226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】
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―トレイルの部屋―
[寝起きはやはり最悪だった。真冬の夜に置き去りにしてきたままだから、凍えるような体温も戻らない。
ふるり。体を震わせれば頭を振った。
おのれ自身の心ほど、儘ならないものはない。殺そうとして、でも死にたくない。剥離しかけているのか背反している。]
タルト…の、様子を見に行かなきゃ。
[節々が痛い。寒気というには生易しい凍えそうな冷気を感じる。ろくに治療を受けていない背と、擦りむけた手。
メルヤはおのれの怪我を確かめながらも、脳裏の奥に追いやった。
トレイルの部屋で、手品に使えそうなものを物色する。花を毟るわけにはさすがにいかないだろう。ティッシュで小さな花を作るのせいぜいだった。
ノートの切れ端を使っての紙吹雪も白一色ではやや味気ないが材料不足だ]
[手にしていたノートの、使われていないページで封筒を作る。その中にメルヤとナナオの部屋の場所を記した1階の見取り図を入れる。
ふと。裏表紙を捲る。
『誰が忘れてしまっても
私だけは忘れない。』
これは自分が持つべきものではなかった、気がする。あの日、シーシャはゴミと言っていたから処分するつもりだったのだろう。
今頃、彼はどうしているのか。思いも寄らない。
ただ。溢れるような繊細な想いが、胸を打つ。寒々しさが増したのは、何故だったのかはわからないままだった*]
[『部屋から出れば、きっと会えるよ』――そうしたメッセージと共に、仕掛けの封筒を作った。
もうひとつ思い至って、仕掛けの入った封筒を作る。使うかどうかは、後で判断すればいい。
メッセージカードにはたった一言だけ添えて。
二通の封筒を持ち歩く。
起き上がろうとし、金属質な鎖の音がして――手錠と足枷の存在を想いだした。
タルトに見せるものでもない。そう思い、トレイルの部屋に投げ捨てた
節々の痛みに顔を歪める。シーシャに貰った鎮痛剤を無造作に3錠ほど取り出し早朝と同じように水も無く飲み干す。
がリッ。間違えて錠剤を噛んだ時、苦味が口の中に広がった*]
[時間がたつのは早い
私の一歩は、皆の数歩分
歩く、あるく、あるく――曲がる事を忘れたかのような関節
きしりきしりと音をたてる其れは、軋みを訴える
転倒しても、私は立ち上がる
涙を零すのは、次は彼と″隔離施設の外″で出会ってからと決めた
泣いている暇があれば1歩、1歩前に進め
私は諦めない
二度と、彼の手を離しはしない
また、彼と共に空を見たいから]
あき、らめてたまるか……!
私は、会いたい。あなたにあいたい
[もう一度、貴方の瞳に花が咲く姿を、みたいから]
キルロイ――キルロイ……ッ
[貴方を呼ぶ声、届くかしら*]
―トレイルの部屋→タルトの部屋―
タルト、起きてるかい?
[数度のノックをする。
その後すぐに、タルトの部屋に仕掛けのしてある手紙を持ってきた。
開くと紙が膨らんで。ぽんっと警戒な音とともに紙吹雪とティッシュで作った白く小さな花が舞う。
()メッセージ付きの見取り図を入れたものだ。
彼女はまだ眠っていただろうか?
起きていたなら、言葉を交わしただろう*]
―どこかの空室―
[タルトはどうやらまだ眠っているようだった。
痛みも寒さも臨界点をとうに超えている。
病の症状すらも利用し、おのれの心を殺そうとして。でも殺しきれない。
結果自らを痛めつけている状態になっている。]
……しぶといな。
[低く呟く声音は、冷酷さを帯びていた。
早朝から怪我をしてから動きすぎた。
部屋に戻る気力が、残っていない。
どことも知れぬ空室に背を凭れる。ずるり。這うように、尻餅をついた。
次に目を閉じれば、どうなっているのだろうか。幻に取り込まれて凍死という場合もあったが、強烈な眠気には抗えなかった。]
(――…せめて()
君が零した最後の望みを叶えるよ。
初めまして は 口にしない。
落としたところ。上手に立ち回れなくて、ほとんどのもの”落とした”ところを見らない。
最後まで、見届けるよ。
心を、殺してでも。君の望みに添いたかった。)
[届けなかった二通目の封筒。中には素っ気無いメッセージ。]
[救いのない、救われようがない、この箱庭で。
何の衒いもなく慕って懐いたのはピエロの彼だったけれど。
あの真冬の空の下。風花が舞い、白に埋もれて消えてしまいたかった僕を
救ったのは、君だった。
気紛れでも、繕いでも、身勝手でも、どうとでも良かった。
どうでも良かった。
どんな風に思われていようが、どうでも良かった。
だって。
君は、知らない。]
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