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――あら。フラれたってなんて考えちゃだめよ
楽しいこと考えましょうよ
[願いを持つ事は自由なら。振られたなんてこと考えず
もっと前向きに。もっと自由に
もっと、希望を持って]
生きて、一緒に手を繋いで笑いあって
そうねピクニックをもう一度――…するのもいいかもしれないわ
頬に触れて、その瞳を見つめて
……あの人の羽に触れて
[最後の言葉を零した瞬間、あっしまったと...は固まった
聞いてないわよね、とぎぎぎと緩慢な動作でナナオを伺う...は、冷や汗をたらしている]
じゃあ代わりに猫じゃらしなる?
[おどけた調子で返してみる。
本心では、メルヤがトレイルを嫌ってない。嫌なら本気で逃げれば良いだけの話だ。
不意に鼓膜に甦ったのは、トレイル本人の声だった。
――『何なんだろうな、俺ら』(
それこそ、今さら過ぎるだろう。関係性に名前を付ければ、その関係にだけになる。
だから、いらない。どんな関係かなんて。いらなかったとメルヤは思う。]
面倒な性格してるよ。僕も、トレイルも、ね。
[...は願った。
現在ほのぼのな雰囲気で行われているメルヤやナナオの
――トレイルの思い出話、人物像の話
其れに紛れてきっと私の話題は埋もれるだろうと
唯只管無表情で願ったのだった]
考えちゃうよ。
だってさ。トレイル、モテるじゃん?
[なんて、軽く言ってみる。
メルヤだってさっきそう言っていた気がしたけれど――。
あたしのこと、妹みたいにしか見てなったり――とか。
有り得ると思う。うん。
それでも、良いけれど――。
もし、生きられるなら――さ。
好かれるように、努力してみたいじゃん?
なんて、乙女心。は、話さなかったけれど。
泣いていたけれど――今は、楽しそうだ。]
・・・あの人の、羽?
[と、楽しそうだったナナオはスルーしなかった。]
もしかして、ケイトリンさんの好きな人は・・・。
[分かった、というような顔で。]
ヒナちゃん!
[と笑顔で言ってみた。
ナナオからすれば、羽といえばまずヒナちゃんなのだ。
子守唄を作ったことのある、キルロイさんよりも。]
ううん。
そしたら、あたしも猫になろうかな。
[メルヤにじゃれてさ。
なんて、笑って――。]
そうだね。・・・素直じゃないよ。
あたしも、ね。
そうだね。楽しいこと考えようよ。
抜け道がダメなら、職員の弱味握ってあっちとこっちと行き来出来るようにするとかさ?
[冗談なのか本気なのかで言えば、冗談九割本気一割だった。
メルヤには身体能力の点に置いて、ピエロの男が余りにも常軌を逸してそれの真似をしていたので
一般的成人男性よりもむしろ上だが、本人にその自覚はない。]
フラれるかどうかは、僕にはわからないなぁ
[顔の前で手を振った。]
ピクニックと言っても、中庭だけど…ね。
[
あら、トレイルってもててたんだ!
[...は正直、長年温めていた自分の恋心に気づいたのがつい先日だった為
恋の噂には疎かった
メルヤはそういえば聞き上手。何か相談でもされていたのだろうかと
彼をじーっと見つめていれば……
嗚呼、ナナオはスルーしてくれなかった
というかばっちり聞かれてた。私は穴を掘って其処に埋まりたい
でも告げられた名前が違ったので]
えっ違うわよ?
[と、反射的に答えて...はしまったという顔をした
此の施設で羽を持っている人は、現在知る限りでは2人であるから、して]
あら弱みを握るのはいいわね
其れは試す価値はありそう。若しくは同情をちらつかせるとか
[凄く物騒に脱獄もとい抜けだしの事を考えました
割と本気だから性質が悪いです]
中庭でも良いじゃない
其処に皆が集まれば、中庭だって景色が変わるわ
[楽しい事は、幸せを運ぶ]
何故、あいつがモテるんだろうか。
[こんなにトレイルの話に華を咲かせたことがないため、メルヤは無意識にトレイルの前での雑な口調になりかけていた。
要するに潜在意識での甘えだが、当人は気づいてない。]
そうだね。
……今までいなくなった人で、僕が知ってる限りは…三人、かな?
