこればかりは異性を性的対象に見れない己にとって、頭の痛い難題だった。]
……バライラ因子、か。 あれが実用化されれば或いは。
[話題がなくなったゴシップ誌を時折賑わせるのは、人類最大の危機という見出し。 そして、約十年前に発見されたというバライラ因子。>>#2
男同士で繁殖可能という世紀の大発見。 女性出生率が低下し、少子化問題が深刻となっている昨今だが。異性愛主義の主張もあり、世論は賛否両論だ。>>3 しかし、これからの人類の存続には必要不可欠であると。 大仰な大義名分を掲げ、Birth Liberty計画にコンツェルンとしても計画を進める政治家に肩入れする等。 マスコミや資金面での積極的な協力姿勢を示している。
己にとっては表向きの建前に過ぎず。 祖父になんとか異性との見合いを諦めてもらう為、一縷の望みをかけているのが本音である。]
(24) 2015/11/10(Tue) 21時半頃
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この後のスケジュールを。 それと今日中に片づける案件をここへ。
[秘書の読み上げる声を脳に記憶しながら。 運ばれてきた決済待ちの書類の山を前に、息をつく。 肩から流れ落ちる黒髪を、一つに結い直せば休憩終了だ。
積み上げられた書類の隙間。 今朝方届いたばかりの、鮮やかな地球保健機関のシンボルマークが記された封書が目に入るのは、もう少しばかり後のこと。]*
(25) 2015/11/10(Tue) 21時半頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2015/11/10(Tue) 21時半頃
宝飾交易 黍炉は、メモを貼った。
2015/11/10(Tue) 21時半頃
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[子が欲しいと望んだのは、干支が一回りする前のこと。 齢を重ねるにつれ、徐々に燻りを増す想いは成就に至らない。
理由は単純至極。簡潔明瞭。 生まれてこの方、女に欲情することがなかったから、だ。
何らかの形で親を亡くした子を養子縁組で迎えるなり、 高い金を積んで人工授精を行い、試験管ベビーを作るなり。
方法はいくらでもあるが、欠点も大いにあるもので、 前者は血の繋がりがないという見過ごせぬ一点で却下。 後者は非合法な上、失敗率も高く奇形児になりやすい。
結局どちらも選ばぬまま、三十路の半ばを越えようとしている。 男として生まれ、男しか愛せないが故に子を成せない。
遺伝子の因果に浮かべた自嘲の笑みは、 一通の手紙によって困惑と、瞠目の文様を榛に揺蕩わせた。
そう、まるでお得意のラテアートのように。*]
(26) 2015/11/10(Tue) 21時半頃
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― Café Rêve ―
[夢の名を騙るカフェは、道楽で始めたもの。 昼頃気紛れに店を開け、飽きたらさっさと閉めてしまう。 かと思えば夜にそれとなく門戸を開き、 コンクリートジャングルに生きる男の愚痴聞き場へと早変わり。
上司が頭でっかちだの、恋人がつれないだの。 31世紀になろうと人類の悩みに変動は然程なく、 メニューにも載せていない賄いを出しては盃を干す。
開店時間と同じく、閉店の時間も不規則で空が白むまでの時も 客を追い出す形で閉め、早々と眠る時もある。
それでも、路地裏の隠れ家じみた店に閑古鳥は鳴かず飛ばず。 疎らながらに口コミで集まってくる客が、店の生命線。]
(27) 2015/11/10(Tue) 21時半頃
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長期的に閉めるとなると、寂しいもんだな。
[独り言ち、思い出すのは先日届けられた封書。 地球保健機関を示す封筒の中に入っていた手紙の内容は、 とてもじゃないが一読で理解なんて出来やしない。
バライラ因子を持った者同士であれば、 たとえそれが男同士であろうとも、子が産まれる。
機関はとうとう頭の捩子が吹っ飛んだのかと苦笑が零れ、 しかし、押された豪勢な文様は偽造では不可能な精巧さ。 こればかりは、いやがおうにも信じざるを得ない。]
(28) 2015/11/10(Tue) 21時半頃
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[自分の遺伝子を持った子供を、設けることが出来る。 それも女を介さず、機関のバックアップを得た万全の環境で。
血の繋がりも希薄で、液晶画面でしか顔を知らぬ、 6等親の親族はこの計画に関わっているのだろうか。>>2 片や上院議員、片や鄙びたカフェの一店主。 被験者一覧に並ぶ、Dの字を知覚されるかすら危うい。
まさか、計画の船頭に立っていた親族が 何者かの手によって埠頭から背を突き飛ばされたとは。 向こう87(0..100)x1年は笑えるネタを認識するまで、後少し。]
(29) 2015/11/10(Tue) 21時半頃
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でもなぁ、いくら人類の存続っつっても、 顔も知らなかった男の子を孕めなんざ、なぁ。
