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………、お前も
私を 欲しがってくれるなら
傍から離れる事は、止すよ
[漏らした言葉は自分も自覚せぬほど乾いた。
彼が強請る以上に、己は不足を覚えていたのか
意図も込めず、掌は彼の背筋をあやすよう撫で擦り]
トレイルは 私にとって
誰よりも―――……特別な人
[氷の腕の檻中
曝け出した額に合わせた唇は、夏の日差しなどより余程熱く、**]
メモを貼った。
メモを貼った。
[夜の喫茶店に向かう道すがら
背を伸ばせばまた見下ろす姿勢で、歩く、走らない。
口許を緩ませた笑みは
リツ
引き締め直すことも出来なかった。]
たのしい、…… から?
[傍に居るだけで、見詰める、だけでも。
首を傾ぐような響きになったのは
伝わるかな……… と言う獏の心情に寄る。]
あんた、そういうの
さっぱりしてそうだなあ、 …あるのか。
[まるで
今はほしいものがある、ような反応をするから
好奇心も傾き、あるのか、なに、繰り返した。
そうして、幾らか静かに扉を潜り
店員の隣に、涼しげな色、手を振る
ああ、ああ、二度、頷いた。
ひとの手を此処に、引いてきたのだと、理解して。]
うん。
[カウンター
隣に居られる場所に、腰を据えてから、手が伸びた。]
[あの日と同じように
近い指先を攫いたがる、手で。
厭われなければ、絡める、カウンターテーブルに。]
はは、 黄金の夢。
……… いい夢が見られそうだねえ。
じゃあ、おれも、前のと、同じ。
[オレンジ色の酒と、コーヒーの酒、砂糖抜き。
忙しそうな店長に注文して
"前の"と言う注文でも、彼なら、用意が叶うだろうから。
目の前に並ぶ、甘い、苦いいろに、視線を落とす。]
そういえば
酒……… 弱い?
[注文を終えてから
今更、と、隣に尋ねる。
知ったところで、カクテルは勧めるのだけれど**]
メモを貼った。
……たのしい ?
[
首を傾いで、確認するみたいな仕草が見えた――からかうような意味じゃないらしい。]
そ、そうか。へんな、やつ
[くすぐったい心地でついぶっきらぼうに。
たのしいー―例えば俺も感じてる、あえてうれしい、とか。そういうのか。しまった、それだと俺も「へんなやつ」じゃないか]
俺にだって、
ほしいものくらい、…ある
[さっぱりしてそう、という感想は
わりと合ってるとは自分で思う。
走り込みも、
記録を上げたいというのも、
自分で叶えるもの。
強請るものじゃない。
でも、
エフに関することだと
どうしたって
こいつに願ったり、働きかけたりしなくちゃいけないわけで。それは。とても、気恥ずかしい。慣れてないんだ、そういうのは。食い下がるな、やめろ、やめてくれ。]
い、いいだろ、
気にすんなっ
[
[トワイライトの先客、
座るカウンター、
なんだか馴染んできた、気がする]
――、っ、
[手を絡められる、
拒む理由なんてない。
期待、してるくらいかもしれない
繋ぐ手をちらと見ると、
気恥ずかしいような、うれしいような気持で、心拍数が上がる]
いいゆめだと、
あんたは、食えないけど
[死神に追いかけられる夢、とかなら食べると言っていた。うん、黄金の夢じゃないな。怖い本でも読めば見れるか。悪夢。]
……気に入った?
[あの、カクテル。それなら、嬉しい。
え?
