25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[夜光が眸に宿す怨のいろ、それがゆらり、ゆらりと変わり往くのに己の紫苑色を重ねる。]
…分からぬままでも、…よい、…?
[法泉と、――胡蝶の言葉と、
重なる。鈴が鳴る。]
――…、――
己は、知らぬこと、多く
見て聞いて、そして、惑っている。
……にくめたら、楽なのに
[零した胸のうち。
憎みきれないのだと、そういう。]
…否、胡蝶は、……――凝り固まった己より、余程…、…ッ
[好き、と聞こえた所為か。紅くなった。]
[華月の言葉に考える。
邦夜は違うと知っているけれど。若し。
若しも彼が獣で。獣であっても同じに温もりをくれたなら。
自分は、恨むことが、憎むことが出来たのか?
感情は変るもの。再び視線はロビンへ。
あれだけ拒絶されたのに、其方から声を掛けてくれた]
……頭が痛い。
[蟀谷を押さえて首を振った。
華月の言葉は頭でなく別の場所で分かる気がした]
[柔かな主の視線に促されて、口を開く]
憎み、嫉み
幾ら向けても構わぬのに。
……道天満月の彼も
同じ道を辿らせる手筈がしくじった様子
二度同じ手は、あるかどうか。
[人食いの花が聞く言の葉は
現世と狭間と、もうひとつ]
まだ、痛みがあるんだ?
……そうだね、色々まだ此処は感じる事が出来る。
彼岸にたどり着いたなら、消えてしまうかな
[冬色の瞳が夜光を見遣り、気遣わしげに揺れた。
拒絶が無いだけで随分印象が変わる]
そう、ですね。
[夜光の言葉に頷いて]
そも、人の生き死にには獣より人が多く関るもの。
縁あるものを屠られれば、人であろうと獣であろうとあまり良い感情は浮かばぬでしょう。
…。
獣を恐ろしいというのなら、人はもっと恐ろしい。
けれど、だからこそ、どちらも恐ろしいものではない。
[おそらくは、乾がロビンを獣でなく花と見ることに、
どうあっても鵠は鵠と思うのは似ているのかもしれない。
乾の微笑にそのようなものを感じ、胡蝶もまた微笑む。]
人も人を殺す。
わても、朧様に殺されたけど、感謝こそすれ怨む気はおきへん。
ま、人それぞれやろ。想いも事情も。
あんま、考えこんだら、頭莫迦になんで?
考えるより感じろ!……とか謂うてみよか。
[光夜に己が死の原因を告げ、傷むという頭を心配した。]
始末屋 ズリエルは、邦夜の問いに、眉を寄せた。
2010/08/08(Sun) 23時半頃
……憎めたらええのに、ってのが答えな気ぃもするけどな。
裏返せば、憎みたくないってことやろ。
わては、鵠のそういうとこ、好きやよ。
[そして、好きという言葉に反応した鵠に、
重なるようにまた好きという言葉を向けた。]
なんや、かあいらしいなぁ……――
[紅く染まった頬を突いてみたり。]
……あれを初心と謂うんでしょうね。
幾らか見習った方が良いでしょうか。
[生まれながらに艶ごとは知っている。
経験こそなくても媚態を取るのは人食花
白い鳥が紅く染まっているのをふと見て呟いた]
|
― 本邸・廊下 ― >>131
邦夜さん…… 夜光は死んだ。
[隠蔽せず、率直に伝える。]
狼に食われたんだ。
[そのおぼつかない様子に、かがみこんで…。]
(137) 2010/08/08(Sun) 23時半頃
|
なっ!
[同じ道をといわれれば、憎しみ浮かばぬわけがなく。
されど冬の瞳は気遣わしげで、以前のそれとはまるで違う]
…変るんだね。
人も。獣も。同じように。
[ほぅと息を吐いて、法泉の言葉に頷いた]
ロビン、私は造られたものはあまり好ましく思っておりませんので。
お前はお前のまま、傍に在るといい。
[花の言葉に僅か目を細めて、白鳥を見やり、また視線を戻す]
[同じ道をと言っても昨夜の話。
それ以上は告げず]
利用して謀る気で近づいたのに
主さまがあまりに心深くいらっしゃるから。
[同じように変わるのか
己の変化については頷いた]
主さま……
[つ、と視線を流し見遣る。
少し下げた眉と、薄く開いた唇。
躊躇い、音にした]
お誘いしたあの時は
笑みも仕草も、計算の上であったのですよ?
お部屋に招いて頂いて
……そのような余裕は直ぐになくなりましたが。
造りもの交じりが私の顔なれば
主さまは、幻滅なさいますや?
