人狼議事


47 Gambit on board

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―拘束室―
[突き付けられた銀の先に、翠を細める。言い返す言葉は無い。
内紛勃発という顛末へ転げる可能性を孕んでいる事には気付いていても
その事態を防いだ上で、己の目論見を果たす手段は持ち合わせていなかった。
故の現状。…彼の皇子の、指摘通りだ。]

…そうですね。
其れは確かに、俺の望む未来ではない。

[言い訳はすまい。
不完全な状態で、いや、全てを計算尽くしていたとしても凶行に及んだのは事実。

…それに加え其処に皇子の即位を利用しようとしたと、間接的に告げた様なものだ。
罪に問われても文句など。…下手すれば、罪に問うてくれるだけマシではないのか。
その場で討ち首でもいっそ大袈裟では無いのだろう。

故に、続いた言葉に見開いた翠は、驚愕の色を滲ませて。]


―――、な

[気に入った、という言葉を返されるとは微塵も思いやしなかった。
己の聞き間違いかと思いもしたが、向ける視線の先、その顔に冗談の類は見られない。
困惑に僅か眉を寄せて、暫しの沈黙。そうして漸く一つ吐息を絞り落とした。]

元より、処罰を免れようとは考えておりません、が。
…第二皇子殿下は、随分と物好きな方の様だ。

――殿下の御言葉、吝かでは無いのですが。

[視線で示された先へと翠を落とす。
…己が握る銀に向けられた意味は理解している。
考えても見れば、己が最後に剣を握ったのは其れが最後か。

逡巡。ゆるりと一度瞬いて――銀を捧げる代わり、詰襟の方へと手が伸びた。
指先に鈍色を引っかけて、ぐ、と力を入れる。
師団長の証たる紋章を、ぶつり鈍い音を立てて引き千切った。]


 何だとだ?先程から『はっきりと』無責任だと言っている。
 命令によってのみ動くと断言することは、自分で思考することを放棄し、命令者に行動の責任を押し付ける行為に他ならない。
 それも解らないのか…
 ワット殿の何を見てきた。
 貴方がそういう言動をとるたび、貴方を部下として、後任に推したワット殿を貶めているのも解らんか。
 師団長どころか、一兵士としてであっても問題発言だ。
 そう、私は根本的に貴方個人のそのスタンスを認めないと最初から言っている。
 他の人がどういうかは知らないが、私は間違っていると思う。
 自覚するのも、直すのも、容易ではない『努力する』以上の決意が必要だ。
 それは自分自身でしか、決められない。言葉が通じない私にはどうすることもできない。

[ 理解していないということを確認するように、論う。
返答を期待している訳ではない。]


…罪を贖った後でなければ、俺は国に忠誠を誓えない。

[そうでなければ――意味が無い。そう言って薄く笑う。
掌に転がる鈍色へ、一度視線を落とし。  そのまま掌を傾ける。
カツン、と硬質な音を立てて其れは床を転がった。]

ですからせめて。…此れは“サイラス”の物ですから。
先に、お返しします。

[『己』がサイラスでは無い事実と、
――例えば処罰を受け、その後でも万日に叶うのならば。
その時は忠誠を誓う事も厭わないと、言葉裏に秘めて。

剣を取ろうとするのならば、其れを拒みはせずに手渡しただろう]


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 嫌いじゃなかった?
 過去形ね、結構だ。厭われるのは覚悟の上で話した。
 私は一人の人間個人全部の好き嫌いは、部分的な好き嫌いとは別に考えている。
 貴方のこの姿勢は認めないが、貴方自身を総じては好ましいと位置付けているがね。

[哀しげな響きにも、返す言葉は冷静。
予期し、覚悟していた事象に対して感情を荒立てることはしない。
―――子供の頃ならば、泣いていたのかもしれないが。]

 私は、私が第7師団長として必要だと思うことをするまで。
 死ぬ気など毛頭ないが、仮に前線にて死んだとてそれは仕方のないこと
 ―――お前が私を何だと思っているのかなど知らんが、私は軍人なのだから

[退役するまでは。]


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― 中庭 ―
[坊主〜には、眉をよせた。
 水滴落ちる中、ブランフェルシーの声が落ちる。

 一言、二言…………いくつ者言葉が
 彼の生い立ちを紡ぎ上げていく。]

 …………死の隣に……

[死した後ノルデンの子を助けた
 その声の主は、
 どんなことを考えていたのだろう?]
[そして、ブランフェルシーは
 幸せな空間を置いて、
 戻った戦場で何を思ったのか。]
[彼には理想が見えていたのだと。]
[聞きたいことはあったけれど、
 うまく、口に出来ないまま拘束の兵が現れて]


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 ええ…………

[決着を目に捕らえながら、
 差し出されたブランフェルシーの手は
 正面から。
 ゆっくりと、動き鈍くなった左手から
 槍を外し……転がした後、
 彼の手に焼け爛れた右の掌を重ねて。
 共に……その言葉に静かに頷いた。]


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[理想は何処に有るのか。
 理想は何処で知るのか?]

[少なくても、戦場に理想は、ない。
 戦いに、理想は、ない。
 今まで戦場で暮らしてきたイアンには
 それだけは変わる、ことなく。]

[しいて有るというならば、
 明日も生きられますように。
 暖かい食事にめぐり合えますように。
 ゆっくりと眠れますように。
 ……そんな、ささやかな、願い。]


[そのまま、拘束室へと向かう。
 四肢に裂傷、左肩は被弾、右は焼け爛れ。
 ……まぁ、そんなものだろう。
 中庭から離れれば、緊張は終わり
 副交感神経に支配されれば、
 ヶ所ヶ所の痛みが響き渡り眉をしかめて。

 けれど、声は特に出すことなく、
 拘束室へとそのままほおりこまれる。]

[個室が有るともいわれてほうりこまれた。
 と、言うことはここは個室ではないのか。
 そんなことを思いながら
 改めて周囲を見渡した]


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 ……貴方は軍人じゃない。

[くらくら、磁界能力を封じられた故の平衡感覚の喪失を感じながら、なんとか体を起こし床に座り込み。
拘束室と救護室を見上げ、隣りへと言葉を返す。。]

 命令に従うのが軍人です。
 命令に従えない兵なんて要らない。必要ない。
 それが出来ないと軍は纏まりがなくなってしまう。

 それを否定する貴方は軍人じゃない。

 ねえ、ボクは間違った事を言っていますか?

[拳を握り締める。
何時だって話は――言葉は届かない。]


 貴方から話す事は無いって突き放しておいて。
 嫌われるのは覚悟だったって、意味が分からない。

 ………。
 貴方はやっぱり話を聞いてくれない。
 無責任だと言うけれど。
 命令を聞くと選択しているのはボクなのに。
 戦ってるのも、血を浴びるのもボクなのに。

 貴方の望みどおりになるのは無理だ。

[まるで子供のように言って、今度こそ黙り込んだ。]


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イアンが運ばれてきたのを体育座りでじっと見つめた。


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 エンライ師団長……?
 何を、そんな、隅に……

[入って一番最初に目に付いたのは
 隅にちんまり座るエンライ。
 子供じみた様子に鳶色は、瞬き一つ
 
 と、いうか、まず自分が選択しようと思う
 皇子がいることに気づいていないとか]


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 残念だよ。とても

 己の頭で考えぬ兵など何が起こるかわからない戦場では使えない。
 上官の命令を咀嚼し善悪を判断し、時に諌めることも出来ぬ命令に従うだけの兵などそれこそ人間じゃなくて機械でいい。
 それに貴方は日が浅いとはいえ仮にも師団長だ。命令を聞く、戦う、血を浴びるという選択だけで済まされる立場ではない。
 間違っているかという問いに応えるならば、間違っていると私は断言する。

[士官学校を経ている己と前線でたたき上げのナユタとは軍人の認識に多少の差があってもやむを得ない。
だが、命令に従うのが軍人とはあまりに浅はか。
例え突撃命令が出ていたとしても。
状況を見て、必要ならば臨機応変に判断し行動することができなければ味方を不利に追いこみかねない。
命令に従う=軍人では、ない。
そんなことでは、すぐに死んでしまう。認めるわけにはいかない。
そう、言い放って。黙ってしまったようなら宥めることは一切しない。]


恐れ入ります。…しかし名を告げるには、今暫し早いでしょう。

[目の前に立つ皇子たる青年に、小さく苦笑する。
…其れまでは、喩えどれ程己が心底で認めずとも
“兄に成り代った誰か”として此処に居たのだから――
其れが幾年も前に、存在を失った人物であっては、ならない。]

…預かる、と来ましたか。
ならば――精々努力しましょう。再び其れを手に取れる様。

[ポケットの内へと落とされた紋章に、一度翠を向けて。
しかし剣を手渡すと、何の躊躇いもなく視線を外した。
そうしてようやく一歩引き下がる。

相手を、という言葉にも小さく苦笑するのみ。…流石に、これ以上の相手は願い下げだ。此方はたった数分で息も切れ切れだと言うのに、対する皇子は飄々と次だと言う。
そもそも、文官相手の僅かな斬り結びが、目前の皇子にとって
僅かにでも運動不足の解消になったかと問うと、…正直怪しいが。

イアンがこの拘束室へと放り込まれたのは丁度その時か。
僅かに驚愕の色を滲ませて、瞬いた。]


 ……バーンフィールド師団長。
 何があったんですか?

[表であったのは知らないので、イアンの傷だらけの姿に尋ねる。
明らかに浮かぬ表情。
打ちのめされた、そんな様子に見えるだろう。]


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イアンとナユタの声が耳に入れば、そちらへと目線だけ向けた。


 ああ、私は……いつものこと、です。

[身体、致命傷に至らぬところに怪我が有るのは
 日常茶飯事ゆえに、尋ねられても
 鳶色を軽く細めてそうとだけ答えて。]

 …………それよりも、エンライ師団長
 貴方こそ、何が…………

[マイコフとPJという店に行った。
 その後、そのまま拘束されたエンライ
 再び見た彼の様子は
 前線、スラムで見かける
 捨てられた子供を髣髴とさせて。
 片膝つき、目線を合わせ覗き込む]

[そろそろ、皇子に気づくべきだと思うが
 驚きが勝っていて、サイラスと呼ばれていた人の
 瞬きにも気づいていない]


では、私がお相手しても?
加減はしてくださいよ。腰を痛めてるんですから。

[ ヴェスパタインから剣を受け取るとそれをゆっくりと構え、言葉とは裏腹に鋭く打ち込んだ。

鋼同士がぶつかる音が、拘束室内に響く。

前線から離れていたとはいえ、剣術の基礎を教える事もある。鍛錬を欠かしたことは、ない。]


金属音に目を瞬かせ、やっと、やっと気づいた……!!


 ……―――。

[聞こえる声に返事はもう返さない。
蒼灰はより悲しげに曇る。]

 あの人は、あの人の基準に叶わない者を許さない。
 ボクにはもう届けられる言葉が無い。

[小さな小さな呟きは隣の部屋には届くまい。]


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……、バーンフィールド師団長、殿…?