好みのやつなら、特に気を配ってやらねぇと。
[そうして、磨いていたコップのひとつを棚に戻す。 珍しく人のいない店内に自分の独り言が響き、 管を巻く中年の声が無性に寂しくなってくるところだ。
店を閉じるとなると、脳裏を過る走馬灯は激しさを増して。]
あの厨二病のやつが選ばれてたら、 『オレの儁秀を見抜くとは、機関の慧眼には恐れ入る。』 とか、言ってそうだわな。
[いつだったか、夕立に降られていたガキんちょを店に入れ、 賞味期限ギリギリの珈琲やらを振る舞ったことがある。>>16 放っておいても独り言が煩いし顔が喧しい青年だったが、 シンバルを叩く玩具を見るよりは楽しめた。]
(30) 2015/11/10(Tue) 22時頃
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[思い出す青年よりも独り言が激しいと気付かずに、 臨時休業の旨を書いた紙を店の扉に内側から貼り付けて。]
親権とか、くれるんだろうか。 腹を痛めた方が有利だろうしな……。
[揉み上げを指で撫で付け、床に視線を落とす。
34にもなった髭面を母体に選ぶ愚か者はいないだろうし、 自分が孕ませる側なら髭面だろうと興は削がれない。 ただ、些細ながらの面食いが障害にならなければいいのだが。
手紙を貰った当初は夢か何かだと思っていたというのに、 機関に向かう日にもなれば浮き足も立ってしまう。 ふくふくと未成熟な紅葉に想いを馳せ、荷物を取りに二階へと。*]
(31) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2015/11/10(Tue) 22時半頃
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はい捨てるー、はい要るー。はい捨てるー、これも捨てるー。
[自分に赤紙ならぬ召集令状が届いていたことを思い出して、真っ先に始めたのは散々荒らし回った部屋から自分が持ち出す私物の分別。 ついでに元カレとの思い出消去。
要らない物は散乱した雑誌やがらくたと一緒に床へポイ。 要るものは段ボールに詰めて、後でレンタルできるトランクルームへまとめて郵送するつもり。]
画材と画集は…。 どーしよっかなぁ〜。 痛むと困るし、教室に置かせてもらおっか
[仕分け先の段ボールが、こうしてまたひとつ増えた。]
(32) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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キャンバス真っ白…。 これ、《HOME》行ってて課題間に合うのかなぁ。 モデルのバイトもキャンセルしなきゃ出し。 新しく住むところも探さないとなぁ〜
[2LDKなんて贅沢言わないから、せめて2DK。 絵を描くための部屋が、どうしてもひとつ欲しい。 一年浪人して入った芸大だけど、美術科は本当に金がかかる。]
あ、引っ越すならお隣…
[今も昔も変わらない引っ越しの御挨拶っていう習慣を思い出して、段ボールへすぐには着ない服を詰める手を止める。
隣りと言ってもここは角部屋だし、お隣さんと呼べるのは一人しかいないんだけど…。]
(33) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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…………………いっか。
[熟考すること65(0..100)x1秒。 だって俺、厨二病ってよくわかんないし。
どうせこの部屋を出るのは自分の方が先だ。 なら後の始末は荒らしまくった部屋の片づけごと丸投げしてしまえばいい。
昨日からの自分の八つ当たりどころか、適度に壁が薄いせいで夜の営みまで厨二病なお隣さんに漏れ聞こえているとは気づかない。*]
(34) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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―施設へ向かう朝 アパートの部屋―
[トーストの焼ける香りと珈琲の香りで目が覚めた。
昨晩飲み明かした同志をお持ち帰りして彼が甲斐甲斐しく朝飯を作っている…というわけではない。
普通に支払えなかった飲み代を押し付けた後に、寄っていくかと聞いたら物凄い嫌そうな顔をされた。 あれがツンデレというやつか、おそらくこれから子作りに向かうオレに惚れたら辛くなるからだろう。 その気持ちはわからないでもない。
トーストと珈琲を用意したのは全自動式朝食マシーンだ。
俺の1日はそうして優雅に始まる――実際は起きると夕方近くで冷めきったそれらを流し込んでバイトに向かうので、温かいものを食べるのは85(0..100)x1日ぶりくらいかもしれない。]
(35) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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クク、柄にもなくはしゃいでいるというのだろうか、このオレが。
