人狼議事


64 色取月の神隠し

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視点:


 謝ること何もないやん
  
[声をかけてくる娘に、何故謝るのだといった風に首を振る。
痛々しく痛みに歪める主を抱き留めながら視線は火の方へ]

 ちゃうよ。怯え惑うは妖しも変わらへん。
 あの子が今そうなってるように

[それはほんの僅かな歯車の狂い
たったそれだけで、ヒトも妖しも惑うのだ。

火は徐々に沙耶の元から離れていく。
焔に次は敵意よりも畏れ、そして戸惑い……
……言葉は届いているのだろう。
けれど──
絡まった情念の糸が、その言の葉を絡め取ってしまっているのだろうか?
肩を抱き、支えながら手をこまねいていれば、猛る龍の咆哮を耳にする]


 龍っつぁん。
 怯えとぅから、あまり無……

[近づく辰次を険しい表情で迎え、言葉を挟もうとした矢先、更なる咆哮を聞く]


 ……
[開きかけた口をそのままにあっけにとられたまま“パチキ”を目撃し]

 ほんま大胆な子やなぁ。

[むしろここまでくれば粗暴というより清々しいくらいか?
廻りの緊張を一瞬忘れるかのように、惚けと呆れが入り交じったまま事の成り行きを見つめてしまう]

 どっちが苦労するのかしらん?
[彼と共に辿り着いた巫女の姿を見つければ、対照的な二人の表情をを交互に見比べながら苦笑が漏れる]


 ……歯車戻ってきたようやょ

[辰次の破天荒とも思える咆哮が、女に少しの冷静さを取り戻させれば、隠世に赴く気も感じたか。
一度消えた気と同質のものを感じることが叶うのならば、その旨を各々に告げてもいただろう。
もうひとつの感じ慣れない気の存在に『誰やろう?』と小首を傾げもしたけれど。

とはいえ先の咆哮で目を回した者がいたのなら、勿論届くことではないのだが]


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


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 ― 道の途中 ―

 たまこ姉さん、大丈夫?
 そこまで空気が違うとか無いと思うけど。

[こちら側に来れば、傍に居るたまこに、声をかける。]
 
 僕は、久しぶりってほど、時間が経ってないし。
 元より気にならなかった。

[芙蓉の言葉には小さく首を振って。]

 でも、里に行く前に戻っちゃったから、里の様子は全然分らないんだ。


[芙蓉はなんだかんだで、里の近くまで見送ってくれた。]

 ありがとう。
 後はうん、大丈夫だよ。 
 また後でね。

[里とは違う方向に帰る芙蓉の、その際覗かせた尻尾に、視線を止めて。なるほどと一言呟くと、くるりと里に体を向けた。]


メモを貼った。


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 辰次さん……!

[己と入れ替わるように明之進へ近付いた辰次は、燃え盛る炎をその手に掴み――頭突きした]

 ひゃっ!

[突然の事に、思わず目を瞑り身を竦めた。
 周囲には竹を焼いたような匂いが漂う]

 た、辰次さん……!?
 その……

[不安げに問い掛けた言葉は、今は呑み込むことにした。
 己自身の痛みよりも優先すべき事があると、それは自身も辰次も同じだろうと思った]

 明之進……。

[祈るように、熱を持った右手を左手で握る]


 そ……だね。
 明之進が傷付くのは、明之進にも同じ心があるから。

[自身を抱きとめる志乃に小さく頷いた。
 それは、遠い過去の自分への戒めでもあっただろう。
 姿が変じてしまったが故、心も言葉も変じたものと思ってしまった自身への]

 ……同じ、でも、伝わらないことはある、か……

[それもやはり、ヒトの世とて同じ事で。
 ――そんな折だったろうか、志乃に先程消えた気が戻って来たと伝えられたのは]

 ……そっか……

[小さく頷き。
 そして今は、信じる事にする。
 再び現れた気配の声が、明之進に届くことを]


メモを貼った。


いつのまにか集まってきた妖怪達に現世の御伽噺を聞かせている。


 ほんまに無鉄砲揃いやねぇ。

[沙耶の呼びかけ、そして辰次の豪快な一撃
それぞれの身を挺した行いは、焔に身をやつした明之進に何をもたらしたか?
二人の痕を見据え、ちらりと明之進を見やれば]

 その眼が節穴やないんやったらしっかり見ぃ?
 龍の額も、沙耶の手も…

 そこらの狐火とあンたのことが変わらん思うておったら
 こないなことせんやろぅ?
 あンたのこと……心配してるんよ?

 元に戻って欲しい思うてるんよ?
 それが聞こえんか?
 心の声も届かんか?


[ふぅと一息つけば]

 今来た子、どっちも現の子やよね?
 芙蓉さんでも奴延鳥さんでもないし……
 呼んでこよう思うんやけど?

[何か小さい気をもう一つ感じもするけれど、それも隠世に些かの戸惑いを見せているか?
明之進がどういう状況であれ、誰かがついてやらねばならないだろう。ならば…縁のある二人はここにいて貰った方が良いだろうか?]

 ゆりちゃん? 少しうちと散歩しよか?
 一平太さんたちのお出迎えや。
 ……それにそこの色男のええ話も聞きたいところやしねぇ?

[ちらりと辰次を見やり、くすりと"嗤う"
言外に、『迷わないように早く連れてくるから、明之進を頼む』と…まあそんな意図が伝わったかどうか?]


