人狼議事


194 花籠遊里

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看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 07時半頃


【人】 看板娘 櫻子

―― 霧雨の夜 ――

[櫻樹に月が縋るのでしょうか、月に櫻樹が寄りそうのでしょうか。
 霧雨降る夜に呟かれる小さな名前は、厚い雲に隠され>>3:110
 僕の耳には届かなかったのでございます。
 ですが、その唇が何を綴ったのか
 邪推では在りますが、わかった気がしたのでございます。

 辛い、哀しい。
 失くし物の名を、きっと呟かれたのではないでしょうか。

 ですから僕は、そっとぬくもりを分け与え続けるのです。
 たとえ心の隙間を埋め尽くすことなど出来なくとも
 ほんの少しの気紛れになればいいのです。
 『花』は一夜の『夢』としてあればいいのです。
 相手が『蝶』であれ、『花』であれ。]

(6) 2014/09/21(Sun) 09時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[今宵は、月が泣いておりました>>3:120
 たった一筋の雨が、頬を伝っておりました。
 雨は籠の中、櫻の枝葉に
 『蝶』のようにとまります。

 僕はみるみると、哀しい表情をしたでしょう。
 射干玉に涙浮かぶことはありませんでしたが
 心の裡は確かに、ひとつの穴を開けていたのです。]

 朧、さん。

[僕は『花』の名を口にいたしました。
 僕に出来ることは、数少なく。
 僕が与えられる蜜は、量少なく。
 それでも、きゅうと抱きしめ続けておりました。]

(7) 2014/09/21(Sun) 10時頃

【人】 看板娘 櫻子

[舞い降るのは、紙雪ではなく霧雨でした。
 その雨もやがてはやみ、月も東雲に眠るでしょう。

 僕は朝焼けを見上げました。

 架け橋が>>#1、籠の外へと伸びているのを見たのです*]

(8) 2014/09/21(Sun) 10時半頃

【人】 看板娘 櫻子

── 中庭 ──

[僕はスコップを片手に、庭に穴を掘っておりました。
 それは何時もとそう変わらぬ風景でしょう。
 秋の彩りの中に、櫻色はひらひらと揺れておりました。

 違うことは些細なものにございます。
 軍手をしているわけではないこと。
 植える苗が用意されていないこと。
 代わりに傍にあったのは、小さな梅の花でした>>3:137

 架け橋を渡ったのは、嘘の吐けぬ『おうじさま』と
 聡明な銀月の『おひめさま』でありましょう。

 今夜は書斎でお待ちしますと告げようとして
 水鉢に浮かぶ梅花を見つけ、それを悟ったのでございます。]

(9) 2014/09/21(Sun) 10時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 
 
‘Tis better to have loved and lost

 than never to have loved at all.


[細い指先に梅花を乗せ、呟くのは呪詛でありました。
 芽吹かぬように、深く深く掘った土の中へ。
 埋めていたのでございます。]

(10) 2014/09/21(Sun) 10時半頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 10時半頃


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 12時半頃


─中庭─

[花弁を揺らすのは冷たい風か、翅か。
蝶に向けて囁いたのは遠回しな伝え方。

異国の言葉を東洋の人間が訳したものであったが、背筋を滑るのは霧雨よりも冷たい一筋。

吐く息は空気を揺らし、濡れた睫毛は何処か動きが拙いもの。

過るのは手折られた花と翅を失った蝶。幾度となく耳にした御伽噺の結末。

それでも、重なり合った手のひらと言葉があるのならば。

そっと、──霞みのように淡く藤は笑う。]


[蝶の囁きにに応えるのはくすりと漏れる声。

ひとつ。 踵を上げた。
ふたつ。 つま先は地に濡れる。
そうしてみっつ。 「貴方」の手を強く、握り返す。]

──…。

[風が後ろ髪を撫でる。
それでも青年は、花籠を一度も振り返ることなく足を動かす。

吐く息は乱れたもの。軈ては重なり深い深い森の奥へと。

引かれるまま、つられるまま。
花弁を散らして人の子は蝋燭も月の灯りもない木の陰へと進んで行った。]


─館から森 ─

[足元から奏でられるは、朽ちて地に伏した梢や枝の音。
名を呼ばれれば、口元を緩めて寄り添うように後を着いていく。

どれほど歩いただろうか。
身に纏っていた着物は鵐に濡れ、色を変えている。
それは傍に佇む青年も同じように雨をその身に受けていた。
不安が無かった訳ではない。
ざくりと音を立てるは二つ分の足。
それでも時折手のひらを強く握りしめては見えぬ陰に怯えたように唇を噛み締めただろう。

揺れる声で彼の名を呼ぶこともあっただろう。
けれど与えられる励ましの言葉に、何とか鉢から落ちた枯れかけの花は足を動かすことが出来た。

「痛くはありません。」
「疲れていません。」
「ええ、きっと大丈夫。…きっと。」

まるで言い聞かせるように彼の紡ぐ台詞を返していく。花びらは一枚、一枚と跡を残すことなく夜露に溶ける。]


……ん。

[輪郭を辿りながら囁く歌は人の子が紡ぐもの。
聞いたことのない『花籠物語』
その先に待つものは光か闇か、それは分からなくとも。]

…幸せに、……きっと。

[酔ったように滲ませた双眸を向けては胸へとゆっくり染み込ませるよう囁く。

森の奥、小さな小さな箱庭へと訪れた二人の間に舞うのは星屑のような鱗粉。

背後から軋む木の音を聞けば、小さな小窓から姿を覗かせる月下蝶。]

──…どうして?

[“待ってて”を振り切り、小窓へと顔を覗かせれば、濡れた髪を通る指先。いつもより冷ややかな温度に瞳は曇ることを知らない。]


…でも、…もしも……

[追手でも来たのならどうするのだと。尋ねる声は震えたもの。
それでも先を思わず甘言に揺らされたのは、花ではなく人の心。]

……早く、戻って来て。
…約束、して下さい。…お願いだから。

[翅を落とした蝶であったものに強請る声は小さなもの。
それでもそっと、離れゆくその頬に触れることが出来たのならば、去り行く唇に口付けただろう。]

…月は一人でに動けませんよ。

[揶揄には、いつもの調子で捻くれた言葉を返して。
離れていく香り。貼り付けた笑みが少しずつ曇っていく。]

──…トレイル。

[やがてその姿が見えなくなるまで見送って。
迫り来る陰の気配を感じるまで、疲労を溜めた身体は夢の世界を揺蕩う*]


【人】 看板娘 櫻子

[淡藤の『花』を思い、濃藤の『花』を思い
 口にする呪詛は蓋をした心の裡で蝕んでいくようでした。
 ですから僕は梅花と共に、それを埋めていたのです。
 空は秋の色をしておりました。
 庭に植えられた秋櫻と、同じ色をしておりました。
 秋の中に櫻がひとひら揺れていた頃のことにございます。
 切り取られた窓枠、そこから見えた色と声に僕は振り向いたのでございます。]

 僕の唄ではありません。
 淡藤の唄にございます。

[これは僕の呪詛ではないと、土に汚れた手を払います。
 眸の先には珍しいお姿がありました>>13

 ……誰そ彼、とはよく謂ったものですね。

[此処に来られる時のお姿からは想像もしない様相をしておられました。
 昨夜は地下に足を踏み入れることがなかったので、姿を拝見することもなく。
 その間に嗜好をお変えになられたのでしょうか?
 射干玉をまあるくして、僕は驚いた表情を向けました。]

(14) 2014/09/21(Sun) 15時半頃

[

ざくり。 ざくり。


梢の折れる音を遠くの地にて耳にしたような、気がした。]


──…ん?

