103 善と悪の果実
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―階段―
[階段を登る途中。
階下から鋭い悲鳴が聞こえた。 段を踏む脚を止め、振り向き、周囲を見回し。 それから、手摺から身体を乗り出して、吹き抜けの下を見下ろす。]
…なんだ―― 、今のは。
[思わず、漏らした声。 踵を返すと、階段を駆け下り一階まで辿りつき。 悲鳴の元を探して廊下を早足で進んだ。]
(0) 2012/09/28(Fri) 02時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 02時半頃
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─廊下・広間付近─
[やがて、その姿を男は見つけた。 悲鳴の主らしき使用人が震えながら、その傍らに佇んでいる。 男の足音に気付くと、びくりと身体を震わせ振り向いたが。
こちらの身なりを見て安心したのか、細く長い息を吐く。]
…誰か他に人を呼んで来てくれ。
[倒れている男を見下ろしながら、使用人に向けて声を投げる。 半ば走るように離れていく使用人の気配が遠くなった後。
男は、横たわるその身体の傍らにしゃがみこんだ。]
(5) 2012/09/28(Fri) 09時頃
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[はだけた胸から覗く、刺青。 それが今、速く浅く上下している。 無精髭の散る顔が、今は青ざめ苦悶に歪んでいた。]
…やられたな。
[誰の仕業かまでは解らないが。 この屋敷の中に来てまでも、この男に殺意を抱く人間がいたのだろう。
── 俺のように。
刺青の男の脇腹に突き立てられたままの、ナイフに目を落とす。]
(6) 2012/09/28(Fri) 09時頃
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[男は、再度周囲を見回す。 まだ、他に人が来る気配は無い。
刺青の男の上着を掴みナイフの柄をくるんで握り締める。 ──そして。
歯を食いしばり腕に力を込めると、横たわる身体の奥深くに白い刃が見えなくなるまで押し込んだ。 ずぶずぶと肉を貫く感触を、確かに掌に受けた後、ナイフから手を離す。
見開かれた、双眼。 刹那、喉をひきつらせる呼吸音を漏らした後。 刺青の男は、動かなくなった。
柄をくるんでいた服の裾を直し、その傍らにしゃがみこんだまま。 事切れた男の顔を、暫くの間、瞬きもせず見下ろしていた。**]
(7) 2012/09/28(Fri) 09時頃
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[不意を突かれたのは不覚だった。
あの林檎がそいつを狂わせたのなら、それも当然の帰結だったのだろうけれど。
脇腹に刺さった冷たい刃は、普通ならばどう考えても致命傷。
されど、呪いか呪いのせいか。
止まるはずの心臓は止まらぬ。]
テメ……ぇ……
[悪態は弱々しく掠れて、覗きこむ姿には届かない。
視界が失血で霞む。
背格好と髪の色で、あのお巡りだとは知れたが。]
[一度では死に切れぬ。
それは二度死ぬ苦痛を否応なく味わうハメになるということ。
コイツが自分を恨んでいることぐらい、知ってはいたが。
深く押し込まれる刃。
傷口抉られる痛みに、カッと両目見開く。
声にならぬ断末魔。]
ふざけン、なッ……!!
[罵声はもう、空気を揺らさぬ。
その声が現世に届くことは、もう無い?]
[否、それは、罪深く思慮浅いエヴァの末裔達へと届く。
黄金の林檎の魔性に堕ちた者たちの元へ届くのは、
それに人生を狂わされてきた数多の亡者たちの声だ。
その実に焦がれ、その実を求めたが故に死んだ、
数多の者たちの呪詛を吸って、
林檎は、空気揺らさぬ音楽を奏でるのだ。]
――遠い記憶【被験体・0678】――
[街の外れ、第1研究施設。
鉄、歯車、錆、煤、臓器、廃液、そんな中で少年は生まれた。
人間同士の愛など存在しない。
材料としての掛け合わせの生だった。
名も知らぬ男の種と、名も知らぬ女の卵。
生まれた少年は番号が割り振られた。
【被験体・0678】
右足に枷られた銀には、そう刻まれていた。]
[少年は黒く艶やかな髪に、白く透き通った肌。
それから、快晴の空のような青い眸を持っていた。
生まれて来た意味など教えられることはなく、
ただただ他の材料たちと共に、一定のサイズになるまで生かされ続けた。
歳は13を数える頃。
少年は材料として生まれた事を知る。]
【被験体・0678】
身長 --- 148cm
体重 --- 34kg
血液型 --- A(RH+)
仔細 ---
小さく痩せ型。
子供用内臓機導入サンプル、並びに摘出後の臓器提出。
該当器は、脳、眼球、肺、心臓。
いずれも試験作であるため、常にカルテに記入のこと。
[少年の身体に埋め込まれた撥条。
それはこの街の技術であり、この街の富。
そして新たな生の可能性でもあった。
しかし――――]
―栄光の消えた寝室―
[はたと、目を開いた。
汚く褪せた髪に、浅黒い肌、濡れた烏の眸。
目まぐるしく巡った記憶。
夢か現かわからないそれ。
頭を振れば、傍にあるのは僕の変わり果てた姿か。]
…………殺された?