[
前回の酔い方を知ってるだろ。
ぼそり、と答える。
飲める方が格好いいのだ、というのは部活仲間の共通認識ゆえ、俺は立場が強くない。余談。]
飲むのは好きだけど
――あんまり つよく、ない。
[弱いと謂わないのはなけなしのプライドだ。あまり強くない、と弱い、の間にはれっきとした壁が――ある。多分。多分な。]
エフは、どうなんだ
[飲める方なのか。どうなのか。**]
メモを貼った。
「前の」でちゃんと分かるの
……すごいすね
[>>*5 エフのざっくりとした注文にも
スマートに答えている。
格好いい。]
メモを貼った。
[甘露の濃いアルコールは
同じ温度で隣の彼の喉を温める
喫茶店に広がる笑い声の中
男は遠慮しがちに、店主の姿を探した
>>*3 大切な店員との交酒は認証済みだが
持ち込みに関しての許可は、得て居ない立場故
――微弱ながらも
自分を気遣った優しさに関し、知る機会は
もう少し過ぎてからの話か**]
メモを貼った。
[昔からこの男の近くはいつだって温度が少し低くて、
それが何とも心地いいのは、
彼の正体と、夏の相性の所為だと思っていた。
でも――きっと、それだけじゃない。
体調を慮う忠告には、同じように返す。
本人が知れば嫌な顔をさせてしまうかもしれないが。
このまま、すべての熱を奪われ凍り漬けになったとしても。
此処を離れるつもりは毛頭ないし。
そんな杞憂すら起こらないほど、
ふつふつと滾る慕情は増すばかり。]
[まだ、意識が明瞭な時。
千冬が何かに気づいたようで、ふと視線だけを巡らせ。
先日昼夜共に変な客の仲間入りした同胞と。
彼をここに招いた常連客の連れが見えれば。
軽く首を揺らして挨拶を送るが、
先日のように声を掛けることはできなかった。
数刻前の想像を振り返り。、
客観己もあんな顔をしているのかと思えば、
あまりにも照れくさくて。]
[触れられた瞬間こそ、肌が粟立つ感覚に襲われたが
それも次第に、慣れていく。]
んー? なーに
俺のどこがこどもだっつーの
[胸の底に澱のように溜まった憂鬱も、緊張も。
ひとまずアルコールで沈めて。
呆れたような吐息が届けば、
重心を肩に預けるように身体を捩じる。
嫌がらせのようにも甘えているようにも見える仕草。
次第に蕩ける意識に、剥がされていく虚勢。]
まじで。すげー
おれも空飛んでみたいんだよねー
今、ケイに頑張って貰ってるとこ
[建前に本音を混ぜ込み、やがて取り繕うことも叶わなく。]
――…千冬? どうしたの
[酩酊し、無様な醜態を晒してる自覚もないまま、
痛みを孕む声で名前を呼ばれ、不思議そうに顔をあげ。
そのまま、包み込むように淡く抱きしめられて
漸く、己が何を口走ったのか悟った。
そのまま、銀糸に顔を埋めるように目を閉じる。]
……違うよ
"誰か"に置いて行かれるのが怖いんじゃない
[養父のことは、こころのどこかで得心していた。
母のように見限ったのでなく、
人間の元へ返そうとしてくれたのだろうことも。]
[初めて知らされた、彼の存在の儚さに。
数度瞬き、続く言葉に欲しかったものを、知る。
己だけに注がれる、視線と熱と、想い。
何かの代わりでない。
誰も変わりにはなれない、特別なひと。]
ほしい。千冬が、欲しい
ずっと、おれの傍にいて
もう、置いて行かないで
[額に受けたくちづけは、不思議と冷たくなかった。
このまま近くにいて、溶けてしまうのではと不安になる程。]
[まるで幼子をあやすように、背中を撫でる掌に目を細め。
握りしめたままだった布を解くと、
銀糸に指先を差し込み、頬に手を宛てる。]
千冬が――…好きだ
[そのまま指を滑らせ、親指の腹で頤からくちびるをなぞり。
重ねようとしたところでふと、
ここがどこだか思い出したようにぱっと、瞳を開き。]
あー……
[羞恥と、酒精に頬を赤く火照らせながら、
そのまま胸元に顔を埋めた。
今なら恥ずかしさで、死ねる。]*
メモを貼った。
メモを貼った。
たのしい。
……… そうだな、如何、言えば、いいかな。
[睡魔を含んだ半目と
繋いでいた指先を、引き寄せる。
ことばに変換することを諦めて。]
ここが、跳ねる、たのしい。
[ぶっきらぼうな
変な奴
今は、おれには擽ったく響いて、笑って。
引き寄せた指は、おれの左胸に。
人間とおなじみたく、鼓動みたいなものが、跳ねる。]
…… わかるか?
