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[身体を起こしてベネットの話
彼が話し終えてしばらくの後、はっとして]
お、おお、まじか……!
なんつーか、有難う、でいいのか。うん。ありがとな!
[笑顔になって立ち上がり、牢を出ようとする。
その時隣から聞こえてきた声
……何言ってんだ。
お前も、死ぬんじゃねーぞー?
[牢の中をじっと見つめて、小さい声で問いかけた]
[
赤国の通貨を彼女が持っているはずがなかった。
その通貨も、じつによく似ていたのだけれど。
街の風景を見ながら、時折立ち話をしながら歩いてきた。
敵対していない国から来た旅人という態である。
生来なつっこい
その誰もが、緑国でもどこにでも見かけるような、気のいい人ばかりで。
それは、裏路地には物騒な輩も目に付いたけれど、どこにだってある光景だ。
ただひとつ違うのは、緑国の人が言うように、赤国の人々は緑国のことをこっぴどくけなした。
そんなとき、一瞬だけ悲しそうな顔をして、しかし押しかくして笑うのだった。
……教会かぁ。行ってみたいな。
うん、馬と鳥が好きなんだ。
[アチャポに頬を擦り寄せた。]
―― 緑国王都・ビリジアナ宮殿・円卓会議場 ――
[宝石の煌く王冠。比して小さな首飾り。純白のドレス。扇ぐ羽扇]
――一言で申しますと、どういうことですの?
[涼やかな目で、鈴を転がすような声が流れた瞬間、円卓は沈黙に包まれた]
メモを貼った。
[扇を閉じる。開いたり閉じたりしていると、何か聡明になれる気がする]
先ほどから皆様、開戦の口実を探してばっかり。
何か実際に行動に起こした方はいらっしゃるのかしら。
わたくし、あまり口だけの方々は信用できなくてよ。
[右隣に座っている、国軍元帥が窘める表情で見てくるのを無視して続けた]
少なくとも、2,3の優位も無く、ただ開戦するだけなのはよろしくありませんわ。
お喜びになるのは、どちらの商人かしらね?
[対面に座る円卓議員の一人が、びくりとした気がした]
[つまり体よくたかられた気もしたが、
不思議と嫌な気分はしなかった。
まあ、5人分のおやつくらい、どうという事はない]
……良かったな、サナ。構って貰えて。
[割に大人しい牝馬は、撫でられて嬉しそうだ。
教会に行きたいと言うのには、頷いて]
分かりました、案内しますね。
[赤国人は素性を知らないフィリスの前で、
遠慮なく緑国の悪口を振り撒いていた。
目の前のその人が、その冷徹鬼畜な緑国人なんですが、
とは思っても口に出せない]
[緑国女王、ソフィア・エカテリンブルグ・ビリジアーナ。
3年前に貴族の反乱で王族全てが殺害された時、死んだと思わせながらも当時の近衛団長と共に逆に全ての貴族を鎮圧した女帝。先ほどの軍の元帥は、その団長である。
なお、戴冠直後に即座に貴族制を廃止し、王立議会を成立させ、貴族達の権力を削いだ。
この経緯から、国家上層部では苛烈な気性という評価をされている。
タチが悪い事に、彼女はその評価を逆手に取り、自らもただの議員の一人という位置づけでありながら、しっかりと舵を切っていた]
……もしフィリスに会えたら伝えてくれるか?
『俺の事は諦めろ』って。俺が言っても説得力がないが。
目の前の1が救えなくても、どっか別の場所の1を守れりゃいい。
(私は 知っているんだ)
100と1を守ろうとして…両方とも守れなかったら最悪だ。
(全てを助けるのは 無理なんだって)
あいつを助けるのが俺の目的だったからな、事情はわからないがそっちは何とかなりそうだし。
(目の前で 力及ばずに失われる命を 何度も見たから)
ま、こうなったのは自業自得だし、
一応、最悪の事態が起きる覚悟はしてたから。
[そこまで、セディーに一気に喋った後で
まー、俺が生きるか死ぬかはここの人たち次第だとは思うけど。
体力には自信があるんだ、なるべく長生きはする。
[にぃ、と笑って、早く行け、と手を振った]
[赤国人の現在の悪口の中で、冷徹鬼畜と合わせて語られるうちの一つが、現女王が反乱貴族に対して実施した処刑であるのは言うまでもない。相当な誇張はされていたが
メモを貼った。
メモを貼った。
メディ……――。
[メディをじっと見つめ、その言葉
「俺のものではない」心臓が、ずん、……と痛んで。]
[思い出すのは、あの草原に立った瞬間に見えた景色。
咽るほどの鉄錆の匂い、転がる骸。
あの場所で多くの騎士たちが犠牲になった。
―――否、犠牲にした。
祖国を護るため、多少の犠牲は仕方ないと斬り捨てた。……されど。
彼等はそれぞれ"私"にとって、大切な"ひとり"で―――。]
…特に何も無いのですか?