[今日は寝坊をするわけにはいかなかったので最終兵器として時間が来ると電流が流れるリストバンドをしていたくらいだが、普通に起きられたのだから。
温かい珈琲を口にし、ふと、ある雨の日を思い出す。
あれは…いつだったか。 やたらとゴツい喫茶店の店主に世話になった、いや、世話をさせてやったと言うべきか。>>30]
ふむ、あの味よりは落ちるかもしれんな。 オレの高貴な舌を満足させるとは、なかなかに良い珈琲豆を使用しているに違いない。
[機会があればまた行ってやらないこともない、とまさか賞味期限間近なものを振舞われたとは知らずに含み笑いをするのだった。]
(36) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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[同性愛に偏見がないとクリーンに謳うのは政権放送の中だけ。 否、同性愛に限らず、政治家と云うものは皆、面の皮一枚。
三十路を過ぎた事務員―――と云う名の雑用係を、 数カ月に前に雇い入れたのも、立派なプロパガンダだ。>>11 異性愛者同性愛者に固執なく雇用を受け入れる姿勢は、 自身の支持率を支えてくれる政治的駆け引き。
安全地帯から当事者らを支える振りをし、 猫を被って笑みを浮かべ、良き上司として振る舞うものの、 一皮剥いてしまえば上流階級出身者らしい傲慢に溢れている。]
(37) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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[端的に言えば、冗談ではなかった。
映画評論家が自ら爆弾を抱え、溶鉱炉に沈みたがるだろうか。 サファリ飼育員が自らサバンナで猛獣と暮らしたがるだろうか。
己に縁遠い世界に差し込まれる光だからこそ、 希望と云う名を与えられるので在って、自身に降り注ぐなら、 ソドムとゴモラを焦土に変えた裁きの一条に他ならない。]
(38) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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[普段、執務室以外では被る似非くさい仮面も、 絶対的な力を持つ招集状の前では、無残に剥がれ落ちてた。 部下が見れば、胃が三回転捻りを決めた顔にも映るだろう。
政務机に手を組み、悲痛な面持ちを隠さず封書を見やる。 この、眼に見える権力の召致に逆らえば、 政治家生命云々以前に、犯罪に問われる可能性すらあった。
国家も人種も問わず、人類である限り、避けられない赤札。 どのような理由を持とうとも、跳ねつけることは許されない。
仮に次の選挙で、民衆を取り繕った笑顔と弁舌で騙そうと、 スポンサーが渋顔を作るのは必至だろう。>>24
しかも、大手スポンサーである劉コンツェルンは、 孫息子の婚姻と云う、露骨な代替わりを視野に入れて、 動いている大事な時期だ。>>22>>23]
(39) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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[先週末、パーティで見かけた美男子に、 財界政界を問わず若い女が寄りつき、 媚を売っていたのもこの目で見ている。
己とて、「宜しく、若君」と柔和を装い握手を交わした身だ。 折角パイプラインを通したと云うのに、 此処からの失脚だけは何としてでも避けねばならなかった。]
―――…分かった。
[己に拒否権など無いが、漏れた声は随分と重かった。 だが、腹は括ろう。これだけ男女比が壊れた世の中だ。
遠縁には、嫁を娶れぬ分家筋が本家から縁を切られただか、 嫡男が家から勘当されただか、そんな武勇伝も在るという。 ――― 即ち、己の遺伝子の何処か、欠片一端にでも、 同性相手に精を絞り出す機能と諦観があると言う訳だ。>>29
相当飛躍させた理論で自らを鼓舞し、 秘書にトランクの準備を命じて席を立った。]
(40) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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――― さっさと一発孕ませて、犯り捨てる。
[切羽詰った顔に、グ、と指で寛げるリボンタイ。 清廉潔白クリストフ議員の欠片も見えない宣言は朗々と。
政治家など、何世紀経とうと所詮こんなものだ。*]
(41) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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そろそろ、準備するか。 それにしても、どんな輩がオレの優秀な遺伝子を孕む母体になるのだろうな。 神に感謝すると良い、クク…フハハハハハ…!
