73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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−自室−
…いらないよ、別に。なめておけば多分治る。
[自分が薔薇に触れることで手にした傷だから 必要ないのだと自分の中では位置づけていた。 それなのに、治療をという声はまた一つ増えてしまった。 自分に傷がつくことが心地いいのだといったら、 彼はどんな顔をするのだろう。 その想像は、少しだけ背筋にぞくりとした感覚を寄越した。 唇から、小さく、細く、息を零す。 想像による高揚の熱を薔薇の香りのなかに吐き出すように。
けれど、やっぱりジェフには強く出ることが出来なくて。 いつもだったら、多少は嬉しく思えるはずの声が辛い。 薬を手に近づく同室から逃げるには、背中の壁が邪魔だった]
(116) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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───、…
[しぶしぶ、傷のある手を差し出す。 塗り込められる薬が沁みて心地よく 手に伝わる彼の手の感触と熱に 頭の中がどうにかなってしまいそうで]
…っ
[痛みと恍惚がまざった表情を隠せない**]
(117) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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― 自室 ―
あ サイラ、ス…!
[部屋に入って、まっさきに視線を向けたのが彼のベッドだった。そこで見つけた意外な姿に駆け寄ろうとして、すぐに足音を潜めるようにしてゆっくりとベッド脇に跪いた。 頬に、手を。 触れる前にきゅ、と握って自らの口元へ。はぁ、と息を吐きかけたのは、冷たい指で触れたら目を覚ましてしまうと思ったから]
ね、サイラスはさ
[中庭にいたためか、少し湿った前髪をかきあげて]
先輩のこと、好きなの
[囁く声は、問いかける声音ではなく]
(118) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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― シャワー室:脱衣所 ― [どうやら気づいていなかった様子。 なら、なお更後もう少し慎重に動けば 完全犯罪成立したのに、と 唇引き結ぶ姿に罪悪感は増す。 こう言う時、薔薇の匂いが酷くうっとおしく。]
え……っと。
[セレスト本人が自身の非を認めているから と、自分に言い訳をする気持ちと 引きつった笑みに、罰の受け渡しに、迷う。]
えっと………俺は、フィリップが、好き。
[言葉だけ聞けばナルシストだが、 そう言って突き出すのは 水を切るように震えた色鮮やかな姿。 フィリップが、フィリップと名づけた。 それを口にして、足が震えるのは冷気のせいとしておく]
(119) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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ごめんね、なんでかわかんないんだ
[頬をたどり、顎から首筋へ。そして、紅を見つける]
なんで、好きになっちゃったのか
[寄せる唇は、痛みを残すものではなく
ただ ――触れるだけで]
(120) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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ピアノ、弾けたんだ。
[ピアノの音が終わったところで、入口から声をかけた]
家に帰ってればよかった、なんてそんな物言い珍しいな。 で、こんな寒いとこで何してるの。
[自身も図書室に行く予定だったのでわからなくもないのだが]
(121) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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モリスは、シャワールームの前で、中の様子を窺っている。
2011/12/25(Sun) 13時半頃
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― 廊下 ―
[ぱたん、と静かに扉を閉めて寄りかかる。結局顔も洗ってないし、シーツは持ったままだし
何処にも行けないし]
寝てるとはいえ
何言ってんだよ俺は…
[泣きすぎとか羞恥で真っ赤になった顔を隠すようにシーツをもう一度ぎゅっとして。とりあえず洗って返そう、とシャワー室近くのリネン室へ放り込むために歩き出した。 かろうじて自分のベッドに放り投げてあったカーディガンだけは着てきたから、顔さえ見られなければそんなにおかしくはない、はず]
(122) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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えっ……―――?
[聴こえた声に驚いて、振り返る。 自嘲的な笑みを、困ったようなものに変えて]
やだなぁ、オスカーに聴いて探しに来たの? 何って、頭冷やしに……。
ピアノは、母さんが弾ける人だから。 簡単な曲しか弾けないけど教えてもらったんだ。 俺って、割と器用なのよ?
[いつもは犬のように尻尾を振って詰める距離を 詰めぬままに、今の気持ちを隠して器用に微笑み続けた。]
(123) 2011/12/25(Sun) 13時半頃
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へ?
[一瞬なんのことだかわからなくて目を瞬かせるが、突き出された極彩色をみれば納得がいって。]
……ああ、その子もフィリップっていうんだ。 それはすごい秘密を聞いたね、自分でつけたの? ……自分の代わりに愛されるように? それとも自分を抱きしめられるように?