数週前より提案し、可決していた、アメルンとララントの中間にある、かの砦の丘はどうなりましたか?
『赤国に気取られぬよう、密かに調査を進めておりますが――』
密かに…? 堂々となさればよいとわたくしは提案しましたが、理由がございますか?
『開戦の正当性を赤国に与える事になります。先制は我らが打つべきと――』
[厩舎を後にして、教会を訪れる。
そこある宗教画は、やはり緑国の教会に描かれているものと酷似した、輪廻転生の図案]
…本当に、よく似ている。
[荘厳な建物の中、呟きはよく響いた。
何かを考えた後、振りらぬまま問いかける。]
ねえ、ムパは、僕たちの国はどんな場所だと思う?
どんな人たちが住んでいると思う?
[誘拐犯罪などでよく言われるように、人には相手をよく知ればしるほどに害しにくくなる。
会話をし、親しみをもてばなおのこと。
そんなことを思い出して苦笑する]
かの丘は空白地帯でしょう。布陣するだけであれば特に敵対行為にもならぬはず。そこは外交の力を使うところでしょう。
むしろ隠れた行為こそ、赤国に戦争の意志ありとさせる理由になりますよ。
また、赤国のララントはそれなりの町ですが、わたくしたちのアメルンの村はさほど防備も大きくないでしょう。
取れる砦を早く取るべきでは?
『おっしゃるとおりではございます、ですが――』
…くどい。お前達は勝てる戦をしたいのか、ただ戦争をしたいのかどちらであるか。
[さっと議場の温度がまた下がったようだ]
――――…っ、馬鹿、メディ!
お前はほんとに馬鹿だ。ばーかばーか!
[囚われ掛けた思考を振り払うように首を振り、鉄柵越しにメディを指差して怒鳴った。人を指差してはいけません。]
誰がんな不吉な伝言伝えるかよ、ばーか!
お前が諦めたって、俺は絶対に諦めねぇ!
捨てていい1なんて、この世のどこにもねーんだよ!
100の為に1を犠牲にするなんて、馬鹿のすることだ!
[最後にきっ、と、その顔を睨みつけて。]
死んでも耐えろよ、ばーか!!
[ベネットが何か言っていても、彼を引っ張って踵を返した]
メモを貼った。
5回も言うな、まったく。
お前、諦めてくれないのは嬉しいが、自分の身を危険に晒すなよ?
絶対だぞ?
[馬鹿と言われた回数を数えていた。
困ったように笑って、それじゃあな、と手を振った
……6回も言いやがった。
[彼の姿が見えなくなれば、手を降ろした。
[右隣の軍元帥に目配せをする。元帥はここまでか、という表情で、資料を円卓に開示した]
わたしにあがってきている、砦の調査とやらに投入された人員数です。
49(0..100)x1名を投入して大きな上がりが無いとはどういうことでしょう?
貴方方は、我らが国家を支える民を何だと思っておりますか?
赤国のスパイでも混じっているのならば粛清なさい。
円卓会議議長ではなく、女王として議案を提示します。
1.還らぬ者の中に、赤国に囚われている者があらばすぐに返還要求を為せ
2.かの砦の丘を速やかに実効支配せよ
3.まだ開戦しておらぬ事を、強調して赤国に伝えよ
以上。
[それは議題の形をした命令であり――この第42(0..100)x1回円卓会議で、可決される事となる――]
……悪かったよ。
昨日は止めれる様な状況じゃなかったんだ。
[話を聞いている間、ずっと僕を見つめ――ううん、睨んでる彼の視線を、無実にも関わらず一晩を牢屋の中で過ごす羽目になった事に対する怒りだと思い、小さくだけど頭を下げる]
とにかく、ついて来て。
緑国への馬車の流通に関しても教えてあげたいから。
[セディーを伴って歩き出そうとして、隣の牢から声が届く。
メディだ。昨日は尋問を行いはしたらしいが、余り酷い扱いを受けて居ないと良いけど。
昨夜も言い含めたにも関わらず、彼の服の下では幾つかの青あざを作っている事は知らない]
[けど、一息に喋る彼の言葉には眉を微かに寄せる
100の為に1を捨てる。
国や軍としての在り方として、正しい、のでは無い。それが一番、楽、なんだ。
難しくも無い、多数にとっては都合の良い。
でも嫌いな考え方だ。
両方守れないと誰が決めた?
限界まで彼は努力しようとしての言葉?
僕には、ただ諦めてる様にしか見えなかった]
―― わ……
[ただ、それを僕が言葉にする前に、全部セディーが言ってくれた
ちょっとセディー! 引っ張んないで!
ほら、そこの人凄い顔で睨んでるから!ちょっとー!?
[そして僕が何か言う前に、僕を引っ張って踵を返す。
あぁ、流石に兵や看守の皆様方が驚いて、一部凄い形相で睨んでるんですけど……
気付いてくれないかも]
メモを貼った。
メモを貼った。
緑国が?