[皇子と相対していた場から引き下がった後、
ナユタの背後より、二人を見降ろす形のまま眉を寄せる。
金属の響く音でようやく周囲に意識が向いたのか、瞬く様子を沈黙のまま見守って。]

――常の事とは言え、流石に傷をそのままにしておくのは拙いんじゃないか。

[必要ならば、救護班を呼ぶが。と短く問いを投げる。
ナユタは立てるのか、と同様に僅か覗き込むようにして。
必要ならば椅子に座るにも手ぐらいは貸す心算だが、…立場が立場故
拒否されたなら、其れを無理強いする心算も無い。]


 ……何故。
 怪我をして、拘束されたんですか?
 戦闘があったように見えますけど。

[目線をあわせ、覗き込んでくる鳶色
それを見つめ返し、もう一度尋ねる。]

 ボクは………。
 師団長失格だそうです。

 ……知ってはいましたけど。

[視線から逃れるように蒼灰を伏せる。
手を貸すというサイラスの申し出は、椅子から転げ落ちるから床で良いと、首を振り断る。]


 …………あの人……?
 なにか、届けたかった……のですか?

[エンライのポツリと零す言葉
 それが誰を指すのかわからなくて
 ゆるく首をかしげて。]

[アークライトと第二皇子(!)の剣戟には
 目を一つ、二つ瞬かせたけれ、ど。

 シェルベリから声がかかれば、
 確かに、それもそうだと一つ、二つ頷く。
 救護班は果たして直ぐ来ただろうか?

 ナユタはシェルベリの声かけにどうしただろうか?
 ともかく、キリシマの目線が動くのに気がつけば
 先ほど見た動かぬ姿ではなく
 暴走する姿でもないことに、
 ほっとし鳶色を細めた]


しばらくして、入室時聞こえたメルル=ガーランドの声か?と予測する


 
 ≪ …………、 ≫
 
 
 ≪ メルルちゃん、も、頑固だよね。 ≫
 
 
 呟きに、
 比較的、同情、とも取れる言葉を投げて。
 
 
 イアンやサイラスの様子。
 床の上に転がったまま、だるそうに窺う。
 


 ああ……私も、襲撃者、でしたので。
 
[被弾はそれとは関係がなかったのだが
 キリシマの黒い目を見、
 彼の行動まで口にする必要もない……かと。
 襲撃者である。
 そう口にすれば、何があったかは伝わるだろう。
 ……告げれば、己はエンライから
 害虫視、される、だろうか?]

 …………知っていた、のに
 そんな、さびしげ……なのですか……?

[ただ、師団長失格と自分で口にし
 それを、知っていたとも、口にする姿に
 伏せた灰を、それ以上追うことなく
 害虫視されて跳ね除けられなければ
 彷彿と浮かんだ姿にするように、
 そっとその頭をなでようと]


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 人の話を聞かないのはそっちだこの大馬鹿野郎が!
 最初から相手が話し聞かないと決めつけて自分の考えを「間違っていますか?」とゴリ押しするばかり。そんなことは私の話を一個でも理解しようとしてから言え!
 人の話聞かないで手前の話聞けだなんてムシのいい話があるものか!ばーか!

 あーすっきりした。
 もう本当知らない。

[一度黙って。
黙って。
黙って
呑みこもうとして。

二度と言う機会がないととても後悔しそうだったので。
子供染みた行動とは自覚すれど、ここの所のやり取りでずっと思っていたこと投げる。
ズリエルやヨーランダが呆れた顔をするようなら、澄ました顔で]

 …失礼しました。
 もう二度とこのようなお見苦しい姿はお見せ致しませんのでご容赦を。

[そうして、ヨーランダの語る外の状況に耳を傾けた]


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メルル=ガーランドの大きな声に過敏な耳を押さえた。尻尾も下がる


― 中庭 ―

[どう、と倒れる音がした。
遅れて肩から背、腰に、頭に地面に叩きつけられた衝撃が響く。

ぬかるんだ地面で泥がはね、顔を汚す。
その感覚を覚える前に、男は気を失った]


 ………。

 泣かせないように、って思ったんだけどね。
 無理みたい。

[ちらりと、床の上に転がったままのキリシマに目をやる。]


嗚呼、成る程…。

[椅子から転げ落ちる。との言葉に、僅か眉を寄せながらも
何処か納得した様に一つ頷いた。
然し、そのまま床では流石に冷えないかとでも考えたか、
手近な個室から一先ず毛布を二枚ほど引っ張りだしてくると其れを差し出した。
そのまま地べたに座るよりは、マシだろう。

残る一枚は床へ伏せたままのキリシマへと掛ける心算で其方へ視線を向けた。
窺う様子の相手に、少しだけ困ったように。
本来ならばせめて椅子か個室まで運びたい気持ちも山々だが、…一人では流石に難しい上
何せ、己を嬉々…?と拘束したのは彼だ。…良い感情を持たれていない可能性は大きい。]


[イアンが頷いたのを見れば、外へ繋がる連絡機を通して
直ぐに救護班を、と連絡を取った。
幾ら拘束室とは言え、怪我人をそのままにする事はないだろう。
直ぐに来るとの答えを聞いて、内線をそのまま切った。]


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[覚悟は、決めていた。

だが、急所を外して戦うことがこんなにも難しく、
厳しいものになるとは―…。

相手が師団長クラスならば、急所も狙わなければいけないな。
やがて救護兵によって救護室へ運ばれた男は、
そんなことを考えるのだろう。

――…目が、覚めたならばの話だが]


はて、何処の伝説でしょうか。
どちらにしても、昔の話しです。

[ 惚けながら、相手の剣を受け流す。]

それにしても、子供の成長は早いものですねえ。
やっと剣を振り回していたヴェスパタイン様が、こんなに力強くなられるとは。

[迷いなく真っ直ぐに打ち込んでくる、その剣の重さは昔とは比べ物にならないが。]

しかし――幼い頃からの癖はなかなか治りませんねえ。

[息の上がるのは早いが、それでも唇の端に笑みさえ浮かべ。流れるように剣戟を繰り出す。
何度も手を合わせてきた、その経験から。一瞬の隙をつくように]


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……、

[隣の部屋から飛んできた声に、其方へと一度視線を向けて。
…再度、座ったままのナユタへと視線を落とす。

――己がヴェスパタイン皇子と打ち合っていた最中も、何事か喋っていたのは知っていたが(残念ながら、皇子相手に文官が打ち合ってその話を聞く余裕など全く無かった。)
いつの間に、此処まで子供の喧嘩のようになっているのか――…、眉を寄せる。]

…互いに譲る気がない、みたいな形になってるな。

[若い、というかなんというか。小さく苦笑した。それきり口を噤む。
彼らの仲に詳しくは無い故口を挟む心算は…無いが。
認めずとも、多種多様の考えがある…で寛容ぐらいは出来ように。

…尤も、多種多様の意見で己のような凶行に及ぶ場合は…まあ別枠だろうが。]


[二人の言い争いがどんどん拗れ、激化していくのに呆れる、なんてことはないが、苦笑するばかり。]

見苦しい、とは思いませんが。
よろしいので?

[首傾げ、請われたなら外の様子を話すだろう。]


 
 イアンが己を襲撃者、と口にした
 のは耳に入っていたものの、
 すぐさま彼の頭をブチ抜くほどの気力もなく。
 
 
 ナユタの言葉に、眉を顰め、ふうと息を吐く。
 
 なぜ、そうなのか。 完全に、キリシマの理解の範囲外。
 
 
 サイラスと視線が合えば、
 少し、思案し。
 
 ゆっくりと、左手は持ち上げるものの、
 毛布を渡されても、掴むことは難しいだろう。
 


[ヨーランダがよいのかと問えば、即答する]

 良い。
 悪戯に死に急ぐような考え、命を預かる者として、旧知として、生存を願うのならば認めて良いものではない。
 私の事を嫌うでもなんでもいい、考えるきっかけになり、生きてくれれば。

 全ては命あってこそだ。

 私の立場上、決して認めることはできないのは、ご理解いただけよう?
 優しく宥めすかして甘やかすのは、他の方に任せる

[きっとそんな意図は伝わっていない。
もう伝えられる気もしなかったから、二度と伝わらないのかもしれないが。]

 ……、外はそういう状況なのですか。

[口許に手を当てて、一瞬だけ眉を寄せた]


 貴方が?
 また帝国に何らかの害を?

[イアンが襲撃者、というのにじっと少しだけ睨むように見つめる。
それだけで、拘束されている者に襲い掛かったりはしない。
拘束されているのなら、戦う必要は無いのだから。]

 ………。
 向かないと知っていた。
 だけど、頼まれたから。

 ……でも、ボクには無理でした。

[ゆるゆると頭を振る。
聞こえてくる声には、より一層浮かない顔をして、溜息を吐くが返事は出来ない。
どうしても言葉が見つからない。]


イアンに頭を撫でられるとびっくりしたように、その顔を見つめる。


キリシマの気力のなさで、命拾いしていることには気づけない。


……まあ、そうですね。
理解は出来ますよ。私とて、死を勧めることなど出来ない。
死なれるより、嫌われるほうが何百倍もいい。

[ただ、こうも食い違う必要があったのだろうか、と。口を挟む問題でもないだろうから、それ以上は言及せずに。
視えたものの話、ぽつりぽつりと語る。

そのうち、大声に第一皇子の姿が見えたなら、その奔放な行動に頭を抱える。]

……皇子殿下。こちらは大事はありませんでしたが。
御禊のほうは。

[それこそ、よろしいので、だった。]


[僅かに持ちあげられた左手に気付いたのか、僅かに安堵の吐息を零して。
畳まれた毛布を広げ――しかし掴む事が難しいだろうと言うのに気付くのは容易かった。]

…失礼。

[暫しの思案、キリシマに一言だけ断って身体を冷やさぬ程度に上から掛ける。
掴む事が難しくとも、軽く位置を直す程度ならば出来るだろうと。]


――師団長の可否など、
…明確な物差しがあるとは存じませんでしたが。

[イアンと交わすナユタの言葉に、翠を瞬いた。
余計なひと言かも知れないが、一つだけ問いを投げる。]

其処で「やはり無理」と割り切って断念するのは容易い。
が、それと同時、貴方に頼んだ方の期待を裏切る事になると思いますが。

…其れは、構わないのですか。


しかし、大事はなかったと報告したすぐ後に運ばれたグレイヴ師団長に目を丸くする。


 害を与える為、ではない、のですが……
 
[エンライの前で片膝つきつつ、
 ツェルベリの呼んだ救護班から左肩の治療を受け
 時折、独り言紡ぐエンライを心配そうに見やれば
 下から少し、睨まれた、けれど。]

 …………そう、ですか……

[首振る姿、今はその言葉を否定するも、肯定するも
 何か、聞き出すでもなく……
 少し伸びた髪を撫でれば
 エンライは驚いた表情で、此方を見て。]

 …………?

[彷彿とさせる人はこうすると、落ち着く子が
 多かったけれど……エンライはどうなのだろう?
 わからないまま、
 まだ火傷の少ない左手で撫で続けて]


ツェルベリがエンライにかける言葉は、聞きつつ、も。


[ ヨーランダの理解に、苦笑いを返す。
どうして其れで此処まで派手な喧嘩になるのかという疑問も容易に察せられた]

 嫌われる位で済むのなら、安いものです。
 彼は、彼が死んだらそれこそ私が泣くとは思い至らないらしい。

 第7師団長の座にある限り、容認は赦されない、そんな組織の都合もね。
 ……まああとは、「死なないで」などと言える程淑やかな性質でもないもので。
 女性らしくなど求められてきませんでしたしね。ヨーランダ殿はそうでもなかったのでしょうか。

[第一皇子が来れば、ヨーランダと声をそろえて言った]

 ……皇子殿下、禊ぎは?