[とはいえ、無理に誘うつもりもないらしく、色男のいい人嫌がるようならば一人で気のもとへ向かったか。
一度振り向いて、沙耶にもここをよろしくと告げれば、すぅっと闇へ消えていった]


志乃にありがとう、と目配せして見送る。


 ― あやかしの里 ―

 ここが里…。
 あまり、変わった感じは見受けられないけど―。

[里の入口から、初めて見る里に小さく感嘆の息を漏らす。周囲には偶々だろうか、アヤカシの姿は視界に入らなかった。]


 ……センセなにしてますのん?
 もう、こっちの子らと仲良ぅなりましたんね?

 うち、今からセンセの御門弟の方向かえに行こう思うてるんやけど、センセどないします? 
 あ、そうそう…あちらにようけいセンセのお知り合いさんもおりますよん? お会いになったら如何やろか?

[道すがら話に花を咲かせる仁右衛門でも見かけたなら、声をかけたり明之進達がいる場所は伝えただろうか?]


明之進、明之進。
戻れ。戻ってこい。

忘れたいことは忘れとけ、って言ったけど、全部忘れるのはだめだ。
大事なことまで忘れんな。
真っ白になんかなるな、明之進!

[炎の塊へと、何度もその名を呼ぶ。
ずっと彼を象ってきた名前だ。
その姿を思い出させようと。]


メモを貼った。


志乃へと頷きを返して。


仁右衛門が遠くで一反もめんに絡みつかれているような気がした。


どこかで逢った一反もめんににこやかに手を振った


 おぉ…丁度良かった。
 こやつらを何とかして呉れ。

[志乃から声を掛けられれば、心底困ったように助けを求めた。
身体には一反もめんが親しげに絡みついている。]

 いや、仲良くというより何故だか知らぬが集まられてだな―――…

[言い掛けて。]

 一平太君も、此方に連れてきたのか…

[複雑な顔をする。]

 その他にも―――…


 明之進……。

[辰次の呼び掛けに勇気づけられたように、娘も顔を上げる]

 お願い。
 憎いと思う分は、全部私にぶつけていいから。
 楽しい、嬉しいって気持ちまで、捨ててしまわないで。
 一緒に取り返してくれる人が……ここにも、いるから。

[憎しみ、苦しみも彼を形作るものだというなら、それを全て引き受けようと思った。
 彼と笑い合う事が己にはもう叶わぬなら、と]

 あなたに傷付けられるのが苦しくたって、あなたがいない苦しさよりずっといいんだから……!


 あら、そんなに好かれとるんに、酷いこと仰いますのね。
 ほら、いっタン。センセ困っとるから離してあげぇ。

[するすると抜ける一反もめんと少しじゃれ合う]

 センセはいろんな人にも妖しにも好かれるんねぇ…
 え? 連れてきた? どうですやろ?
 誰ぞ案内して来ないと普通はこちらにはこれませんのやけど。

[良くわからないといった表情で仁右衛門をしげしげと見つめ]

 ええ、沙耶はうちと一緒に来てくれたし、ゆりさんも色男と一緒でしたよぅ? あぁセンセも色男さんやったねぇ?
[何故複雑そうな顔をしているのだろう? とでも言うように首をこくりと傾げながら瞬きをしている]


 さて、どうしようかな。
 ここに居てもまごまごしても、しょうがないよね。

[立ち往生してもしょうがないと。
今更、怖がることは何も無いのだと。]

 そういえば、揚羽さんはこの場所どう?

[少し気を逸らし気味に。
そう言いながら一歩踏み出した。]


 まあそれはそうと、
 うちこれからお迎えいかななんですよぅ?

 センセはどうされます?
 せや、いっタンもセンセ気に入ってるようやし、乗せて貰ったらええ思いますよぅ?

 な、いっタン?

[ふわふわひらひらしている一反もめんの端をちょこんとつついてやれば、ソレは少し嬉しそうに仁右衛門の廻りをぐるぐる廻っただろうか?]


メモを貼った。


メモを貼った。


[──かくして、しばらくして里を歩く三人の姿を見つけた女は、ふわりと下りて事の顛末を話して聞かせ、皆の元へ誘ったことだろう]


 ―――ふぅ、助かった。

[一反もめんが離れればそう零して、ズレていた眼鏡を掛け直した。]

 ああ、ヒトが自らの意思で此方に赴くことは難しかろうと思ってな。

[不思議そうにする志乃を見つめる。]

 志乃君……君は、君達と言ったほうがいいかもしれぬが。
 何故、ヒトを此処に連れてこようとするんだい?

[けれど問いかけは、彼女の一平太を迎えに行こうと逸る気持ちに遮られたようだった。]

 いや…、私は。

[誘いにはゆるりと首を振る。]

 一平太君はそう短くはない期間私の傍に居たのだから、態々迎えに行く必要はなかろう。

[それに何かあれば、彼から訪ねて来るだろう。]


─ あやかしの里 ─

[仁右衛門とお団子食べて、少し笑って。
一旦別れてそして、朝顔の姿を探しに里を歩いた。

辺りに響く祭りの囃子。
狐の面が笑っているけど、鏡写しの童女の姿は遠いまま]


メモを貼った。


…?

[そのとき。祭りの向こうに火が見えた。
ちらちらと瞬く火のほうへ、童女がふらりと足を踏み出す。
賑やかなそちらのほうに、白い布にゆらめいている]

あきづきじんえもんおじさんに、志乃…?