[眸を丸く見開いて、自分を見下ろす。
そして光を宿さない眸は、つうと、殺人犯を映した**]
[思慮浅く、誘惑に堕ちるは、女。
唆され、その実を手に取るは、男。
人が人としての叡智を手に入れた日は、
その手を罪に染めた日だった。
小さなアダムと小さなイヴ。
ただひとつ違ったのは、イヴがアダムから作られたのではなく、
アダムが半分作り物の機械人形だったことか。
繰り返される愚かな罪を、林檎はその金の皮に映し、
罪深き愚かな亡霊たちの啜り泣きを束ねて唄う、唄う。]
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[背後の気配に気付き顔を上げる。 しゃがんだまま肩越しに振り向き見ると、見覚えのある女の姿がそこにある。
暫く無言のまま、その顔を見上げていたが。]
…──見ない方がいい。
[そう言いながら立ち上がると深い溜め息を吐き出す。]
死んでいる。 誰かに刺されたようだ。
[静かに女の前に歩み寄り、間近になるとその顔を覗き込む。]
…大丈夫ですか?ミス・コリーン。 顔色が悪いようだが。
[ゆっくりと手を上げると、指先で白い頬に触れるようにする。 滑らかな肌が、微かに冷えた感触があった。]
(11) 2012/09/28(Fri) 10時半頃
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休まれた方がいいでしょう。 お一人で行けますか?
[女の目を覗き込みながら、問う。 その瞳の奥に映る自分が今、彼女にどう見えているのか確かめるように。
ふと、幾つかの足音が近づいて来るのに気付き、そちらを向く。 先程の使用人が男手を数人集めて、戻って来たようだった。 だが、すでに動かなくなった刺青の男の様子を見ると、誰かが低く呻くような声を漏らした。 女の使用人に声をかける。]
この方を部屋までお連れしてくれ。
[彼女がそのまま従うのなら、使用人に任せて。 他の使用人に声をかける。]
死体は動かすな。 …シーツでもかけておけばいい。
[それだけ指示すると、その場を後にした。]
(13) 2012/09/28(Fri) 11時頃
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…畜生、め。
[腹を押さえて、ヨロリと立ち上がる。
殺したのは、誰だ。
いや、殺される切っ掛けになった、
罪深き果実に手を出したのは誰だ。
こちら側は安らかな世界などでは無い。
自鳴琴は。黄金の林檎は唄い続ける。
あの世からの呪詛を紡いで、音にしたのがその音色。]
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─ →階段へ─
[歩きながら、煙草を咥えて火を点ける。 喧騒と血で乱れ始めた邸内で、躊躇う事ももう無いとでも言うように煙を吐く。
先程行きかけて止めた、女主人の殺人現場。 男は、揺らめく煙の筋を残しながら、そこへ向かう。]
(16) 2012/09/28(Fri) 11時半頃
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― →3階・廊下―
[階段を段飛ばしで登り終え。 女主人の部屋へと続く、絨毯敷きの廊下を歩く。 進むその先に人影を見つけて一時、脚を止めた。>>15
―― 夕闇伯。
やがて、彼が扉を勢いよく押し開くのが見えた。 刹那、その横顔が遠目にも微かに歪んだのが判る。 男は、再び脚を踏み出すと早足にそこへ向かった。
そして、開け放された扉の前に辿りついてから直ぐに。 室内に広がる光景を目にした。]
(18) 2012/09/28(Fri) 12時頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 12時頃
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[呟くようにする抑えた声を聞く。>>19 その横顔を暫し見つめ、出た言葉を詮議するように短く黙る。]
その様子だと、貴方の仕業ではないようですね。
[無遠慮な言葉を投げてから、伯爵の横をすり抜け室内へ入る。 煙草を口に銜えたまま、血に塗れ無惨に横たわる少年を見下ろし。 ベッドの上にかけられた人形に形作るシーツにも滲んでいる赤を一瞥する。]
今しがた、下でも人が亡くなりましたよ。
[低く、平たい声。 それから、夕闇の伯爵を見据える。]
貴方が今朝も争っていた男だ。
(24) 2012/09/28(Fri) 13時頃
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[恨みが、魂を染めて怨霊となる直前、
胸元にひとひらの純白の花。]
ケッ、モノ好きな。
[その気紛れに手向けられた花に、魂はほんの少し救済されたなど、信心深くない男には解らぬ。**]
おまえじゃあ、ねぇの?