[意地悪い推測が口から出た。話した瞬間後悔するのに。 ……きっとこの苛立たしい薔薇のせい。]
……ごめん。
[すぐにしおらしく呟いた。さっさと出てしまうべきだ、こんなところ。]
(124) 2011/12/25(Sun) 14時頃
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や、オスカーには聞いてない。部屋にも戻ってないし。 図書室に行こうとしたら、ピアノの音が聞こえてきたから。 ……ノックスが、器用なのは知ってる。 けど、ピアノまで弾けるんだってびっくりしたからさ。
[ノックスの態度に頭を掻くと、ピアノのところまで歩いていく]
あの子と、何かあった? 医務室に運んでは来たけど。ノックスの様子おかしかったから。 おまけにこんなところでピアノ弾いてるし。
[どこかいつもと違うノックスの頭へと手を伸ばす]
(125) 2011/12/25(Sun) 14時頃
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― シャワー室:脱衣所 ― [畳み掛けるように降る推測に、 最初、翠を一つ、二つ瞬きさせたが だけれど、言葉が募るほどに震えが強くなる。 先ほどとは違った感情で。
すぐにセレストは謝ったが フィリップの中では、 降り積もる言葉は馬鹿にされたように感じ 今度はフィリップが口を引き結び。]
………馬鹿っ!!嫌い!! いなくなっちゃえ!!
[床に転々と水滴を垂らしたまま歩み寄ると 色鮮やかな姿……フィリップを抱えていないほうの手を 勢いよく振り上げる、セレストのその頬を叩こうと。]
(126) 2011/12/25(Sun) 14時頃
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部屋に、戻らなかったの?
[何でと紡ぎかけた唇は最後まで音を紡がず歪む。 器用に微笑んでいた表情は、隠しきれず自嘲のそれにまた戻る。
オスカーが俺に襲われるんじゃないかって、 ヨーランダを運ぶ時に思ったんじゃないの? それでも、戻らなかったのは、結局……。
いつもは無意識に沈める想いは、ベネットが近付く動きで舞う 薔薇の香りに強引に掘り起こされるよう。]
(127) 2011/12/25(Sun) 14時頃
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ヨーランダのこと? 前に一回困ってるところ、助けて貰ったの思い出した。 でも、それだけだよ。
[本当に、自分にとってはそれだけだ。 きっと、目の前の彼が自然に今、手を伸ばすように、 ありがとうと抱きしめただけ。 だけど、その手が時に、何か残酷なことになる。 だから、頭に伸ばされる手を、鍵盤に触れていた手でつかんだ。]
優しくしないでよ。 先輩、本当は俺のこと、好きじゃないくせにっ
[零れた裡に燻ぶる焔の欠片。 嗚呼、本当は、知っているんだ。 彼が誰を見ているか、なんて。]
(128) 2011/12/25(Sun) 14時頃
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[馬鹿にする意図はあったのだから、甘んじて罰を受けるべきだという思考はあったのかもしれない。だがどちらかというと単純な反射神経の問題で、フィリップの平手を頬に受ける。]
痛っ……、ごめん。 でも俺は、きみのこと、好きだよ。
[ずきり、また罪悪感で胸が痛む。これ以上を言わないうちに、更衣室を後にしようと。]
(129) 2011/12/25(Sun) 14時頃
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モリスは、ドア越しに破裂音のような音が聞こえた。
2011/12/25(Sun) 14時頃
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嘘だ!そんなの嘘っぱちだ! 本当は嫌いなくせにっ
[乾いた音が脱衣所に響いた。 痛みを与えながら、自分の手が痛いことを気にした。
セレストが口にした言葉に 馬鹿にされたと思ったフィリップは 馬鹿にする相手の言葉なぞ信じられず。 じり、と後ずさり、 セレストが出て行くまで翠で睨み付ける。 ふいていない身体から、水滴が、一つ、二つ滑り落ちて。 鮮やかな姿……フィリップは、 音に、雰囲気にセレストとフィリップを交互に見た。]
(130) 2011/12/25(Sun) 14時頃
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― シャワー室前の廊下 ―
……どうか、したの
[サイラスの友達。名前は…サイラスが呼んでいただろうけれど覚えていなかった。さっきセレストが呼んでいたっけ?頭には残っていない。 せっかくここまで来たのだからシーツを置いてきたいけれど、どいて、というのも憚られて。
中から聞こえた音と、声音に、身を固めた]
(131) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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えっ、ちょっ、マジかよ。
[モリスは突然の出来事に戸惑いを隠せず。ドア越しには会話の内容まではわからず。]
中で何やってんだよ、マジ……
[この状況で中に入るのは憚られるも、ついつい聞き耳を立てようと耳をドアに近付ける。]
(132) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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……好きだよ。
[口癖をもう一度。あとは振り返ることも出来ず。 ドアを開ければ風がおこり、濡れた髪の冷たさを感じた。]
……やぁ。
[気まずいことは連続して起こるらしい。廊下には人影。]
(133) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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セレストは、モリスにドアをぶつけてしまったかもしれない。
2011/12/25(Sun) 14時半頃
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あっ、君は……
[カルヴィンの姿に会釈をすると。]
セレスト先輩探してて、ここにいるって聞いてたんだけど何か中でやってるみてーでさー。
