25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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何故切り捨てると?
お前が私の花だという以上は――。
私の花はお前だけだ。
[摺り寄せられる頬。
頬に触れて、その眸は此方を向くのだと、向けさせて]
堕ちるまえにも。
もう一度歌を聴かせておくれ。
お前のその顔で。
私の為に、啼いてほしい。
[笑みを見せて、唇に触れる。
触れる感触は、生きていた頃と同じもの]
[僧の慈悲。
届くのは、こえ。]
……、ないてなどいない。
[――――りん、と
小さな鈴の音。
眉はきつく寄せられて
けれど涙は流さない。
重なるように華月と、朧の会瀬を意識に重ねる。]
[見ている]
[感じている]
[願っている]
―――――朧さま、
……―――華月……
[己をきつく、抱いて。
震える肩、
―――りん、と鈴は鳴るばかり**]
[幾人も、花を囲うなら
気に入りが変われば切り捨てられる
習ったこの世の有様は、恐ろしいもの。
なれど]
うたを
……詠いましょう、主さまのために
[頬に触れる手に僅か震えて
冷たい冬色は嬉しそうに細まる]
奏でる曲はお任せします
穏やかな春でも 熱さ溢れる夏でも
実り多き秋も 身引き裂く寒い冬でも
[そっと瞳を閉じる。遠くで鳴る鈴の音も
流れる血の鮮やかさも、今は意識の外に追いやって]
お前の歌は、心地よい。
啼く声と、同じだからかも知れぬ。
[手折った朝のこと。
今は遠く感じられて。
けれども、腕の中にあるのは確かな]
ここでは、少々無粋か。
月の見える場所でと思うたが。
[窓が開けられるのなら部屋にでも、
あちらの騒ぎは僧の耳には僅かに届くだけ。
未練は今ここに。
現世になどないのだから]
――思いの為らぬ秋の歌を。
[そう耳元で告げて、触れる指は優しく。
あの朝とは違う、慈しむ様な口付け。
ないていないと言う鈴の音。
目は向けず、ただ思うだけ。
やはり頑固だと]
|
― 大広間 ― [大広間で高嶺が己が花を散らしたと 夜光の死体が見つかったと報告を受けても 青年の笑みに陰りはない。 「そう」と、呟いた後は 全体への連絡と処理を命じて
ただ、邦夜が倒れたと言う話を聴けば… ああ、彼は獣を見つけたのだと ……果たして、それは誰なのだろう?と そう考えて……嬉しそうに嗤った]
(381) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 03時頃
ロビンは、駒鳥の名ですから。
[温もりに擁かれ、背伸びをして唇啄ばむ戯れひとつ。
喧騒はそこかしこ
腹に残した種は思うところあれど、花は主の為に咲く]
月の下で……嗚呼
狭間にあっても風流な
[くすくすと、毀れる笑み。
薄灰の、洋装でなく着物を纏うて
耳元囁く言葉に震える]
――思いは、為らぬのですか
[柔かな肌を慈しむ指に、唇に
短く、切ない吐息を漏らした]
秋には様々な色がある。
お前の声に合うものを探すと、そうなった。
冬でも良いが、冬では寂しすぎる。
物悲しいくらいが、ちょうど良い。
[月の見える廊下。
庭を前にふわりと腰を降ろす]
風流だというなら、ここでも良いか。
[膝の上に花を抱き寄せる。首元の合せを緩く、その白い首筋へと触れて]
[欠けた月のした
人は二人を見ること能ず]
それでは、あきさめのうたを
主さまが望むままに
[膝の上に乗れば、見上げずとも唇が触れる距離
薄灰の、着物の上でなく直に触れた指
感触は確かにあって、思わず息を呑む。
身じろぎ、両の手が縋るように着物の両袖を引いた]
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