[責めるように聞こえる声は、果たして幻聴……?]
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連続殺人、というやつですね。
[陳腐な言い回しをする声が、平淡なまま響く。 じっと見つめる先で、夕闇が短く息を漏らして笑うのが見え。 最後の呟くような言葉は、小さく、だがはっきりと男の耳にも届いた。]
自分の手で、殺してやりたかった ――、ですか?
[言いながら、少年の遺体の横にしゃがみ込む。 虚ろに開かれたままになった目。 暫く、それを無言で見下ろしていたが、手を伸ばすとそっと瞼を伏せさせた。]
(29) 2012/09/28(Fri) 14時頃
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―回想―
[女が発した第一声には、男は少し間を置いた後に口を開いた。>>20]
いや、何も。 使用人が最初に見つけたようだが。 あの様子だと、何も見てはいないかと。
[続けて返った言葉を聞けば、その繊細な面立ちに似合わず気丈なのか、それともそう振る舞おうとしているのか。>>21 すでに、屋敷内に広がりつつある“麻痺”にまでは思い至る事はなく、男は緩く小さな笑みを女に浮かべて見せた。]
ご無理はなさらず。 貴女にまで何かあれば――…、気が気ではない。
[使用人の付添を断り、その場に佇む女を最後に一瞥してから歩き出す。
見られては、いないようだ。 おそらくは。
男は、廊下を進む脚を速めた。]
(30) 2012/09/28(Fri) 14時頃
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ジェフは、ヴェスパタインのその笑みを見据えたまま、応えを待つ。
2012/09/28(Fri) 14時頃
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[その言葉に鼻を鳴らして笑った。>>31]
…まぁ。 流石に人が死ねば、私も黙って見ているだけにもいきませんしね。
[問い掛けへの応えを聞いた後、少年の傷口を確かめる。 めった刺しにされたそこには、細工が施された銀色のナイフが突き立てられたままだった。 確か、男の部屋にもあったものだ。
徐に立ち上がり傍の肘掛に置いてあったガウンを掴み、少年の上にかける。 それから、夕闇の方を向いた。
芝居であれば、大した物だが。 男の目には、目の前の相手が人を殺した後の人間の物には見えなかった。 殺人を犯した後、警官を前にして平然として居られるような人間は、そうそう居ない。]
(34) 2012/09/28(Fri) 14時半頃
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衝動かどうかまでは解りませんが…。
[と、室内を歩き回り呟きを漏らす夕闇を見、気がついたように小さく笑う。]
…犯人探しの推理ですか? 素人が、下手に手を出すといらぬ刺激を招くだけかも知れませんよ。
[せせら笑う声を向けた後、夕闇の指が伸びた先に視線を落とす。>>32 ガウンでは覆い隠せぬ、細い脚首に鈍く光るプレート。 それに見入る夕闇の横顔。]
―― それがどうかしましたか。
(35) 2012/09/28(Fri) 14時半頃
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[夕闇の顔に、僅かだが苛立ちが見えたように思った。>>37 すでに大分短くなった、銜え煙草の先からぽとりと落ちた灰に気づく。 煙草を指に挟むと、テーブルの上にあったガラス製の小物皿の中に押し消した。
ガウンに覆われた少年を再度一瞥し、上着のポケットからハンカチを取り出す。]
皆殺し…とまではさせぬつもりは、ありますがね。 一応。
[“実験体”と語られた言葉に、怪訝に眉を顰めるが。]
その話は、後程お聞かせ願えますか。 少し、急ぐので。
(40) 2012/09/28(Fri) 15時半頃
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[その言葉、プレートの意味。 そして、少年から奪われた物が、その命以外にもあった事には気づかぬまま。 男は少年の顔の上からガウンをのけ、ハンカチで銀のナイフを包んだ。 そして、もう片方の掌を少年の額にあてがうと力を込めてナイフを引き抜く。
ガウンを直し、立ち上がる。 そして、ナイフをくるんだハンカチが所々、血に滲むのを見下ろした後。]
それでは、夕闇伯。 ―― …お気をつけて。
[最後に目礼し、部屋を出て行った。]
(41) 2012/09/28(Fri) 15時半頃
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─ 階段→階下へ─
[>>42 背中には、という最後の夕闇の言葉には苦く笑った。 随分前から、背後ばかり気にして暮らすようになっていた男には、もう忠告ともならない。
