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なら、愛は……
[育ててしまった感情は。
真ん中に収まっているから、外気に守られる。
ココロは、閉じ込められたまま。
下にココロが落ちていれば、他の存在にも触れていられる
ドナルドに委ねているのは、恋じゃない。
最早、愛情と為ってしまった。
毀そうとしても中心に或るから毀せず、彼が死んでも尚――
会えなくなっても、尚。 私から、消えてくれない]
君は、赦すんですね。
ココロを預けたいヒトが、どんな存在であっても。
どんな面倒事を起こしても。
[彼の答えを聞き、羨ましいと思ってしまった。
それでも悲観的に為らずに居れるのは、
彼が魅力的な存在であるということだ。
憶いは枯れねども、ドナルドの命は限りあるもの。
倖せが此処にあるのだから、それで充分ではないか
線香花火の落ちるまでの間、彼が息災ならば其れで。]
そろそろ戻りましょうか?
……少し、風がつめたくなって来ましたし。
[霊体なのだから、その感覚は薄い。
けれど、彼の「巻き込まれたい」人物が、
若しキリシマならば、帰してやらねばと思う。
―――ニンゲンの儚さなんて、100年存在すれば知れる事*]
― 薬店前へ ―
[明之進との散歩の後、薬店へと戻る。
キリシマとドナルドの会話
ドアの奥から聞こえて来る]
………。
[キリシマの見解は最もだった。
化物であるのだから、ヒトを求め愛するのは狂っている。
逆もまた然り。]
……明之進さん、先に家へ戻ると伝えてくれる?
[明之進とはドナルドも面識がありそうな。
それなら積もる話もあるかも知れないし、それに――]
[告げるだけ告げて踵を返し、男は夜の街を歩く。]
イヤじゃないよ。イヤなはずない。
[下がった眉尻に唇を押し当て微かに笑って。
今宵はひとまずもう一度キスしようと顔を寄せ。]
鐘は見つかってないけど、しちゃったな。
約束。
[そんな話をしながら、更ける夜とふたりで過ごし。
此処が魔女の家の屋根上だということも忘れて
クシャミを抱いたまま少し眠ってしまった。
それは温もりを抱いたとても幸せな微睡み。**]
[ それに、 ]
………。
[ 彼の返答を訊いてしまったら、私は。 ]
[ ―――… 永遠を求めてしまいそうで、 ]
メモを貼った。
[それが恐ろしい、
満足を与えてくれる体温が、声が、眼差しが。
今ひと時の時間で満足できなくなった時が、恐ろしい。
石畳を駆ける。
自分の足音しか響いていない筈なのに、大きく響いて聞こえて。
あんなに暖かかった筈の闇が、周囲を包む暗さが怖くて。
いやだ、いやだと、首を横に振った。
ドナルドの家の灯りはついたまま。
一度招かれた家になら、入れる。それに今は吸血鬼じゃないから
そんな節制など関係ないのだけれど。
玄関に座り込み、顔を覆った。 視界を隠した先もまた、昏く**]
そうか、よかっ……ゥひゃ!
[
……うん。
けど、鐘なんてなくても、おれ約束、絶対に守る。
おれずっと、グレッグの傍にいるんだ。
[何かに頼るのではなく、自分の意志で決めたのだと。
寄せられた唇に、もう一度、大好きのキスをした。]
メモを貼った。
[それから、どれくらいふたりで話をしていたろう。
グレッグの隣は、夜風も気にならないほどに温かく感じられた。]
……グレッグ……?
[やがて、緩やかな眠気が訪れる頃、グレッグもまた、微睡みをみせていた。]
おやすみ、グレッグ……。
[耳元に囁いて、軽く口付けを落としてから、寒くないようぴったりと身を寄せて。
小さな翼を目一杯広げ、ふたり包まるようにして、暫し、幸せな眠りについた。
明日になったら、シーシャのところへ行って、改めてちゃんと話さなくてはいけない。
けれど、まさか自分達が幽霊モドキになっているだなんて、この時は未だ知らなかった**]
メモを貼った。
メモを貼った。
[残念そうなキリシマの顔はあまり見たことが無い。
冗談ではなかったのかもしれぬと、意図せず尻尾はふるりと震えた
中、——頭に、?