[当たり障りの無い範囲で説明をした。]
(134) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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フィリップは、モリス達が戸の向こうにいること知るすべもなく
2011/12/25(Sun) 14時半頃
モリスは、カルヴィンに説明している間にドアにぶつかり、あべし。
2011/12/25(Sun) 14時半頃
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[ノックスの表情の変化に戸惑う]
助けてもらったんだ。 ……あんまりそんな雰囲気には見えなかったから。
[撫でようとした腕がとられると、はっとした]
好きじゃないなんて、言わない。 少なくとも、かわいい後輩だと思ってるよ。
――……俺の気持ちは、いいんだ。いうつもりもないし、かなうなんて思ってない。 忘れられるなら、忘れた方が良いんだってね。
[首を振って、ノックスを見る。それは本当で、そも自覚したのも最近の話だ]
(135) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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あ、ああ…
[痛そうだ、と思っても表情は変わらず。出てくるのがセレストだと分かれば声をかけた意味もなくなり]
セレスト先輩、中に…
[確認しかけたが、名前を聞いてもわからないことに気づいたのは、今更だったか]
(136) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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あいたたた……
[モリスはその場にひっくり返る。]
(137) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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……そうやって、好きって言う嘘をつき続けるんだ……
[この人は好きという嘘をつきながら これから自分を馬鹿なやつと見るのだろう。 セレストがもう一度言っても、 翠は否定と拒絶の色をセレストの瀬に投げる。
………彼が開けた扉、その奥に人影がある様子には 唇をまた引き結んだ。 ただ、名も知らぬ姿が戸にぶつかるのには 目を丸くはしたけれど]
(138) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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あっ、セレスト先輩!
[偶然は重なるものでモリスはしめた、と思い、言の葉を続ける。]
(139) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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ちょっと、話したい事があるんです。セレスト先輩。
[モリスはセレストの瞳をじっと見据え。]
今から、ちょっとだけ時間、貰えないっスか?2人、きりで。
(140) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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だ、大丈夫?
[転がる姿に慌てて近づく。聞こえただろうか、問いたいけれど墓穴を掘る気もして。]
中は……。 [わざわざ気まずい相手の名を言うのもどうだろう。カルヴィンの問いへの答えは尻切れとんぼ。]
(141) 2011/12/25(Sun) 14時半頃
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話したいこと?
……いいけど。何かな。
[二人きりというのに不思議さは感じた。この後輩とはあまり接点があった覚えもない。けれども断る理由もないし、ここから早く離れたかった。
香る薔薇の衝動は、まだぶり返さない。]
(142) 2011/12/25(Sun) 15時頃
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い、いえ。なんでもない、です!
[途切れた声が続きを紡ぐ前に、と急いで頭を下げてその場を後にした。転がる男には目を向けず、開いた扉の中も見ないようにして。
結局シーツは持ったままだったけれど、持ち主が中にいるかもしれないのに、クリーニングに出すのも変だ、と妙な言い訳をして]
(143) 2011/12/25(Sun) 15時頃
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本当に些細なことだったから、俺は、さっきまで忘れてた。
[ヨーランダの件に触れながらも はっとする相手の腕を強く掴んで]
でも、ベネット先輩の気持ちと俺の気持ちは 一緒じゃないでしょう?
俺は、貴方が好きな人のこと、嫌いだ。 俺にも、嫌いって気持ちあったんだよ。 忘れたふり、続けれれば良かったのにっ
[思い出させたのは、薔薇の棘の呪い。 きっとこの感情の発露さえ、あの妖精の糧になるのだ。 教えられた訳でなく、悟るように思う。 この呪いを眼の前のこの人に移せれたなら、 自分と同じように苦しむのだろうかと。
そうあって欲しくて、でもそうあって欲しくなくて。 だって、彼が失恋するだなんて、決まった訳じゃない。]
(144) 2011/12/25(Sun) 15時頃
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――……なぁんてね、冗談だよ。 それこそ、今の発言なしね!忘れて忘れて?
[だから、ゆるっと拘束を緩めた。 本気にした?と、悪戯めいて笑って見せる。]
図書館行くんでしょう? ちょっと思い出したんだけど、前、誰かから 随分前のアルバムにおかしなこと 書いてあったって聴いたことある。 そこから、薔薇に纏わる噂広がったみたいだし 興味あるなら調べてみたらどうかな?
[暗に離れて欲しいと願う。 これ以上、無様な姿、見られたくない……と。]
(145) 2011/12/25(Sun) 15時頃
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