階段を早足で降りながら、手元のナイフを見る。 これが、備え置かれている場所と、紛失した場所に当たりを付けられれば、少なくとも犯人の目星は付けやすくなる。
使用人部屋に向かおうとする途中、見覚えのある少女を見かける。>>43]
──レディ。 今は、あまり出歩かない方がよろしいかと。
[目が合ったならそれだけ告げて。 男は先を急いだ。**]
(44) 2012/09/28(Fri) 16時頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 16時半頃
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―回想・階段―
[見上げる大きな瞳は、投げた男の声に答えた後、すぐに逸らされた。>>45 小さな身体で段を踏み越え行き過ぎて行く少女。
強がりなのかそれとも―― 、ふと、あの少年の生前の大きな黒い目が今の少女の目と重なったが。
男は、それ以上少女を止める事はせず階段を降りて行った。]
(49) 2012/09/28(Fri) 19時半頃
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―1階・使用人部屋―
[まだ血が残る銀のナイフ。 それを差し出した時、男を応対した使用人の顔が怯えるように歪んだが。 男の問い掛けには、すぐに応えた。]
「はい―― 、これは全ての客間に置いてあります。 ペーパーナイフでございますね。」
[使用人の言葉を聞いた後、ナイフをハンカチに包んだまま懐に仕舞う。]
探してくれ。 このナイフが無くなっている部屋が無いか。 今すぐだ。
[男の低く、だが鋭く言う声に使用人が急いで頷く。 そして、他の使用人数人に声を掛け、客間のある2階へと上がって行った。]
(50) 2012/09/28(Fri) 19時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 20時頃
捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 21時頃
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―二階・廊下―
[使用人がひとつひとつ、客間を調べて行く様を男は見守る。 在室の客で文句を言う者があれば、その鼻先に自身の身分証を突き付けて黙らせる。
―― 使用人の仕業でもなければ必ず、この何処かにナイフの消えている部屋があるはずだ。
廊下の隅に立ち、時に移動しながら捜索の結果を待つ。 煙草に火を点け、マッチの燃えさしを床に捨てると靴底で踏みにじり、消した。]
(63) 2012/09/28(Fri) 21時半頃
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―二階・ペラジー自室前―
[ふと、開いたドアから僅かに覗いた変わったブロンドの色に気付く。>>66 少し離れた場所から、使用人と彼女のやりとりを眺めていたが。 ゆっくりと脚を踏み出し、そのドアの前に向かった。]
申し訳ない、ミス・ペラジー。 この立て続けの事件だ―― 、ご協力お願いします。
[そこに立つ彼女を見た時。 一瞬、違和感を覚える。 あの、白いローブ姿ではないからだろうか、それとも、その露わになったブロンドの濡れ髪のせいか。
女にしては長身な四肢が今は見え、丸みなくやや広い肩。 だが、微笑む穏やかな面立ちは、そのままだった。
しかし、男は、少しだけ片眉を上げただけで。 笑みを浮かべて女に目礼をした。]
(68) 2012/09/28(Fri) 22時頃
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[女と2、3の言葉を交わした頃だったろうか。 離れた部屋の1つから上がる鋭い声に男は、顔をそちらに向けた。
部屋から転がるように走り出て来た使用人の姿を認めると、目の前の女に目を戻す。]
失礼── 、部屋から出ない方がいい。
[行き掛けにそれだけ言うと、男は使用人が示した部屋へと走り込んだ。]
(72) 2012/09/28(Fri) 22時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 22時半頃
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[使用人に部屋の主を尋ねれば。 その名前を一度、口に呟く。 ベッドの上に散らばる、クラッシュキャップと招待状。
見覚えのある帽子を一瞥した後、招待状を手に取る。 書かれている名前に、男の眉が険しく顰められる。
ふと、ついてきた様子の女に気付き、声を投げた。>>74]
戻ってください。
[鋭い声音と視線。 しかし、女はどう反応しただろうか]
(77) 2012/09/28(Fri) 22時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 23時頃
…そら、お前の両手はこんなに赤い。
赤い、赤いぞ?