[筝の化身の姿を認め、大きな一つ目をぱちりと瞬く。
赤い手毬を抱きしめて、そちらへと足を進めた]


[ゆるりと首を振る仁右衛門に、少し残念そうにしながらもそれ以上は誘うことはせず]

 ほな、また後で逢いましょうな。

[別れ際にふと振り返る。事はそう安穏ともしてられれなかったが、彼の言葉が止まったことが気になったから]

 センセ。ではお尋ねします。
 人と妖しを“別つ”ものは一体なんやと思います?
 そして……その“別つ”を取り払う術はあると思います?

 センセの問い……うちの答えはそこにあります。

[一瞬寂しげに空を見つめる。空には艶やかな狭間の月
それからゆっくりと彼を見つめにこやかに微笑みを送る]

 うちセンセとお話するのとても楽しみなんですよぅ?
 センセはとてもとてもええお話してくれますから……
 また逢いましょう。 


えっ。一平太さん?
一平太さんがここにいらしているのですか?

[炎となった明之進と対峙する辰次と沙耶を見守っていたが、志乃に声をかけられればそちらを向いて、目を丸くする
志乃が歩き出そうとするのを見れば、志乃と辰次たちを見比べる。ここにいても見守ることしか出来ないと思えば、一平太達のことも気がかりで、志乃に着いていくことにした]

辰次様、沙耶様、ご無理なさらず…!

[闇に消えようとする志乃を追いかけて駆け出した]


[そうしてたどり着いた先で見たのは、一反もめんに絡まれている仁右衛門の姿]

え、秋月、様!?
秋月様も、こちらに来られていたのですか…!!

[驚きに目を丸くする。
志乃が事情を話し、仁右衛門とやりとりするのを見守るが、近づいてくる足音に振り返ると、狐の面を被った童女の姿]

ふああ、一つ目さん、です…。

[夕顔だということはまだ気づかず、目を瞬かせた。]


[そして行こうとした矢先。瞬く大きな眼に愛らしい手鞠花 その姿を認めれば、少し驚いたように、けれど嬉しそうに微笑んで]

 嗚呼、夕顔さんやねぇ…
 現ではちゃんとあえんかったけど
 お久しぶりやねぇ。

[思えば、気の具現化はあったにせよしかとした形で逢うのは初めてか。嬉しそうに招き寄せて、許されるのなら彼女を抱きしめもしただろう]


メモを貼った。


[志乃の姿が風に溶け消えれば、静かに目を伏せる。]
 
 甘言を弄すだけでは何も生まれぬ、よな…

[現世の村、残された者達を思う。]

 ――…ならばやはり私は…

[去り際の志乃の言葉]

 …別つものなど何処にもあらぬよ、志乃君。

[そう、想いが確かならば。] 

 まぁ、そうは言っても、術を求めるのは私も同じなのだがね。



[女は走り出したゆりを抱きかかえるようにして飛翔する]

 龍っつぁんやなくて堪忍な

[茶目っ気たっぷりに笑って見せて]

 ねぇ、ゆりさん。龍っつぁんにどないに口説かれましたん?

[純粋が故に心労も幾許か見えただろうか? それを解きほぐすような…ちょっとした悪戯心。
──いや、好奇心も多分に]


 あっ志乃さん…だぁ!?
 こんにちは…えっと。

[志乃が中を浮いていることにぽかんと口を開けて降りてくるまで、其れを見ていた。]

 志乃さんも。こちらに来ていたんだね。
 というより、それ―じゃなくてそちらの方は…?


[一つ目童女を見つければ。]

 おぉ、朝は見つかったかい?

[声を掛け、ゆりに名を呼ばれれば。]

 ゆり君、か…

[ゆりの驚きとは対照的な落ち着いた対応を見せた。]


きゃっ!?

[ 志乃が己を抱えて飛翔すれば驚きに目を見開く。改めて、この女性もあやかしなのだと思えば感嘆する。続く質問にはきょとんとして]

えっ、え、口説かれ、って…?
ど、どういうことでしょう??

[疑問符を浮かべて首を傾げる。]


メモを貼った。


メモを貼った。


[から、から、からん。
下駄の音を響かせて、一つ目童女が歩み寄る。
見知った顔と、馴染みの気配にほっと安堵の息を落として、
嬉しそうな表情で駆け寄った]

うん。やっと──…

[志乃の言葉に頷いて、手を伸ばしかける。
その小さな手が、女に触れる前にふと、止まった]


ゆりの姿をじ。と見つめ──


あ……

[傍らにはゆりの姿がある。
童女の黒髪に括り付けられた、狐のお面。
他は切りそろえた黒髪に、赤い着物は元のまま。
けれども大きな大きな一つ目が、怯えたようにゆりを見つめた]

……。

[先の仁右衛門の言葉がある。
けれどヒトはやはり異形を拒絶するのかも知れず、
その恐れに、助けを求めるように仁右衛門へと目が彷徨った]


[首を傾げられれば些か格好も崩れたか]

 あらぁ、龍っつぁんがお熱やったから、それはそれはあの子らしい勇ましい告白をされたん思いましたのに…

[後で奴延鳥さんにでも聞かせてあげよう思うてましたんに……とちょっぴり残念そうにぶつぶつ呟いてもみたが]

 さっきのパチキもそうやけど、あの子やんちゃやからねぇ。大変かもしれんけど、けどとてもええ子やからな。仲良ぅな。



… ううん。

[仁右衛門の問いに、ふるりと首を横に振る
志乃の腕にも抱きつきたかったけれども、
仁右衛門の着物に、ゆりから隠れるようにぎゅうとしがみついた]


[仁右衛門の様子を見れば自身も幾分落ち着きを取り戻して]

はい。ゆりです。
まさか、秋月様もこちらにいらしてるとは思いませんでした…。てっきり、お屋敷にいらっしゃるのだとばかり。
でも、お会いできて嬉しいです。

[ぺこりとお辞儀をした]


夕顔の視線に気づけば、その頭に己が手をぽふっと乗せただろう*


 ……あらぁ
[まるでゆりを恐れるかのように、仁右衛門の着物にぎゅうと抱きつく夕顔を見れば。少し驚きの表情も浮かんだか]

 やっぱりセンセは優しい人やから、みんなに人気がありますのな。センセうちもぎゅうとしがみついてもええやろか?
[冗談めかしてクスリと笑った後、夕顔を見つめ]

 ん? どないしたん?
 ゆりさん怖ないよぅ? な、ゆりさん?