[重なった睫毛が揺れたのはどれくらい時間が経過した頃か。

ちいさな小屋にて備えてあった木造の机に突っ伏していたと気付いたのは、頬にあたる木の目の冷たさから。

ちいさな布擦れと共に身動ぎすれば、身に纏っていた衣類がすっかりと乾いていたことから、随分と長い間時が経っていたことに気付いた。]

…ど、うして。

[椅子の軋む音と共に胸にかかる圧。
勢いよく立ち上がった先、言伝も忘れて扉を開ければ、雨の薫りを残しつつも薄っすらと虹のかかった東雲が朧気に浮かび上がっていた。]


……何か、何かあったんじゃ…、

[「必要なもの、集めて来るから」青年が口にした言葉を脳に反芻させながら、一歩、二歩と。木の枝を踏み、花を散らしながら森の中を歩いて。歩いて。掻き分けて。

足はいつからか泥濘も気にすることなく、勢いよく花を蹴散らしていく。
つま先は蔦が絡み合い、地へも膝を打つけれども止まることはなくまた立ち上がり、鱗粉を追うように駆けていく。

息が乱れる頃。すっかりと日の明かりがその身を照らす頃。
いつの間にかたどり着いた湖畔にて映った人影に]

……何か、何かあったんじゃ…、

[「必要なもの、集めて来るから」青年が口にした言葉を脳に反芻させながら、一歩、二歩と。木の枝を踏み、花を散らしながら森の中を歩いて。歩いて。掻き分けて。

息が乱れる頃。すっかりと日の明かりがその身を照らす頃。
いつの間にかたどり着いた湖畔にて映った人影に]

──トレイル様?

[振り返り、瞳に映ったその貌に──…]


ど、 ぅし て。

[脊髄に走る衝撃。
見開かれる瞳は限界までにその姿を映し。
やがて意識の途絶えるその時まで、焼き付けていただろう。

ゆらゆらと揺れる先。
手折られた花を摘み拾っては新たな籠へと束ねていく*]**


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【人】 看板娘 櫻子

[宵に、『花』の蜜にと誘われる『蝶』が
 ひらひらと集まり始める時刻です。
 いつもは夜も更けてから訪れる色を、珍しげに見ていたからでしょう。

 甘い蜂蜜を煌めかせる『蝶』が息を潜めていることに>>17
 気がつかなかったのでございます。]

(18) 2014/09/21(Sun) 16時頃

【人】 看板娘 櫻子

[梅花を埋めるとき、ぽつりとひとつ溢しましたが
 小さな声は風に浚われてしまったことでしょう。
 過ぎ去る『蝶』も枯れゆく『花』も、櫻樹はたんと見てまいりました。
 そして大事な『花』枯れる度、心裡に埋めていくのです。]

 虹を渡って行かれたのです。

[『人』になりに、とは謂いませんでした。
 謂ってはならない気が、無意識に唇を閉じさせたのでございます。]

 今宵は、『花』もお買いにならないのですか?
 本当に珍しい、明日は雪でも降るかもしれませんね。

[『外』を知らない僕には、価値などさっぱりとわかりませんが
 彼のお召し物は、質がよいなどと謂う範疇を越えているもののように感じます>>19
 首にあるネクタイは、随分とぐうたらに緩められておりますが
 それは『外』のお姿のひとひらなのでしょう。
 お話しされるお言葉も、まるで永遠に続く夜ではなく
 照らされた昼のことを話しておられるようでした。]

(21) 2014/09/21(Sun) 16時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[あぱるとまん、とは住まう家のことでしょうか。
 屋根があればいいと謂う、珍しすぎるほどの言葉に
 じいと、成長止まった僕の顔を向けて
 射干玉が見つめていたのでございます。]

(22) 2014/09/21(Sun) 17時頃

【人】 看板娘 櫻子

 ええ。
 でもきっと。

[「縁起悪ぃな」>>24と仰られて、僕は素直に肯きました。
 丁という『花』が違う咲き方を求めた末路を知っているからであり
 そしてそれ故に「きっと」と続けました。
 願いの篭められた、あるいは祈りの篭められたその言葉の後には
 何も続きませんでした。]

 土いじりは、いつものことです。
 花を植えて育てるんですから、…墓守なんかじゃありません。

[『花』を植え、『花』を育てているのです。
 そしてまた枯れ朽ちた『花』を土に返し───…。
「墓守」と謂われて、返す言葉を探しましたが
 上手く返す言葉が出てこなかったのは
 本当にそうだと、どこかで自覚していたからでございます。]

(28) 2014/09/21(Sun) 18時頃

【人】 看板娘 櫻子

[とまらぬ『花』が目の前にあるでしょうに。
 決して口には出しません。
 言の葉にすれば、まるでそれこそ未練がましく思われて
 また揶揄で返されてしまうのでしょうから。

 射干玉に映りこむのは、悪趣味に笑まれる顔で
 それを映す僕は、微笑むこともなければ怒るでもなく
 ただ、ふわりとした印象があるだけの無表情。

 それが一度微かに揺れたのは
 性質の悪いお言葉>>25に、でした。]

 …───意地悪な『蝶』。

[手折る気などないくせに。
 僕は長い睫毛を一度伏せました。
 自覚もなく、愁いを帯びて俯きかけたのでございます。]

(29) 2014/09/21(Sun) 18時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[俯きかけたその顔が地面へと落ちずにあったのは
 手招きする姿を眸が捉えたからでございます。
 そしてその先、姿を見せるのは金色の蝶でありました。]

 ベルさまっ。

[陰っていたはずの表情は、ぱあ、と明るさを取り戻します。
 ふわり、微笑みを浮かべると
 どうやら御二方とも、なにかあったご様子でした>>26>>27
 意地の悪い御方の表情、揶揄。
 そして美しい御方の染まる顔。
 長くこの廓にあれば、大体の予想はつくもので。
 『蝶』が『蝶』とお戯れになったのでしょう。
 交互にお二方を見て、少しの間口を噤み。
 そして、もう一度『花』の微笑みを浮かべました。]

(30) 2014/09/21(Sun) 18時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 ちょこれーと…!

[微笑みはすぐに、満開の笑みへと変わります。
 また逢いに来てくださったこと、それに甘味のお土産です。
 嬉しくて、頬が緩まぬ筈がありません。
 甘味の中でも、ちょこれーとが僕は一番好きなのです。
 ベルさまにはお話していないのに、なんて素敵な『しあわせ』でしょうか。]

 頂いても、よろしいんですか?
 お茶でもお淹れします、ご一緒にどうですか。

[盗み聞きだなんて思ってもいません。
 ですからベルさまがどうして気まずそうにしているのか判らないまま
 小走りにベルさまのお傍へと寄りました。

 ベルさまには、笑顔でお傍に寄るというのに
 彼の『蝶』へは自ら近付きもせず、ただ射干玉を向けるだけです。]

(31) 2014/09/21(Sun) 18時半頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 19時頃


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 20時半頃


【人】 看板娘 櫻子

 ちょこれーと、大好きなんです。
 あっ、でも、くっきーもすきですっ。

[ベルさまは微笑み返してくださいました>>32
 そのお顔は、やはりとても端整でお美しいと思います。

 「クッキーじゃなくて」と仰られた時には
 ふるふると首を横に振りました。
 ざっはとるてというものも食べてはみたいのですが
 それより何より、お気持ちが嬉しいのでございます。

 そして渡されるもうひとつの包み>>33
 包みの中のものと、渡されている御方とを見ては見るのですが
 ちょこれーとくっきーに、お茶に、と。
 あまりに似合わなすぎる気がいたしました。]

(38) 2014/09/21(Sun) 20時半頃

櫻子は、ヘクターさまは包みを受け取られるのでしょうか…?