何故、赤い?
[林檎は唄う。罪深き欲の虜となった男に聞こえる声で。]
拭おうと洗おうと、罪の色は消えぬ。
ならば手首でも切り落とすか?
[ざわざわざわ。
奪われたものたちと、巻き込まれたものたちと。
無数の呪詛が紡ぐは不協和音。]
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[女が口にした名前とその言葉に、険しくしていた目を気付いたように微かに大きくする。>>79]
知っているんですか。 ここに居た男を。
[こちらの視線にも動じない様子は、彼女らしい気もしたが。 その顔から目を外し、使用人を見渡す。]
行先を――、誰か見かけなかったか?
[一人の使用人がおずおずと口を開く。]
「…階段を。3階へ行かれるらしいのを見ました」
(83) 2012/09/28(Fri) 23時頃
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[使用人の言葉を聞きとめ、踵を返そうとした時。 聞こえた答えにそちらを見る。>>87 穏やかな面立ちの中に一瞬、何かが過ったのを見た気がした。
病気の妻。 その話の信憑性を今、考えるような余裕もなく。 男は、部屋を出ると3階へと向かう廊下の先へ向かった。
そのとき聞こえた女の言葉が、ひどく空々しく平淡に聞こえ。 穏やかに前を見つめたまま脚を運ぶ女の顔を一瞥する。]
―― 貴女は。楽しんででもいるのか。
[返る反応は、どうだったか。 男は、女を追い越して走り出した。]
(91) 2012/09/28(Fri) 23時半頃
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[肩を揺らしたように見えたのは笑っていたのか。>>98
あのとき。 死んだ刺青の男との関係について聞いた際。 ただ、不思議な女だと思っただけだったが。
変わらず、静かに返してくる声音は冷たく、無機質でしかない。
―― 林檎。
失われた黄金の。 広間で、遠くに見ただけの煌めく影が脳裏にちらつく。
しかし、階段を駆け上がる内にその陰影は消えた。]
(102) 2012/09/29(Sat) 00時半頃
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―歌姫のすぐ傍―
[悼むような歌姫の傍。
突如として現れるのは、あの烏。
対峙する片方を。
林檎の唄に狂う彼を。
真っ直ぐに見詰める、あの烏。]
子供を殺した次は、女性ですか?
[無表情が、嘲う、わらう。]
ジェフは、ウェーズリーの姿を探す。
2012/09/29(Sat) 00時半頃
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― →3階―
[聞こえた銃声。>>105 段飛ばしで登って行く階段の途中、それが吹き抜けに響いた。 上階を見上げる目が見開かれ、震える。
―― 拳銃だと?俺以外に誰がそんな物を。
きつく奥歯をくいしばったまま段を蹴り、ようやく辿り着いた3階の廊下。 絨毯が敷き詰められた床を走る先には、黒髪の青年の姿があっただろうか。>>101
走りながら上着の中に手を入れ、リボルバーを引き抜き、握りしめる。 そして、ドアのノブに飛びつくようにして扉を開くと、亡き女主人の部屋に走りこんだ。**]
(112) 2012/09/29(Sat) 01時頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/29(Sat) 01時頃
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