216 宵闇駆けるは天つ星
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……とりあえず、俺は死にかけるまでは行ってませんけどー。
[外傷だけなら、だが。 ともあれ、向けられた言葉>>*24にそんな物言いで返した直後。
紫影の結界は、お役目御免と言わんばかりにかしゃん、と、音を立てて砕け散った。**]
(11) tasuku 2015/02/17(Tue) 10時頃
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[実際の所、外傷だけならば死ぬほどの傷は負ってはいない。 が、使役する式を失い、自身の分身とも言える影に幾度も打撃を受けた事で、内面的な消耗はかなりのものとなっている。
命の属持つ頭領には、その辺りを隠し遂せるものでもなく。 ちょこまかと寄って行った小鬼を介して伝わる力>>13が内に残った痛みを消していくのにほっと息を吐いた──のも、束の間]
……は? なんや、御師さんも来るんか!?
[冷静に考えたなら、送り出した弟子の様子を見に来るのは当然の事。 うわあ、こら厄介……などと考えつつ。 頭領の視線が向いた先に見えたもの>>14にあ、と短く声を上げかけて]
(19) tasuku 2015/02/17(Tue) 22時半頃
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…………。
[頭領の零した短い言葉>>16に、上げかけた声は飲み込んで。 ふる、と首を軽く振って立ち上がる。 戻ってきた小鬼が、ぴょい、と肩の上に飛び乗った]
……次こそきっちりどつくで、覚悟しとけ。
[距離的に届かぬだろう呟きをぽつり、零した後。 少し歩いて、拾い上げるのは楽琵琶と撥]
……ん、紫苑も無事、か。
[『紫苑』というのは、楽琵琶の目立たぬ所に記された言葉。 それが、楽器の銘ではない……というのは、薄らと察しもついているが。 その『名』にまつわるものを追う心算は、今の青年にはなく。
四弦の張りを確かめた後、撥を当てて音色をひとつ、響かせた。*]
(20) tasuku 2015/02/17(Tue) 22時半頃
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[四弦の音色を確かめつつ、ふと、思い馳せるは遠い日の事。
自身が師によって見出されたのは、妖に滅ぼされた村。 他には動くものは何一つなく、ただ、深手を負った自分とこの楽琵琶だけが残されていたという。
当の自分には何故そうなったのかも、自分が誰なのかの覚えもなく。 ただ──喰らわれかけた記憶と、それにまつわる恐怖だけを抱えて、接する全てを拒絶していた]
……思えば、昔はよぅ逃げ回っとったなぁ。
[力を持ちながら、それを制する術も知らず。 唯一残った記憶に脅かされる子供を、師は甘やかす事無く、現実へと向き合わせた。 その厳しさ故に反発し、幾度となくその許から逃げ出そうと試みたものの、何故かいつも先回りされていて。 なんで、と聞いたら、「お前みたいな危なっかしいのは、野放しにできん」と返されて。
その言われ方が何だか悔しくて、いつか認めさせてやるんだ、と。
退魔の技を学ぶと決意させたのは、そんな意地と反抗心だった]
(27) tasuku 2015/02/18(Wed) 22時頃
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[そんな在り方に変化が齎されたのは、とある煌星の退魔師と出くわした時。 制御の覚束ない闇星が、ほんの小さな切欠で弾けて暴れて。 闇と影に呑まれた果て、人とも妖ともつかぬ鬼へと変貌した。
その勢いのまま、文字通り煌星を喰らおうとしたのを押し止めたのは、殺さないでと訴えかける、声。 か細いそれは、微かに残る記憶を揺り動かし── 一瞬だけ、我に返った。
そこに師の放った一撃が叩き込まれ……そして、始まったのは大立ち回り。 それまで抱えていたものをぶつけるが如く食らいついたこちらの攻撃は、何故か、悉く師を捉えていた]
(今、思えば。 受け止めてくれてたー、て事なんやろなあ)
[言葉で表せなかった諸々や、持て余していた激情。 それらを全て受け止めて。 その上で放たれた鋭い一撃に崩れた所に投げられたのは、端的な問い]
(28) tasuku 2015/02/18(Wed) 22時頃
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……人として生きるか、魔として死ぬか……か。
[突きつけられた二択の内、自身が選び取ったのは、前者。
魔道に堕ちかけてなお、人の道はある、と。 そう、示してもらえたから。 その道を進み、生きる意思があるならば、と。 伸ばされた手を取れたから──自分は、あらゆる意味で死なずに済んだ。
あらゆる意味で自身を救い、導いてくれた師への恩義や敬意は、言葉で言い尽くせるものではない。
……ない、のだが]
(29) tasuku 2015/02/18(Wed) 22時頃
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あー……。 色々と、うるさいやろなぁ……。
[ぼやきを乗せた音色が大気を打つ。
久々の顔を合わせる機会、思う所は多々あるというのに。 そんな物言いになってしまうのは、最早性分としか言えぬもの。*]
(30) tasuku 2015/02/18(Wed) 22時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
tasuku 2015/02/18(Wed) 22時頃
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……ぉ?