[それからゆりを眺めて『ね?』と小首を傾げる]


夕顔…?
夕ちゃん、なのですか?

[ 志乃の言葉に目を丸くする。大きな黒い一つ目がじっと此方を見た後、仁右衛門の影に隠れるのを見れば、目元を和ませ、夕顔の傍にそっと近づくと、目線を合わせるようにしゃがみこんだ]

夕ちゃん、お久しぶりです。
ふふ、私も、こちらの世界に来てしまいました。
夕ちゃんに、またお会いできてとっても嬉しいです。

[大きな丸い目を見つめて、微笑んだ。]


志乃の言葉に、「はい」と微笑み返した。


……。

[恐る恐る、仁右衛門の着物の端から顔を出す。
頭におかれた手の感触に少しだけほっとして、
志乃を困ったようにちらりと見上げた]

…あ。

[ふわりと、ゆりが屈みこむ
その笑みに恐れの色がないのを見て取って、
童女は大きな一つ目をぱちりぱちりと瞬いた]

怖く… ない?

[小さな声が問い掛ける]


…だって。わたし、志乃と違うもん。
向こうとこっちじゃ、姿が違うもん。

[口を僅かにへの字に曲げて、訴えかける
綺麗な音色の筝の化身は、やっぱり綺麗なままであったから]


嫌ダ ドウセ 皆置イテイク
イツカ 1人ニナルナラ モウイイ

[逃れようともがく]

コンナ 無理矢理 
言ウ事ナンテ 絶対聞カナイ!!


 ゆりさんも…!?
 こっちに来てたの…?

[一緒にゆりも来ていれば、そちらにも挨拶をする。居なければ、聞いたのだろう。

神隠しは、そういえば幾度か行われたと聞いたと思う。彼女が居ることは然程疑問に思わない。]

 …僕、明之進君に、また会いに来たんだ。
 
[また、を問われれば、ある程度の事情を説明するだろう。その間、微妙な表情の翳りが見えたかもしれない。
置いて行ってしまった友への心苦しさの―。]


怖くないですよ。
たとえどんな姿でも、心が夕ちゃんであるなら、私はちっとも怖くありません。

[+39 小さく問いかける声に、少しでもこちらの気持ちが伝わると良いと、丁寧に言葉を紡ぐ]

それに、そのお姿も…とても、愛らしいのですよ?

[優しく笑い、許してくれるのなら、黒髪を撫でただろう。]


[ほんとうは、ゆりが来ていて嬉しかった。
朝顔の次に、里に招きたいと願ったひと。
優しい優しい、かみさまの巫女。

会いたかった。


   ────だからこそ、余計に怖い]



 違わへんやん。どこが違うん?

[現で聞いた彼女の愛らしい音。今は少し怖がっているように震える音色も混ざっていたけれど、女にとっては人も妖しも心の音色が全てだったから。
しばらく考えて、嗚呼一つ目を気にしているのを感じれば]

 夕顔さん… 夕顔さんはどこにいたって夕顔さんやろ?
 夕顔さんお音色は現でもこちらでも
 綺麗で愛らしいままやん。
 ほら、センセもゆりさんも
 だーれも変だとか思ってないやん?

 妖しを知ろうと、仲良ぅなろうとしてくれる人は……
 ううん、妖しとか人とかそんなん関係ない。
 友達やったら……
 心に触れて心地いい思うから友達になりとぅ思うやん?


このわからず屋が…!

[ぎり、と歯を噛んだ。手が焦げていく。
ある程度は妖力で炎を抑えているものの、どのくらい持つやら

俺はいなくなったりしてねえだろうが!

お前が消えたら、置いていかれて悲しいモンがいるって、わかんねえのか…!


……っ

[伸びてきた手に、びくっと震えた
それでも逃げることはせず、温かに髪を撫でる手の感触に、
ほっとしたような、泣き出す前のような顔をへにゃりと向けた。

仁右衛門を見上げ、志乃を見上げる。
そうしてゆりへと視線を戻して、]

……うん。

[こくりと、小さく頷いた]


 置いてなんかいかないよ……。
 ううん、少なくとも、一人にはさせないよ。

[ヒトの身では、いずれ永遠の別れが訪れる事を否定は出来ない。
 かつての"さよ"も、そうして明之進の元に戻れなくなったのだから]

 私と離れたこと、悲しいって思ってくれるなら。
 他の人にまで、同じ思いさせないで。

[せめてもの助けにと、辰次の横から手を伸べる。
 力も妖力もない身には、そっと頭を撫でるように、手を置くしか出来ないのだけれど]


おと…?

[志乃の言葉に、ことりと首が傾いだ
やがて思いが至れば、ぱちと一つの瞳が瞬く]

ともだち。

[志乃の言葉を繰り返し、じっと志乃を見た。
そして、ゆりも見た。確かめるように見つめる]

…ともだちに、なれる?

