276 ─五月、薔薇の木の下で。
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イアンは、手の中で魚が潰された*
2018/05/22(Tue) 10時半頃
イアンは、メアリーは今でも綺麗で、羨ましいと思っていた
2018/05/22(Tue) 16時頃
イアンは、フェルゼはあれからどうしたのだろう
2018/05/22(Tue) 17時半頃
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[ヴェルツとのことを少なくとも、と口にしたが 何も事情を知らない聞き手にとっては>>212 よく分からない言葉だっただろう。
男はまだ、廊下で座り込んでいる。 静かに、静かに。夜に潜む獣のように。 動く様子は無く、赤い花の香りを漂わせるばかり。]*
(217) 2018/05/22(Tue) 17時半頃
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[色々なことがありすぎて 何故中庭で寝ていたのかも聞けずにいた。 思えば、それもきっと傷と同じこと。 引っ張って医務室に連れて行く そんな簡単なことすら出来なかった。
見に行くのは、辛くて 遠くから届けた一言が、せめて たった一滴でもいい、水になってくれたら。]
(227) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[偉そうに語った割に、自分はこれ 終わってしまったのだから仕方ない。 フェルゼと俺は、似ていて違う。
────ふと、気づくものがある。 その聖なる響きは、何を意味するのだろうか。
静かに降り注ぐ雨に似ていた。 枯れそうな薔薇は、生きるだろうか。 そうなれば、きっと俺も嬉しい。]
(228) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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綺麗だ。
[呪いと茨の中でも 俺にとっての君は、今だって。
親にも腫れ物として扱われる男に 帰る場所と安らぎをくれていたひと。 きっといつまでも、思い出に咲く。
潰され歪んだ栞の魚を 一度、二度、三度、引き裂いていく。 八つ当たりじみた行為は、欲の解消にはならない。]*
(229) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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――来客――
[振り返っても、何も見えないのがこわかった。]
[あまり子宝に恵まれない両親の元、ようやく生まれたひとりがモリスだった。
勉強や運動の方には――特に歴史と器械運動がひどく残念だ――目立った成績はないものの、伸び代があると笑って、いつもより少しでも良ければ褒められるような甘い家族に囲まれていた。
幼少期から少し絵は描いたが別に好きにもならず、談笑とじゃれ合いばかりで過ごす日々が続いたあと、この学校でようやく趣味らしいものに出会った。]
[それからは没頭した。少しの絵の経験が、作品のイメージを記すのに役立った。学年下の絵描きにも手伝ってもらったし、庭いじりの先輩には木切れをもらった。なんなら間接的に本来の庭師である用務員とのコネクションも出来た。
失敗ばかりでごみを増やした時期が過ぎれば、徐々に校内での認知も広がっていく。
夢中で、夢中で、それからふっと立ち止まった。
そう、それはいつだったか、奇しくも眠りの外と同じ言葉をかけられて。]
[考えたことなかったなと、振り向いた。
過去を思えば、何もなく。自分を構成しているのは木片とナイフとやすりと針だけに思える。
それをこわいと思ったのは、単なる自分の感性の話だ。
染まった人生を振り返り、堂々と好きなものは木を彫ることだと言える人だっているだろう。
いつか怯えを問いかけた時、フェルゼはその類の人間だと思っていたから、返って来た言葉は少しだけ意外で。
けれど失くなることのほうがこわいと告げるその気持ちもわかる気がした。
染まるのをこわがるくせ、この手は木と枝に触れるのを止めなかったのだから。]
[穏やかだった心に少しの亀裂。くく、と微かに眉が寄ったのに、手を撫ぜるだけのフェルゼはきっと気づかないだろう。
そしてその内、ゆっくりと思いを振り払ったかのように表情は穏やかなものに戻る*]
記者 イアンは、メモを貼った。
2018/05/22(Tue) 21時半頃
― 春の記憶と ―
[あの細工は、今も部屋のベッドの脇に置いてある。
何かを抱く鳥。
大事なものを抱きしめているような、優しさ。
落とし物だと思ったのに。
欲しいなら、と言われたら、「はい」なんて咄嗟に頷いて、
なんとなく気まずくってその場はすぐに辞したのだっけ。
持ち帰った細工を、同室者が「モリス先輩の?」って聞くから、それで名前を知った。
でも、それだけだ。
そのあとすれ違っても、何の視線も動かなかったから、いまさらありがとうなんて言えなくて―――]
― 夢の中 ―
[優しい音が聞こえる。
ヴァイオリンとは違う、鍵盤の音。
明けない夜、月の隠れた星を探すような、音。
あるいは、暗い夜。傍らに眠る家族に手を伸ばすような、安心を約束された安らぎの曲]
[表面を撫ぜる誰かの気配。
額に触れた唇は、夢の中に、濃い薔薇の香りを齎す。
それは、質量のある「想い」だ。
その色は知らねども、確かにある感情。
生まれかけた、微かな欲を、薔薇の香りが増幅させる。
それは、まだ名づけなくていいはずのもので。
形にするのも躊躇われる儚さで]
― 夢の中の、医務室で ―
[聞こえるはずのない音量で、鍵盤の音が響いている。
それは、心地のよいBGM。
心を揺さぶるに十分な情熱は、窓から太陽の照らす明るい医務室の中を軽快に彩る]
あぁ、 ……夢か
[シーツの中。
右手の指を一本ずつ、ゆっくりと折り曲げた。
明るい光がこそ、夢だと知らせる不思議。
現実と繋げるのは、この甘い香り。
中庭の薔薇が、今を盛りと花開く]
[例えば、小さなつむじ風が薔薇の花弁を巻き上げて、すべて飛ばしてしまうように。
例えば、虹色に渦巻いていたシャボンの玉が、はつんと弾けるように。
穏やかなぬくもりに揺蕩っていた自我が、ふいに帰ってくる感覚がした。
瞬間、どこか遠くに聞こえたピアノの音も、ふつと途切れる。
現実でもないピアノなのに、途切れればどこか残念な気がした。]
……あれ、
[ゆっくりと目を開ければ、見知った医務室だ。
明るく、太陽が差し込んでいる。
夢の中で目を覚ますという珍しい経験をしたことには気づかないまま、隣にいる人影に視線を向けた。]
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明けない夜があればいいのに。
(283) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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[自傷的な八つ当たり 被害者の栞は細かく、花弁に似て床に落ちた。
俺は魚では無かった。 そこにはただの絵が描かれた紙の残骸。]
(286) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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[人間は貪欲だ。 願いが一つ叶えば、また一つ。 尽きることなく罪深く。
欲望だけでは、傷の舐め合いでは駄目だった。 まるで何も汚れていないみたいに あいされてみたかった。]*
(289) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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