[その気配を感じたのは、ぼやきと音色弾きだした少し後。 は、と振り返れば、弟弟子とやり取りする姿>>33 >>34が目に入る]
……御師さん。
[小さな呟きに重なるのは、久しぶりの呼ばれ方。>>35 その下を離れてから五年がたつが、飾らぬ体は己が良く知る師の姿]
そりゃどうも。 ……御師さんは、お変わりないようで。
[僅かに口の端上げる仕種に、返すのは笑み一つと]
相変わらず、あの世の使いは蹴っ飛ばして追い返してるようですなぁ。
[なんて、冗談めかした言葉]
(36) tasuku 2015/02/19(Thu) 00時半頃
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ま、それはともかく。 まさかこんな形で弟分が増える事になるとは、思いませんでしたが、悪い気ぃはしませんよー?
[どこまでも軽い口調で紡ぎつつ、四弦から音色ひとつ、紡いで]
……ま、無様晒さんように、ちゃんと精進せなあかん、とは。 改めて、思いましたけどなあ。
[やや静かな声音で綴るのは、遠まわしに己が未熟を認める言の葉。*]
(37) tasuku 2015/02/19(Thu) 00時半頃
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[軽い言葉への返し>>38に浮かぶのは、相変わらずやなあ、という思いと、変わらぬ事への安堵。 常に場に在り、前へと進む在り方から感じたものは数多く。 自身が旅暮らしを選んだ理由も、師の在り方の影響が大きいから。 ……もっとも、安堵の方は文字通り、おくびにも出す事はないが]
はいな、そこは重々承知。 ……まだまだ、越えなならんもんは山ほどありますからなぁ。
[かけられた言葉>>39に頷きひとつ、返す。 受け取るべきは、己が道を定めてからの日々に受け取った。 だからこそ、多くの言葉をそこに費やす事はなく]
(42) tasuku 2015/02/19(Thu) 10時半頃
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[声を潜めて投げられる問い>>40に、緩く首傾ぐ。 肩の小鬼も、同じ仕種で首傾ぎ、二者は最後に顔を見合わせ]
……頑張っとりましたよ。 途中へたばった時も、何とか自前で帰ってきましたし。
まあ、ちと無茶しぃかなぁ、と思う所もありましたけど。
[こちらも声を潜めて返しつつ、緩く肩を竦める。 自分の時は、実戦への恐怖心に飲まれる事こそなかったものの、場の流れについて行くのが精一杯だったなぁ、と。 ふと、思い出したのはそんな事]
(43) tasuku 2015/02/19(Thu) 10時半頃
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[師がこの地まで赴いた理由、その一端に自身もあるとは思い至ってはいない。
甘やかす気質のひとではない、と知っているし、変化乏しい表情からはその内面を推し量るのも容易くはないから]
……はいな。 このままじゃ、一座に追いついても足手まといになってしまいますからなぁ。
[怪我を治せ、との言葉>>41に素直に頷くものの。 直後、背に走った衝撃に盛大に眉が寄る]
……ったた……ちぃとは加減してくださいよぉ。 俺は、御師さんほど身体丈夫やないんですからぁ。
[そんな風に文句を言いつつ、けれど。 言葉にならぬ想いの一端は、変わらぬやり取りから確かに感じ取っていた。*]
(44) tasuku 2015/02/19(Thu) 10時半頃
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[師が旅姿でない事には、最初は気づく余裕もなく。 落ち着いてから違和を感じた者の、態々それっをつつく事はしなかった。 下手につつくと面白いけど後が怖い、というのもあるがそれはそれとして]
……ええ、そうですねぇ。
[越えねばならぬと見なすものには、目の前の師も入っているが、それには触れない。 最初に抱いた幼い意地は、やや形を変えつつも未だ、己が内にあるから。 ただ、相槌一つ打つに止めて]
(59) tasuku 2015/02/20(Fri) 00時頃
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[小鬼と仕種が重なるのは、魂の双子とでも言える存在であるが故。 その辺りの事情を知る師が、何を思うかは知らぬまま]
まあ、ないとる暇がなかったー、ってのもありそうですけどなぁ。
[声から感じる想い>>52に微かに笑み浮かべつつ、冗談めかした口調でさらり、と返す]
でもまあ、土壇場には強いようですし。 ……そうそう、折れやせんでしょ。
[それだけの経験は積んでいるだろう、と思うから、そこは真面目な口調で告げて。 四弦からひとつ、音を紡いだ]
(60) tasuku 2015/02/20(Fri) 00時頃
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……ええ。 これは、俺が見つけた、自分の生きる道、ですからねぇ。
[独り立ち直後、どう生きるかの選択肢は色々とあったが。 その中から選び取ったこれが、『人』としての自分の生きる道である、と。 そう、見なすが故に返す言葉は真摯な響きを帯びる。>>53 旅芸人の一座に人としてある事、一座の皆との間にある絆が、闇星の疼きを抑えているとは言葉にせずとも伝わるか]
(61) tasuku 2015/02/20(Fri) 00時頃
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……俺がひ弱いんは、御師さんが一番よぅ知っとるでしょに……。
[なんて、口では言ってはみるが、冗談半分なのは表情から伺えるもの。 それから、は、と一つ息を吐いて]
……っとに。 気ぃ抜けたら呑気やなぁ。
[戻ってきた弟分の言葉と表情>>58に、く、と小さく笑み零す。 肩の上の小鬼が同意するようにキィ、と小さく鳴いて頷いた。*]
(62) tasuku 2015/02/20(Fri) 00時頃
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