[願うように問いかけた]



 はい。おおきにこんにちは。
 一平太さんもお元気そうでなによりやよぅ。

[降り立ちひらひらと手を振って] 

 うちは沙耶と一緒にな……
 ああ、だれか思うてたらたまこちゃんと
 ……こちらはお初やな?

[揚羽の姿を見かけれれば、同じ九十九としてどういう存在なのかはある程度理解もできるだろう]

 ああ、龍っつぁんやけしゃらんばしゃらんさんが言ってたんはこの子のことやねぇ。
 はじめまして。志乃ですよぅ。


えっ、お熱…??告白???

[志乃の言葉に、さらに首を傾げて目を丸くする]

えっと、告白、したのは私のほうかと…? あやかしのことがどうしても知りたいと告白したのですが…、辰次様は、とても丁寧に教えてくださったのです。ご自身のことも。
だから、私ももっとあやかしのことを知りたいなと思って…。もちろん、辰次様のことも…。

[そのときのことを思い出して、わずかに目元を和ませる。やんちゃ、という言葉にはくすりと笑うが、少し不安げな表情も覗かせて]

本当に、驚きました…あれ以上、お怪我されてないと良いのですが…。

はい。私も、ここで、沢山仲良くさせて頂けたら良いなと思っております。

[嬉しそうに微笑んだ]



 また?

[やはり一度こちらで感じた気は彼のものだったか……
経緯を聞き、翳りを感じれば、おおよその顛末が見えてくる

嗚呼やはり明之進の歯車は彼であったか…小さくため息も漏れたか]

 一平太さん。
[先程までのやんわりとした口調から、少しだけ機微としたものに変わったか]

 またと言ってくれてありがとう。
 その心を明之進に見せてあげて欲しいんよ。

[おそらく、急にいなくなってしまったから取り乱している……
流石に明之進の心をはっきりと捉えることはできなかったから、女が見聞きしたことを彼に語って聞かせただろう]



[志乃と共に一平太達を迎えに来れば各々にぺこりとお辞儀して]

はい。
一平太様達も、此方に来られたのですね。

「また」…?それはいったい…。一平太様は、一度来たことがあるのですか…?

[事情を聞き、表情を曇らせる一平太の顔を見れば、悲しげに目を伏せて]

そう、ですか…そんなことが…。


 こないに思って貰えて明之進もええ友達を持ったんやなぁ……
 これでも届かん言うんやったら……
 龍っつぁんやのうて、うちがあンたをぼてくりこかして奥歯ガタガタ言わせますよぅ?

[彼のいる場所へ導きながら、ちょっとだけ物騒なことを呟いてもみたか]

 一平太さん。ほんまに来てくれてありがとうなぁ。


わ、あまり無茶はしないでくれ、
俺はあやかしだし男だから、このくらいの火傷は平気だが!

[沙耶が炎に手を翳すなら、慌てて制止する。
気持ちはわかるのだが、体のつくりは自分たちとは違うのだ]

…さっき、志乃さんが一平太を迎えに行く、って言ってたぞ。

お前、こんな姿で一平太に会うつもりか?


ズット ズット 一人デ
アヤカシニ ナッテカラダッテ
一人ノ方ガ 長カッタ

[傍に誰もいなかった、長い間。]

一人ノ時ヲ モウ過ゴシタクナイ



[じぃと見つめられれば、こちらもじぃと彼女を見つめ目を細める]

 そう。ともだち!

[おそらくゆりにだろう。ともだちになれるのかと言の葉が紡がれれば]

 当たり前やん!

[機先を制するようにわっと飛びつけば、彼女をぎゅうと抱きしめる]

 うちも、ゆりさんも、センセも他のみんなもみんなみんな友達やよ。
 不安になんかならんでええ。
 寂しいなんて思わんでええ。友達にそないな想いさせせんからな。

[ね? ゆりさんと目で問いかけ、おそらく彼女と一緒にこの可愛らしい友人の頭を撫でたことだろう]


『こりゃ、見事だねえ。』

[狐火がぽつ、ぽつ、と導くように順に道の先へ灯る
青白い光に照らされる火花が散ったみたいな赤い花の群れ
ふわりと金木犀が香って、遠くで賑やかな祭り囃子の音
揚羽はゆったりと体を宙に預け、夢見心地で呟いた]

[影送りたちが道の両端をたたた、と走るように幾人も去ってゆく
たまこは芙蓉に向かって、いってきます、と最後に大きく手を振った]


コノ姿 ガ 受ケ入レラレナイナラ

さよト一緒ダ

[鬼火の姿のまま]

イツカ居ナクナル 嘘ヲツク
僕ハ イラナインダ


[ 黒髪をそっと撫で、怯えていた顔が緩むのを見れば、暖かく目を細める。
問いかける言葉には頷いて]

はい。
夕ちゃんのお友達になりたいです。
現世で、約束しましたよね。夕ちゃんのおうちに遊びにいかせてください、って。
約束、ちゃんと守れました。夕ちゃんのところに、遊びにきちゃいましたから。

[悪戯っぽく笑うとにこにこと楽しそうに笑った]


『ねえ、たまこ。口が開いたままだよ。』
……え。あ。
う、うん。そうだねえ。ここが、あやかしの里なんだね。
…みんな、いるみたい。

[むぅ、と口を結んで揚羽を睨む
影送りと狐火たちに送られながら、ずうっと道を歩いて、里へと向かう
消えた気配が集まっているのを感じる
一度目を閉じて、それから、開くと意を決して眉をきり、と上げた]


───うん。やくそく。

ゆりおねえちゃん。
おうちに遊びに来てくれて──…、嬉しい。

…ありがとう。

[あの時の他愛もない約束。
その言葉を引いて、童女が漸く嬉しそうに微笑んだ。
そうして志乃の元へと歩み寄り、お礼のように抱きしめる]


[志乃が夕顔に抱きつくのを見れば]

あ、志乃様、ずるいです。私だって夕ちゃんをぎゅーってしたいのに!