痛くはない、……のですか。
[それは普段なら、飲み込むことに戸惑いを覚えてしまうだろう。
けれど素直に受け止め、そのこめかみを指差した先を見つめる。
痛みはあるのか無いのか、しかし続いた言葉
思い出すのはやや朧げな記憶。
彼と出会ったのはもう随分前だ。
その頃から、その様相は変わらない。
——つまりは、人とは異なる存在、なのだろう。]
ちょっと怖い気もしますけどね。
[男はそれでも、恨み言は勘弁だと笑った。]
[煙が室内にゆらと立ちのぼる
その軌跡を辿りながら、問いかけ
ニコラエと同じ緋色と、自らの黒。混ざった二つの眼差しはやがて、キリシマの相貌へと移り]
……どう、なんですかね。
[すぐに、答えは出なかった。
ただ浮かぶのは、戸惑いではなく]
確かにヴァンパイアと聞けば、お伽噺でよく知っているイメージがあります。でも、
[異物と言うのなら、キリシマはニコラエの正体を知っているのだろう。
それを、恐ろしい存在だと思っていなかったわけではない。
それでも、唇は先を紡ぎ]
俺が触れたのは、ニコラエさんという存在そのもので、
結果、人とは違った。それだけですよ。
[きっと、もう受け入れてしまったが故。
異質さを感じることはあれど、畏怖することはなにもない。
月並ですけど、と躊躇った後]
……好きになったものは、どうしようもないんです。
自分の気持ちを偽る方が、
俺は、——怖い。
[そうして、大切なものを失ってしまうほうが。]
ほら、これでも小悪党って呼ばれていた時期があったでしょう。
顔も恐いし、派手にも笑えない。
……それでも、受け入れてくれる人はいる。
[友人、教え子、このハロウィンで出会った人々。
どんな姿でも、受け入れてくれた。
それは目の前の店主も同じくではないかと、その想いは潜めることにして]
それと、同じなのではないか、と。
俺の考えですけどね。
[頭に手を当て、「説教ぽくてすみません」と再び笑った。
それは控えめでない、男本来の笑み。
キリシマの返事
ただ、キリシマの詳しい種族——納得したとは口が裂けても言えまい——や、男に生えたレッサーパンダの尻尾について「もっと格好のいい尻尾が生えたらよかったのに」とクレーマーまがいの意見を述べたりと。
雑談に興じる楽しい一時を過ごして]
[しかし、ニコラエは店に帰ってくることはなく
アケノシンから先に帰る
ありがとう、アケノシンさん。
キリシマさんも、お邪魔しました。
また来ます。
[簡単に礼を述べると、急いで薬屋を後にした。]
—— → 自宅 ——
[陽の落ちた街並を、駆け足で横切る。
壁を通り抜けることができても、やはり慣れたように通りを歩いて帰ることを選んだ。
どのみち一緒に帰るつもりだったから、店まで来てくれたらよかったのにとも考えながら。
彼がキリシマの問いを聞いていた
[——だから。
明かりが窓から漏れる自宅前、座り込む影
顔を覆うその指先が、金色の髪が、闇の中に溶けてしまいそうで]
……ニコラエ、
[名を呼びて、彼の前に膝をついた。
手を伸ばし、指先に、腕に、背にと触れていく。]
今日ほど一人で帰るのが寂しいと
思ったことはなかったよ。
[何かあったのだろうかと気にならないわけではないけれど
その想いもまた本物だから、ニコラエの存在を確かめるように触れて、ぽつと零して**]
メモを貼った。
― ドナルドの家・玄関前 ―
[時折、パーティー帰りの集団やカップルの声が届く
“明日もハロウィンならいいのに”
“来年が待ち遠しい”
“明日からまた仕事だ、嫌だなぁ”
己にとっては一度きりじゃないとしても。
彼等にとっては、「今」しか今日はない]
………違う
[自分にとっても、「今」だけ。
今日は今しかない。
いずれ醒めてしまう夢なのだ。
――何時かは畢ってしまうものなのだ。
夢は、必ず醒めるもの。
物語には、必ずエンドマークが打たれる。
……その時、笑って手を振れたらいい。
奇妙な非日常の一コマとして
ハロウィンの夢から醒めた彼の…
新たに築かれてゆく正しき日常が
どうか、実りあるものになりますようにと。
願いを篭めて、棺桶で眠るのだ]
[昼間より静かな住宅街。
雑踏と呼ぶには静かな環境に、また足音が。
祈るように両手の指を組みたいのに、
近付いてくる日常の恐ろしさに、顔を覆ったまま]
………ドナルド?
[闇の中で届いた声は、鼓膜を落ち着かせるもの。
触れる指は温かで、ゆるりと吐く息は安堵に満ちる
私という魔物を優しく隠してくれる筈の暗闇は
今は、とても恐ろしい。
緋色を隠していた手を下ろし、彼を見詰めた。]
………ドナルド。
[同じ高さで交わる視線に、掛けられた言葉に。
眉根を寄せ、ごめんなさいとちいさく謝罪を]
――考えてたんだ。
明日、11月が来たら――、
11月の0時に為ってしまったら…
君は、私を探してくれるのかなって
[家に戻ると告げた私が消えていたら。
彼は、日常が来たらと諦めるのか。
もう一度、口を開き。]
寂しい思いをさせて、ごめんなさい。
[穏やかに告げ、ドナルドに縋り付く。
頬を擦り寄せ、ゆるゆると呼気を吐き出し。]
……あのね、行きたい所があるんです。
私はヴァンパイアだけど、今はそうじゃないから
[今だけしか行けない場所。
日光の下、大蒜料理のレストラン。
銀製の矛で貫かれること
どれも違う。]
……此の街に…教会は、ありますか?