2014/09/21(Sun) 20時半頃


【人】 看板娘 櫻子

[「いつも墓守代わり」だの>>39
 何も謂わず、肩を竦めて見せたりする>>40
 そんな意地悪な御方です。
 こめかみを掻く指先は、甘いお菓子を受け取らずに居られました。
 そしてその唇がまた意地悪な語ばかりを紡ぎます。
 射干玉の眸は一度、秋色の方へと移ります。

 じ、と見詰めている間はほんの数秒だったでしょう。
 けれど明確に、少しだけの間を置きました。

 何を告げるか、開いた薄い櫻色の唇は言の葉を添えます。]


 ───あれば、入れて差し上げましたのに。


[そしてきっと、酷く哀しい顔で微笑みました。]

(45) 2014/09/21(Sun) 21時頃

櫻子は、ニコラスさまに向き直ります。

2014/09/21(Sun) 21時頃


【人】 看板娘 櫻子

 好きなもの、ですか?
 ええ、っと。

[問われて振り返る頃>>43には哀しげな色は薄まり
 何が好きだろうと、数多くある好きなものを思い返しておりました。]

 んーと…、珈琲…ちょこれーと…お花…
 我儘なので、たくさん思い浮かんでしまいます。

[少し困ったような顔をして微笑んでから
 ふと、思いついたように手を打ちました。
 折角美味しいお菓子を持って来て下さったのですから。]

 朧さんや丁助さんにも、分けて差し上げてもよろしいですか?

[それともお茶に誘ったほうがいいのでしょうか。
 甘い物を誰かと一緒に食べるのは、僕の『しあわせ』のひとつです。
 今はもう消えてしまった藤色と、数日前ここでそうしたように。

(46) 2014/09/21(Sun) 21時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 ……?

[見上げたベルさまのお顔は、なにやら耐えておられるようで>>47
 僕は何か変なことでも謂ってしまったのでしょうか。
 判らずに見上げることしか出来ません。]

 はい、牛乳をたっぷりといれたものが。

[勿論入れずとも飲めはします。
 外見のおかげで、まさか苦すぎるだなんて心配されているとは露知りません。
 二七の歳月を、どこかで止めてしまったような僕の顔は
 次々取り出されるくっきーの包みに
 それこそ幼子のように微笑みました。

 くるりと辺りを見回したのなら
 こちらを見ていた『花』を
 見つけられることは出来たでしょうか?>>41

(50) 2014/09/21(Sun) 22時頃

【人】 看板娘 櫻子

[ふと、耳が言葉を掬い上げました。
 水鉢の中に泳ぐ魚を白く細い指先が掬い上げるように
 それは静かに、僕の心の裡へと
 ひとつの違和感となって残ったのです。

 僕の、毒の言の葉は
 お茶会の席をひとつ、奪ってしまいました。
 断る声には、まるで興が削げたとばかり>>49

 ……───。

[秋の深まりを知らせるコートが、はたりと揺らめいて
 四角く切り取られた窓辺から離れて行かれます。
 此処は籠の『中』、そしてあちらは籠の『外』。

 謎掛けにこの時はまだ、小首を軽く傾げましたが
 僕の表情は、寂しげなものであったでしょう。]

(51) 2014/09/21(Sun) 22時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 ……お気を、悪くされてしまったようです。

[櫻に毒など在りはしないのに。

 物騒な発言をしたのは僕自身です。
 櫻にも毒が在ればいいと、どこかで思ってしまったのです。
 『 』という毒があれば、いいと。]

 お茶、したかったんですけれど。
 僕はあの方に、嫌われているみたいです。

[彼の『蝶』の姿が見えなくなってしまってから
 言葉とは裏腹に落ちるのは微笑みでした。
 眉尻を下げ、しゅんとした表情でありました。]

(53) 2014/09/21(Sun) 22時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[視線に捉えた焔の色も、どこかへ消えてしまわれました>>52
 射干玉を一つ二つ、伏せ。
 ベルさまへと向き直るのでございます。]

 行きましょうか。

[広間に行けば、お茶をお出しすることも出来るでしょう。
 ベルさまをお誘いしては
 呪詛に、種にと、植えた中庭を後にするのです。]

(54) 2014/09/21(Sun) 22時半頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 22時半頃


【人】 看板娘 櫻子

── 広間 ──

[広間まで、繋ごうと手を差し出されました>>57
 断る理由は何一つなく、喩えそれが誑かしているのだとしても>>48>>55
 僕はベルさまの指に指を添わせ
 広間へとやってきておりました。

 朧さんほどお茶をご用意するのも上手くはありませんし
 幾日と前に此処でもてなした『花』とは
 また違ったものを用意するでしょう。]

 くろわっさん!
 でも、びちゃびちゃになってしまいませんか?

[話を続けていれば>>56、笑みも元に戻りましょう。
 気になる言の葉からは、一時眸を背けておりました。]

(58) 2014/09/21(Sun) 23時頃

【人】 看板娘 櫻子

 そう、なのですか…?

[びちゃびちゃとするのがいいらしい>>60
 ベルさまは不思議な御方だと思うけれど
 随分と味覚の方も個性的でいらっしゃるのかもしれません。

 取り出した甘味と、とうもろこしの香るお茶。
 緑茶でないのは、少しでもくっきーに併せてのことでした。
 もしかしてですが、これにクッキーを浸したりもされるのでしょうか。
 おずおずと、先程まで繋いでいた手を見詰めました。]

 美味しいなら、よかったです。

[ね、毒なんて入っていないでしょう?
 余計なことを謂わなければ、彼の『蝶』が座っていたかもしれない椅子。
 それに一度、視線を向けたのでございます。]

(61) 2014/09/22(Mon) 00時頃

【人】 看板娘 櫻子

 とうもろこしのお茶です。
 炒った実を使って、お茶にするのですよ。

[かふぇいんが入っておらず、芳ばしい香が特徴です。
 素朴な味がして好きなのだと
 他愛もない会話の中に紡いだりもしたでしょう。

 僕の視線を集めていた指先には
 ちょこれーとくっきーではなく、筆胼胝がありました。
 小首を傾げながら話してくださる姿に
 僕は純粋な尊敬の表情を浮かべました。]

 お話をお書きになられるのですか!
 本を読むのも好きなんです。
 ベルさまのお話も、読ませていただけたりしますか?

[次のお土産には、甘い『夢物語』がいい。
 僕はそんな風におねだりをしたのでございます。]

(65) 2014/09/22(Mon) 00時半頃

【人】 看板娘 櫻子

 ……僕は、嫌ってなどないのですよ?