[ぎゅ、と志乃と一緒に夕顔を抱きしめる。志乃の目に笑って頷き、夕顔の頭を優しく撫でた]



けさらんぱさらん… …? ???

[一平太らの到着に、明之進の炎。
どうしたの?と、童女は困ったように首を傾げた。
あちこちを見て、仁右衛門の元へと戻って着物を掴む。
もう少しこうしていようと、そう*思った*]


[辰次に制止され、ゆるく首を振る]

 あり、がとう……。
 でも、こうしなきゃって、思ったから……。

[焼けて紅の斑になった指を見て、志乃の事をふと思う。
 彼女ならきっと許してくれるだろうと、そう思うのだけれど]

 そう……一平太さん、こっちに来てるのよね。
 せめて、言葉だけでも……ちゃんと聞いてあげて欲しいの。

[彼がここから消えたのもまた、本意ではなかろうと考えていた。
 引っ込めた右手をそっと擦りつつ、明之進と辰次を見詰める]


メモを貼った。


 え?
 どういうこと…?

[明之進の事の顛末―火のようなアヤカシになった―を聞かされれば、閉口してしまう。]

  それは、僕が。
 ―そう、僕が居なくなってしまったから?
  だから、変わっちゃったんだ…。


明之進に、唇を噛み俯く。


ふん。会う気はあるのか。

…じゃあ、もうすぐ来るだろうから、逃げないで大人しく待て。
その姿のままで。

[なだめるように、明之進に告げる

……安心しろ。
もし受け入れてもらえないようなら、
絶望する前に俺がこの手でお前を滅してやる。
二度とよみがえることもない。

それが、お前をあやかしにした俺の責任だ。

[鬼火を掴む手に力が入る。まなざしは鋭く、真剣で。]




ええええ、そんな。
わたしが、お願いしたせいで。

あれが…?
明ちゃん、なの?ぜんぜんちがうよ。
あのとき見た子と、ぜんぜんちがう…

[手のひらに乗せたふうわりとした白い毛玉を思い出して
思わず手を口に当て、ううん、と首を振った]


 ―うん分ってる。
  僕が行く。連れてって。

[志乃の言葉には、勿論だよと返した。]

 まだ、伝えてないこと、たくさんあるんだ。
 言わなきゃいけないこと、いっぱいあるんだ。
 これからのこと、教えてあげなきゃいけないんだ。

[視線はまだ見ていない友のために。
懐にしまったの片手の拳をぎゅっと握って。]



 ん…もしかしたら、嫌いになっていなくなったとか思うてるんかもしれへんね。
 せやけど、一平太さん逢いに来てくれたんやったら、
 あの子の誤解も解ける思うしねぇ…

 一平太さんだけ違いますんよぅ。
 うちら妖しも……ううん、妖しだけちゃう。みんなみんな明之進大事や思うてるから
 せやから、逢うてお話して欲しい思いますんよぅ?


 辰次さん、沙耶さん…!

[先に見えたのは辰次か沙耶だっただろうか。
鬼火となった明之進よりも先に視界に入ってきて。

緩まったのは自分の足か、はたまた乗ったものの足か。どの道その場に到着すれば、まずは一つ息を飲んだ。]


 一平太、さん……!

[その姿が見えれば、浮かべるのは安堵の表情]

 よか、った……。
 待ってた、の……。

[右手を袖に隠すようにしつつ]

 明之進……私、じゃ、遅過ぎたみたいだけど。
 一平太さんなら、きっと間に合う、から。
 声、届けて……欲しいの。

[少し身体を傾けたなら、青白き火の姿も一平太の目に届くか]


沙耶、辰次、そして周囲の言葉には、今は小さく首を縦に振るだけで返すだろう。


[白い毛玉とは、異なるを越えた、変わり果てた姿。見れば、浮く火である。自分の動揺の色は多少浮かんでいるだろう。]

 明之進くん、で、いいんだよね。

[それでも、其れより上に思うは。]

 僕だよ。
 いっぺいた、覚えているよね。

[なんてさびしげな色だろう―。]


……おう。

来てくれたかぁ。もうちょっと遅かったら、俺の手が暖を取るのにいい感じの炭になるところだった…

[一平太の声を聞けば、苦笑しながら明之進から離れた。冗談を言う余裕はあるらしい。]


─ 炎の前 ─

 ただいまぁ。
[胸中は秘めながら、剣呑たる状況に場違いにも思えるゆるやかな声色で一平太達と共に戻る]

 二人とも無茶せんかったん?