[マリア像と忌ま忌ましき十字が聳える場所
祈りを捧げる礼拝堂。
例えば、朝までそこに佇んで。
ステンドグラスが日光を通し、集めてしまっても
彼と過ごしている間に、灰に為るのなら
それでも構わない、とすら思うのだ。
もう、「良い出会い」なんて探さずに済む**]
メモを貼った。
―ニコラエさんと―
[仕事は旅ではないのです、と寂しげな笑みを向け。
人に疎まれる母国での日常をほんの少し、思い出した。
僕が、日常よりもこの狂った毎日を楽しんでいるから、なのだろうか。]
愛も、恋も、形は人それぞれなのデショウ。
…ひょっとしたら、恋は盲目なのかもしれマセン。
それでも、これが、僕の素直な気持ちデス。
[彼にとっての、彼らにとっての刹那の命だとしても。
倖せが此処にあるとすれば、抱きしめていたいと思ってしまうのは、強欲なのだろうか。]
― 薬店前 ―
[先に帰ってしまうとの、ニコラエさんの言葉。
僕はドナルドさんに確かに伝えた。
入れ替わりのように、僕はドナルドさんを見送った。
ニコラエさんの僕への問いかけ。
そして、ドナルドさんとキリシマさんとの会話。
秘めた想いは、僕の気持ちをざわめかせる。]
[決して、迷惑をかけたくなど無いのだ。
嫌われたくなど、毛頭ない。
それでも、そう。
ドナルドさんの言葉の通り。
相手が人ではないと知って、消してしまうものだったナラ、僕は…僕なら、きっと。
もうとっくに、逃げちゃっていマスね。
[そう言った後に、立ち聴きしてしまったことを謝罪して。
僕は暫くをキリシマさんと共に過ごして、ホテルへと戻っただろう。
きっとやってくる終わりを惜しむように**]
メモを貼った。
メモを貼った。
[彼の声が、男の名を呼ぶ
緋色と視線が交わると、謝罪の言葉に小さく首を振った。]
……今日でも、明日でも
探すに決まってんだろ。
[彼が帰ると口にしたことも覚えている。
けれど、それで諦められるわけが無い。
諦められるほど簡単な感情ではない。
頬寄せられる心地よさを感じ、背を撫でた。
まだこの腕の中に彼はいる。思わず強くなりそうな腕の力を抑えながら、続く彼の願いを聞く
ああ、あるよ。
今の時間なら誰もいない、貸切なんじゃねぇかな。
……行こうか。
[髪を一度撫で、身体を離し。
促すように手を引いて、先行くように教会へと歩き出す。
彼の考えはわからぬ、ただ、叶えてあげられるものは全て、叶えてあげたかった。]
—— 教会 ——
[白亜の外観に至る所にクロスや聖母の意匠が施されたその場所は、殆ど足を踏み入れたことのない場所であった。
今は違うといえど、ヴァンパイアにはあまり気持ちのいい場所ではないのではないのだろうか。
一度ニコラエを振り返り様子を伺って、施錠された扉を手を引いたまますり抜ける。]
意外と、明るいな。
[頭上を覆い尽くすヴォールトと、最奥の祭壇、その後ろには嵌め込まれた天井まで届く美しいステンドグラス。
月明かりが差し込み、全てをぼんやりと白い光で照らしている。]
教会は、来たこと……ないよな?
[何か変調を来していないだろうか、ニコラエに視線を向けて問うた。]
メモを貼った。
[
見つけられた時に空腹で無ければ良い。
私はジェレミーのように飢えに態勢はないのだから
きっとドナルドの血を髄まで啜ってしまう。
ねぇ、
それとも――]
…私も、今日も明日も、君に見つけて欲しいと祈るだろうね
[烏滸がましいと理解及ぶところであっても、
彼に会いたいから。
こうして、当たり前のように傍にいてくれることが、
何よりも尊く、充足足るものであり]
流石に教会も閉まっている頃でしょうから。
[貸切
隣で過ごせるのなら、部屋でも裏路地でも
教会でも、何処でもよかった。
探しているのかも知れない、自分が居ていい場所を。
教会は、最も不釣り合いな場ではあったが]
夜のデートも楽しいですよね、ふふ。
[なるべく明日のことを考えないように、
きつく、きつく指を絡めて何食わぬ顔で笑う。
楽しい思い出で埋め尽くしてしまいたい。
自分が居なくなった後の街が、味気なくなるように。
ドナルドの倖せを願っている癖に、真逆を望んでしまう
千年ちょっと生きてても、こんなへそ曲がりなのだ。
あと千年生きたら、どれだけ歪むのだろう。]
― 教会 ―
あぁ……。
[
白い外観に悪魔の嫌がる装飾ばかり。
神の像は、血の一滴も垂らすことなく
訪れてはいけない、訪れることはない、訪れたくない禁忌の場所]
ええ、フルムーンですからね。
満月の夜は、欠けた時よりも明るく感じる。
[高い穹窿を見上げ、厳かさすら匂わせる神の催事場。
列為す長椅子に座る者は誰ひとりいない。
ステンドグラスを通して七色と果てた光が床を椅子の上を彩る。
ヴァージンロードの緋色があれば尚よかった。
残念だが、夜の無人礼拝堂にそんな期待をしてはいけない]
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