[優しく語られる未来が>>62
 僕の唇を少しだけ軽くさせました。
 ベルさまは「ヘクターさんは櫻子さんに愛着があるって言ってた」>>56
 そう、謂っておられました。

 それはあまりにも信じられるものではありませんでした。
 きっとこの優しい太陽が、僕に聞かせてくれる『夢物語』なのでしょう。

 僕だって嫌いなわけではないのです。
 ただ、ずっと苦手に思うだけで。]

 出来るでしょうか…。

[どうしたってそんな未来、想像など出来もしませんが。]

 ……出来れば、いいなって思います。

[隣に座り、甘味と飲み物とを並べて。]

(66) 2014/09/22(Mon) 01時頃

【人】 看板娘 櫻子

[そんな未来を望む事さえ許されないのだということを
 僕が知るのは、まだこの刻ではなかったのでございます。


 櫻は今日、花籠での終わりを迎えます。


 それを知るは、今宵の櫻を買い付けた『蝶』のみでしょう。
 櫻の季節が終わったのだと。
 身を繋ぐ見えぬ鎖が、今宵の金で断ち切られるのだと。

 ──中庭も幾分、寂しくなることでしょう。

 此処でしか咲けぬ『櫻』を捨てる言葉が
 きっと愉悦滲ませながら、響いていたのでございます。]

(67) 2014/09/22(Mon) 01時頃

【人】 看板娘 櫻子

 いつかきっと。
 だって、僕はずっと此処におりますから。

[何も知らない『櫻』はひとひら
 甘い焼き菓子の花弁を食んで、微笑んでおりました*]

(68) 2014/09/22(Mon) 01時半頃


[森の奥の奥の小屋には、小さな月が、堕ちている。

なんて、まるで御伽噺の様な――終わりで、始まりを。]




 ――…亀吉。

[嘗て、ある城に仕えて居た頃に。その主に授かった小屋。
その風貌はまるでヘンゼルとグレーテル、かの魔女の住む家だと嗤う者も居るだろうか。
されとて親も、形見も、何も無い自分には初めての贈り物。初めての自分のもの。家に自分のものを揃えて置きたいと思うのは――そう、ごく自然の事だと。
頬に当たる温風が首筋さえ撫で、森の奥へと流れて行く様を横目に、彼の不安を剥がれぬ濡れ紙のように脳裏に張り付けながら、ただただ先を想い踊る胸を抑え。

その兄妹の御伽噺のように、道標のパン屑は無い。
野薔薇に抱かれる塔へ向う王子の為に、誘ってくれるものさえ無い。
そう、この秘密基地を知るのは夜に微睡む月と、森の影。
――そう、泡沫の様に切ない幸せを望む二人と …影、のみ。


  宵闇は、館のみに留まらず。]


― 現在 ―

 …ん、……あ。

[ぱちり。自分で閉じた覚えの無い目蓋を押し上げる。
見えたものは仄暗い世界。感じたものは冷たい床。

――嗚呼、籠から出たものは、所詮夢だったのか。

そんな絶望に似た情を胸に燻らせながらも身体を起こそうとした時に、一閑後頭部に響いた痛み。まるで夢では無いと示してくれたそれは、ハッピーエンドでさえ無いと暗に指し示しては嗤ったように思えた。

今一度床に突っ伏したならば、冷たい感覚にもちいさく呻きでも上げただろうか。]

 …どこだ、ここ。

[確か、確かと思い巡らす。
かの淡藤が――否、好い人が、腹を空かせているだろうと街へ出たその先で。
好い人の為に、先ずは休める物を集めようとしたその矢先に。
立ち憚る影はまるで走馬燈。数人の影は自分を包み、軈てはその影を、…手元の狂気を振り翳し――記憶はそこで闇に呑まれて消えている。]


  …帰らなきゃ。

[ただ自分を突き動かすのはその衝動。彼の不安気な眼差しが胸を射抜いては、焦燥感がせり上がり。

そう、帰らなくては。自分達の家へ。
これから綴る、物語の行き先へ。
――そうでなければ、月が、泣いてしまうから。

然し重さを伝える四肢は、妙な金属音と共に。ぐるりと暗がりを見渡し見えたのは、自分と同じ様な人と。
……この町に在ると言う、小さな娼館の名前、だろうか。]

 …――ちょっと、……笑えねえよ。

[身を売られたか、売られる道中か。真相は定かでは無いけれど。
翅を未だ持つ蝶を閉じ込めるような鉄籠は、蝶の胴を押し当てても揺らぐ事は無く。

幼い記憶の奥底で、じんわり思い出すは近辺に住む悪趣味な金持ちのこと。
嗚呼、これじゃあ物語は綴れないと。震える唇は彼の名前を紡ぐ。]


メモを貼った。


【人】 看板娘 櫻子

── 広間 ──

[ベルさまとはどれ程お喋りをしたでしょうか。
 他愛もない会話が殆どでしたでしょうが
 それはとても、僕にとって『しあわせ』な時間でありました。

 その時が終わりを迎えたのは
 「櫻の夢が所望された」と何方かにお伝え頂いた時のことでしょう。]

 ……ベルさま、ごめんなさい。
 呼ばれてしまったので行かなくちゃ。
 今宵も、あなたさまに合う蝶と出逢えると佳いですね。

[申し訳ございませんと、恭しく席を立てば
 微笑みを向けたのでした。]

 また、お越し下さい。
 お待ちしておりますから。

[そうして、広間を後にしたのでございます。]

(69) 2014/09/22(Mon) 04時頃

【人】 看板娘 櫻子

[白い着物に変えるために部屋へと帰る道すがら
 『蝶』は何方なのかお聞きしました。

 その瞬間、聴いた名前は思いもしない名前でありました。]

 ご冗談を、そんなまさか。

[櫻など、見向きもしない『蝶』ではありませんか。
 他のどんな『花』にとまっても、毟っても
 櫻樹には寄りもしない『蝶』のはずではなかったのですか。]

(70) 2014/09/22(Mon) 04時頃

【人】 看板娘 櫻子

 やっ  …──、いやだ… 厭です!

[僕は初めて、地下へ向かうことを拒みました。
 それは子供が駄々をこねるように少し続きましたが
 結局は、向かわなければならないのです。
 その些細な反抗は、地下牢にも伝えられてしまったことでしょう。

 何が、そんなにも厭なのでしょう?

 深くを考えてはならない気がして。
 僕はしぶしぶと、白を纏っていきました。]

(71) 2014/09/22(Mon) 04時半頃

【人】 看板娘 櫻子

── 地下牢 ──

[白い着物を纏った櫻の精が、肌寒い地下に舞い降ります。
 待つであろう、探すのは秋色。
 射干玉がその色を捉えたのなら、そっと房へと格子を潜り抜け。
 清めた身体から櫻の香を漂わせておりました。]

 ……───買わぬのでは、なかったのですか?

[今宵はどんな気紛れなのか、と。
 薄い唇を引き結んで、射干玉を床へと落とします。
 白い女物の着物、けれども頭には何時もの櫻色が揺れていました**]

(72) 2014/09/22(Mon) 04時半頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/22(Mon) 04時半頃


ー寂寥の日ー

……また新しい方がいらっしゃいましたか。

[娼館の裏口停まる荷馬車一台
売られた人、これから売られる人を集められた鳥籠がそこに鎮座する。定期的に新しい花を卸しに来る商人が、また新たに連れてきたらしい

此処にある花、どれを買うかは分からねど娼の主が検分を始める。自分は丁度手が空いていたので主の証文等々の荷物持ちとしてその場へと立っていた

主がその荷馬車の主であろう人と交渉しているその中で、目を引いたのは茶の髪をした少しばかり身なりのいい商品
その頃はまだぼろぼろの爪ではなかったろう。それで己が額に掛かる前髪払い]

――……?

[と、彼が呟いた名に、聞き覚えがあった気がした]

亀吉君を、君はご存知なのですか?

[もしかしたら、聞き間違いだったかもしれないがそう尋ねてみた]


メモを貼った。


メモを貼った。


─?─

[ピクリと睫毛が震える時、漏らした声は掠れていた。]


[突如暗くなった視界の中。ぼんやりと覚えているのは勝手気儘に揺れる身体。

鼻を掠める人の気配を意識の外で微かに感じながら、鉛のように重さを持った体躯が、硬い膝元に沿うように寝そべっていることに気付いたのは、耳朶から顎をなぞる肥えた指先が幾度か往復してからのこと。]

──…っ!

[息を飲む音。強張る肩。
反射的に顔を背ければ止まる指の動き。代わりに響いたのはガシャン、という金属の音。

不快な旋律に顔を顰めれば図ったようなタイミングで掴まれる頤。
視線の先、映るはいつかのあの男

水面にて映った影とゆっくりと重なっていく]


「迎えに行くと言ったじゃないか」

[囁く男の声は猫を撫でるような甘いもの。背筋に冷たい一筋を垂らしながら青年は瞳を見開かせたまま、男の指先に捕まり]

…ぃ、やだ……ッ!