|
>>141
邦夜さんのせいかどうかは俺にはわからんが、 だが、この屋敷、今、誰が殺されてもおかしくはない。
[具合の悪そうな邦夜を心配気に見つつ…。]
ああ、そういえば、邦夜さんは、わかるんだってイアンからきいたが……。
[そう、狼がわかると…。]
(143) 2010/08/08(Sun) 23時半頃
|
…、…――
[頭が痛い という夜光へ
気遣わしげな視線を向けた。]
いたい、
まるで――生きていた頃の、ようだ。
……人は変わる、……変わる、か…
[呟き、惑いは晴れない。
胡蝶の声に、顔を向ける]
――…、……そう、なんだろうか
[もう一度聞こえてくる声に、
視線を彷徨わせて眼を伏せた。]
…や めろ。
[困ったように頬を防御した。]
心深いかどうかは、さて。
私はただ、欲深いだけのような、気がしますから。
[白鳥と蝶の戯れる様子を目に映す。
やがて視線はあちらへと向いた]
どちらも。
滅びの身を向かっているように、見える。
人も獣も。
[冬花の声に視線巡らせ。
鵠と胡蝶の様子を見れば小さく頷いてしまったり。
羨ましいとも思うのは、どうにか心の裡のみで]
そう。それは。
良かったと、思う。
[獣を厭う思いもまだ消えないけれど。
そこには共感できるものが確かにあって。
まだ蟀谷押さえながらも、冬の瞳に小さく頷きを返した]
ああ。
だから、私はお前の顔をもっと見たかった。
手折ればその表情は変わるだろうかと。
手折ってなお変わらぬようなら。
どうしていたでしょうね。
[花へと向ける笑みは変わらず穏やかに]
幻滅などするなら最初から花と認めず、
――造り物が混じるのがお前の顔なら、それもまた良しと。
今は思っておりますから。
[夜光の頷きを見遣り、少し眉を下げる]
良かったと、そう謂ってくれるんだ。
[冬の蕾の仕草。
大分間を置いて]
ありがとう。
[瞳閉じて呟いた]
[もう一つの気遣わしげな視線に、再び鵠を見て。
変るというのを肯定するよに小さくコクリと頷いた。
変れると思った。何かが変ったと、今でも思う。のだけれど]
邦夜様…。
違います。邦夜様のせいじゃない。
[此岸に意識が引き寄せられ、聞こえた声に何度も頭を振る]
役に立ちたいと。
まだそこから変われてなくて、間違えてしまったのです。
僕が自分で引き寄せてしまったこと。
[無力な光が何度も何度も。
否定するように舞うけれどそれは。
此岸ではあまりに儚くて。見え難い]
[頬を防御する表情まで、あいらしい
と、謂えば照れを越して怒るのだろうか。]
わてには、そう見えるけど、本当はどうか判らんわ。
でも、急がんでもええんよ。
この先どうなっても……共に飛んでくれるんやろ?
[悪戯はやめて、真摯に告げた。]
[法泉から言葉が返ると、ちらと視線を上げる]
試されていたのですね、矢張り。
味見だけに留まらなかった理由
一つは其れでしょうか。
……獣は、己を造らねば
人の中では生きられません。
生まれながらに偽る術も、この身に。
また良しと、思っていただけるなら
たまには違う私もお試しくださいませ?
ロビンと謂う花は、多才多芸で名を売っておりますから。
[束の間、愁いを忘れたように
そう謂って笑った]
[もし、あいらしいなどと聞いたら、
うろたえた後、どうしたらいいか分からず怒るだろう。]
――…、…自分で、
自分自身がわからない、のに。
……――嗚呼、
[じ、と苔色の眸を見返し]
飛ぶよ。
…それは、変わらない。
味見に留まらなかったのは――。
いえ。
お前の表情が、もっと見ていたかったから。
[じぃと、冬色を見詰めて。
違う私を、という言葉には少しだけ考え込むように]
それもお前なのでしょう。
なら、愛でることに変わりはなく。
白鳥と同じようにされると、少し罪悪感が沸いてしまいそうですが。
[笑う花の額へと唇を降らせて、顔を上げる。
目の端に映った白鳥の反応が、眩しい]
そやったら、えぇんよ。
[悩む愛しい片割れに、飛ぶが変わらないなら佳いと。
悩むだけ悩んだらいいのだと、少し身を抱き寄せた。
そして離すは、夜光の気持ちを慮ってか。
これ以上、初心で愛らしい様を、他者に晒したくないと思ってか。
紫苑色を見詰め返す、苔色は穏やかだった。]
…明?
[黒檀を瞬いて、主へと告げる友を見て。
その腕にある太刀に気付いてまた瞬いた]
邦夜様が求めて下さったこと。
それが何よりも幸いですと。
お気に召したのは、顔だけですか?
[くす、と意地悪く笑い]
内に二つ心あれど、どちらも私に違いありません。
人の心と獣のこころは、もう混じってしまいましたし、ね。
[下りてきた唇を額で受けると
びく、と身を震わせ目を丸くした。
片手で額を押さえ、ぱくぱくと口を開くも言葉は出ず]
……っ
[ぷしゅうと音を立てそうなほど顔を赤くして俯いた。
間を置いて
ちらり、見上げる視線は笑み交じり]
罪悪感、湧きましたか?
[そう謂って、少し背伸びして首筋に音を立ててくちづけた]
――…ん。
[頷いて、抱き寄せられた少しの間に
額を肩にもたせかけた。
眼を閉じるそれは、心預ける証。
離れる身体に、
ほんの少し、名残惜しげな様子を見せるのは
隠し切れなかった、いろだろう]
表情は、同じ顔でも心が違えば違うもの。
顔だけではありません。
心が表れるからこそ、私はお前をもっと知りたい。
[口付けへの反応に一度細い目を僅かに見開いて]
――、湧いたかどうか。
ですが、少しお仕置きが必要かも知れませんね。
[首筋へ触れる唇。
身を屈めて、冬の色を覗き込む。まだ赤い名残が残る顔。
握った手指を絡めて、逃げられぬよう腕の中に閉じ込めた]
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