[かなりのでかい声で毎日独り言を言ってはいるが、別にそれが隣のゲイカップル…画材道具的な物を持って出かける姿を見たことがあるので、芸カップルの片割れ、と心の中でアダ名を付けた男に聞こえようが気にはしない。
毎晩の様に五月蝿いのは彼方もだからな。>>34 羨ましくなどない、決して。 しかし一人で騒いでいたのは何だったのだろう。 ゴキブリでも出たのだろうか。 出かける前にゴミは全て出しておこう。
などと考える傍ら高笑いしすぎて噎せた。
切り忘れていた電流が流れる強制目覚ましアラームが作動し、咳払いに変わった高笑いが更に絶叫に変わるのは数秒後のこと。
そうして、運命の日の朝は帳を開けた。]*
(42) 2015/11/10(Tue) 22時半頃
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― 自宅 ―
[毎日仕事を定時に、勿論上がれるわけがなく家に帰るのは大体日付が変わっている頃。 特別施設に行く準備も始めないといけない。]
んー……とりあえず着替えだけでいいか。
[あとは何とかなるだろうという常に適当の思考。 世の中は沢山色々な事がある。 BL計画にバックアップ体制の劉コンツェルンを筆頭に、他にも幾つも有名処が資金援助なりを施してくれている。>>24
そんなに大きくないバッグに、とりあえず適当に下着、服やらを詰め込む。 施設にいる間は雑用係をしなくていいと思うと身体も軽くなる。>>37]
(43) 2015/11/10(Tue) 23時頃
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[ポケットから封筒を取り出して、ゴロン、と寝そべる。 いつ見ても、何度見なおしても自分宛だ。
一つ問題だとすれば、自分の好みの男はいるんだろうか。 仮に居なかったとしたら、そいつに孕ませることは出来るんだろうか。 孕んだ後の子供はいったいどうすればいいんだろうか。]
―――…ま、その時に考えよう。
[薄れゆく意識の中、全ては当日でいいや、と目を瞑った。*]
(44) 2015/11/10(Tue) 23時頃
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― 当日 ―
[前日は愉しみすぎて眠れなかった、どこのガキだよと自分でも頭を抱える。 だが、男を孕ます事が出来る、それがどれだけ歓喜あまるかわかるまい。
親父に告げれば凄く羨ましそう且つ、 悔しそうな顔をしていて何故かドヤ顔をお見舞いしてやった。 確りと朝食をとり、今日は珍しく米を食った。
まむしドリンクをひっそりと鞄につめたのは後先の事を考えた万が一の手段。 そういう施設なだけあり、色々置いてあるだろうという安易な考え。 生憎難しく考えられる頭は持ち合わせていない。
そんな事を考えていたら目の前に見えてきた施設。 特殊施設《HOME》と呼ばれる所。 思わず口許を緩ませながら足を進めた。*]
(45) 2015/11/10(Tue) 23時頃
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[しっかりと施錠を済ませ、多くもない荷物を背負い。 自ら築き上げて来た仮初の夢を背にし、目的地へと闊歩する。
鬼が出るか、蛇が出るか。 結局のところ、機械が体に入らなければ何だって良い。
BL計画には、有名な劉コンツェルンの息が掛かってると聞く。 今回の計画にどれだけ資金を注いだかは知らないが、>>24 真っ当な衣食住と、ついでに何かの報酬でもくれないものか。]
新しいエスプレッソマシン……、 珈琲豆も、もうちょい質の良いのが欲しいな。
[咥内で戯言を転がす間に、野を越え山を越え――否。 極普通に公共機関を経由し、手紙に示されていた施設に着くと 静かに、そのチャイムを無骨な指が押し込む。]
(46) 2015/11/10(Tue) 23時頃
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え。地球保健機関は隣? こっちじゃない?
