2 宙を旅する船で
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…ちっ。
やれやれ、通信機器が使えねーんじゃ話になんねーな。
[気がつけば、見知らぬ世界に佇んでいた。
元々システムが異常を出していた通信機に頼るのも問題だったのだが、人間、一縷の希望を託すのは手許にある物、つまり直ぐにでもすがれる藁なのである]
アナログ通信ですら通じねー。
通信機自体がいかれちまった…のかも知れねーが。
オレが精神病にでもなってねー限りは…
…ま。考えても仕方ねー話か。
生憎、オブラートは持ってないわね。
[ぷつり、そこで記憶は途切れる――]
[足元を見下ろす]
ちゅう。
[ひと鳴きして、顔を少しほころばせた。
“ネズミの時間”で忙しなく動きまわる、小さなちいさなイキモノを目で追う]
やれやれ、ジパングでは神隠しとか言うンだっけか?
実はホログラフィとか、夢だとか。
そう言うオチだと良いんだが。
[ちゅう。小さな鳴き声に、頭をガリガリと掻いた]
ネズミと頭の中の消しゴムの話もあったか。そういや。
[両手でアシモフを掬い上げ、一歩二歩と進む。
独りごちるラッシードの姿が見えると、その背中へ微笑みかけた]
アルジャーノンはいないわよ?
[ネズミの背中を撫ぜると、そこには微かな*ベタつき*]
どうやら、頭の中の消しゴムもねーみてぇだ。
[聞こえた声に振り返れば、フン、と小さく笑った*]
そーじゃなけりゃ、笑い方を忘れた人間が笑うわけねーからな。
笑っているように見えたとして、それが錯覚ではないと断言出来る?
[手の中のネズミは、瞬きの間に白い鳩へと姿を変えた]
守れなかったのかしら。
あたしは、留守を。
[いつもの表情に戻り、鳥の飛び立った先に広がる青空を*見上げた*]
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