3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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けいと
[深淵で鳶色の目を開ける。
ごろりと闇に身を沈めたまま呟くのは]
[現代へと戻るあちらの景色。
聞こえてくる音。
闇の中]
――…。
[視線を落とす。震えることのない自分の裡]
[哂い声。
ふと思う。
あの二人の教師は、いまはどうしているのだろうかと。
思うだけで問うことはなかったけれど。
それだけは、心に疑問として浮かんだ]
[光が消えた。綺麗な生の気配が消えた]
[今まであったのは幻。過去の光。ただ、それだけ]
[そんなことは分かっているのに]
………ない。ここには何も無い。
『来るな』(おいで)
『やってしまえ』(やめとけよ)
[闇に溶けかけた魂がかすかに蠢く。
綺麗なものが、たった一つでもこの死後の世界にあればいい。
それだけを頼りに、闇へと対抗している**]
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― 現代/北棟東階段 ―
[それは長い夢だったように思う。 ドナルドが纏う制服は、現代のもの――あの蜜だらけのものに戻っていた。けれど、砕けた左手の指先は、そのまま。床に落ちた欠片もそのまま。
過去で逝った、キャロライナも用務員も、きっとこの世界には居ない。]
嗚呼……―――
[>>252 戻ってきたという言葉に、頷く。 欠片が鳴る音に、少しだけ苦笑を浮かべる。]
セシル。ケイトをさがさねぇと。
[気を背けるように、促す。 探して、どうするのか、まだ、見えてはいないけれど。]
(254) 2010/03/07(Sun) 23時半頃
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[ピアノを、――嫌になった。
才能などないからなのか
あの子が生まれたからなのか
元々好きではなかったのか
全ての思いが消えて
ピアノを弾いた時の音。それは]
……そか、夢じゃないよね。
あっはは何を期待してるんだか
[鳶色の眸を開くたびに思ったそれは
“夢物語”でしかないのだ。]
[溢れた悲しみは、抱えてきた心の闇で]
[離れていた指先を再び鍵盤へ向けたのは]
[彼の音に惹かれたからか]
ですから私はもっと、あの音を聴きたかった。
[聴きたくないのは本当。聴きたいのも、本当。
忘れてしまいたい(忘れたくない)]
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― 現代/北棟東階段 ―
まぁ、どうにかなるだろ。
[薄紫が揺れるのに、苦笑いで応える。 右手は、まだ使える。 ―――……繋げる。]
なにが、返せなかったんだ?
[頷く相手に、かつんと響く音を聞きながら、尋ねる。 ピンク色の、片想いのビー玉の件は、ドナルドは知らない。 知れば、ふっと思い出すのは、キャロライナが青いビー玉をくれようとしたことだろうか。]
(258) 2010/03/07(Sun) 23時半頃
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…メアリー。
[金色を染めた冷たい闇は、赤く染めた絆の糸へと染みていく。]
こっちへ、くるかい?
[闇が戻ると掴かもうとした大地色のビー玉は消えて何もない]
壊れたモノは還らない。
[立ちつくす男
空虚な声]
[侵蝕してくる闇。
それに抗うのは
最後に抱いた思いを忘れたくないからだろう]
…ル。
[その名を呼ぶ声は小さく掠れた]
[闇の中 緋色の哂い声のする方へと 蒼い蝶は羽ばたいた]
[闇は冷たいのか、温かいのか。
横たわった身体を闇色が包んでいく。
どろり、と手が沈んだ。]
……行きたい
[赤い糸の先は、どこか。
聞こえた声に笑った。]
過去は変わらない。
元通りになんかならない。
たとえ、本当に夜明けが来ても、
犯した罪が消えることも、
壊れたものが直ることも無いね。
[浮かべるは、哀しげな笑み。]
扉が閉じてしまう
暗い、怖い ひとりは嫌
おいていくの?
あたし---い子だから?
[一瞬闇に囚われて]
サイモン?!