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 いいです。
 このままの方が落ち着くので。

[サイラスが差し出す毛布に、首を振る。
それからまた、拒否したものの気にする素振りで鉄格子で見上げ。]

 ……昔から、なんでこうなんだろう。
 ボクの選んでいる道なのに、いつも怒られる。

 ………。
 ……。
 害は与えたでしょう。
 師団長を襲撃をして時点で帝国への害です。

[イアンにそこだけははっきり譲らずに言い切り。
撫で続けられるのに、居心地の悪そうな困った顔をする。
そんな事された事が無いので、この行為の意味がわからない。]


[ヘクターが運び込まれれば、慌ててスタッフに指示を出し、治療を始める]

 師団長同士がやりあって、ただで済むとは思っていなかったが…
 殆ど防御創とは…

[此処に来る前に聞いたベネットの言葉と、ヘクターの傷を見て、目を細めた]


 害になると判断された。
 完全否定された。

 他のボクより相応しいだろう師団長達に。
 期待はもう裏切っています。

 このまま、ボクがこの地位にしがみつく方が害になる。
 ボクは、この選定が済んだ後、師団長の地位を辞するつもりだ。

[サイラスの問いに坦々と答える。]


師団の番号など、関係はない。
死は容認すべきことではないでしょう。如何なる時であっても。

[そうは言いつつ、きっと自分がその場面に相対したなら、どうするかわからないとも思ったが。]

ここにいる以上、女らしさを求められている女性など。
「死ぬなよ」程度は言ってきましたが。

[死なないで、の響きを変えて苦笑交じりに。女扱いされることも、女扱いされないことも多すぎた。]


……グレイヴ、師団、長。

[運ばれる男の姿。その傷だらけの姿に言葉は短く、途切れる。
意識を失っているようで、動かぬ男を見た。

戦っていたもう片割れの氷使いのことなども、脳裏に過ぎらせながら。]


[ラルフが話しを咀嚼するのには、小さく首を傾げて微笑む返す]

 大体そんなところですね。
 僭越ながら付けくわえさせて頂くのならば、「軍が規律にしたがって動くことなど当然」という下地が士官学校で教え込まれた私にはありますので、「命令を遂行する」ことは空気のようなものなのです。

[ディーンに説教されるようなことをするのも、理解してやっているから性質が悪いともいえる。]

 だから、私は彼の描く軍人像が、「命令を遂行する」の段階で止まっていることが彼の、ひいては13師団の兵たちの命を危険に晒すと考えています。

[ヘクターの治療をしながら、そう付けくわえた]


 
 広げた毛布を掛けて貰ったなら、頭を下げる。
 
 
 基本的に、
 
 信用出来るか否か、と、
 キリシマ個人の好き嫌い、は、別解である。
 
 
 
 毛布を歯で挟み、顔の方に引き上げると、
 なんとかして下に敷いた。
 身体はともかく、生身のままの頭の方は、流石に痛い。
 


 …………なるほど。

[帝国への害、譲らぬ言葉と説明に
 ひとつ、頷いて。
 ツェルベリとのやり取りから、か
 毀れた言葉に、緩く、首をかしげて]

 ……怒られたく、なかったですか?
 …例えば、笑って欲しかった……とか?ですか……?

[大概の子がする反応とは違う反応。
 けれど、マイナーな反応なれど、
 この反応ならば、見覚えがあった。
 見覚え、というよりも……己の記憶にも。]

 お嫌でなければ……暫く、撫でさせてくださいね。

[緩く、目を細めて。]


――!

[ 止めたはずの刃を手で受け止められ、反射的に、蹴りを避けようと、半身を引いた。
しかし、攻撃は止まり、ヴェスパタインが息を吐くのを見るとこちらも肩の力を抜き]

……まったく、生きた心地がしませんねえ。
老人の心臓を勞ってくださいよ。
手は、怪我はしていませんか。

[彼の手を取り、刃を受けた掌を診ながら苦笑いを浮かべる。]

そうですね。ヴェスパタイン殿下は、ヴェスパタイン殿下です。
貴方は昔から優しいお方ですが……頑固で、やんちゃで、無茶ばかりなさる

[怪我のようすは然程ではなかったが、大袈裟に溜息をついてみせた。]


[ランドルフ皇子から何かを感じとって同意したい気持ちになった。
ちなみに、勿論だが救護室の会話は聴こえていない。]


[ 縁側で茶をすすりながら
 その内心を零す二人をのほほんと見たいと
 のんびり鳶色は何か受信して思った]


[ならば無意識に心の声を澄ましていたので聴こえたに違いない!
と、その感じとった何かに何か納得したようにこくりと頷いた。]


[生憎心に余裕が無いので心の声は聞こえなかった!
第一皇子の言葉ならなんとなく耳には入っている気がする。]


 ……、救うべき兵を死なせることは、救護をする第7師団にとって最大の屈辱。
 第7師団の者なら誰しも最初にたたきこまれる言葉ですが
 言ってる自分たちはよく過労になってますね。

[番号など関係ない、というヨーランダに、
配属してすぐにオリエンテーションで嫌というほど聞かされた言葉を呟き苦笑する。]

 ええ、同じです。
 救護というと白衣の天使などと夢見る者もいるようですが、
 その実激務と血や傷に耐えうるだけの気の強さがないとやっていけない。

[肩をすくめた]


そうか。…ならば無理強いはしないが。

[首を振る様子に差し出した毛布を引っ込める。
体調だけは壊すなよ、と一言付け足して
己は手近な椅子を引っ張ってきて、其処へと腰掛けた。

イアンが頭を撫で続ける様子には、苦笑のまま毛布を抱える。
…こうも見ていると、互い年相応だとも思えるのだが。]

――そも、本来は年相応で在るべきなんだろうが。

[誰に言うでも無く、ぽつりと零す。
続く言葉に一度瞬いて、背凭れへと身体を預けながら首を傾ぐ。
疑問では無く、感嘆の意味を含めた其れ。]

…考えて末の結論だろう、辞する決意を止めはしないが――
国の害になる事を避けようと思考する者が、真に害になるとは思い難いな。

[というのは俺の主観か。と小さく苦笑を滲ませて。
…此処で害か否か聊か悩ましいと思う当人が居るというのに、完全否定とは何を定義してのものか。と言葉に含めたものとは判るかどうか。]


[心の声は聞こえたかもしれないが、言わないのではなく、言えないのだとヨーランダとの話しから悟って貰えただろうかと思って見る。歯ァくいしばれェ!の世界で生きて来たのよ!]


メモを貼った。


 笑って……。
 どうでしょう。
 ボクなんかを施設の外に連れ出そうなんてする人でしたから。

 望みは出来れば叶えたかったです。
 できないですけど。

[制御の利かない異常体質。
人体に対してはそれほど影響を与えるものではなかったが、誰も、何も不用意に近づくものはなかった。
頭を撫でられた記憶も無い。]

 嫌、ではないです。
 でもなんなんですか?

[目を細めるイアンに、撫でられたまま不思議そうに。]


[男には、二つの”あの日”の記憶がある。

一つは、エステラ共和国がノルデン帝国に屈した、あの日。
共和国の首都は国内各地から逃げてきた国民で騒然としていた。
ノルデン帝国軍は首都の目前まで迫り、士官生の前線配備を控えながら、
士官学校でも指折りの実力と評されていた男は、その時を待ち望んでいた。

―しかし。
大統領が、国軍に撤退令を出した―。
実質的屈服を意味するその知らせが届いてうろたえた。
しかし、それ以上に愕然としたのはその瞬間の周囲の様子。
あの時の人々の表情を男は今でも忘れられない。

言葉なく、ただ立ちすくむしかできず。
人々から湧き上がるのは虚しさで覆われた悔しさや、怒り、不安。

結局、国のためには何も出来なかった悔しさで、手が、足が震えた。
もっと、強くなっていれば―と思っても、もう遅い。
不甲斐なさに、崩れ落ちた]


[キリシマが頭を下げる様子に、一度だけぱちりと瞬いて。
然し、何処か安堵した様に薄く笑みを零す。
信用できるか否かと、個人の好き嫌いが別解とまでは知るに及ばないが
強く拒絶をされている訳ではなさそうだとは、何となく察しがついて。

もし毛布を動かす事も難しいようならば、手を貸す心算でいたが
何とか整えた様子を見ると、そのまま手を引いた。]

――だ、そうだよ。…エンライ師団長殿。

[鉄格子より向こうから届く声に、
ランドルフ皇子、GJ。と内心無礼な物言いで親指立てながら
其れを悟られぬ様に、翠をナユタへ向けた。

…常は言えぬ立場だとしても、此処は戦場では無い。
一度ぐらい、本音を零したところで罰は当たらぬだろうに。と
先に聴こえて来たゲイルの言葉には微か思うところもあったが。

当人にとって、事は其処まで簡単なのではないのだろうと結論付ける事にした。
――若さかな、と一人ごちるのは自分を見返っては少々切なかったが。]


ええ、七が一番命に厳しいのは、理解していますよ。
世話になっている身としても、それを貫いていただきたいですね。

……貴女も、一応怪我人でここに叩き込まれているわけですし。
過労とまではいかなくても、気をつけてください。

[それから、白衣の天使なんて言葉が聞こえれば。]

天使、ですか。確かに、度々迷惑を掛ける身としては、それでも治療してくれる貴女がたが天使のように思えることもありますが。その分、激務お察しします。
私は鬼か悪魔なら言われた記憶はありますね。

[にこり、笑う笑顔はとても綺麗だろう。]


 ……。
 害になりますよ。
 ボクは、戦場以外では――時には戦場でも害になるんです。

 でも、それだけじゃない。
 ボクは13師団の皆も守れとも頼まれたから。
 そちらは師団長で無いほうが守れる。
 ボクの能力だと味方が居ると戦えないから一人の方がいい。

 ……―――。

[サイラスに答えていた時に、第一皇子の声が聞こえてくる。]


[二つめは、このノルデンの帝都下の牢獄の扉が開いた、あの日。
チンピラ同士の喧嘩の挙句、相手を殺してしまってから続いた、
冷たくて暗い世界に、明かりが射した日。

この国の為に尽力することが、かつての母国の民の為になる。
恩師に諭され、愚かだった自分を省みて、泣いた。

その後、事情を知った上で皇帝から直接特赦が発令され、
久方ぶりに浴びた日の光のまぶしさは、眸の奥に焼きついたままだ]


を一瞬だけちろりと睨んだ。頭を抱えたい気分だった


 前ワット師団長が…………そう、だったんですね。
 
[エンライが口にするあの人。
 彼を師団長にと、推したワット。
 望みを叶えたかった、と口にする。
 感謝、しているのだろうとはわかる
 何か、言いたい感もあるがやはり言葉はうまく扱えず]
[出来ないですけど、と口にする様子
 少し、治療はされれど痛む肩をこらえて
 撫でる手に力を込めわしゃわしゃとその髪を乱す]