[急に問われて、困った顔をする
うーん……そうですね。
フィリップスさんやペランさん、セディーさんを見ていると
余り、赤国と変わりはないのかな、とも思います。
[苦笑の意味は、察しきれない]
緑国にも、生まれ変わりの伝承があるそうですね。
……本当に、よく似ていますけれど。
それならどうして国は分かれて、
私達は敵対しようとしているんでしょうか。
― 赤国軍牢屋・外 ―
[ベネットが止める声も、兵が睨み付ける視線も何のその。牢屋を出て、人のいない適当な路地裏まで彼を引っ張って進む。
そして。]
おい、ベネット。
――――ベネディクト公子殿下!
[逆光の中の姿がプロマイドの姿と重なるまで、彼の正体に気付かなかった。どうかしている、こんな初歩的なミスをするなんて―――]
一体どういうつもりだ。
何でフィリスを連れてきた。メディをどうするつもりだ……!
[きっと眉根を寄せ、厳しい表情で彼を睨み付ける]
[敵対の理由の一つに、あの砦の一帯が含まれているのは
言うまでもない。
赤と緑、いずれもが正当な領有権を主張している状態。
だから宙に浮き、下手に触れば相手を刺激する。
この兵士の部隊が、秘密裏に調査を進めていたのは、
それなりの理由があったのだ]
メモを貼った。
……1どころか、自分の身一つ守れねー有様だ、情けねー。
[目の前の“2”を切り捨てられず。
セディーの言葉に“100”を取るべきか戸惑い。
両方守るには?と動きに迷った昨日。
…その結果が、何も守れなかった現状である。
ごろんと床に転がった。天井は薄汚れていて、染みがあり。四葉に似てるなあ、なんて思いながら]
四葉のクローバーは、ハッピーラッキーの印ー、って。
…いつ覚えたんだっけかなあ、俺。
[気が付けば、幼い頃から知っていたわらべ歌。
母は、いつの間にか歌っていたと言っていた。
いつか、どこかで…覚えたのだろうが、どうにも思い出せなかった。]
[ムパムピスの答えに、振りむく。]
はは、神父みたいな物言い。
―――僕は、今混乱しているみたいだ。
軍人のくせに、国の示す戦うべきものが、信じられなくなっている。
[例えばそれがベネットの思惑通りだったとしても、少なくとも彼女は己の目でララントを、赤国の人々を見た。
自分の目で見、感じたものは自分を偽らない]
戦うべきものは、戦を起こそうとしている何か、なんじゃないかと。
軍人にあるまじきことを、考え始めている。
……笑う?
[ベネットは、最小限の血で戦を収めることを考えているようだった。
けれども、もしもまだ間に合うのなら。
片田舎の出身、一介の下っ端兵士の彼女には、情報操作で煽り焚きつけられた民に、どうやって真実を伝えたらよいのか、ちっとも思い浮かばなかったけれども。]
― ララント裏路地 ―
[本当に大丈夫なのかな。離してくれる様子は無い。
そのまま人気の無い裏路地まで連れ込まれて]
……参ったな。
僕の正体なんでバレちゃったの……?
[別にバレた所で問題は無いし、隠す気も無かったけれど。
眉根を寄せるセディーの詰問に、まぁ待ってと片手をあげて]
フィリスは既に知っている通りに、飽くまで客人として迎えるつもりだよ。
心配しなくても、二週間ほど立てば彼女の事をそれ以上拘束するつもりはない。だから安心して。
……メディは……
なるだけ善処はする。少なくとも殺す様な真似はしないよ。
[正直メディの処遇は捕虜として扱う以外に無く。
どうしようかと考えていたから、少しだけ曖昧な返事になる]
メモを貼った。
……私は、神様とかは余り、
信じていないのですけどね。
[振り向いて少し笑う、フィリスを見た。
ステンドグラスから光が注いでいる]
いいえ、笑いません。
私は、もし戦争になって、フィリップスさんやメディさんと
銃を向け合う事になったら、撃つ自信がないです。
[彼はただ仲間を助けに来た。
彼女は正直で無益な戦を憂いている。
何か変わるのかと聞かれたら、
きっと何も変わらない。]
[理由を問われて、一瞬口ごもる。
数少ない国費留学生として、学生生活の様子――実質、赤国の市民生活をレポートに書いて送っていた。
特に大公周辺の情報に関しては、時に自ら率先して収集に当たったこともあった。それは円卓会議に、そして女王に読まれることもあっただろうか。
だが、それ以前に]
街中にあんだけ顔が溢れていれば気付くっつーの……。
[片手を挙げられて、はあっと溜息を吐く。
そのまま2人の処遇について聞き]
どうやら、お前がイイヤツなのは分かった。評判通り、だな。
[開戦派が騒ぎ立てる良くない噂から、大公とその息子が穏健な人物であることは推測していたが。]
でも、あんな騒ぎ起こして、その上で客人だなんて。
お前が良くても、諸侯が黙ってないんじゃねーのか。
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