[明之進を一度不安げに見つめてから、辰次と沙耶の元へ向かう]

 沙耶…大丈夫?
[離れ際既に彼女は火傷を負っていたはずで、駆け寄れば心配そうに彼女をとその右手を覗き込んだ]


知ラナイ

[すっかり心を閉ざして
一平太の言葉に返すのは一言だけ。]




[あたりをきょろきょろと見回っては、ほぅ、とため息をついていた揚羽は
同じ九十九の――それも、自分よりも随分時を経た――気配を感じて
じいいいいいい、と志乃を見つめた
それから、周りをぐるりと回り、大きく開いた胸を屈め
着物の長い裾を持ち上げしゃらりと絹擦れの音をさせお辞儀を返した]

『お初にお目にかかりまする。
 志乃さま。
 我は揚羽、簪の九十九に。』

[波打つ珊瑚色は地面まで届くほどに、礼は深く]

[その傍ら、志乃に小さく礼を返して
たまこは、じっと一平太の背中を
その先にいる明之進を見つめている]


 あ……志乃。

[ゆるやかな声に振り向いて、こちらも安堵したように微笑んで見せる]

 ん……大丈夫。
 ちょっとは、……無茶だったかもしれないけれど。

[袖に隠した右手。
 覗き込まれればそれ以上隠す事はせず]

 動かなくなるような火傷じゃないの。
 でも……すぐには箏を弾いたり、出来ないかな。
 だから、ごめんね。

[自身を主と呼んだ琴古主に小さく頭を下げる]

 でも、明之進も、私にとって大切な人だから……


 多分、いきなりいなくなっちゃったから。
 驚いてると思う、ごめんね―

[話す言葉に、遮られた知らないという言葉。
拒絶の意思に目をぱちくりさせるも、小さく横にお断り。]

 ―僕を知らない?違うよ。
 僕は君を知ってるし、君も僕のことを知ってる。

[周囲には、宥めるようではなく、それは淡々と聞こえるかもしれない。]


―炎の前―

辰次様!

[一平太達と共に現場に戻れば、辰次に駆け寄る。手の火傷を見れば慌てて]

ああ、こんな、お怪我をされて…!
もう、もうっ…
あんまり無茶は、なさらないでください…!

[辰次の手を取ろうとするが、傷に触るかもしれないと迷い、少し泣きそうな、怒ったような顔で辰次を見つめた]


 もう……
[一目見て軽い火傷とも思えぬ右手を確認すれば、血相を変えて場を離れていく。
やがて、引きちぎった自らの袖に水を浸し戻ってきた女はそれを問答無用で彼女の手に覆い包む]

 気休めかもしれんけど、冷やしますよぅ?
 あとで薬草探してくるから、痛いんは我慢してな。

 謝ることはないんよ。
 すぐに弾けないとかそないなこと気にせんでもええんよ。

 せやけど、……せやけどな
 身体は大事にしてなぁ。
 沙耶にとって明之進が大事なんはわかるけど、
 うちにとって沙耶は大事なんよ。

[冷水で濡らした着物をあてがいながら、紡いだ声は震えるような声]


志乃さんお帰り、ゆりさんも…うお。

[ゆりに泣き出しそうな顔で怒られれば、少々怯み。]

だ、だってさ、明を抑えられるの、この場では俺くらいしかいなかったし…
このくらい、あやかしは平気だよ。

[たじろぎながら言い訳を重ねるが]

う、うん、ごめんな、心配かけて…


[一平太と明之進の様子を横目で見ながら]

……おい、葦藻、葦藻はいるかぁ。
いるんならちょっと出てきてくれ。

[あしもー、と邪魔にならない程度の声で呼び続けると、白くて猫ほどの大きさのネズミが一匹、ちょろりと何処かより現れた。]

あんなぁ、鎌鼬ん所行って、末っ子から薬、分けてもらってきてくれ…二人分。駄賃は後でやるから。

[頼みを聞き届ければ、葦藻と呼ばれたネズミは、ちょろちょろと駆け出していく。]


[それでも微妙に声に振動―感情のぶれ―が少しずつ尾ひれに付いて来ていて。]

 だって、君は明之進君で、僕のともだち。
 それで、僕は一平太で、君のともだち。
 僕はね、ともだちになって、嬉しかったんだ。
 
[すっと、一歩前に出る。
神隠しされる前に溢れた涙がまた眼に還ってきたかのように、もう一度涙の筋をなぞろうとしていて。]


ちいさなこえで、だいじょうぶ、と呟いた**



[沙耶の元へ赴く前]

 揚羽さんなぁ。ええよ様なんてつけんでも
 美を彩る簪さんだけあって随分艶やかな成りですねぇ。
 ほんまに綺麗……
 並んだらうちが霞んで仕舞いますよぅ?

 せやけど、揚羽さんみたいな絢爛なお姿は、うちには似合わへんやろか?

[しゃらりと仰々しくお辞儀をする揚羽に、照れを交えて手をひらひらと]

 龍っつぁんから聞いたときは、荒ぶる付喪やったらどないしよう思うてましたけど、禍を齎すような方やないようで安心しましたんよ。
 たまこちゃんと良き縁も深そうやし……常に和ぎれる九十九となってくださいな。
 揚羽さんやったらきっと主様に幸を齎す九十九となってくれますやろう?

 和を以て幸を成す。それが、永きを巡る九十九の在り方や、思いますんよ。

[どうぞよしなにとゆるやかな礼を返した]


辰次様は平気でも、あんなことをされたら、見ているほうは平気じゃありませんっ…!
もうっ……!!


…はい。あまり、心配かけないで、ください…。

[俯いて、辰次の着物の裾を、ぎゅ、と小さく握る。]


 あっ……

[問答無用に布に包まれた右手。
 水の冷たさに幾らか痛みが引いて、ほっと息を吐く]

 ありがとう……志乃。
 こんな風に、大事に思ってもらえるなんて……私、幸せだよ。
 だから、これ以上は無茶しないから、ね?