 ……頭を、撫でる、という行動で、
 落ち着くんです。

[嫌ではないと、言われれば、
 良かったと目を細めて。
 尋ねられた質問、至極真面目に言葉を返した。]


[ガーランド師団長も苦労するな、と何処か女の友情めいたものを心の隅に芽生えさせつつ。お互い頑固だなあ、と思っているうち、皇子が言ってしまった心の声にあーあ、と苦笑した。]


[ツェルベリとエンライの言葉には口を差し挟まず
 ただ、ランドルフ皇子の声が聞こえれば
 目を瞬かせて。]


寝てる耳にいろんな思惑が飛び込んでくる気がした。


 ……また『死ぬ気か』と怒るのかな。
 一人で戦うと言うと怒られた気がする。

 ………。
 兵器でなくて人で居ろと言う。
 敵を害虫呼びして怒る……のはブランフェルシー師団長か。

 ………迷ったら戦えなくなるのに。

[溜息が零れる。]


― 救護室 ―

―――………………。

       ………――………っ。

[男の指先がぴくりと動いた。
目を閉じたまま眉を寄せ、苦しげな表情を浮かべる]


[ 貫いて欲しい、というヨーランダに微笑み返す]

 心得て居ります。
 師団長が揃っている場で、私がなんであれ死を容認すれば―――第7の信用にかかわりますしね。
 大丈夫です、今は殆ど働いてませんよ。

[鬼か悪魔、という言葉には、思わず笑ってしまう。]

 此方こそ、前線救護中に狙撃で護ってくださる第12にはお世話になりっぱなしです。
 鬼か、悪魔ですか。ふふ、きっとその笑顔が美しすぎて、魅了してくる悪魔のようだと錯覚する者の言葉でしょう。

[男社会の軍の中、少数派である女性軍人同士の冗談話、気が緩んだのかほっと息をついた]


メモを貼った。


――成る程。
師団長で無い方が守れると、そう判断するならば。
その座を明け渡すも一つの選択か。

[ナユタの言葉に、椅子に腰かけたままふむと一つ頷く。
が、暫しの沈黙の後、一寸躊躇い――しかし、僅かに口を開いた。]

…エンライ師団長殿。

此れは俺の持論故、聞き流してくれて構わないが――
…確かに、戦場以外では…聊か『不便』ではあるかもしれない。
が、己を害と言い切るのは、少々違うと思うんだがな。

[それは君を信頼し、心配する者に失礼ではないのか。と。
苦笑交じりに鉄格子向こうへ視線を向ける。]

『一人』で戦うのと、『独り』になろうとするのは、同じようで全く違う。
…前線に立たない師団の者が言うには、説得力が無いかも知れないが。


 数少ない、ボクに関わってくれた人ですから。
 メル……ガーランド師団長もそうだったんですが……。

 ボクはボクなりの基準でしか返せない。

[撫でられたままなので、鉄格子を見上げる事は出来ない。
しかし、基準を曲げる気は無いと言葉に込め。

くしゃくしゃと強く撫でられると、能力を封じられていても静電気が起こる。
落ち着く、と言われて漸く得心したように]

 羽根を撫でるのと一緒ですね。

[部屋の何処かに居た鷹が呼ばれたと理解して、ぱたぱたと飛んでくる。
外せない手袋の手に止まるその鷹の翼を撫でる。]


お役に立てているなら、幸いです。
私たちも時により護られてばかりなので、そういった声が聞けるのは嬉しく思いますよ。

魅了されてくれれば、話は早いのですが。
残念ながらそれほど美人ではありませんので、叱咤を飛ばす日々です。

[気の緩んだ笑みの真逆、わざとらしく息をつく。]


[ 苦しげな様子のヘクターの額にそっと手を乗せる。
傷が痛むのだろうかと思い、僅かではあったが己の生命力を流し込み、それを和らげようと。
ちなみに、戦場では充当役の兵を連れており、片方から吸い、片方に流し込むという中継的な能力の使い方もする。これ余談。]

 ……貴方は。
 体現してみせたのだな、彼の望むものを

[ヨーランダから聞いた、ベネットと相対していたというヘクター。
撫でるようにそっと手を置き、零した]


 ………………

[エンライのを聞き、難しいと思った。
 施設で徹底され、施された教育は
 強固なもの、なのだろう。
 同時に、周囲の人間が、彼に望むこと、も。]

 …………ワット前師団長の望みは
 今、叶えなければ、いけない、
 わけでは、ないと思うのです。

 まず、エンライ師団長自身が…
 自分で、師団長に向いていない。
 そう思う箇所

 ……一人で戦うのが得意なら
 それ以上に、能力以外で複数で戦うのを勉強されればいい。

 迷ったら戦えなくなるならば、
 怒られることをやめても、迷い消えるまで


念のため救護室で手当てして貰ってくださいね。
禊中の皇子に怪我をさせた事がバレたら、私が反逆罪で死刑になってしまいます。

[ 掌の怪我は軽い打撲だけのようだったので、そう冗談ぽく言ってから]

……おっと、元々嫌疑をかけられていたのでした。
少し、おとなしくしていましょうかねえ。

[ちいさく肩を竦めた。]


ワット前師団長が行っていた、農業のように、
 種を巻き、ゆっくり時間をかけて……


 ……そんな、ことはむり、ですかね?

[毀れたため息に、ゆるく首をかしげて。
 ところどころ、思考しながら、故、
 言葉の紡がれる速度は、ゆっくり、だったが]


現役時代の私、ですか…
そういえば、昔からそんなことをおっしゃっていましたねえ。

[その瞳に幼い彼の面影を見て小さく笑う。]

いいえ、殿下は優しいお方ですよ。
貴方は貴方の大事な物を全部抱えて護ろうとする。それを優しい、と言わずなにを優しいとおっしゃいますか。
けれど、時に私を切り捨てて民の為の決断ができる。そのような方でないと一つの国を背負うのは難しかろう、と思います。

それに……そうですね。私は外交戦争を望みます。表面上血を流さないだけで、厳さは武力戦と変わらず、和平を維持する為に外交戦争は続けねばならないでしょう。
しかし、国を争いから護ることは、必ず民の為、ひいては帝国の為にもなると、私は信じます。
私もまた、この国を愛していますし、帝国全てを諦めたわけではありませんよ。

[そう言って微笑むと。
ヴェスパタインがどうするか、暫く様子を伺ってから、大部屋にあった粗末な椅子に腰掛けた**]


メモを貼った。


[皇子が仲裁?しようとしているのには、見かねて声をかける]

 変わる気も、その努力をする気もない者に。
 これ以上今言葉を重ねても無駄です。

[見なくてもできない、と繰り返す姿は容易に想像できた]

 彼にとって私との縁故の価値などその程度ということです。
 失っておしくないのでしょう。
 それをどういう言っても仕方のないこと。残念ですが。

[淡々と述べる。]


― 救護室 ―

[ずっと続いていたゲイルとナユタのやり取りは、全てではなくも耳に入れていた。一貫して口を挟もうとはしなかったが、ゲイルが大声で吐いた悪態には、少し驚いたように其方を見ただろう。
 やがて、隣の拘束室へとイアンが訪れる。
 そして救護室に運ばれた傷だらけのヘクターの姿に]

……グレイヴ師団長。……

[服の端を握りながら見つめる。痛ましい様を、己には心配する事しか出来なかった。ゲイルが力を使用しようとするらしきを見守り]


メモを貼った。


[本当は。

他国への侵略の手となることを望んではいなかった。
けれど、成果を上げて実力を示さなければ出世は出来ず。

国軍は牙無き民のための牙であれ。
軍人としての礎と相反する行為にずっと苛まれていた。
能力の暴走や理性の欠落は、そこにも起因していたのだろう]


――………ぅっ。

[温かい力が流れてくる。
苦しげに顰められた表情が、ゆるゆると解けていく]


……ぅぁっ……?

[はた、と目を開く。
額に触れる手を視線で追って、ゲイルを見上げた。
眸を数回またたかせ、視界にランドルフを見つけて]

ランドルフ、殿…っ! ぅ、ぐぁ、ぅ…。

[身体を起こそうとして、痛みに呻いた]

みっともないところをお見せして…すみません。

[首だけ起こし、頭を下げた]


[生命力を注ぐガーランド師団長に、安堵混じりの息をつく。
事実あれはこの身に受けたが、結構はっきりと回復するものだった。

それでも痛みに呻くさまは、眉を寄せたが。]

――驚くのも無理は無いですが、無理はせずに。酷い怪我です。

[さらりとなかなか矛盾したことを言うのは、常頃の部下に対する癖。]


 ………害ですよ。

[サイラスの言葉に暫し考え込むも、答えは変わらない。]

 意図しなくても。
 意図をすればもっと、酷い事になる。
 『不便』と言い換えても同じ事です。
 通信室にボクを近づけたくは無いでしょう?

[下手に近づいただけでも通信妨害をしかねない。]

 軍に拾われてそれを多少なりとも害じゃなく使えるようになった。
 だから、ボクは別に生物兵器扱いでも良かったのだけど…――。

[伝わらない、と鉄格子を見上げる。]


 
 跳ね橋を下ろす作業に参加する心算はない。
 
 他の、人、が紡ぐ、言葉、の方が
 用いる公式として適しているのは、判りきったこと。
 
 
 それらを片耳から入れ、またもう片方から出しながら、


 
 一度、ナユタを睨みつけると、
 
 
 瞼を閉じた。
 


 ……そうですね……基準が
 簡単に変わるなら基準、足り得ない。

[火傷傷に触れる髪。傷口に触れば痛いが
 気にせず己が乱した髪を
 梳くように撫でて。

 メルル=ガーランド。
 他人行儀な呼び方に変える様子は静かに聴いた。]
[羽の言葉に、飛来した鷹を撫でる
 エンライを撫でながら
 ツェベリが口にしたとし、相応、を考えて。]
 被弾の傷が響き、本格的に動かなくなるまで
 イアンはエンライの頭を撫で続けて

 には、皺寄せが来る
 社会的弱者が多い師団を統べるものとして
 意を唱えず頷いた。]


[軽い怪我。
ヨーランダの声に視線を向ける。
そしてもう一度、ゲイルに、それからズリエルに。

何かを言いかけたところで―]

ぅぬぐっ!

