207 Werewolves of PIRATE SHIP-2-
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―――は、は。 ようやく本性を現しやがったか。 グレッグの遺言は本当だったんだな。
へッ、 化物様にそう言って貰えるたぁ光栄だ、ねぇ……!
[腕に牙が刺さったままのミナカ。その身体を空いている方の手で掴み、鳩尾に蹴りを叩きこもうと放った*]
(186) 2014/12/14(Sun) 23時半頃
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[乱暴な指切りに、兄貴らしいやと苦笑して。
やがて手が離れれば、室内のキティを見遣った]
……キティの面倒。これから誰が見るんスかね。
[心配そうに、ぽつりと呟いて。
主のいなくなった猫の将来を案じた。
透き通るホレーショーの手が、キティの頭に触れる。
なんだか見ていられなくて、思わず目を逸らした。
触れられない悲しみは、この1日で嫌というほど味わった]
……そうッスね。副船長のところに。
[ホレーショーに頷いて、やがて共に甲板に辿り着くだろう]
―甲板―
キティは優秀な猫だから、必要とされるだろ……
ま、自分で餌もとれるし。
[そんな話をグレッグにしながら、登ってきた甲板。]
………。
[言葉を忘れて、目の前の光景を見つめていた。
月に照らされる、双頭の狼。
対峙するのは、槌を握る男。
まるで、御伽のような。
子供に話すには少々、血生臭いが。*]
[双頭の獣と副船長の闘いは、始まりから見下ろして視界に収めていた。
珍しく怪我なんかする副船長を見て、つい腰が浮いたがまた腰かけ。
大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。
何度も、何度も、言い聞かせる。
彼が負けるはずがない。
信頼感というよりは、そう信じてないと酒もない今は気が狂いそうだと、そんな感覚だが。
ともかく、そう信じて。
マストの上、足を垂らしたまま。
じっと、身動ぎもせずに見守っていた]
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グ、ッ……!!
[噛まれた腕に力が籠る。 手首を引きちぎられそうなその感触に顔を歪めつつ、 蹴りを放つとそれがミナカの腹に入った。]
………はっ、は……
[荒い息を吐きながら内心その力に舌を巻いた。 やべぇ、流石に強ェ。 ヴェラの時は殆ど奇襲に近かったが、こうして一対一で真っ向から挑むのはやはり無謀だったか。
だが今更後には引けないのだ。 再びこちらに駆けてくる狼を迎え撃とうとして]
(205) 2014/12/15(Mon) 00時頃
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ッ―――
[フェイントに、一瞬対応が遅れた。>>198 ミナカの動きが鈍っていたおかげか、急所を食い千切られるのは何とか避けたが、狙いが逸れ、腹のあたりに牙が突き刺さる]
う、ぐっ、 あっ………!!
[激痛に目が見開かれる。口から悲鳴が零れ、血を吐いた。]
(206) 2014/12/15(Mon) 00時頃
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この、クソッ、野郎がぁ………っ!!!
[痛みに歯を食いしばる。 血で滑る鉄槌を取り落さないように握り締め、 こちらに被りついたミナカの胴体にそれを振り下ろした*]
(207) 2014/12/15(Mon) 00時頃
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ヘクターは、ミナカタに食いつかれて荒い息を吐いている。
2014/12/15(Mon) 00時頃
― 甲板 ―
……ミナカ、なんスか?
はは。マジッスか。
[禍々しく気配を放つ双頭の狼に、乾いた笑いが出る。
夢の中で見たものの、実際に見るまでなかば半信半疑で]
……だから。
ガキじゃ、ないッスよ。
[小さく呟く。
あの言い草は、間違いなくミナカだった。
自分の遺したものも、無駄ではなかったのだと。
ぎゅっ、と拳を握りしめて。
副船長とミナカの勝負の行方を。
固唾を飲んで見守った]
───!
[槌の振り下ろされる音に、尾と耳先がぴんと伸びる。
船首楼の端に寄り、ゆるく見下ろせば、今まさにヘクターがミナカに追撃をくらわせようとしているところだった。]
……荒いな。
[もう何度目か。
普段のヘクターとミナカであれば、勝負は火を見るよりも明らか。
しかし、もしミナカが本性を現したなら───
───と思っていた矢先]
!??
[その姿に、この獣にしては珍しく、船首楼から身を乗り出した。]
[ヘクターの腹に突き刺さる牙。
歯を食いしばって戦いを見守る男は、その場から動かない。
何も出来ないのがわかっていたから。
その代わり、目を逸らしもしない。
拳をただ、ぐっと握りこんだ。
ヘクターと、双頭の狼の戦いの行方を、見据えている。]
[甲板に現れた新たな気配も、ずっと前からあった見張り台の気配にも、気付きはしていた。
だが今は、それらは眼中にない。
獣の意識は、目前の戦いにのみ向けられている。
ただ視点は、彼らとは違ったろう。
おそらく、ヘクターを見守っているであろう3人と違い、獣は、純粋に戦いの行く末のみを見つめていた。
ミナカが同族であるからとか、ヘクターの行動理念に頷けるところがあるからとか、今は蚊帳の外。
─────どちらが、より強い畏れをもって、畏れを喰らうか。
弱肉強食の理念。
弱者は強者の糧となり、強者もまた更なる強者に喰らわれる。
残るのはどちらか。
紅い瞳が、静かに焔を宿したように揺れる。]
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っ、ぐぅっ……!!!
[腹に牙が食い込む。 獣が左右に頭を振る度、ぐちゃりと 臓物が引きちぎられる嫌な感触がした。 痛みと言うより只々熱く、久方ぶりの傷に顔を顰める。
槌を振り下ろすと双頭が一つ潰れ、 けたたましい悲鳴がそこに鳴り響く。 痛みに持っていかれそうになる意識を堪えながら、 そのままもう一つの頭も潰してやろうと振りかぶりかけた時。
獣に強く身体を押される]
(219) 2014/12/15(Mon) 01時頃
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ヘクターッ!!!!!!!
[じっと耐えて、黙って戦いを見守っていた男は。
ヘクターが甲板の縁に押し付けられたのを見た時、
つい、その名を叫ばずにはいられなかった。]
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[甲板の淵。 獣の力には敵わないから、彼が共に海に引きずり込もうとするなら力では抗えないだろう。 それでも、足掻くと決めたのだ。]
はっ、クソ喰らえ。 そんな趣味の悪ィ場所へのお誘いは御免だね。 落ちたきゃテメェが一人で落ちな!!
[呻くようなその声に瞳孔を見開いて。 それでも最後まで生に喰らいつくように ハッと嘲笑って告げてやる。
そのまま程なくして、痛みに意識を手放した**]
(221) 2014/12/15(Mon) 01時頃
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[強く、マストの柱を握っても。
爪痕さえ残すことの出来ない無力さだ。
息が詰まり、耐えかねて目をつぶりたくなる。
だがそれさえも出来なくて、目を逸らすのも見ているのも辛くて。
それでもただ見ることしか出来なくて]
へく、った……。
[ホレーショーの叫びをきっかけとするように、喉の奥から声を絞り出した。
かすかすに掠れた声で、苦しげに喘ぐ。
やめてくれ逃げてくれと言いたくて、何度もそれを呑み込んだ。
代わりに]
い、きてっ、くれるんだろ……っ!?
しっかりしろよお。この、バカ
[嘘ですごめんなさい。
なんて、普段ならすぐに謝るんだけど。
今回は、謝らなかった]
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