[寄せられる顔。逸らしたのは一瞬。
歪む口元は青年のものではなく、男のもの。

叩きつけられたのは臥榻の上。
何処か埃臭い布は所々黄ばんでおり、記憶のものに比べて随分と薄汚れたものとなっていた。

それは花籠での暮らしが恵まれていた故か、この金持ちの生計が何年か前此処で閉じ込められていた時より傾いてしまった故かは知らぬところ。

どちらにせよ、記憶の片隅で比較してしまうこと。出来てしまうことに眉をキツく寄せては押し倒されるまま銀糸を散らす。

口籠る青年を満足げに見下ろす黒い影。]


「また伸びたのか」

[喜色を含んだ男の声が、結えられた髪を梳いていく。
不興を買って花籠へ連れて来られた時とは異なる愛玩するような手付きで。

ぞわりと悪寒めいた感触が身体を蝕む。背けることを許さないとばかりに寝台に張り付けられた鎖の先端。

男の脂切った指が、つま先がそっと、そっと髪紐へと向かい、暴かれていく。

白に揺れる銀色。満足そうに見下ろす男の口元は弧を描く。

乱された花頭に過るは射干玉の香り。何処からか射し込む光は陽か灯かは分からない。

けれど広間にて寄せられた櫻の花弁が散らしたそこを、散らされてしまう指先を、心底恨めしそうな顔をして歪ませただろう。]


[途端、男は笑み失せたつまらなさそうな顔で寝台に張り付けた青年に視線を向ける。
けれど青年の首元に残る所有の印を見やれば下卑た笑みへと代わり]

「…ああ、『花』だったのか」

[揶揄るような声が小さな小部屋にて響き渡る。
蟻走感を覚える青年より先に不躾な指の腹が首筋から首元へと辿り、花籠を抜け出す際に緩んだ衿元を寛げようと踊り出し]

「ほら啼いてくれよ 亀吉──…」

[全身を覆う陰がそっと、覆いかぶさった*]


[そして再び意識が浮上する頃には男の姿は見えず。
代わりに吐き出された欲がてらてらと腹を汚し、はっきりと男の痕を残していた。備え付けられた簡易な小窓に這いつくばるようにして近寄ろうとして、金属音が厭な音を立てる。]

「外の世界を好いてただろ?」

[行為の最中、揶揄るように並べられた言葉。
愛のない所有欲のためだけに身体を揺らされながらも、その台詞だけは拾っていた。

主人曰く──…

好きな分だけ見ればいい。
小窓からはお前の好きな街が見られる、と。

その度に首元から奏でられるは捉える為の楔。
犬や猫を飼うのと同じ、首輪。
喉仏を圧迫する枷を楽しそうに時折引いては嘔吐かせられた。

男が満足したのはどれくらい経ったのかは手放した意識の後が知ること。静まり返った部屋は殺風景で寝台以外は何の変哲もない場所。

自身の首元を覆う革以外は。]


[窓から射し込む光に近寄ろうとしたのは、首輪が不快な音を立てる前。
男の口とは裏腹に、ギリギリ小窓に届かないくらいの距離で留められた鎖。

乾いた舌の音が部屋に響くが気にしない。
咎める人は今いない。

だからこそ、喉仏を締め付ける首輪の圧が加わろうとも、身を乗り出し小窓の下を覗き込もうとして──視界に掠めたそれは──…?]

……ト、…ィ…

[囁く声は掠れて *響く前に落ちた*]


メモを貼った。


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/22(Mon) 13時半頃


【人】 看板娘 櫻子

[僕の射干玉は俯き、少しの刻を巻き戻ります。
 持て成したお茶の話、書かれていらっしゃるという小説の話>>73>>74

 朗らかに笑う、太陽の御方は「好きなのは悲劇だから」と
 ご自分の書かれたお話の事までは、お話ししてくださいませんでした。

 悲劇は安心するのだと仰られます。

 僕が書斎で『夢物語』ばかりを読んでいた、霧雨の日。
 数多の『しあわせ』と幾千の『悲劇』を眸に致しました。
 僕の心に残ったのは、どちらの物語だったのでしょう。]

(76) 2014/09/22(Mon) 17時頃

【人】 看板娘 櫻子

 ベルさま。

[僕はひとつ浮かんだことをお伺いしようとして、唇を開きました。]

 ……───。

 そのお茶会の時は、珈琲をお淹れしてお待ちしておきますね。
 だから、ざっはとるて、というものを…
 楽しみにしておきます。

[そして結局、伺うことはできなかったのでございます。
 叶いもしない未来を夢見て、約束を重ねていくのでありました。]

(77) 2014/09/22(Mon) 17時頃

【人】 看板娘 櫻子

 
 
 はい。
 僕もベルさまのこと、大好きです。


[再会の約束は、心からの言葉と笑顔でありました。
 それが最後になってしまうことを
 『悲劇』の物語だとするならば

 ───ベルさまは、喜ばれたのでしょうか*]

(78) 2014/09/22(Mon) 17時頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/22(Mon) 17時頃


― 人売りの馬車 ―

[皮肉な物だと、一人自嘲した。
籠から逃げ出した蝶は形を変えて花籠へ、戻る事になるだなんて。

目前で繰り広げられるは花の売り買い。人による人の欲の為の、花の売買。ひとつひとつ乱雑に摘み上げられる花達は、それまた乱雑に分別されては要らぬ根を、足を伐採される。――契約書と言う名の鋏に依って。

自分まではまだ数も在るだろうか。
恨めし気に役人を見ることはあるけれど、売られる花には一瞥もくれず。共に咲くことになるだろう花のことなど、知りたくも無いと顔を背けては茎となる前の手足に力を入れ

――そうしている内に聞こえて来た声には、思わず大きく顔を上げた。]



 …キミこそ…、…亀吉を知ってるのかい。

[その姿は花売りには到底見えず。ただ傲慢な売り人買い人の側に立つ彼はまるで「花」。まさかと睫毛を震わせるけれども、返答を貰わずには声も出ず。
ただその代わりに、否元から懇願する気は有ったのだろうが――急いだように言葉を紡いだそれは此処から出る術を尋ねるもの。

「ねえ、ちょっと、ここから出してくれない」

なんて、冗談めかし、苦笑混じりに籠を押す。
まるで少しだけで良いからと、無垢な子供が境界線を知らずに大人に疑問を掛けるように。

…そんな事をすれば、子供で無い自分は、地位の持つ立場でない限り。此処の役人が余程の「甘人」でない限り。彼の身に降り掛かるモノが視えているはずなのに。]



[ただ脳裏に浮かぶ朧月は今や好い人。
其れがどうにも泣いているような気がして、かの瞳が魅せたいつの日かの寂寥が余計に気持ちを焦らせる。余裕を見せたつもりの言葉はただ早歩きしているようにも思た。

然しそれでも、気のせいかもしれないけれども。
星に宿されたとんでもない出来事が、堕ちた月へと降り掛かる様な胸騒ぎがした。]

 …――俺、急いで帰らなきゃならな、…いんだけど…さ。

[ 一刹那。
気持ちを誤魔化し弛めた頬を引き締め、神妙に言の葉を紡ごうとしたその視界の隅にて。遠い遠い道の果て。大きな屋敷に造られた窓辺

そこに彼が、居た気を持ったならば。
…今や花に成り掛けた蝶の顔は強張り、ただその紺瑠璃を酷く揺らし咽は水に飢える。]


…ええ。昔の知り合いです。
[絞り出す声はどこかよそよそしい
出して、という言葉にゆらりと瞳を揺らめかせ。暫し考えた後]

……今は無理です。でも、脱走する手引きなら。
今はこの廓の主に買われて下さい。
水揚げまでには時間があるでしょうし、それまでに機を伺えば今ここで逃げ出すよりは逃げ伸びる事の出来る可能性は高い。

主に口を聞いてこの花を買ってと甘言することはできます。
……どうなさいますか?