[心優しき第一皇子にベッドに押し戻された。
身体を支えようとした腕が変に捻れたけど―…]

無事そうでよかった。

[安堵の息と一緒に、襲撃を受けて運ばれた筈の三人へ]


自分は、襲われたわけでは…。
グレイシア殿と”模擬戦”を。

[ランドルフの問いには、襲撃者と戦った、とは答えなかった]


 ………――。

[鉄格子を見上げた蒼灰はイアンを見、止まらせた鷹を見。
ゆっくりと目を閉ざす。]

 ボクはすぐ、変わるのを望まれているのだと思うけど。

 ゆっくりでもいいなら。
 "今"は師団長は辞めた方がいい。
 新しく覚えるのには時間掛かるから。
 ゆっくり待ってもらうわけにはいかない。

 ……もう、いいです。
 傷に障りますから。

[傷の為が動きが鈍くなる撫でるイアンの手を、止める。]


[ 首を振る]

 もし選択して出た結論なら、私の言っている言葉の意味を解さぬはずはありません。
 それに、軍人である以上どちらか一方では駄目なのです。軍に属さぬ殿下にはおわかり戴きにくいかもしれませんが…
 本当に、予想もつかない様々な事態が起こります。
 本隊から切り離され情報や指示がないままに、判断して動かねばならない事態は、救護班にすらあります。

 ……それでも命令に従うのみというのなら、彼は戦場自体にでるべきではない。
 それは職務に忠実な第7の救護兵も危険に晒すことになります。

[負傷者を抱えたままあの前線でどうやって生き延びたのだったか。思いだすように目を伏せる。
己の厭う生命力の強制吸引は数えきれないほど使い、敵国の兵を傷つけたのも事実。死んだものもいるかもしれない。
過酷な経験から導かれた解は、もどかしいどころの話ではない。]

 変わって貰わねば―――本人にせよ、周りにせよ、必ず犠牲がでる。

[恐らく、理解しがたいであろう第一皇子に、息を吐くように力無く述べた]


皇子殿下。
逆にそれは痛むと思いますが。

[押し返されるグレイヴ師団長に複雑な視線を向け、ほんの小声で大丈夫ですか、とささやいた。]


 ……私は、ゆっくりでも、良いと
 まだ、エンライ師団長はお若い。
 時間は、十分に。

[師団長を辞めるか否か、それは口にしない。
 イアン個人の考えでいえば、
 エンライ師団長はまだ、早すぎると。
 年齢的で言えばさらに若いブランフェルシーを
 思い出す……ここに来る、際、彼が呟いた、言葉を]

[手を止められれば、それに反するほどの腕の力はなく
 少し、出血が過ぎたかと
 治療こそ終わっていたが、
 雨中立ち続けたのが響いたか、
 場が安全な箇所であるとわかっていたのもあり
 *緩やかに意識は薄れた*]


――害と判断するかは、第三者だろう。
確かに通信室は電子機器が多いから、不都合に違いはないが。

[少しだけ、驚愕にぱちりと瞬いた。
イワノフに渡した通信機の一つは実際壊れている。が、少なくとも己は其れを害とは欠片も思っていなかった。…恐らく、通信を持っていた彼らも同様だったと、思うが。

磁気云々を差し置いても、壊れるときは壊れるだろう。それは自然の摂理だ。其れが彼が原因なのであれば確かに不便ではあるが、棲み分けをすれば済む話。
――だと、思っていたのだが。害と自ら言う青年に、心外だとばかり。]

…君が、百歩譲って事実『生物兵器』だとして。
しかし、少しでも君を人だと思っていた者にとっては、そう簡単に割り切れぬだろうさ。

[イアンの“ゆっくり”という言葉に同意するように。
僅かに苦笑を滲ませながら、小さく吐息を零す。]

ならばこれから理解する努力と、理解してもらう努力を少しずつ続ければ。
如何様になれど、それで構わないと、…俺は思うが。

[師団長の座を譲る其れは、先も伝えた通り反対はすまい。
そこに、静かに響くヴェスパタインの声に、僅かに翠を細めて。]


[薄れる意識の中、漠然と思考する。]

 …………

[決着は、グレイシア勝利、で終わった。
 それは、己には、また、
 今まで信じて戦ったことのない、理想が
 一つ、後退した、気がする。]
[されど、それと同時に。
 ブランフェルシーの言葉が頭にあって。]
[ずいぶん、傷を、グレイシアは負っていた。
 ゆえに、暫くすれば、彼もまた
 こちらに来るであろうけれど……どうか、無事で。]

[今のグレイシアの姿を知らぬまま。
 まだ、決めうちが*できぬまま*]


 犠牲は、犠牲です。

 ……―――。

[平和がなんなのか。
第二皇子への答えは持ち合わせては居なかったけれど、それだけは呟いて。]

 なんですか?

[キリシマに睨まれたのに、ゆるく首を*傾げた。*]


[ ラルフの言葉に、ふ、と笑みを零す]

 ……ヴェスパタイン殿下は、公になるなら良いという意味でおっしゃってるのではないと思いますよ。
 少数の犠牲が和平の元では秘されることが多いのを懸念してらっしゃるようです。

 もし和平が成るのならば。
 国民に、国の礎となり尽力する者のことを、知らせていくべきだとは…私も、思いますよ。
 外交上、そうもいかないことは重々承知しておりますから、難しいこととは存じますが。

[どちらの皇子が即位するのか。
己には解らなかったが、もし第一皇子が即位するのならば、心に留め置いて欲しいと思い、そう告げた。
いきなり起きあがって呻くヘクターには、手を肩に移してもう少しだけ治癒を贈った]


メモを貼った。


サイラスに、バーンフィールド師団長に毛布を上げてくださいと言って、考え込むよう目を閉ざす。**


メモを貼った。


[あいにくナユタの声は壁ごしで治療を行っている己には聞こえていない。

戦場にでるべきではない。
何度もそう思っても、軍の設備でしか制御装置を保てぬナユタに、それを言うことは躊躇われた。
制御装置があれば、軍人として戦う代わりに能力に振りまわされぬ生活ができるのではないかと思ったからだ。

だが、そうはならなかった。戦争の道具を自称する姿は周囲の願いを虚しくするものでしかなく。
早々に制御することに見切りをつけて、金属の少ない山の中にでも行って農業と畜産業でもやって暮らしていけばいいとでも言えばよかったのかもしれない。

ゆっくりでいい、と周囲が言っているのや、『今すぐ』変われと望まれていると本人が言ったのを仮に聞いたならば、何年も何年もナユタに言い続けてきた身は、無力感に溜息を零すだろう。**]


あぁ。

[ヨーランダの小声には緩く笑って頷く。
流れ込む力で身体が温かくなって、癒えているのがわかる]

さすが、師団長だけあって効くな…ありがとう。

[ゲイルへ治療の礼を言いながら、次はちゃんと治療を受けようと思った]

ええ、模擬戦です。
少々熱が入ってしまいましたが。

[ベネットのことは許せない部分はある。
しかし、その本当の志すところが見えていないのもあって
彼が襲撃者であると告げることはしなかった。

彼が沙汰を受けるつもりならば自分から申し出るのかもと
そう感じたからもあったけれど]


メモを貼った。


[ 礼に笑む]

 どういたしまして。
 模擬戦ですか。
 防御創が多いようにお見受けしましたが、一体何をなさったのですか?

[そうといかけた**]


貴方こそ……
どうか、ゆっくり休んで下さい。

[周囲の者を気に掛けるヘクターに、静かに、だがはっきりと聞かせるように言った。顛末を模擬戦と称するのには、その傷と先に伝え聞いた光景を思い、少々複雑な表情をしてしまいながらも。
 心配と懸念は孕みながらも落ち着いて、男は辺りの様子を眺め、交わされる声を聞いていた*だろう*]


メモを貼った。


[笑みが見られ、回復の兆しがわかればこちらも安堵したように笑んで、頷く。]

グレイヴ師団長……このような場所でお会いすること、口惜しく思います。

[彼は自分を信じてくれた。自分も、彼のことは信用しているつもりで。
彼の期待に答えることも出来ずにここにいる自分を悔い、そして信じていた彼もこうして傷ついていることに、憤りに近い口惜しさを覚える。]

……熱、入れすぎですよ。

[何をしていたのか視てはいたものの、口にしようとはせず。]


 
 瞼を開け、ちら、とサイラスにも視線を遣る。
 
 首を傾ぐナユタの姿は視界に入れども、無視を返す。
 
 
 イアンの様子には僅かに顔を歪めるけれど
 この身では何も出来ぬと、ただ瞼を伏せる。
 
 
 
 投げ掛けられる言葉は、その意味を考えるよりも、
 ――否、意味は考える必要も無かった。――
 こいつらは何者なのだろう、と、心の内で首を傾ぐ。
 
 場所が場所なだけあってか、名を聞いてなお、
 
 その正体には気づかぬままであった。**
 


皇子の呟きははっきりとは聞き取れず、疑問を浮かべた視線で見やる。


[耳を澄ますと救護室にいない者の声も聞こえる気がした。
どうしてだろうと部屋を見回して壁の上の鉄格子に気付く。
なるほど、そういうことかと部屋の相関を理解した]

防御創…?
そんなことまでわかるのか…

[ゲイルの言葉に苦笑しながら否定はしない]

いつもと違う戦い方を試していたんだ。

[男の剣はきっと中庭に置き去りで。
ならば剣から刃が削がれていることは知らないだろう。
だからそんな風に濁して伝えた]


―――…、元より。平和は何の犠牲も無しに成り立つものではない…とは、

[誰の言だったか、と。ぽつり呟く言葉は独り言の様に。
其れが何処まで届くかは知らないが。]

…ならば、その尊い犠牲の上で成り立った其れを
本来あってはならぬ事だったと学び、ただ忌避するのではなく
忘却せぬ様、凄惨な事実をそのまま未来へ語り継ぐのが

――その上に立つ者の使命でしょう。

[何の犠牲も無しに平和を築けると思わないと、言外に肯定を返し。
平和が、何かと。その言葉に僅かに沈黙を落として――口を開く。
…勿論、其れが正解だとは、…思わないが。]

未来に生きるものが過去を学び、犠牲を知った上で
真の過ちを過ちだと、正しく語り継げる環境こそが、
…平和ではないかと。    俺は――思います。

[勿論、ランドルフ皇子のも、一つの例ですねと。薄い笑みのまま、告げて。]


メモを貼った。


ランドルフの呟きが聞こえれば、瞬間だけ、身に痛みを覚えたかのような表情を*浮かべて*


[ふと、意識が薄れたらしいイアンに気付いて立ち上がると、
傾ぐ身体を支える様に手を伸ばす。

さて、受け止めたまでは良かったが――鍛えている身ならばいざ知らず、
この腕の細さではこのまま支え続ける訳には残念ながらいかない。
…かといって、個室まで運ぶ事も出来るかは正直怪しい。

少しだけ思案して、――行儀悪くも先程まで座っていた椅子を足で引き寄せると、
背凭れの方をイアンの前へ向けて、寄り掛れるよう位置を変える。
…此れで彼が起きるまで、己が椅子の上に座っていればまぁ、
床に転がしてしまうよりは恐らくマシだろう。 ――恐らく。
ナユタの言葉に頷き、そのまま手に抱えていた毛布を肩から掛けやった。
暫くの後やはり不都合なようなら、手数を掛けてはしまうが、チャールズ殿の手を借りてでも個室へ運ぼうとは決意して。

キリシマから向けられた視線に気付くならば、何か用かと首を傾ぎながら
どうにかして理解しようとはしただろう。――聞き取れるかは、解らないが**]


メモを貼った。


今回ばかりは、そうさせてもらうよ。

[ズリエルの声がして、そちらに視線をやる。
わかったわかったと苦笑しながら頷いた]

そうだな…己もだ。
あの時己がハッセ殿の護衛を代わっていれば
あんなことには…。

[口惜しい、というヨーランダにすまないと詫びる。
信の置ける者を襲わせてしまった後悔はいまだ強かった]

………そう、だったかもしれんな。

[熱を入れすぎだと言われれば、”視て”いたのか、と視線で問いかけ、
かなわん、降参だと両手を小さく上げた。]


あの時、私には疑いもゼロではなかった。あそこで無理に代われば、貴方も危ない。
ただせめて、貴方には無事でいて欲しかったのですが。

[それでも、今悔いることが何も産みはしないとゆるく首を振る。
問うような視線を受ければ、意図は読み取る。]

……どうでしょうね。

[その答えは、くすり、誤魔化すように笑っただけ。]


[皇子の語る平和像は、何を言うでもなく耳に入れる。
成されれば、よいだろうと、思う。]

……。

[遠い、先の、話だろう。]

――お進みください。
貴方は、貴方の信じる道をお行きください。

どちらが皇帝となろうとも。
私は未来を楽しみにしています。

[そう言って、目を伏せる。]


[思案する。
皇子たちを前にして、この先のこと、未来のこと。

和平が成されよ、とも、大戦が起これよ、とも、強くは望まない。
和平の道を進んで大戦にならぬとも限らない。
大戦の道を進むが故歯向かう国が無くならぬとも限らない。

その行く末が平和なのかどうかも、その瞬間に生きる者が決めるべきだと、そう、思案する。]


メモを貼った。


ランドルフ殿?

