251 【誰歓RP】鬼渡し
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[暗い 暗い 暗い
ここはどこだろう。
ワタシは――――おらは、何してた?]
―現世:隠神社―
[夜の神社を、ざぁっ…と一つ風が噴く。
その風で砂利の上で倒れていた明日香は目を覚まし、のろのろと立ち上がった。]
……ここは?
[辺りを見渡すと、後ろには廃れた方を見慣れたせいでどこか新鮮さを感じる隠神社。
明日香や善一やがよく遊んだ遊び場。]
……帰って来たのけ?
[あの、酷く寂しい廃れた神社から。悪夢のような場所から。
把握できていなかった明日香は、“帰ってこれた”という事実に気付くと喜色を露わにして、鳥居の外へ駆けて行った。]
おっとう! おっかあ!
[向かう先は、恋い焦がれた自分の家。**]
―綾瀬家後―
[走りに走っればやがて、一つの家が見えてきた。]
おっかあ!
[そう言いながら扉を叩くと、中から出てきたのは知らない人。]
え、……
[何故、自分の家から知らない人が? 奥から聞こえる笑い声は何?
明日香はあからさまに動揺したが、困惑してるのは相手も同じ。]
あ…、ここあっちの家……
「家に貴方みたいな子はいないけど……」
[困惑したように言われたが、否定された言葉を掛けられた神隠しにあった頃のままの明日香には、威圧がすごく感じられて。
怖くなった明日香はそのまま、何か口を開こうとした相手をそのままに走り去った。**]
―七尾家前―
[よく知った、見知らぬ景色の中を走る、走る、走る。
何かが中に並んでる明るい機械や、天まで聳える高い柱。
こんなものがある場所なんて、知らない、知らない、知らない。]
はぁ…はぁ…
[次に向かったのは、幼馴染みであった善一のいた七尾家。
明かりの漏れる、その家の前には大人が数名屯していた。]
なァ、善ちゃんおる……?
[「見つかったか?」などと話している人集りに、ふらふらと近付きながら話しかける。
大人たちはこちらを見ると、ギョッとした顔をした。それを見れば、こちらも竦む。]
「お前、どこの家の子だ?」
「名前は?」
[聞き知った訛りのない言葉に途惑いながら、怖ず怖ずと名前を名乗る。]
アスカ……綾瀬、明日香
[その名を聞いた大人たちは、どこか不気味そうな顔をした。
その異様なものを見る目に――実際は違ったのかも知れないが、子供の明日香にはわからない――怖くなった明日香は大人たちに背を向けて、再び駆けだした。
ここは一体どこ? 帰ってきたんじゃないの?
父と母はどこ? 皆はどこ?
なんで皆あんな顔するの?
夜に、白装束を着てる女の子がいたら怖いだろうということには気づかない。
ただただひたすらに、怖い。**]
[行く先、行く先。大人が懐中電灯を持って歩いていた。
どうやら誰かがいなくなったらしい。皆で探しているようだ。
そして、それは自分でないことは痛いほどよくわかった。
どうして、知らない顔しかないのだろう。
こんなに狭い村なのだ。知らない顔などないはずなのに。
自分に奇異の目を向ける顔は、どれもこれも知らない顔。
誰かどこかに知り合いは。
家を探していた少女は、徐々に見知った顔を探し始める。]
どこにいるっけさ……!
[会う人会う人、誰も知らないことが、少女の不安を掻き立てる。
どこにいるの?]
嫌だ!
[顔を恐怖に歪め、叫びながら駆ける。
やっと帰ってこれたと思ったのに、よく知ってるようで全然知らない場所なんて。
あんな寂しい場所より、よっぽど怖い。
なんて酷い、悪夢のような夢の続き。]
―隠神社―
[一通り村を周り、戻ってきたのは以前と変わらない隠神社。
鳥居の傍に行けば、柱に頭を打ち付けた。]
目ェ覚めれ!
[ここは現実じゃない。夢だと思っているから。
痛みを与えれば目が覚めるのではないかと思って。
何度も何度も打ち付ける。]
覚めれ! 覚めれェ……!
[叫ぶ声は段々涙声に変わり、やがて打ち付ける元気もなくなって。
とうとう鳥居の足元にへたり込んで泣き始めた。]
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