[急いで帰らなければ、と言ったその亀吉の知り合いの顔が強張るのを見れば、声をひそめて尋ねた]


メモを貼った。


メモを貼った。


[こてりと。緩にちいさく余所余所しい返答へ首を傾げた。
男はただ前籠で花や蝶が行方不明になっているとは梅雨知らず、無知故に訝しむ視線さえ投げながら――そうして来たる返事にはこくりと浮かんだ疑問を腹に降ろしては「何かが在った気がした」窓辺から視線を外す。]

 ―――み、…水揚げ、

[ぱちり、ぱちりと瞼は瞬いた。
廓に通って居た自分が知らぬわけではない其れ。以前酒場にて小耳に挟んだことによれば其のような花を買った人さえ。]

 ……それ、一歩間違えば俺…ヤバいでしょ。

[伏せ掛ける瞳は凄みさえ垣間見え。自分が自分の気に入らない輩に抱かれること、そしてその姿なんて考えたくも無いと、首を振り髪を揺らし。ひとつ、瞬き。

首筋に掛かる髪先に擽ったさを覚え、その首元へと手を置いたのならば。軈ては吐息を空に混ぜ、彼の提案にこくりと首を縦に振った。]

 ……裏切らないでよ。

[そんな言葉を手土産に。]


……そうですね。間違えば貴方は汚されますでしょう。
でもそれは私が身体を張って止めましょう。
亀吉君の知り合いなら、此処へ繋がれているのは本意ではないのでしょうし。
この薄汚れた身で誰かを助ける事ができるなら、その方がいい。

[亀吉の名を切なげに呟いていた彼、もしかしたら淡藤と良い仲なのかもしれない
ならばそれを助けるもまたいいかと笑み零し]

裏切ったならこの首へし折っても構いません。
助けますよ――空にかかる月に誓って。

[逡巡の後この提案を受け入れた彼に微笑みかければ、主へと声をかけに馬車を後にしたろう]


[視界の隅に捉えた二つの影
遠目からと、一瞬の出来事にそれが誰であるかなどは分からない。

だからこそ青年が望むのはただ一つ]

(……どうか、知り合いでありませんように)

[首元を繋ぐ鎖に視線を落としながら、唇を噛み締める。
舌に広がる鉄錆。少し乾いた唇を湿らせては、張り付いた喉を潤す。]

(…お腹、空いた)

[呑気なあまりにも悠長な生理現象。自身に呆れつつも、下げた顎を上げ睫毛を上向かせた先は扉の向こう]


……俺は『花』じゃない。『人』だ。

[いつか、彼は告げていた。
物語を紡ぐのは人であると。

花籠を壊すことは出来ない。
花は翅を望んではいけない。

(それは花に与えられた運命であるけれど)

小鉢にて尾びれを揺らした梅の花。
小さな水面の下でしか咲けぬ命。

箱庭にて根を下ろす花々達の香りは未だ忘れることはない。]

(…でも、俺にはあの手がある。
月の下で、引いてくれたあの人の手の感触を俺は…覚えてる)

[月が綺麗だと謂って『外』へと導いてくれた手。
青年の脳裏に浮かぶは霧雨の中でもはっきりと歪んだ脣。がなり立てる金属音は騒々しく空気を軋ませる。]


──…ッ、こんな、モン…っ

[爪が革に食い込み、厭な音の後鋭い痛みが走る。
青年は眉間の皺を刻みつつも、やめる気配も見せず続けること少し。

閉ざされていた扉が開かれた]


[“煩い”その理由一つに見張りだろうか。屈強な男が現れては此方を見下ろす。青年はたじろぐことなく睨み返せば男の舌打ちが小部屋を揺らす。

それでも怯むことなく視線を投げつければ、やがて歪められた男の脣は弧を描き、下卑た笑みを浮かべて]

「嗚呼、紫とは大違いだ」

[と、比較するような言葉を投げつける。]

…紫?

[青年が不思議そうに鸚鵡の如く問いかければ、男は瞳に愉悦を滲ませ言葉を転がす。]


[そしてその“紫の人”が此処にいる男娼の一人であること。
艶やかな黒髪の持ち主であること。
そして、訪れた日にちを耳にして、瞳を強張らせただろう。]

………嘘、だろう。

[“藤之助さん?”問う声は儚く響く。

(あるはずがない。そんなこと。けどあの花見習いが嘘を吐いたのか?本当に?)

憔悴はまともな思考を、判断を鈍らせる。

狼狽しきっていた青年は気付かなかった。厭らしい貌をした男が一歩、二歩と距離を縮めていることに。
顎を掴まれてしまうまで。]



[何故そんなにも尽くしてくれるのかと、疑問は心中を渦巻くけれど。
その後の月言葉が鼓膜を叩けば、「キミは、」と。]

 もしかして、キミは。

[行方知れぬ花のことは、知らないけれど。確か櫻が数本の花を教えてくれたと、和やかな宵闇を脳裏に。

軈てその後のの姿も彼の主人の元へと消えたならば、少しして鉄籠から出されることもあっただろうか――]

 ………鶴、と。

[そんな呼名を宙に吐き、ひとつ。ふたつ。歩を進める。
――その呼び名は、亀と名につく彼と対局したような――それでいて、お揃いの物ではあったけれど。]


看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/23(Tue) 00時頃



[足の裏は鉄籠の硬いものから地面の柔らかな其処へと。
ゆうるりと音も立てずに、まるで影のように静かに。逆を言うならばお淑やかに。…そんなことが似合う人柄でもないけれど、せめてもの少しの間、その主への本心を隠すかの様に。

鶴と、名を紡いだ声は果たして誰かに、隣に咲く花に聞こえただろうか。

紺瑠璃の裏には夢を隠し、その夢さえ隠すように瞳を伏せる。]

…連れて行くなら、早くしてくれるかい。

[――但し素直な口先が、主の逆鱗に触れたのならば。
添う花の前で頬を叩かれでも、しただろうか。]


―霧雨の朝から数日―

[内臓がジクジク痛む。寝転がった石の床の冷たさが頬に刺さった。

此処は花籠から遠く離れた下賤な檻。花とも呼べない奇異な姿形をした者達を客が買う処。
そして店を構える前の男が奉公し、逃げ出した処。
店が見つかってから連れ戻されるまでは早かった。店の女は見逃されたものの、当の男は折檻、折檻、折檻。]

…………飽きた、って…

[自分が何かを主張したところで、此処では何も変わらない。

ゴロンと寝返りを打つ。後ろ手に回された腕に課せられた手錠が金属音を鳴らした。
さて今日の仕事はといえば「店の前に手錠で繋がれる係」これは店の趣向を伝える為。
「花が吸う煙草の火を背中で消す係」花に、自分よりも下の人間がいると思わせる為。
外から、扉の鍵が開く音。始業の時間だ。]


[排水溝が臭う店頭で、椅子に腰掛けながら空を見上げた。まだ、月は出ていない。
思い出すのは連れ戻される前の夜。無理やり言わせた言葉。]

馬鹿か。

[空に唾でも吐きかけるように自嘲した。背中の熱さと風の冷たさを感じながら、眠るように瞼を伏せる。*]


メモを貼った。


[問われた言葉には視線だけ呉れ、口元に人差し指を当て、踵を返したろう]

…鶴、ですか。良い名ですね。

[新しくついた花見習い。揶揄の様な口先、主の前でしたなら平手が飛んできただろうか
少しばかり怒る主に責任持って育てろと言われれば頷いて]

私は紫。宜しくお願いしますね。

[そう言って鶴に微笑みかければ、水揚げの日を聞いて脳裏で計算。そして耳元で]

……1か月。その間に亀吉の居所を探します。
くれぐれも、君は怪しい動きをしない様に。
私は処罰されてもいいですが、君には待っている人がいるのでしょう?