[呟く声が聞こえてはっとしてランドルフを見上げる。
平和の形を思えば自分もはっきりと答えが出ないのが本当のところだが、
続く言葉にはふ、と笑みを見せた。
自分の考えは間違ってはいなかった、と]

だが、国防のための軍隊は抑止力としては必要です。
侵略行為に及ばぬと前提を設けた上で
ヴェスパタイン殿に国軍の頂点をおまかせするというのは
不可能でしょうか・・・?

[二人の皇子がバランスを取ってこそ、この国は
変わることが出来るのでは、と思っていた]


……15人の師団長がそれぞれの理由で国の未来を見ています。
共通のビジョンを抱けないままでは、師団長の足並みも揃いません。
大役を担っている者がその程度の判断しかできぬのは
大変申し訳ないと思っています。

[眸を伏せて俯く。
一度だけヨーランダに視線を向け、壁の上の鉄格子を見る]

あちらの部屋に、すでに拘束されている者もいるようですが。

[先に拘束され、或いは救護兵に運び込まれて来た者からは
何も聞いていないのだろうか、と首を傾げた**]


メモを貼った。


[首をかしげた後、もう一度格子の方を見上げた。

許さざるは罪であり、人ではない。
眩しい光の中で聞こえた言葉が蘇った
「過去を悔いる気持ちがあるなら、贖うつもりで帝国の為に死力を尽くせ」
そう、恩師から背を叩かれた。

浅く息をついて目を閉じる。
僅かに顰めた表情なればまだ不調なのだと見えるだろう。

自分の罪を許せずにいるから、他人をも許せぬ―それは違う。
わかっている。わかっているのだ。
だがそれでもやはり、憤りは収められぬ部分もあり]

―……。

[状況をよく聞いていないというランドルフの声も、
目を閉じたま聞いて、思案する]


己が把握している襲撃者は、グレイシア殿とバーンフィールド殿。
彼らがなぜ他の師団長たちを一方的に試すようなことをしたのか…
その行為の向こうに何を思って、そして、何を得たのかはわかりません。

己には自分の考えをうまく伝える言葉も、
相手の言葉を正面から受け取る冷静さもない。

[目を開いて、拘束室の方を見ているランドルフを見上げる]

もし、バーンフィールド殿が隣にいるようなら、
己の代わりに聞いていただけませんか。
彼がどんな未来を描いているのか―…。

[サイラスも疑わしいと思うが確証はない。
男がはっきりと判別しているのは、イアンとベネットだけだったし、
ベネットも―…やはり、最終的に何を見据えて模擬戦を仕掛けたかは謎のままだったが]


[見上げているランドルフの表情には、
小さいころに怯えてこちらを見ていた面影は薄いだろうか。

でかくなったなァ…、とと時間の流れを噛み締めて
男は*小さく笑んだ*]


 ……第三者に、害になるとは思われてなくても。
 実際に人も傷つけ、物も壊す――ボクの能力は変わらない。

 自分の害を、自覚できないものは危険です。

[一度は思案に閉ざした蒼灰を開き。
サイラスの心外だとでも言いたげな声に厳しく答える。]

 ……うん、"人"だと言い続けられてきた。
 "兵器"だと言うと泣きもするらしい。
 だから、泣かせたくないとは思う。

 自分を止められるなら"兵器"じゃないらしいから、この力を止めたい、ちゃんと制御できるようにもなりたい、とも思う。

[自分が手を出しては共に転びそうなので。
サイラスが眠ってしまったイアンを支える様子を見ながら、努力はする気はあるのだと語るが、溜息となる。]


― 拘束室:大部屋 ―
[常日頃ならば、戦闘の後は諸事務、片付け等
 作業を行うことで、
 戦闘終了後緩む気持ちを押さえるのだが
 如何せん、場が場なだけに、
 気持ちや神経を維持するものもなく。
 負傷した身体に引きづられるように浅く眠る。

 意識が滑り落ち傾ぐ身体を誰かに支えてもらった。
 聞こえる何かを引きずる音。
 何かが背に宛がわれ、毛布がかけられる。]

[方々から声が、聞こえる。
 その中の一つ、が引っかかった。
 引っかかったまま意識は沈む……]


 でも、それだけじゃ許してくれないんだ…。
 自由に生きろといいながら、ボクの言動全てダメだと決め付ける。

 ボクの現実は変わらない。
 せめて、それを分かって欲しかったのだけど。
 ボクは怒らせるしか出来ないみたい、です。

[努力する気も変わる気も無いのだと、断ずられるのだろう。
結局、互いの妥協点が遠すぎる。

刀で食材を切ることは出来ても、刀は包丁にはなれない。
同じ刃物だからとなれとどう言われてもできない。
別の使い道を考える事は出来ても刀である事は変われない。

そんな例えや、説明をうまく出来た試しは無い。]


 ―――………

[意識が落ちていたのは少しの時間。
 戦闘後の副交感神経が強かった時間が終われば
 直ぐに意識は覚醒して。

 ただ寝入りばな、聞こえた言葉。
 椅子の背面にもたれながら
 引っかかって、緩く頭を振った。]


メモを貼った。


メモを貼った。


 
 サイラスがこちらへ気づいたのには、なんでもないと首を振った。
 
 
 
 
 
 ≪ ……だから、嫌いなんだ。 ≫
 
 
 伝える気のなかったそれは、今度こそ言葉になって落ちたか。
 


[己は帝都が苦手だ。
 
 戦場とは別の騒がしさ。
 生きるに満ち足りた環境なのに不平を零す人。
 賑やかで、無為にも見える幾つかの行為。
 彼らの常識、善悪から外れれば
 容易く指差し差別する様子。]

[帝都にいなければ、
 帝都や前線にいないものも
 それぞれの役割の下、それぞれの戦いを
 してくれているのだと、”思い込める”]



[例え、物資や補給が遅れても。
 届いた物資が腐っていても、壊れていても。
 援軍が来なくても。]
[きっと、向こうも何かあるのだと、思い込める。]

[けれど、帝都にいると、見えてくる。聞こえて……]

 …………ん?

[意識落ちる中、聞こえた声が切欠で
 ネガティブなことを考えていた時。
 己が今零しかけそうな言葉が聞こえて
 鳶色は、瞬き一つ、周囲を見渡した]


メモを貼った。


メモを貼った。


[各々が平和について語る言葉。
それに耳を傾ける。

平和が何なのか、言葉を持たない。
けれど、ワットに教えられて畑を耕したり、鷹の世話をしたりしていた時の事なんだろうかとなんとなく思う。
それは足りない補給にやむにやまれぬ理由ではじめたものあったり、常に緊張と隣り合わせたりすのもので、ほのぼののどかとは到底言えるものではなかったが。
それでも、ワットが望んだのはそれが続く事なのではと思う。]

 ………嫌い?

[ふと聞こえた言葉に、なにがだろうとそちらを見る。]


エンライが聞こえた言葉と同じ言の葉口にするのを見目を瞬かせる。


メモを貼った。


 
 ≪ べつに。 ≫
 
 
 さすがに、面と向かって「お前だよ」などという気はない。
 それだけ伝え、こちらを見る瞳へと首を振る。
 


……ええ。

[一言、それだけで皇子を見送った()。
お気をつけて、というのも何かおかしい気がしたし、彼の、彼らの決意に、進む道に、かける言葉はないように思った。

それからふいに、隣室の様子に耳をそばだてる。
能力が遮断されてしまい、様子を視ることかなわず、代わりに声だけが届く、常との逆にどことなく、興味を持って。]


 ……………

[ぶん、ぶん、ぶん。
 いやいやいやいや、幻聴?それはまずい。]
[けど何か聞こえる。
 今のは己の心理が投影により、
 幻聴のように思えた。感ではなく。]
[けれど、頭に流れ込んだそれは、
 通常、音、拾うのとも違う感覚。
 けれど己の、思考でも、ない。]

[鳶色は些かうつむき、毛布を握りつつ。
 単に人と獣人の血混ざり、
 人よりも過敏……なだけではなく、
 所謂人には聞こえぬ犬笛を聞くように
 何かの電波を受信している、だけなのだが。]


とはいえ、流石にキリシマ師団長の"声"までは聞き取れないだろうが。


 え?あ、はい。かまいませんが、
 ランドルフ皇子……

[幻聴問題に考え込んでたイアンは
 ランドルフの声に
 ぱっと顔を上げて。

 首をかしげて聞かれた言葉は
 ゆるく首を振る。
 と、言うか、襲撃者の己と
 個室にというのは些か警戒心薄すぎないか
 そんなこともちらり、おもった。]


[切り替えてしまえば早い。
何年も何年もかけて己の伝えられる限りの言葉を尽くした。正しく伝わっていないだろうことは容易に知れる。
「でも」も「しかし」も「できない」も聞き飽きた。
この会議に襲撃者が求めたように、自分が見たかったのは変わるための覚悟。現実はこうなんだからしょうがないなどという百も承知の事など、聞きたくもない。
己の言葉で駄目ならば、直接以外…彼を生かせる者に託すしかないのだろう。
生かすことを諦めはしない。手法を変える。
目的が達せられるなら、直接的な関係がこじれようが、女は構わない。好いてほしくてやっていたわけでもない。]

 ―――…ベネット殿は
 望むもの、みれたかな

[そうして、あっさりと思考をシフトする。
ヨーランダから聞いたこと、ヘクターの様子からするに、彼もまた怪我を負っているのだろうと推測する。

死にたがりは嫌いだ。

拘束室に連れて行かれるなら、一度救護室に呼び、手ずから治療をし、問う心算。]


 …そう、ならいいけど。

[首を振られれば納得するしかない。
色々拗れる原因のひとつだろうが、人からどう思われるか察する能力は低い。

目覚めた途端、様子のおかしいイアンの事は更に不思議そうに眺める。]


第一皇子がイアンと話し出すのを、姿勢を改め聞く。


さて……望みまでは、視えませんので。

[拘束室の様子を伺いながらも、ガーランド師団長の呟きを聞き取ったなら、こちらも合わせるように一言。
視えていたなら、視られたのなら、このような混乱は起きなかっただろうか、と思わなくもないが。

人の心など、視えても視たくもない。ずっと昔に辿り着いた結論。]


 …………まず、私の目的は
 第二皇子……ヴェスパタイン皇子即位ではありません。
 現状、ヴェスパタイン皇子を推す方向に
 強く傾いてはおります。が、
 決めうちはしておりません。