誰も打ち明けなかったけどね。
そして僕が聞く羽目になる現象をどうにかして欲しい
好みとか聞かれても知らないし、食べ物とか。色とかしか知らないし。
[だんだん、愚痴になってきている。]
[
そっか。
・・・ケイトリンさん。ちょっと、意外かも。
あたしもキルロイさんと、話したことはあるけど。
ね。・・・聴いても良い?
どんなところが、好き?
待って。何で僕が弄ばれる側から開放されないんだい?
[
ナナオは素直だよ。
本人がいなくても、こうして素直に口にしてる。
僕はもっと、何か面倒なんだよ。出会いが遅すぎたんじゃなくて、悪かった。
弱味かぁ。
[タルトちゃんにはせんせーは結構甘い気がする。
ラブレター貰ったらきっと喜ぶだろうなぁとか。
案外あたしにも甘い気がするのだけれど、どうだろう。人によって結構印象が変わるけれど、みんなして嘘つきだって言われているような――。
職員の弱味、というと後は色恋沙汰くらいか。
あとは、食堂のおっちゃんがこの前アルコールを横流ししているって噂を聞いたことがある。
一体どこの誰に流れてるんだろうな、と思ったけれど言わなかった。
ナナオは、結構病院のみんなには感謝しているのだ。]
同情するなら…僕に手錠とか足枷とか……ナナオをこんな風にはしないと思うよ。
ナナオの病状、精神的なものに関係するのかもしれないし
やっぱり脅迫材料を探すほうかなあ…
[ちょっと真面目に考え出す辺りが物騒だった。
何せ手の甲にも突起した鱗がある人間凶器な上に、軽業を使うのだから、病院関係者も気が気では無さそうだ。
むしろ手錠と足枷で済んだことのほうが、奇跡に近い。]
まあね。中庭でも…良かったんだけどね。
[僕はトレイルのせいでほとんど楽しんでません、とはさすがに言えない。]
3人も。へぇ……
[...はそうなのかーとメルヤの話に不思議そうな顔をした
とはいえ、ナナオの挙げたトレイルの良い所を
きっといなくなった3人も、見ていたのだろう
だから惚れたのだろうなとも思った
だとすると――]
貴方ナナオのこと趣味が悪くないかって尋ねて
普通にナナオって見る目あるんじゃないかしら
[と、至極真面目に過去の話をほじくり返した
愚痴の様な話には、同情の目線をおくろう
そうね、割と聞かれても困るわよねと]
[
本人がいないから、だよ。
いたら素直に言えないもん。
いなくていいよーとか言っちゃうし。
・・・少し意地悪とかも、したくなるかもしれない。
好きなんだけど・・・、好きだから、色んな表情見たくてさ。
喜ばそうとすることもあれば、その逆もあると思う。
誰、とは言わないけどね。
彼女たちの面子のために。この話だってここだけの話ってやつだしね。
[
いや、トレイルにナナオは勿体ない。
あと僕は、まあ。色々と、まだ黙っていることあるよ、とだけ言って置くよ…
墓下まで持っていくべきことぐらい、尊重するよ。例え相手が天敵でもね。
[溜め息を長くついた。
要するに彼女たち全員の趣味が悪いと言いたいようだ。]
[肩を叩かれればあっばれてーると...は降参した
意外と言われて、そうかしらと首をゆっくり傾げ
どんな所が好きか、と聞かれれば恥ずかしがって薄く頬を赤に染める
暫し迷った後――]
そうね、絵を描く時の真剣な表情とか
おにぎりを両手でゆっくり食べる様子とか
はにかんだみたいに笑う姿とか
……ううん、それだけじゃない。彼の笑顔はどの笑顔でも可愛いのよね
優しい声に、凛とした眼差しに
私の体調を気遣ってゆっくり歩いてくれたり
タルトのお弁当のリクエストを叶えたり
酔い潰れたメルヤを介抱する際の優しさに
それから――……
[まだまだあるのだが、言い過ぎたと。これでは惚気ではないかと
...は緩慢な動作で口を手で覆った]
[
あたしもそのうちの一人なんだろうか――と思うと、ちょっと寂しいけれど。]
ううん。
トレイルは、ちゃんと助けにきてくれたよ。辛い時にさ。
[
だから好きになってしまったのかもしれない――。
と内心で想った。]
[弱みを考えるナナオ
同情はどうやら使えないとメルヤは一刀両断
確かにそうかと頷く。私は車椅子を用意されたりと拘束はなかったが
2人の状態を見ればさもありなん。情に訴える手段は使えなさそうである]
やはり脅迫の路線ね
[駄目だ、物騒なのが集まって最凶に見える]
……?