[右手を僅かに動かして、着物越しに志乃の手を握り]

 ……きっと、"さよ"もかつては、同じ気持ちでいたと思うよ。
 なのに、どうして……伝えられない、のかな。

[呟きながら、一平太と鬼火を見守るよう視線を向ける。
 それ以上明之進への言葉は重ねず、ただ、祈るように**]


メモを貼った。


…明之進様に、きっと辰次様のお気持ちは、伝わると信じます。辰次様だけでなく、一平太様や…他の皆様の気持ちも。

[真剣な眼差しで明之進と一平太の様子を見つめながら言う。

やがて辰次が大きなねずみを呼び出すのを見れば、驚いて]

きゃっ!

…あんなに大きな鼠、初めて見ました…。

[呆然と、鼠が走り去ったほうを眺めた]


[一平太の言葉をただ黙って聞く]

……デモ 居ナクナッタ

[青白い火が寂しく揺れる。]

今ハ居テモ ドウセ イナクナル
マタ 一人ニナル


メモを貼った。


あれもあやかしの一だけど、大人しい奴だよ。
怒らせなければ。

[ネズミに驚くゆりに笑って。

……うん、ありがとうゆりさん。

ここまでしてもらって、どうしても伝わらないようなら、今度は拳骨だ。

[黒く焦げた掌は、うまく握れないが。
伝わるだろうと信じつつも、半分本気で宣言する。]



 機もあるやろうからね。
 ……一平太さんが急に居なくなったことの動揺が大きいんやろうね。

[どうしてと呟きながら火を見つめる沙耶。握られる手を傷まぬよう柔らかく包み込む。同じような柔らかさで慰めるように語る。妖しの同胞として、此度の逢魔時でも誰よりも仲の良かった辰次の声すら届かないのだ。更に記憶の旅路を遡る“さよ”の存在を直視できなかったことは無理もない]

 せやけど、ちゃんと届いてはおる思いますんよ。
 今はちょっと意固地になってるだけ。
 雪溶けて水が流れるように
 季節が巡るように……ほんの少しあの子が心開いてくれたら

 龍っつぁんや沙耶が届けようとした想い
 あの子のここに届くんよ

[自らの心の蔵をとんとんと叩き、『大丈夫だから』と何度も繰り返した。
そして、視線は明之進と一平太へ向ける]**


メモを貼った。


[居なくなったという言葉にちくりと胸が痛む。事情はどうあれ、彼の前から姿を消したのだから。]

 僕は、居なくなった。でも此処に居るよ。
 僕を、一平太を見て。

 僕は君と友達でずっと居たくて、一緒に居たくて―戻ってきたんだよ。

[それでも、彼に伝えたくて。] 


メモを貼った。


そうなのですか。本当、あやかしにも色々な方がいらっしゃるのですね…。

[ 怒らせたらどうなるのだろう、と思いながら、続く辰次の言葉に恨めしげな目を向けて]

…もう。こんな手でまた無理をされるおつもりですか?

[ため息をひとつ付くと、くすりと笑って]

止めても無駄なのでしょうね。ならせめて…、傷の手当くらいは、させてくださいね?

[柔らかく微笑んでそう言うと、行く末を見守った**]


メモを貼った。


色々いるから、いちいち驚いてたら心臓が持たないぞ。
驚かせて遊ぶのが好きな奴も多いしなぁ。

[注意してくれな、と忠告し。
それから、理解を示してくれるゆりに、敵わないと言いたげに苦笑した。]

……見抜かれちまってるなぁ。
俺、生傷絶えないけど、よろしく。

[そうして、明之進たちを見守っていれば、前足で薬の壷を抱え、短い二本足で走ってくる白ネズミが現れただろうか。切り傷を一瞬で治すほど怪我に効く鎌鼬の薬を、沙耶の為に志乃に渡しただろう**]


メモを貼った。


[青白い炎が、美しく見えて。その炎に触れるように、手を伸ばす。

しかし多少なりは我慢しても―触れることは出来ないだろう。それが何分、悲しい表情を見せて。]
 
 僕は明之進君がこのままでも全然いいんだけど―。
 なんだか、きれいだから…。

 でも、人の姿をした明之進も、毛玉の明之進も好きだよ。姿形なんて、関係ないよ。

[ふと、さよと呼ばれた人間のことを思い出す。かの者は、どのような形で明之進と別れたのかは分らない。裏切られたのか、はたまた自分と同じような別離だったのか。]


 そう、この村では、僕はニンゲンというアヤカシ。
 目が二つ有って、手と足が二つあって、二本足で立っていて、指が五本あって…。あ、姿を変えるのは出来ないかな―。

[ニンゲンというアヤカシの、身体的な特徴を連ねていく。]

 ね、明之進君と一緒、同じアヤカシだよ。アヤカシの里にいるアヤカシの僕が、君と別れることなんて無いんだ。

[里への永住―即ち現世との決別、それが浮かびゆく。
その意味は考えぬようにしても、どうしても過ぎるような大きな重量。

たまこ姉さんは―どうだろうか。]


 それに―明之進君の周りには、たくさんの友達が居る。

[とうとう流れた涙―それはそのままに、周囲をちらりと見る。どうも怪我の治療をしているようなのだが、潤んだ目ではそれを理解するだけの視界が足りなかった。]

 ゆっくり見回してみて。僕も、辰次さんも、志乃さんも。明之進君のともだち。明之進君は、ひとりじゃないよ。

 まあ、今は僕が一番のともだちだけどね。

[長年の付き合いの辰次を置いといて、一言付け加える。]


 だから。
 だからさ。

 何時まで、ともだち、泣かせるんだ―!

[涙を流しすぎた眼を拭くため、手で覆うようにして。
明之進の姿が隠れた。]**


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