[まず、ランドルフの言から、事実と違う部分
 そこの訂正を口にして。]
[ツェベリ座る椅子の背にもたれかかっていた姿勢を
 浅く座るランドルフの前で
 王座の前で片膝つく報告者然とした姿勢にする。
 端々が傷むが、顔に登らせることはないのは
 今までの行動からみについたもの。]

 私は、どちらを選ぶべきか。
 選んだ皇子の推す政策……理想が実現するか。
 実現できるように
 我々全15師団が動けるかを知るために
 今回の提案に乗り襲撃者となりました。


[平和を口にする面々と同様に、其れを口にすることはしない。
いつかラミケシュに語ったように、幸せとは個で異なるように、平和もまたそうなのだと思うから、単純に纏まらない。
今もまだ、和平になった時に能力者施設の子供達の先行きを案じる思いはある。
選帝がどういう顛末を迎えるにせよ。
第7を統括する権利がこの手にあるうちに、彼らの個の幸福に少しでも近づけるような環境を整えたいと思う。

それは、ナユタとの溝を確認するたびに、所詮夢想なのかと打ちのめされる気分でもあったが、折れる気はなかった。]

 大戦になれば、彼らに選択の余地はない、だろうな…

[零れた呟きの意味は、それだけきいたのでは意味は解らなかっただろう。
何故其処にこだわるのか。
それは自分自身も能力であるが故…]


…確かに、其れはもっともか。
実に君が害かどうかは、――未だ正直首を傾げるが。
己の力の強さを、自覚出来ないのでは危険に相違ない。

[厳しく返る答えに一つ思案するように口許へ手を当てて。
然しふむと一つ頷き肯定を向ける。成る程、唯己を卑下しているだけかとも思ったが、そう言う訳では無いらしい。
…自覚こそしていれば、其れは害と足り得ぬのではないかとはやはり思うが。]

それで良いんじゃないか。
其処で、既に“人”としてなる事を諦めているならば
俺からも一言苦言を申し立てようとも思いはしたが。

…変わらぬ現実を変える事は容易くない。
君が、直ぐに死ぬ心算が少なくともないのならば
今すぐ許されずとも、許されるまで共に努力を重ねるしかないだろう。
――それはまでは少々、辛いものは有るかもしれないが。

[続いた声。溜息の漏れる様子に、小さく苦笑する
妥協点が遠いのでは、確かに互いに苦労もしようものだが。
キリシマが首を振るには、そうかと一つ頷く。イアンを含む周囲が何かを聞き取った様子には首を傾げるばかりだったが。]


 
 イアンの様子にはまったく気づかず、
 再びふらりと現れた態度のやたらでかい謎の青年に眼を向ける。
 
 
 ≪ …………、
 
   こいつ、何者? ≫
 
 
 先にこちらへ赴いていたナユタならば知っているだろうかと、
 いまさらながら、問い掛けてみる。
 


また、何か頭に流れ込み、軽く眉を寄せる。


[望みまでは視えぬ。その言葉に、頬を緩める]

 そうですね。
 だから私たちには、目や耳や口があり、自らの意志を告げる方法があるのでしょう。

 あるものは、使わねば。

[ヨーランダに向ける眼鏡越しの新緑、直接聞こう、という意図は伝わっただろうか?]


[と、拘束室の扉を開いて再び現れたランドルフ皇子の姿を認めて、
椅子へと座ったまま軽く姿勢を正す。形ばかりの敬礼を向け――
…続いた言葉に、ちらりとイアンの方へ視線が滑る。

…何だかんだで、この皇子は毎度真正面から体当たりするな。

とは、まぁ。口に出しはしないが。
己の時ですら、歯に衣着せぬと言うか堂々と斬り込む次第だった。
…時折無謀さすら感じさせる思い切った言動は、弟皇子以上ではないかとも思うが。]

――動機、ね。

[小さく、眉を寄せる。
此処に拘束されて暫く立つが――残された面々は、如何しているだろう。

国紋章の裏に位置する通信機は、多少の音を拾うにしろイマイチ効力を発揮しない。
イワノフの其れは確か壊れてしまったようだったし、ベネットの其れも不調なのか
少し前から音沙汰が無くなってしまった。…結界の所為か此方の声も届かない様だし。]


 え?こいつって……?

[倒れたキリシマとその視線の先に居る第一皇子とを交互に見て。]

 ……ランドルフ殿下、です。
 ノルデン帝国第一皇子の。

[まさか、気づいていないのかと、驚きを持ってキリシマをまじまじと見つめる]


……、え?

[ナユタの言葉にぱちりと瞬いて、
キリシマへと一度視線を落とし、ナユタを見て、ランドルフ皇子を見た後に
もう一度キリシマへと視線を向けた。

…どうやら、ナユタが彼と会話を試みる事が出来るのは理解した。が。
――もしや、皇子殿下に 気付いていないのかと、同様に問う様に。]


[ だが聖殿に皇子はいなかった!]


[あるものは、使わねば。その言葉に、くすりと笑って。]

ええ。私たちは伝え合える。そう信じたい。
便利なものを持っていると、時折世界が曇ります。

[自嘲気味の笑み。意志強いガーランド師団長の言葉に、ひとつ頷いた。]

怪我人は、丁重に扱ってくださいね。

[そして、立場が逆のような言葉を呟くのだ。]


 ……そのようなことをして、
 なんに成る、というのですか?

[残念ながら、イアンに冗談は通じない。
 語られた、夢物語。
 イアンは真面目に受け取り
 ランドルフを見上げながら怪訝な顔一つ。]

 ………いえ、それは違います。
 私のない頭で考えた結果、
 お二人の言う政策……理想は
 失礼ながら、お二人の能力、
 政策の難易度、総合して流れる血等を
 鑑みるに同程度
 …………と、判断いたしました。

 となれば、ついで知るべきは
 直属師団たる、私たちの適正、能力、決意
 そこを、見、考えた結果、です。


メモを貼った。


[色々と ユ=シハに同情すべきだと思った]


[ これだから皇子は。]


[でエンライがキリシマに
 ランドルフを紹介している。
 そのこと自体にもびっくりしたが………]

 …………

[何故、かはわからないが、
 エンライの様子からすると、
 エンライも聞こえている。
 そして、それはキリシマの思考?である?]

 ……………

[此方も”聞こえる”ということは、
 話しかけられる?ちょっと、
 電波送信してみることにした]


[こんな皇子で大丈夫か?]


[ 大丈夫だ、問題無い。]


[一番良い皇子で頼む]


メモを貼った。


ツェベリが指パッチんで時が戻るのを把握しつつ。


 
 ナユタの言葉に、驚いたように跳ね起きると。
 ほぼ同じくらいの勢いで、ごいん、とまた倒れた。
 
 はずみで強打し、くらくらする頭を左手でおさえつつ、
 
 
 ≪ …………地味すぎて、わからなかった…… ≫
 
 
 そもそも、こんなところに居るなんて思わない。
 


 …………っ

[勢いよく起きるのと、
 流れ込む思考に
 当の本人を目の前にしている己は
 かすかに噴いてしまった]

[しかし、送信してみた電波に
 返事はない。
 ただのしかばn……じゃない 
 受信専門?なのだろうか?]


[フリーダム皇子だから仕方ない。

それはさておき、少し前――。]

 ……?
 すぐに死ぬ気なんてないですよ。
 簡単に死んでは損害です。

 死ねと命じられたら別ですが。

[心底不思議そうにサイラスに返した。
自分の中での命の価値は軽いが、死にたがりとは違う。
――が、あまり他者に理解できる価値観では無いのだろう。]


[ 頷く]

 仲間同士で対話を試みることすらできなければ、
 他国と、ましてや今の敵国と友好関係を築くことなど夢のまた夢です。
 平行線になることはままありますが、それならば手を変えて努力を続ければいい。

[怪我人は丁重に、と聞けば、真顔で少し考えるような態とらしい素振りを見せて]

 弾丸摘出や硝子片摘出なんかが必要であれば傷口を抉るような真似も強行致しますが…
 そうでなければ、抱きとめてでもさしあげましょうか。

[冗談めかして言った]


[目を伏せられれば、
 むしろ見上げる己にはその濃灰の瞳はよく見えた。
 一度、少し噴いた時以外は
 目線を合わせたまま。]

 …………私、ですか?
 統べての民の、安寧、ですが……?

[尋ねられたことに、
 何か、驚く様子に
 ゆるく首をかしげて。]


 ……大丈夫?

[キリシマが跳ね起きて倒れるのに、蒼灰を瞬く。]

 こんな場所で目立ったら問題だ。

[イアンが電波送信を試みているのにも、声を聞いて噴出しているのにも全く気づかず、真面目な顔で返した。
そもそも聖殿に帰らなくて良いのかとと、忘れかけていたことを思い出したりもした。]


[不思議そうな表情には
 かといって説明するも、難しく
 ……軽く噴いたことなど
 なかった様に、ランドルフを見上げた。]


白衣の天使として、ですか?

[抱きとめるという言葉が聞こえれば、さもおかしげにくすくすと笑う。
グレイシア師団長の姿を思い浮かべれば、尚更可笑しくて。]


……、エンライ師団長殿。
君の基準は、損害か否かしかない。…という訳では、ない よな?

[心底不思議そうに返される言葉に、翠は瞬くしかなった。
命じられたら別、というその価値観は流石に理解が難しい。
…前線に立つ者であれば、少なからず理解…出来るのかはわからないが
後援に徹する師団の身としては、…尚更服従し難いのだが。

――成る程、これ故か。と何となしに諍いの元を理解する。]

…例えば、「死ね」と命じられたとして。
その命令の価値に、疑問は持ったりしないのか。

[ナユタに、短く問いを向けながら。その片手間国紋章を外して、裏を弄る。
時折、ノイズに混じって誰かの声が聞こえる…気がするが。]


 自分が襲撃し刺した相手に、満身創痍の状態で腕に抱かれるなど、なかなかスリリングではないですか?
 ちょっとしたホラーですね。

[悪戯を思いついたように笑い合うヨーランダとゲイルの姿を、ズリエルとヘクターはどう思っただろうか。
たぶんベネットに同情はしたんじゃないだろうか]

 勿論、どうこうする気などありませんよ。


あちらも命を奪う気はないようでしたから、生きていることに驚きはしないでしょうが。
スリリングやホラーというよりは、シュールでしょうね。

[楽しげに笑いあう。結束した女は怖いのだ。たぶん。]

治療はしてあげてくださいね。
それこそ、大切な仲間ですから。


 …………そのように、責任を己において
 何か、解決法が、有るのですか……?

 この件は起こした本人、私に責が有る。
 それを譲る気はありません。

[鳶色は濃灰を見据えて、曲げる意思なしと紡いで。]

 …………和平を口にするものは、
 何故、自分達は和平を終え、成功した前提の
 理想を描くというのに
 何故、大戦の終結、成功ではなく過程を取り出し
 戦と、口にされるのでしょうか?

[目上の相手の質問に質問で返す。
 戦に安寧を見ているのではない。
 大戦も、終われば、
 また、平和が有るのだと、
 その返しで伝わるだろうか?]