知りたい。
[口にしてくれるのかと思いきや
リツ
――― 知りたい
二度、告げる、強請る、これは強請るものだと思った。
気にするな、なんて言われてしまえば
尚のこと気になってしまう。
絡めた指まで、力を籠めてしまう、そのくらい。]
ずるい。
[こう言うのは、ズルだと理解している口振りで。]
[そして、カウンター席まで
繋いで、離して、繋いだ指
片手でも食事も酒も嗜める。
前回の来店で、それは、よく理解していた。]
そうだなあ。
きれいなあんたの夢は、見てる。
…… たまに、如何にか、悪い夢を見てくれ。
[悪夢の作り方、図書館の蔵書にあるかも知れない。
それでなくとも、ホラー、夏の定番。
おれが勧めるのは如何なんだ、首くらいは傾ぐ。]
苦くて、美味い。 あんたも飲んでみるか。
[並ぶ対照的なカクテル色>>*5
味も対照的なのに、そう、尋ねて。]
……… ふわあ、流石。
[おれの端的な注文を、しっかりと作り上げた店長に。
欠伸が混じるのは種族柄。
感嘆としたおとは、本物で。]
覚えておく。
あんまり、飲み過ぎると、また送る。
おれは、……… あまり、酔わないなあ。
[顔色も変わらなければ、感覚も、然程。
ただし一度だけ、本当に強い酒を飲んで
此処で寝こけて、うっかり朝まで寝こけたことはある。
肩を揺すられても頭を叩かれても
夢のなかの夢まで、目が覚めなかったので、良くない。]
[そして、視界の隅に、トレイル
こちらに気付いたことに気付いて
眼鏡の奥、眠りまなこを、眇めた。
目配せを挨拶に摩り替えたつもりで。
話し声は、耳を欹てなくとも、それなり聞こえて。
匂い立つような、擽ったい、優しい会話に
口許を綻ばせるくらいは、許せ。]
メモを貼った。
悪気のない子供なのだろう。
…――それともわざと煽っていると?
[
叱るようなたしなめるような声を落とし、躊躇いの無い疑問は
肩にかかる体重に、心の揺れを更に揺さぶられ、声尻が上がる]
………ケイは
空へ羽搏く翼を 持っていただろうか
[そして、此処でケイを頼る言に
少しの不可思議と、それ以上の嫉妬]
………
無償に 抱きしめたくなった。
とても。
[引き寄せた胸板付近で声がすると
いま彼を抱きしめて居る実感が、生々しく呼び覚まされる
即座に逃げてしまわない気配に、喉を揺らして笑気を漏らし
顔を上げた彼
甘やかす振りした執着も添える]
[温度も違う
立場も相違
常に心の中心にいて、遠い存在の彼を
何度も躊躇いながらも、結局
腕の中へと強引に納めている
ぬくい…、と胸に巡らせた筈の独り言が小さく唇から零れた。
やはり、彼は温かい]
―――― …
[
覗き込む眸は、相変わらず美しい。
固く閉ざした心の氷壁は、清らかな淡雪のように溶けてしまう
―――― 君の、熱で]
[息をするより、彼をもとめて。
何かを考えるより、言葉をもとめて
彼の熱が現状を混ぜ込んで真実へと誘った]
トレイ ル…
[冷たい声を吐く唇に、甘い名を呼ばせる。]
…――有難う。
自分で告げた言葉。 今更、反故にするなよ
[願い、求めた、約束
クーリングオフなど許す善良な選択肢は、思考に存在しない]
[掌から頬に伝う体温
酒に酔っても、場の熱を浴びても。他と混じらぬ体温
そっとすり寄る仕草は、彼の顔貌に影が掛かろう
こんな顔、他の誰にも見せたくないのだから]
―――好きだぞ、トレイル。
[囁いた声は、彼にしか届かない。
彼だけが知っていれば良い、情熱。]
置いて往かない……、ずっと、
別つことなく、傍らに。
―――…私の、可愛い人。
……、 ぇっ
[
指先に触れて、
俺の胸のほうが、跳ねた]
……――ぁ、わ、……わかる…
[かあ、と耳まで赤くなっているのが自分でわかる。ちかい。近い、って]
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