[どこかから聞こえてくる知らない男がサイモンの声に聞こえる]
『こんなに君のこと、想っているのに。
君に傍にいてほしかったのに。
僕を一番だと想ってほしかったのに』
[塞いでいた耳に流れ込む闇の声]
『…のために みんなを おくってあげないとね。』
ちがう、 ちがう あたし そんな事望んでいない
[手の中のビー玉は徐々暖かみを失いつつも
ケイトの冷たさを温める]
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― 現代/北棟東階段 ―
莫迦だから、かねぇ。
[にぃっと唇の端を持ち上げて、喉を鳴らした。 眉を寄せて逸らすセシルを見る濃紺は、柔らかい。]
嗚呼、ピンクは恋愛だったか? 青は、勉強とか言ってたっけか。
―――……
[けれど。紫水晶の掌にある、存在を見れば、少し濃紺に陰りが入る。小さく、小さく、吐く息。]
(264) 2010/03/08(Mon) 00時頃
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まさか、壁に塗り込まれてるとかは、ねぇだろうよ。 流石に、工事する業者とかが、分かるだろ。
[壁を見据える薄紫に応える。 実際、そうでないという保障はないが……―――。]
くらい、つめたい、ねぇ……―――
[思い出す。キーワード。]
(265) 2010/03/08(Mon) 00時頃
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[闇の中 蒼い蝶は緋色の少女を見つける
そっと差し伸べられた手の周りを しばしの間 ひらひらと舞い
やがて 指先に止まった]
だから、おいで。
[抱き寄せる。
闇の中へと引きずり込むように。]
もう戻れぬなら、墜ちるところまで堕ちて行こう。
[鳶色の髪が溶ける。
ひらひらと飛んでいった蒼い蝶が鮮やかに飛んでいく。
闇に、ディーンに抱き寄せられ
小さく頷いた。]
行きたいよ、……生きたかったよ。
貴方と、ディーさんと
[見上げれば葡萄色はまだそこにあるだろうか。
双眸でそれを愛おしく見上げて]
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― 現代/北棟東階段 ―
って聴いたぜ? 俺も、あんまり詳しくしらねぇけど。
[伝統の言葉に、若干首を傾げて言う。 キャロライナに聴いたのは、そこまでで。]
どっちかっつーたら、土の中かねぇ。 壁なら、改修工事やった時に見つかりそうなもんだぜ?
掘り返される危険性が少ないとこつーたら。 あ〜……―――
[一番に思い浮かぶのは、伝説の木。]
いやいやいやいや……――― でもなぁ、まさかなぁ
[相手に合わせるように、眉間に皺を寄せて、ブツブツと呟く。]
(273) 2010/03/08(Mon) 00時半頃
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嗚呼、君と…ともに生きて行けたら…。
[叶う事のなかった願い。思う程に痛む胸。
伏せた葡萄色の瞳が揺れる。]
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― 北棟東階段 ―
セシル……―――?
[ドナルドの呟きが止まる。
―――……さみしい
その気持ちが、彼か彼女の代弁かが分からなくて。]
セシ…ル……――――?
[濃紺を見開く。取られた左手。 鉱石と鉱石。それは傷つけ合わないか。 ただ、違う意味で、零れ落ちている、青玉の指先。 その断面に、寄る唇。]
(281) 2010/03/08(Mon) 00時半頃
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莫迦っ、お前、唇が切れて……――――
[そのまま離れて行こうとする肩を、右手で捉えようと。 振り向くなら、どこか泣き出しそうな濃紺が見える筈で。
―――……嗚呼、叶うなら、滲む血に、優しく唇を寄せるか。]
(282) 2010/03/08(Mon) 00時半頃
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あは、やっだ……ちょっと泣けてくる。
ごめん。ディーさんといられれば私は
[決めるのはあなた。
かつての友人は、己に向けてそう言った。
決めたのは、私。
伏せられた葡萄色にそっと手を伸ばす。
僅かに闇色に染まった指先は頬を滑る。]
大丈夫だよ、一緒だもの。
[闇を微かに蹴って、ディーンの唇に己の唇を添わせた。]
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