 
 イアンがこちらへとなんらかの送信を試みたらしいことにも、
 更にこちらの感想に噴き出したらしいなんてことにも気づかず、
 
 大丈夫かと問うナユタへと、頷いた。
 
 
 それよりも、こんなふらふらしてるのが皇子で
 この国大丈夫なのか、などと考えてしまった。
 
 
 
 その後は、黙って遣り取りに耳を傾ける。
 


……、

[通信機から強く奔るノイズに、紛れる様に時折届く其れに眉を寄せる。
己の率いる第3師団の傍聴に引っかからない様、魔力に頼ったものを使用したのがまさかこの様な形で裏目に出るとは。

今の所イワノフもベネットも、…ディーンも此処には来ていない様だが。
然しイアンといいヘクターといい、此処暫く無事とは聊か言い難い傷を負って運ばれている現状を見ると、流石に向こうがどうなっているのか――気には、なる。
元より、利害の一致から始まった関係だ。彼らの真の意図を知り及んではいないが。

…彼らや、戦友の心配を多少したところで罰は当たるまい。]

――、2番の解散?

[切れ切れに飛び込む音。なれば、会話する相手はイワノフとディーンとだけは察しが付く。…悠長な会話で済む気配ではない――彼が何をする気か、知らないが。]


[ランドルフが出て行ってから、男は目を閉じていた。
きっとしばし寝入っていたのだろう。

治療を受けたので体調は悪くない。
けれど、どこか釈然としなくて、怪我にかこつけて不貞寝をした。

ふ、と目を開いたときに聞こえたのはひそりと、
しかしどこか楽しげに話す声。
なんだ?と耳をそばだてて、ベネットのことを話していて、
を耳にしたなら…。

もそりと布団をかけなおし、寝たふり。

こういうときのオンナは怖い。
直感に素直に従った]


 シュール。確かに、そっちの方がしっくりくる。

 ………ええ、大切な仲間です。
 未来を思い、己が全てをもって見極めようとした程に真っ直ぐな。
 ただで許される行為でないことは確かですが。
 ……本当に罪が贖われるのは、帝国の選び取った道の果てに戦亡き世を掴みとるため、彼らが共に力を尽くしてくれた時じゃないでしょうか。

 それこそ、最も重い処罰だと、私は思う。

[恐らく処罰を望むであろう姿を思い。
ふっと笑みを止め、そう、呟いた。]


 ………。
 基準は、そうです、ね。
 いかに帝国の役に立つかです。

[サイラスの問いに瞬きひとつ。
いかに自分の能力で害を与えないか。
いかに自分の能力を役立てることが出来るのか。
それらを突き詰めた結果だが。]

 それが帝国の為になるのなら。

 不必要に『死ね』と命令されるとは思ってません。
 ボクは、信じるだけです。
 それくらいでしか、返せませんでしたから。

 ……これでは師団長失格だと。
 言われるのは分かるんですけど、ね。

[分かっても難しい、と小さく溜息。]


メモを貼った。


メモを貼った。


 ええ、罪は十分に。
 けれど、例え罪でも
 私は知らずに妄信することは出来なかった。
 何もせず、情報足りぬまま決を出し、
 失敗した場合、被害を被るのは私ではない。民です。

[違いますか?ゆるりと首を傾げるも、
 椅子から降りる様子に、
 軽く訝しげな表情を浮かべる]

 ……お言葉ながら。
 今回の会議初日において、軍縮の話題を出したところ
 軍縮が在り得る。ではなく、現状維持を望む声
 多くありました。
 現状の軍を維持しなければいけないものが
 和平でも有るのです。
 
 その上、和平の戦は領土の拡大を得ません。
 大戦の戦よりも実も成果もない戦です。
 また、和平の戦は、


 繊細な戦場判断が必要になります。
 憎しみを稼げば解決遠く時間がかかる。
 ……時には大戦を終えるよりも。

 故に私は先ほど
 和平も大戦も流れる血は同等と評価いたしました


二人目の存在には、まだ気づいていない。


[最も重い処罰、と聞けば、それまでの悪戯な笑み消し頷いた。]

処罰を与えるのは我々ではありませんから、どうなるかはわかりませんがね。

ただ、それでも仲間ではありたく思います。
もう、他人ではありえない。
行く先がどこであっても、苦も楽も共に出来ればいい。
……そうであってほしいと思いますね。

間違っても、……

[言いかけて、止まる。何を言わんとしたかは伝わるだろうか、伝わらないだろうか。]


メモを貼った。


…、まずはもう少し、基準の尺を増やしてみる事を薦めようか。

[ナユタの言葉に、一度ゆるりと瞬く。僅かに困惑が滲んだ。
帝国の役に立つか否か。非常にシンプルで判り易い基準ではあるが。]

――確かに、国が不必要に『死ね』と命令する事は無いだろう、が。
…流石に、素直に受け入れ過ぎじゃないのか。

信じるのも美徳だが――其処に、疑問を挟むことも、況してや問いを投げるぐらいは。
…君の基準を借りるなら、損害を生む行為ではないだろうに。

[成る程、先は長そうだ。と小さく溜息を零す青年の様子に
手にした国紋章を掌で転がしながら、ぽつりと零した。
――『兵器』では無いと、彼女が怒った気持ちが理解出来なくもない。
それ程に潔い思考も、己としては…まぁ嫌いではないが。
少なくとも、自分には難しいと思う。

其れは余りにも、……彼と言葉で表すのならば。
人らしく生きてきたからなのかもしれないが、]


[ヨーランダが紡がぬ言葉の先、首肯で理解を伝える]

 一度罪を犯した者を、排斥し、葬るようでは
 ―――まして長く争った国と和平など。

 ま………
 ベネット殿やイアン殿をそんな風に処罰したら、帝国軍の女性士官にファンの多いお二人、猛抗議がきますよ。
 そういえば、私の代では士官学校にブロマイドとか出回ってましたね、今思い出せば。
 あまり興味が無かったので忘れておりましたが

[一時重みを増す空気。しかし今思い悩んだ所で仕方ない。
再び、冗談を口にして笑った。]


 ……この国に害をなすのであれば
 捕まる前に宮廷の一つや二つ、灰にいたします。

[器用でない自覚は有る。
 故に肯定も否定もせず。]

 ……軍人か否か、ではなく、
 理想を信じるか、信じないか……だとは、思います
 ……私は、理想を信じられない。
 信じるのは現実のみです。

[理想を信じようと、試みた。
 けれど、気づいた。
 ブランフェルシーは、ああ、最後に言葉をくれたけど
 けれど、むしろ、己は理想を真実
 現実のみを信じるべきなのではと、思う。]

 ……………理想だけでは、ゆっくり、進むだけでは
 明日の糧もなく餓死し、夏に食中毒に倒れ
 冬に凍死しするものには間に合いません。


 現実を見据え動くというのならば
 …………私の選択適わなくとも。尽力はいたします。

[ゆるりと、時折目を伏せる濃灰を見据えた鳶色は
 その瞼を閉じ、静かに頭をたれ。

 どちらの皇帝に変わったとしても
 成すべきこと、やるべきことを
 出来ること、動けることをするのは己の思うところ]


ファン……

[そういう方面には、残念ながらとんと疎い。本当に疎い。おそらく自分に囁かれる噂も、耳に入ってはいない。入っていたとしても、おだてても何も出ないなどと、本気にしてはいないだろう。

きょとんとしながら、ガーランド師団長の翠を見返すだろう。]

そういう、ものなのですか。

[自分のいた能力開発施設では、どうだったのかと思う。

事実この師団長自身は考えたこともないので知らないが、数少ない女性陣の間では、あこがれや噂の的になる者は間違いなく居た。]


[苦々しい表情でもそりと起きあがる。
顔色もいいし、寝起きの顔というわけでもない。
起きていたのは明白だった。

喉元を押さえながら救護室の中を見回した。


そういえば、運ばれてきたとき男は泥だらけの筈だったのだが
今はどうなっているのだろう。
まさか着替えがあったとも考えにくいのだが、
泥だらけのまま横になっていたとも思えず―]


ベネットとイアンを並べるゲイルの言葉に、サイラスはどうなのかと思ったが、恋愛とかよくわからなかった。


 "人らしい"を基準を?

[考えてもそれが分からない。
サイラスの言にそう思うのだが。]

 損害にならない、か。
 そうかな……難しいです、けど……。
 疑問なんてない、ですから。

 考える、努力はしているんですけど、ね。
 他の師団長に比べれば、足りないです。

[イアンと第一皇子の会話にも耳を傾けながら、そんな言葉を零す。
それではダメなのだと理解できるのと、それが全てであった思考を覆せるのとでは違う。
幾ら言葉で言われようと難しい。]


[イアンは小さくくしゃみ一つ。
 まさか、隣の部屋の話が原因とは、知らず。]

 ……それ以前に宮廷を燃やす無駄、を考えてください。

[真面目ながらずれた返しに、
 イアンも何かずれた返し青真面目に口にする。
 突っ込み不在注意報。]

 ……現在は私は帝都にいますが
 普段は前線です。伝えること、そう叶わない。
 また、私が口にした”現実”は、一部です。

[叶うなら、補給や物資の遅れなど、ない]

 もう少し、己が目で、足で、動き
 知ることを、お勧めします。
 ヴェスパタイン皇子ほど頻繁、でなくとも。
 自国のこといわれるまで動けないならば、察せないならば
 他国、敵意むき出す国の、声、 察せますか?


――おはようございます。
具合、いかがですか?

[起き上がるグレイヴ師団長に気づけば、ガーランド師団長から視線をそちら側に向ける。
まさか自分たちの会話内容に狸寝入りをしていたとは考えもしないまま、首を傾げて問うた。]


 そうらしいですよ

[頷いた本人も、よくわかっているはずもなかった。
その頃といえば、医技官コースの自分は解剖実習だのなんだので保存剤漬けのご献体の内臓と仲良くしてたり、病院の手伝いをしていたような気がする。
もとより、罪のない無益で無駄な人の噂話しにあまり興味もなく。]

 遠巻きに騒ぐこと事態が、楽しいらしいですね。

[ミッシェルによくわからん、と言ったらそんなことを言っていたか。]


 おはようございます、ヘクター殿。

[彼が己の着衣を見ているようなら、ああ、とひとつ手を打ち]

 着替えさせました。

[誰が、とは敢えていわないでみた]


ああ、おかげでだいぶ。
まだ重たいがな…。

[ヨーランダの声には一度頷いて、
肩に手を当てて腕を回しながらやれやれと言うように]

エンライ殿もあの変な装置を取ったらイイ面してるんじゃないか?
マイコフ殿やアークライト殿も年上好みにはたまらないだろう。

[オンナというものはそういうものだと聞いたことがある。
なにに惹かれるのか、わからないものだと。

興味なさそうに言いながら、机の上に水差しを見つけた。
男はその言葉で狸寝入りだったことを自らばらしていることに気付いていない]


ツェルベリ師団長とハミルトン師団長の名が……と何かの電波に思った


きっと全員分のブロマイドがあったに違いない。


そうなんですか……

[遠巻きに騒ぐこと、感覚的にはよくわからないが。
らしい、との言葉にそれを伝え聞いたものがいるのだろうと。]

何方かの言葉、なんですか。

[7とも9とも、そう大きく交遊があるわけでなく、ましてやお互いの仲など知る由もなかった。]


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