[メルヤが何か口ごもる様子には首を緩く傾げたけれど
流石にその理由にたどりつくまでには至らなかったのであった]
ケイト、さりげなく僕の罪状バラさないでくれないかい?
あとそれ、トレイルには言わないでね。本当に。
[
食堂の中年の酒横流し先は、無論メルヤである。]
トレイルは面倒見いいし、大体の人には優しいからね。
いまのは職員の話だよ、ナナオ。
…実際拘束されてるしね。
足枷も外したいけど、また着けるのも面倒だしなあ。
[
動く度に鎖の音がするのは、囚人のような気分だ。]
分かっているわ。オフ・レコードよね知ってる
[自分とて彼女らの立場に立てば秘めていた想いを他者に露見されるのは嫌だと思うから
とはいえメルヤの杞憂は実は正解だ。きっと言葉の刃は的確にメルヤを切り裂いたろう]
……本当に、分かってないのね、メルヤは
あら、黙っている事があるの?
[と、揶揄するも其れを深く追及はしない
墓下まで持っていくと言っているのだ。そこは好奇心だけではつつかぬが賢明だろう
ナナオの呟き
ほら、やっぱり――ナナオの趣味は、良いじゃない、と]
うん。うんうん。
[にっこりとしつつ、聴いた。
泣いたり、笑ったりしつつも――その様子はとても楽しそうだ。]
分かるよ。
男の人って、たまに可愛い所あるよね。
[格好つけようとしてる所とかも、あたしは可愛く見えてしまう。
朝の散歩してる所とか。うんうんと同意をして。
優しい声とか、分かるなぁって。]
2人とも、仲良いのかなって思ってたけど。
好きなんだ、っていうのは気づかなかったな。
[話を聴きながら、ナナオから見た2人は姉弟みたいだと思っていたから。]
あら、私″何時″酔ったかは言ってないけれど?
[貴方が酔った事は何度かあったわよね?数少ない施設のイベントの時とか
その事を軽く揶揄してみた
さっきから思ったけど、君達男の人の枠に僕入ってないよね?
いや…いいんだけどね。
[男女平等。どちらとも取れぬ立ち位置を取ったのメルヤ自身だが、こうして話の華が咲くと明らかだった。]
ま、君達には想い人がいるのもあるんだろうね。
[そう口にして、器具の前から下りる。]
…さて。こっちの施設のひとを脅迫するかどうかは、さて置いて。
僕は一回、部屋に戻ろうと思うんだ。
椅子持って来たいし、もしかしたら…部屋の荷物届いてた嬉しいんだけど。
……多分無いだろうけどね。
[巡回も来るかもしれないという懸念があった。]
そうなのよね。
男の意地っていうのかしら。恰好をつけたがる所とか
其れからちょっとした仕草とかね
[分かってくれる?とナナオ
同意を得られるのは嬉しいものだ
――そして続けられた言葉に、...は少しだけ目を泳がせた後]
……そのね、自分の恋心に気付いたのはね
一昨日なのよ……
[ある意味、距離が近すぎて気付かなかったというやつである
私も弟見たいと思っていたはずだったのにね、と
気付いたら異性として意識していたのと、恥ずかしげに告げた]
・・・あれ?
酔っぱらったって、もしかして。
食堂のおっちゃんがアルコールを流してたって噂、本当だったんだ。
[と口元に手を当てて。
そして、
でも、とそれも否定した。]
あたしのは、心因性だけじゃないよ。
本当に、これ・・・毒のせいだと思う。
これが治療かは、わかんないけど・・・。
[と黒い小手をいじって。
ナナオは、あんまり脅迫には乗り気でないらしい。
この部屋から出るのでも、周りを危険にさらしてしまうんじゃないか――と心配なようだ。]
[
メルヤは、その代わりに話しやすいと思う。
こう、からかいやすくて?
[とフォローしたつもりだったけれど。
フォローになっていない気もする。]
うん。・・・あたしはあんまり、脅迫は乗り気じゃないけど。
分かった。・・・これ、ありがとね。
メルヤ。
――またね。
[そう言って、にこりと手を振った。]
キルロイさんもそういうところ、あるんだ。
[うんうん。と嬉しそうに同意する。]
一昨日?
・・・あ。でも、あたしもそれくらいだよ。
[思えば、その前は兄みたいに見ていたし――。
恋心と自覚し出したのは、その頃だ。
撫でてくれて――。と思い出すとちょっと恥ずかしい。]
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