181 巫蠱ノ匣
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―――さよなら、アイリ。
[アイリの顔を見つめる男の顔に張り付いてるのは、歪んだ嗤い。 両の手がしっかりその細い首を捕まえれば、あとはぐ、と一気に力を込めるのみ。]
(237) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[それほど乗り気ではなかった行為も煽られれば情欲に火はついて。 貪るように腰を動かし、締め付けにくっと眉を寄せ。]
なぁ、あんた……、
[この行為の先に誰を見てるなんて言葉を言いかけてそれは消えた。 職業柄慰めに抱く事もある。 そんな女達は皆自分を求めて、でも自分を見てはいない。 今の飯村だってそうだ。 謝りながら、泣きながら行為に浸る女。]
可哀想なヤツだな。
[ふるりと一度身体を震わせると白濁を女の中へと吐き出し。 まるで奥まで取込もうとでもいうのか、吸い付くように蠢く膣内をゆるゆると楽しむように動かし。]
(238) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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…俺じゃ変わりになんねぇだろうけど。
[慰めるように額に口付けて。 己のモノが引き抜かれれば女の秘部からぽたぽたと赤と白と透明が混じりあった液体が零れるのが見えた。
無言で上着を脱いでそれをばさっと飯村へと被せる。 それで拭くなり隠すなり好きにすればいい。
ふと今なら簡単に殺せるのだろうな、と頭を過る。 上着を脱いだ事で露わになったままのベルトに刺さった銃。 これで頭を撃ちぬけば、彼女は死ぬ。]
(239) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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死にたい? 泣くほど辛いなら殺してやろうか?
[指を銃の形にしてみせて、飯村の額へとその指をとん、と押し付けた。]
(240) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[次いで聞こえたのは、銃よりは大きな破裂音。 少し離れた位置にいたため、直撃は免れたが、飛び散った火薬が頬を掠めた。 服には鮮血が飛び散り、染みを作る。
あまり威力の大きくない手榴弾とは言え、口内で破裂した張本人が生きているとは思えなかった。]
・・・君の綺麗な顔、台無しにしちゃったねェ でも、それはそれで悪く無いんじゃ無い?
[・・・が見下ろした先の青年は、頭の一部が弾け飛んでいた。身体には先程・・・が負わせた傷と、女性が彼に負わせた傷だけだ。
頬を伝う紅を拭いながら、横たわる青年の首筋に一つ、口づけを落とした。]
(241) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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……………
[耳元で何か囁かれたが、聞き取れなかった。 不意に男の手が頬を撫で、首に掛かる。 それを、ただぼうっと見ていた。]
あ、ぐ、
[力の込められていく腕に、為す術もなく。 酸欠で朦朧としながら、意識は揺らいでいった*]
(242) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[自らの置かれた状況を正確に把握することもなく、ただ、ぐったりと、為されるがままに。 ただ、目には反抗的な色を宿し――それも、無理やり咥えさせられた何かを認識するまでの話。
瞬間、恐怖と驚きに表情は歪み、そして、薄く笑う。身体に力が入らない。 咥えさせられたモノを吐き出すでもなく、口の中で小さく呟く。 これで終わりか、なんてあっけない。死にたくないな。 目を閉じかけて、思い直したように、目線は、一歩下がった男>>233へ。]
……。
[許さない。ただ、じっと、その相手を見据える。 もっと、ひどい目にあえばいい。コイツだけじゃない。 そばに立つ男も、あの化け物みたいなクソ女も、ここにいる奴全員、今、のうのうと生きている奴全員。]
(243) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[薄れる視界と入れ替わるように、ここではない別の場所が 脳裏に映し出される。 これは所謂、走馬灯のようなものなのだろうか。
あそこは――そう、スーパーだったか。 茹だるような外の熱気を避けるため、ベンチに座っていた。 私と円香おねーちゃんとルイさんの3人で、色々話したっけ。]
(244) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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(まだ、おねーちゃんに奢ってもらってないのです…)
[何も知らない頃の私は、おねーちゃんにまた 構ってもらえるのが嬉しかった。
――また映像は移り変わる。]
(245) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[ ――そして、それが男の最後の思考となった。]
(246) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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『死んじゃ嫌だよ』
[へら、と力なく笑う円香おねーちゃんの姿。 その姿はまるで、何年も前に死んだ母に雰囲気が似ていて。 私も円香おねーちゃんに死んでほしくなかった。 大切な人が死ぬのは、いつだって辛かったから。]
『死なないって、約束――して』
[約束。 今になって、脳裏に蘇る。 この意識で、この体で、この状態で。 一体どうやって彼女との約束を守れるだろうか。]
(247) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[………約束、したのに、なあ。 彩里は、悪い子、だったのです…… ごめんなさい、おねーちゃん…――――]
(248) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[意識は、ぷつりと途切れた*]
(249) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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[アイリの最期を――― 最高の表情を、その目に焼き付けようと。
男は指先に力を込めながらも、目をそらすことはなく。]
(250) 2014/06/24(Tue) 00時頃
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