43 朱隠し
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あ、ああ……
[藤乃助が朧を寝かせると抱き上げるのだろう、
それを先導し、右奥の部屋に通せば、布団を敷いて寝かせられるようにした]
何だろう、朧は、意外と可愛らしいのだな……
藤乃助もここで寝るならば、もう一組布団を持って来ようか。
[酔っ払ったもの勝ち、正にその通り。
膝の上で寝ている朧を撫で、髪を引っ張っても起きる様子が無い事を確認]
俺も酔えたら良かったんだがね。
[フゥとため息をひとつ、しかしこんな朧も愛しいので仕方ない。
朧を抱き上げ部屋を案内してもらうと物珍しそうに部屋を眺めながら布団に寝かせる]
飯も美味いし酒も旨い、興奮してはしゃいでいたんだと思う。
悪いな、頼む。……と、華月斎。
一平太もお前次第で相当可愛くなるんじゃないか?頑張れよ。
[にやりと笑いながら煽ることは忘れない]
[朧を微笑ましいと思っていたところに藤之助の言葉が飛び込んでくる]
は…いぃ…?
[言葉の意味を理解するまで数瞬…その後湯気が出るかというほど真っ赤になって呆然とする]
何だ、酔いたかったのか?
[藤乃助に軽く笑う。
隣の部屋からもう一組、布団を朧の寝るそれの横に敷く。
丸行灯のなかから小さな炎が部屋をぼうやりと照らしていた]
ん?どうした?
[部屋を出る前。かけられた声に振り返り]
……は?
[「一平太は今のままで、可愛いだろう。」
思わず返しそうになった台詞を飲み込んで]
よ、余計な世話だ!
[熱が上がったままに強い口調をたたきつけた]
[真っ赤になった一平太に、余計に顔が熱くなる。
寝入ってしまった朧と藤乃助を部屋に残し、
一平太と居間へと戻る]
ああ、ええと……
一平太は、酔っていない。か?
[言葉は、ぎこちなく]
私は呑めませんから…
[顔を赤らめた華月斎に答える]
[二組並んだ布団に座り、華月斎の強い口調もどこ吹く風]
ああ、仲良くな。
[にまにましたまま見送ると、薄暗い部屋ですっかり寝入った朧の顔を眺める。
無防備な寝顔を見ているだけでこちらまで眠くなるから不思議だ。運んでもらった布団には入らずにそのまま朧を腕の中に抱き込んで一緒に寝てしまおう]
……帰ったほうが良かったよなあ、互いに。
そう……か。そうだな。
ああ、しかし、こちらの里に来た人の子は、アヤカシに転じるものだと聞いた。
もしも体質が変わっているのなら、呑めるやもしれないな。
[机の上に広げた皿や椀を片付けようと、手を伸ばす。
ほんの少し残った猪口を見れば、
呑んでみるかと一平太に差し出してみる。]
[朧の額や頬に口付けたり、二人の様子に聞き耳を立てている内にいつしか意識は落ちて**]
あ、はい…
[差し出された猪口を受け取り、飲み干す
喉にヒリつくような感覚を覚えたが、以前のように
すぐに倒れそうになる感覚はなかった]
…あれ?…平気…かもしれません。
[と言った直後ふわりと浮かぶような感覚が襲う]
あっ…
[上体がふらりと揺れた]
[何だ、ともう一杯薦めようかとした所で]
……お、っと。
平気ではなかったか。
[ふらつく体に、支えようと手を伸ばす]
[体を支えようと出された手に縋るように手を伸ばし、
ふらついた勢いで華月斎の懐に飛び込む格好になった]
あ、ごめんなさい…
[と言いつつ、体を離そうとしてもうまく体がうごかない]
[腕の中に収まった一平太に、瞬いた。
いや、腕を伸ばしたのだからこうなるのは不思議ではないはずなのだが。
動揺する。]
――… いや、謝る事は無い。
[触れている箇所がやけに熱いと感じるのは、酒のせいか。
預けられた重みを、手繰り寄せるようにそっと、両の腕で包み込む。
熱っぽい頬を、一平太の髪にくっつける]
謝らなくて、いい。
[もう一度、同じ言葉を。
熱い吐息を耳元で]
[耳元で不意にかかる熱い吐息に思わず]
あっ…
[艶っぽい声が出てしまった
恥ずかしさのあまり俯いたまま身動きも取れない]
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