25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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人
狼
墓
少
霊
全
…明?
[黒檀を瞬いて、主へと告げる友を見て。
その腕にある太刀に気付いてまた瞬いた]
邦夜様が求めて下さったこと。
それが何よりも幸いですと。
お気に召したのは、顔だけですか?
[くす、と意地悪く笑い]
内に二つ心あれど、どちらも私に違いありません。
人の心と獣のこころは、もう混じってしまいましたし、ね。
[下りてきた唇を額で受けると
びく、と身を震わせ目を丸くした。
片手で額を押さえ、ぱくぱくと口を開くも言葉は出ず]
……っ
[ぷしゅうと音を立てそうなほど顔を赤くして俯いた。
間を置いて
ちらり、見上げる視線は笑み交じり]
罪悪感、湧きましたか?
[そう謂って、少し背伸びして首筋に音を立ててくちづけた]
――…ん。
[頷いて、抱き寄せられた少しの間に
額を肩にもたせかけた。
眼を閉じるそれは、心預ける証。
離れる身体に、
ほんの少し、名残惜しげな様子を見せるのは
隠し切れなかった、いろだろう]
表情は、同じ顔でも心が違えば違うもの。
顔だけではありません。
心が表れるからこそ、私はお前をもっと知りたい。
[口付けへの反応に一度細い目を僅かに見開いて]
――、湧いたかどうか。
ですが、少しお仕置きが必要かも知れませんね。
[首筋へ触れる唇。
身を屈めて、冬の色を覗き込む。まだ赤い名残が残る顔。
握った手指を絡めて、逃げられぬよう腕の中に閉じ込めた]
[ちらと周囲を見る。
心を通わせる人達。それを見ていると]
不甲斐なさ過ぎて自分の方が憎くなりそうだ。
[表にするつもりでなかった分まで零れた。
はたと口元を両手で塞ぎ]
…ありがとう。明。
[一呼吸置いてからそう呟いた]
|
…。
[狼の前足は、傍らの足を踏む。 ふに、と、触感があるならそれは酷く柔らかいだろう。 慰める、という行為にしては優しさの欠片もないのだが。
言葉を言えぬ狼だからこそ助かっていることは一つある。 自害した彼の主の死肉を食らった事を 狼はただ口にせずにいた。 尤も、それ自体狼憑きであった男は忘れていたし、 彼の主だとは知らないままであったから 言うにも言えない状況ではあるのだけれど。
扇、と高嶺が口にしていたので 恐らくは自分が息絶えたあの場所に戻るのだろう。 狼は虎鉄と共にそのあとをついていく。 イアンには己の姿など見えず、ただ虎鉄の姿が見えるに違いない]
(160) 2010/08/09(Mon) 01時頃
|
まだ離れたくないから。かな。
[虎鉄の呟きには小首を傾げて。
答えながら、ああと思った。
言われたではないか。去年の夏の祭の夜にと。
友も、自分より此岸に近く見えても。
既に彼岸の側にある者なのだと]
少しでも長く感じていたい。
痛くても、この想いを。
そんな貌しぃへんといてや。
[離れ穏やかに見詰めた先が見せる表情に、眉尻を下げる。
酷くしとうなる―――何度か謂った言葉は続かない。
その言葉代わりに、互いにかかる糸と糸を絡ますように、指と指を交わらせた。]
―――……朧様の、望みは
[ロビンの表情を見て
「なんや、かあいらしい貌できるやんか」
と、裡で呟いた後、絡めた糸2つが繋がる先に想いを馳せる。]
なんや、判った気ぃするわ。
違うかも、しれへんけど……――――
[鵠と情を交わしたくなるのを耐えたのは、
朧の行く末を見守らんとしたため。
彼の人の望み――尋ねられても曖昧に微笑むのみ。
尋ねる頃には、もう、望みの切片、窺うこともできたか。
想うが正しいか、見、聴き、識ろうと、窺う対岸の世界。
――絡めた指にそっと*力を込めた*]
……主さまは
真顔で恥ずかしい事を仰る。
[息止まった身であるのに、未だ小細工が出来る不思議な場所
文字通り絡め取られた身はすっぽりと腕の中]
仕置きでも
下さるものなら何でも嬉しいですよ?
お陰で、先刻の重い気分が薄れました。
[視線は幾度か現世に。
夜光が向こうへかける言葉に、一つ頷いた]
――…少しでも長く
嗚呼、恐らくは皆
手妻師 華月斎の視線に気付くと、唇の端を持ち上げて蠱惑混じる眼差しを送った。
|
−本邸廊下−
[虎鉄はイアンの視線にそのあとどうしたか。 狼はというと、ただ見上げて、あとは好きにしろとばかり 尻尾をゆらりと振っただけなのだが。
扇にも短剣の鞘にも、施されているのは螺鈿の蓮。 黒き塗りの中にあって蓮の花の色を思い起こすに似た色の丁寧な作り。 それを自分の手ではない手が持っているのは少しだけ不思議だった。
黒い狼の鉄色は、じっとその姿を眺める。 気付けば足元は既に空気に透けていた。 この生が本当に終わろうとしているのが解る。 それでも、狼は彼の行く末をただじっと眺めていた]
(166) 2010/08/09(Mon) 01時頃
|
[夜光の声。長く。
その思いは変わらず。
いつまで――]
思いを口にするのに、恥ずかしいことなどありはせぬ。
ふむ、嬉しければ、仕置きにはならぬ。
……。
この手を離してしまうのは仕置きにはなるか。
でもそれは、約束を違える事。
それに、私が困る。
[絡めた指で、花の細い指をなぞる。その一本一本を軟くほぐすように。
思い浮かんだ仕置きは、すべて自分に跳ね返るのだと気づいて、一つ苦笑を浮かべた]
|
[狼の鉄色の瞳は、自分を部屋へと運んでゆくその後ろ姿を 色硝子の光の落ちる廊下でただじっと見ていた。
もう、自分の時間は追いかけているだけの余裕はない。 逝かねばならないと己の姿が伝えている。
狼の姿は揺らめいて、人の姿へと変わる。 もしも紅色の花がその姿を月瀬の向こうに認めることができたなら
きっと穏やかな表情で何かを口にして 幻は色硝子の光の中でするりと───消えた**]
(179) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 01時半頃
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