[忠告した後そう尋ね]


メモを貼った。


メモを貼った。


【人】 看板娘 櫻子

[金の蝶の『夢物語』から還るように
 伏せていた眸をうっすらと開けることにいたしましょう。
 降り立った牢獄はやはりどこか肌寒く
 だからでしょう、僕の指先は酷く冷たくありました。
 膝の間、手を組む黒衣は秋色の彼。

 ────『人』だなど、思ってはならぬ御方です。]

 毎夜『花』を毟るあなたさまに、謂われたくなどありません。
 
[まるで拗ねているような口調になってしまわないでしょうか。
 ああ謂われたなら、こう返し。
 返したものには揶揄が返るとわかりながらも、返してしまうのがいけないのでしょう。

 撥ね付けられるような感覚。

 あのとき>>0:236は、本当に珍しく感じずにいられたのに。]

(103) 2014/09/23(Tue) 00時半頃

【人】 看板娘 櫻子

[僕は不満げな顔をしているのでしょうか>>90
 いつものように微笑みを浮かべているはずなのです。
 そうしているつもりでいるのは僕ばかりで
 薄い櫻の唇を真一文字に引き結んだままでありました。

 彼は「屋根を借りにきた」と仰います。

 『花』を買われたわけでもなければ
 『蜜』を求めたわけでもなく
 『夢』を望むでもなく
 『櫻』を、ただ傷つけに。

 本当に酷い御方です。]

(105) 2014/09/23(Tue) 01時頃


[主の姿に少しだけ肩の荷を下ろしたのは寸分。読めぬ宵闇よりかは大分マシだと呆れさえ滲ませた笑みを浮かべ、――そうして告げられた期間には、即座に笑みは凍ってしまった。]

 …一ヶ月?…長すぎる。

 ここから先を行った森の中、そこに月が落ちてる筈だ。
 …きっと。

[震える声は何の為か。悪寒は胸を過っては背筋を這い、ただ悪戯に気持ちを焦らすのみ。

「…だから、そこを始めに探して」
続けた聲は低く地面を這いずり回る。
脳裏にちらついた月光の名残は消ゆることを知らず、「万一其処に居なければ」、と、…薄汚れた金持ちの存在を、静かに紡ぐ。]

 ―…怪しい動きなんて、するもんか。

[月さえ。そう。彼さえ無事ならば、例えこの身が永久に地下の宵闇へ沈むこととなろうとも。
然しそうでないなら別だと――唇は歪に形を変えては、続いた質問にはただただ秘密と顔を背け]



 …紫。キミが月と何の縁があるかは知らないけど。
 信用は、する。今だけは。

 でも俺は、キミが罰されることになろうとも、その身を救うことはしないかもしれないよ。

[後に続けた言の葉は、冷酷とさえ譬喩されるかもしれない。
余裕があれば、もしかしたら、若しかすると、援護に回った飾り言葉さえ、自信を無くしては地面へと落ちて逝く。

ただ、キミに何かあることで、淡藤の頭が垂れてしまうのなら。

その時はその時だと、温情は腹に沈めた。]

――だから、だけど。…共に月を、探して欲しい。


【人】 看板娘 櫻子


 あなたさまは……っ
 僕を抱いては、くれないのですか?

[判っています。
 きっと抱いてなどくれません。

 たとえその眸が僕の射干玉を見詰めていても。
 たとえその指が僕の髪に触れたとしても。
 たとえその熱に僕の体が跳ねたとしても。

 長く咲く『櫻』が、まだ咲かぬ『梢』と知りながら。

 僕は息を止めていました。
 ただ、眸は逸らさずに。]

(108) 2014/09/23(Tue) 01時頃

看板娘 櫻子は、メモを貼った。

2014/09/23(Tue) 01時頃


わかりました、森ですね。
では最初にそちらに足をのばしましょう。

[震える声を聞けば心得たと頷いて
万一言ない場合はという場合のことも静かに聞く]

金持ち……ああ、あの方か。
心当たりはあります。淡藤に執着している主のことでしょう。
先にそちらを探した方がいいかもしれませんね。情報感謝します。

[秘密と顔をそむける様子には苦笑一つ
今だけは信用するという言葉に何処か疲れた笑み浮かべ]

……ええ、今だけでいい、信用さえしてくれるなら。

別に救わずとも構いません。しいて言えば私は羨ましいのかもしれない。
私は、願えなかったから。
大切なものなどもう、なにもないのです。

[飾り言葉にも首を振り、必要ないと切り捨てた]


だから私を使い捨てなさい。
亀吉君が君の月なら、それを共に探しましょう。
僕とてあの人の幸せ願っているのですから。

[そう、鶴に告げれば踵を返して
空には朧月がかかっていたろうか]


【人】 看板娘 櫻子

[まるでなんでもないことのように、それは告げられました。
 もっと遠くに、とは何処のことでしょう>>109
 『外』知らぬ僕には、きっと想像も出来ないほどの
 そんな距離を言葉に感じてしまったのです。

 籠の中にある『花』に『蝶』がとまります。
 けれどまた再び止まるかなど、知れません。
 『蝶』を繋ぎとめておく手も術もないのです。

 ───『花』である限り。

 沢山の花弁を散らしてきました。
 沢山の底を隠してきました。
 沢山の『蝶』を見送りました。
 沢山の『花』を埋めてきました。

 他のためにだけ咲き続ける『櫻』なのです。
 自らのために流すものなど、ひとつとして───…]

(114) 2014/09/23(Tue) 01時半頃


[その疲れた表情に、何処か遠い昔のデジャヴュを感じたのは――疲れているのかもしれない。なんて]

 …探したりは、しないの。……大切なもの。

[羨ましいと、正直に伝えられる欲にはただ移った困惑を示し。
願えなかったと言を紡ぐその怖色は、どんな色に染まって居たのか皆目付けることさえせずに。ただ、はきりと言うならば。その色は「後悔」のようにも思えた。]

 ( なら、もうそれ以上は )

[「キミが苦しむようなことは、しない方がイイんじゃないのかな。」

慈悲とも、御節介とも、余計な言葉添えとも取れる其れは、彼の横を通り過ぎる際にちいさくこすりを上げては目前の花へと。
草臥れた花はまるで生気さえも無く、…次に摘ままれたのならば、直ぐに折れてしまいそうだとさえ、不謹慎な感想を持った。]

 …キミ、ここから離れた方が、いいよ。

[そうしてその背を、そっと前へと押し出しては、欲の渦巻く娼館へと足を踏み入れた。*]


【人】 看板娘 櫻子

[突き放す言の葉と共に、真逆のように引かれた身体。
 常夜の色を映した髪には、薄い櫻が咲いておりました。
 ひらり、舞い落ちるのは彼の『人』の傍>>113

 囁かれた言葉は、秋の夜風でしょう。
 ですから、触れ合う肌が熱いのでしょう。

 接吻けに、きゅうと瞼を閉じたのは
 注文をつけられたからで、思わずなどではありません。]


 っ、 ──…


[蓋をしていたものが。
 埋め続けていたものが。
 目を背けていたものが。

 呪詛の芽が、咲こうとしておりました。]