………………失礼しました。
[出鼻をくじかれるどころか、酷い粉砕骨折だ。 最初からこちらが目的地だったと言わんばかりの足取りで、 今度こそ、ちゃんと、地球保健機関の施設に足を踏み入れた。*]
(47) 2015/11/10(Tue) 23時頃
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うっわ。また隣り高笑いしてる…
[朝夕時間を考えずに大きな声で独り言を言ったり高笑いしたり。 やっぱり厨二病って分からないな…と軽く顔をひきつらせながら。 合計6個の段ボールは業者に任せて、手荷物はパーカーと同じ青いメタリックなキャリーひとつ。]
――― あ、けーいち? 俺。部屋の片づけ終った。 鍵はポスト入れとくから、あとよろしく。
[階段を下りながら、泥棒猫の部屋に転がり込んだ元カレへ電話する。 とりあえずその、鼻の下伸ばしきった顔やめろ気色わりー。]
あ゛? ゴミ出し? そんなのするわけないじゃん。 ヤだよ、俺もう家出ちゃったし。
[むしろ腐って異臭を放てばいいと思って冷蔵庫のコンセントも抜いてきました。ざまーみろ。]
(48) 2015/11/10(Tue) 23時半頃
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―――え? なんか蛙が潰れみたいな声が聞こえた? あー、それお隣じゃない? さっきまでいつも通りの高笑いしてたけど。
で、部屋の話しなんだけど…
………はぁ? 一人じゃ片付けできないぃっ?! んなの世話好きで可愛い彼女に手伝って貰えばいーだろが阿呆!!!
[ブツっと一方的に会話を切って、そのまま着信拒否に番号を登録する。 熱が冷めるってこういう事なんだろうけど。 あんなのと一年も付き合ってたのかと思うと、本気で馬鹿みたいだ。]
あーあー!くっそ、時間の無駄じゃん。
[アレ(元カレ)も、コレ(BL計画)も。 イライラをぶちまけたくて無性に絵が描きたいのに。 どれもこれもが邪魔で邪魔で煩わしい。]
(49) 2015/11/10(Tue) 23時半頃
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[自分にバライラ因子があったのにも驚きだけど、そもそも子供が欲しいと思ったこともない。 産まれてくる子供だってこんなのが親とか絶対嫌だろう。 だったらもっと、母性本能溢れる男が母親役をやればいい。]
しかも生むってことは抱かれろってわけじゃん? うっわやだよ俺。絶対やだ。
[同棲中はずーっとネコだったのだ。 元カレなんて縛りが無くなったのなら好き勝手したい。 第一ネコなんてやったらここ一年の夜の記憶までぶり返してきそうで、想像しただけで悪寒と一緒に鳥肌がたった。]
しょーがないから《HOME》には行くけど。 ネコとか絶対ヤりたくない…。
[だったらヤることはひとつ。 ぐっと拳を握って、今後の決意をひとつ固めた。*]
(50) 2015/11/10(Tue) 23時半頃
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[さて、数時間後の社長室では。
一通の封書を見つけたことで、地の底だった機嫌は天の上へ。 急遽、予定していた先の会食や出張スケジュールを全て白紙にするよう秘書に奔走させ。 手持ちの案件を手際よく部下に押しつけ…もとい割り振りながら。 口元を緩ませ鼻歌を歌いそうになるのを、慌てて咳払いで誤魔化し。 ここ数年で鍛え上げた面の皮で覆い隠した。]
……コホン。 僕もまさかこんなことになるとはね。 だが政府からの要請に応えるのは義務だ。
負担をかけてすまないな、今日は早く帰って支度をする。 後は任せたよ。
[バライラ因子保持者。 まさかそれが、己に該当するとは何と言う幸運。 若くして上院議員の地位に就く、クリストフに肩入れした甲斐もあるというものだ。 政治家に裏があるのは付き物だが。 まさかそこで既に様々な思惑により、阿鼻叫喚が生まれていることは知る由もない。>>37>>43]
(51) 2015/11/11(Wed) 00時頃
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[祖父にパーティに連れ回され、その気もない異性をどう柔らかくお断りするか悩まなくて済むかもしれない。>>40
常にネタに飢えているマスコミに「結婚間近か!?」などと無駄にでかい煽り文句をつけてゴシップ一面にされたりした背景にも、祖父が一枚噛んでいるのはわかっている。>>39
要は、曾孫の顔を見せることができればいいのだろう。
同性愛者だが、生まれてずっと男と言う性で生きてきた。 それ故に、己が生む側なんてまったく考えもしていないのである。]*
(52) 2015/11/11(Wed) 00時頃
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