(115) 2014/09/23(Tue) 01時半頃




――その入口に、宵闇は亡かった。

かの花籠より随分質素に感じられる扉を潜り、踵を鳴らす。まるで隅々へ響いた踵音は娼館に吸い込まれては、廊下の奥の奥、遠い暗闇へと消え融けて行く。

背後を振り返っても、道標は無い。
前道も茨に呑まれてしまった。

真の信を置けるものは夜に咲く花、夜空の月。ただ変わらぬ光を、…慈悲を。情を。変わらずに躯へ与えてくれるただ一人の「  」。

《パンは鳥に食べられてしまった。》
《進む道は、茨道。》

いつの間にか、夜のろうそくは燃え尽きてしまった。うれしげにはしゃぐ朝の光が、もやに烟る山の頂で爪先立ちしている。


《行って生きのびるか、とどまって死ぬか》

籠の中から翅を空に、天に伸ばした時から、進む道は前にしか無く。

「だから、この先を」

――歩めばキミを 見付けられるだろうか。
月を森に隠した筈が、今度は自分が迷子になってしまったと、口端は震えながらに弧を描く。

そうして、その先。視えぬその先を見る為に。紫の言葉さえにも意にも介さず――否。少しばかり、同情したのかもしれない。草臥れた花に。色褪せた紫に。
だから、だからこそ。
走ったその先、開けた場所に月が大きく咲くまでの道程を、只管に。

「……待ってて。」

      ―― 走る。




衝突に衝動に呻く花々。
耳に入る怒声。
背後を追う葦音。
耳を劈く激しい音は銃口でも鳴らしているのだろうか。

それでも耳に蓋を、意識に板を立て。視界を過った月明りだけを頼りに、格好悪い程我武者羅に足を動かすのは本能か、はたまた理性か。

「   こ…ッの…!!」

――まるで禁断の果実を齧り逃げる罪人だと、人は背を指差しせせら嗤うだろうか。

石畳を駆け下りては、人混みを掻き分け。紛れ込む宵闇の影には冷汗さえ混じえながら。息が浅くなっていることなどは当に知らず、洒落た地面を蹴り立て独り、奔る。
濡れた衣服が気持ち悪いと、そんな冗談さえ捨て置いて。



――まるで見た目に魅せられ本質を知らずに恋をした白雪の王子だと、人は嗤うだろうか。

かの月の下、隠れる銀月に手を差し伸べた夜はまだ浅く。
その夜綴った愛情は、そう、自分の欲を満たす為のものだったと――言い切れはしないけれど。
震える彼を、憂を滲ませる彼を前に抱いた感情は「罪悪感」。
それが何処から来たものなのか、心中を探り当て見付けたのは「恋心」。
愛しい者を虐げ泣かした青年の、可愛く無い一つの情。

芽生えた胸花はただ擽ったく。到底慣れるものでは無いと知りながら。
それでも月を追ってしまう自分は、牀榻な莫迦だと、彼は微笑うだろうか…あの日のように。


【人】 看板娘 櫻子

 
‘Tis better to have loved and lost
 than never to have loved at all.

(一度も愛したことがないより、
 愛して喪った方がどれほどしあわせか。)
 

(116) 2014/09/23(Tue) 02時頃

[『探したりはしないのか』
そう問う声は胸を抉る
きっとその大切なものは、花籠の中で大輪の花を咲かせているだろう
きょうも あすも あさっても
だからこそもう、手に届かぬのだと諦めたのだ
儚く笑んで瞳閉じれば郷愁を振り払う

続く言葉は慈悲か節介かは知らねど、その若者の心根が美しいことを示唆していた
だからこそ助けたいとも思う
もう藤には戻れぬ、汚れた紫なればこそ

後悔は一度で十分だから]

――私には。もう帰る所もないのに?

[もうなにもない。たいせつなものも。
唯そう呟けば背を押し出す手を受け、真っ直ぐ歩んでいく

淡藤が強欲なる主の手に囚われたという知らせを彼の元へ運んできたのは。十日たった頃だった*]


─?─

[どれくらいの時が経っただろう。
此処へ連れられてからの時間経過はあまり覚えていない。

“紫”と呼ばれた男娼と会う機会はその後あったか、無かったか。
あったのならば、“何故こんなところに”と言葉を零しただろう。

鎖に繋がれて何度も脱走を試みようとした。その度全て失敗に終わり、身体に刻まれるは複数の刻印。

“立場を弁えろ”
“主は誰だ”
耳元で呪詛のように呟かれた言葉。

その度に心が軋み、身体が切り裂かれそうになれど、首を垂れることはせず唯々睨み付けていただろう。]


……藤之助さん。

[沈む空に向かって名を紡ぐは藤の人。
彼の宵闇を裂くような琴の旋律はもう奏でることは出来ない。]

(…せめて、せめて同じ場所にいられたのなら)

[朧月と違い、彼と特別親しい訳でもあるまい。

枯れぬ桜の梢と違い包み込むような暖かさも愛らしさもあるまい。

彼岸花を思わせる灼熱の桔梗のようにうまく仮面をかぶることもできまい。]

(…それでも、)

[手のひらを握り締め、俯く夜は長い。爪はすっかり伸び整えられた髪はかつての潤いもなく、ただ伸ばされたままの散切り頭。

落ちるため息は、深く─…]


……どれだけ罪を洗い流せば、空は許してくれるのでしょうか。

[薄暗い室内を眺める瞳は、ボンヤリと昏く。]

……高望み、だったのでしょうか。

[『花』が、『人』になど。
ぽつりと落ちる呟きは、唯々静まり返った屋根裏部屋を揺らしていく。]

…『花』はいつも…美しくなければ、いけなくて。

[顎を引いた先に映るは、薄汚れた手]

…『花』は蝶を選んでは、なりません。
…『花』は翅がほしいと願ってはなりません。

[指先が揺れて視界はボンヤリと浮かぶ月のように曖昧なもの]



礼儀のノックは必要無し。

舞い散る鮮血は稀に見ゆる紅の螢。

月に集る薄汚れた小虫は見た目に違わぬ音を立て床に崩れる。

そうして擦れる鎖は月を空へ戻す為の重い釣り糸。

――「嗚呼、やっぱりここに居たんだ」と。
     月人は路を辿り、光に揺蕩えば安堵を込めてはにかむ。

幼少の頃から毒を食した蝶が毒を持つ翅を伸ばす様に、また「青年」も毒を散らしては紅月に唄い。

ただ一つ、その鎖を断ち切ったのならば。
軈ては「彼」へと手を差し伸べて、人は唄う。


何方かを好いても
何方かを嫌っても

けっして、ならぬ

特別など……、

──あっては、ならぬのです。


[「しあわせですか」
いつかの問いが、櫻の香りがふわりと漂うような錯覚。
腕を掻き抱くようにして、自身を包み込み、青年は─]


――そしていつかの日――
["花が逃げたぞ"
そんな言葉がささやかれるのを聞けば

手引きした男はそっと笑んだ]








「…綺麗な綺麗なお月様。俺と一緒に、永久に逃避行をしてくれませんか。」


――なんて。**



“True love never grows old”

(真実の愛は朽ちることはない)


【人】 看板娘 櫻子

 
 
 
 ───あなたさまに逢えなくなるのなら、泣きましょう。



[滲む視界を悟られまいと。
 接吻けから離れて直ぐ、額を胸へと押し付けました。

 櫻の下に隠された海が、漣を立てて揺れていました*]

(117) 2014/09/23(Tue) 02時頃

[はにかみ、深く刻まれた笑みの痕にそっと雫を垂らして]

しあわせです。

[そっと祝詞を口遊んで、視線を向けた扉の先から零れたのは─]


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