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[
はい。
夕ちゃんのお友達になりたいです。
現世で、約束しましたよね。夕ちゃんのおうちに遊びにいかせてください、って。
約束、ちゃんと守れました。夕ちゃんのところに、遊びにきちゃいましたから。
[悪戯っぽく笑うとにこにこと楽しそうに笑った]
『ねえ、たまこ。口が開いたままだよ。』
……え。あ。
う、うん。そうだねえ。ここが、あやかしの里なんだね。
…みんな、いるみたい。
[むぅ、と口を結んで揚羽を睨む
影送りと狐火たちに送られながら、ずうっと道を歩いて、里へと向かう
消えた気配が集まっているのを感じる
一度目を閉じて、それから、開くと意を決して眉をきり、と上げた]
───うん。やくそく。
ゆりおねえちゃん。
おうちに遊びに来てくれて──…、嬉しい。
…ありがとう。
[あの時の他愛もない約束。
その言葉を引いて、童女が漸く嬉しそうに微笑んだ。
そうして志乃の元へと歩み寄り、お礼のように抱きしめる]
[
あ、志乃様、ずるいです。私だって夕ちゃんをぎゅーってしたいのに!
[ぎゅ、と志乃と一緒に夕顔を抱きしめる。志乃の目に笑って頷き、夕顔の頭を優しく撫でた]
けさらんぱさらん… …? ???
[一平太らの到着に、明之進の炎。
どうしたの?と、童女は困ったように首を傾げた。
あちこちを見て、仁右衛門の元へと戻って着物を掴む。
もう少しこうしていようと、そう*思った*]
[辰次に制止され
あり、がとう……。
でも、こうしなきゃって、思ったから……。
[焼けて紅の斑になった指を見て、志乃の事をふと思う。
彼女ならきっと許してくれるだろうと、そう思うのだけれど]
そう……一平太さん、こっちに来てるのよね。
せめて、言葉だけでも……ちゃんと聞いてあげて欲しいの。
[彼がここから消えたのもまた、本意ではなかろうと考えていた。
引っ込めた右手をそっと擦りつつ、明之進と辰次を見詰める]
メモを貼った。
え?
どういうこと…?
[
それは、僕が。
―そう、僕が居なくなってしまったから?
だから、変わっちゃったんだ…。
明之進
ふん。会う気はあるのか。
…じゃあ、もうすぐ来るだろうから、逃げないで大人しく待て。
その姿のままで。
[なだめるように、明之進に告げる
……安心しろ。
もし受け入れてもらえないようなら、
絶望する前に俺がこの手でお前を滅してやる。
二度とよみがえることもない。
それが、お前をあやかしにした俺の責任だ。
[鬼火を掴む手に力が入る。まなざしは鋭く、真剣で。]
ええええ、そんな。
わたしが、お願いしたせいで。
あれが…?
明ちゃん、なの?ぜんぜんちがうよ。
あのとき見た子と、ぜんぜんちがう…
[手のひらに乗せたふうわりとした白い毛玉を思い出して
思わず手を口に当て、ううん、と首を振った]
―うん分ってる。
僕が行く。連れてって。
[
まだ、伝えてないこと、たくさんあるんだ。
言わなきゃいけないこと、いっぱいあるんだ。
これからのこと、教えてあげなきゃいけないんだ。
[視線はまだ見ていない友のために。
懐にしまったの片手の拳をぎゅっと握って。]
ん…もしかしたら、嫌いになっていなくなったとか思うてるんかもしれへんね。
せやけど、一平太さん逢いに来てくれたんやったら、
あの子の誤解も解ける思うしねぇ…
一平太さんだけ違いますんよぅ。
うちら妖しも……ううん、妖しだけちゃう。みんなみんな明之進大事や思うてるから
せやから、逢うてお話して欲しい思いますんよぅ?
[先に見えたのは辰次か沙耶だっただろうか。
鬼火となった明之進よりも先に視界に入ってきて。
緩まったのは自分の足か、はたまた乗ったものの足か。どの道その場に到着すれば、まずは一つ息を飲んだ。]
一平太、さん……!
[その姿
よか、った……。
待ってた、の……。
[右手を袖に隠すようにしつつ]
明之進……私、じゃ、遅過ぎたみたいだけど。
一平太さんなら、きっと間に合う、から。
声、届けて……欲しいの。
[少し身体を傾けたなら、青白き火の姿も一平太の目に届くか]
沙耶、辰次、そして周囲の言葉には、今は小さく首を縦に振るだけで返すだろう。
[白い毛玉とは、異なるを越えた、
明之進くん、で、いいんだよね。
[それでも、其れより上に思うは。]
僕だよ。
いっぺいた、覚えているよね。
[なんてさびしげな色だろう―。]
……おう。
来てくれたかぁ。もうちょっと遅かったら、俺の手が暖を取るのにいい感じの炭になるところだった…
[一平太の声を聞けば、苦笑しながら明之進から離れた。冗談を言う余裕はあるらしい。]
─ 炎の前 ─
ただいまぁ。
[胸中は秘めながら、剣呑たる状況に場違いにも思えるゆるやかな声色で一平太達と共に戻る
二人とも無茶せんかったん?
[明之進を一度不安げに見つめてから、辰次と沙耶の元へ向かう]
沙耶…大丈夫?
[離れ際既に彼女は火傷を負っていたはずで、駆け寄れば心配そうに彼女をとその右手を覗き込んだ]
知ラナイ
[すっかり心を閉ざして
一平太の言葉
[あたりをきょろきょろと見回っては、ほぅ、とため息をついていた揚羽は
同じ九十九の――それも、自分よりも随分時を経た――気配を感じて
じいいいいいい、と志乃を見つめた
それから、周りをぐるりと回り、大きく開いた胸を屈め
着物の長い裾を持ち上げしゃらりと絹擦れの音をさせお辞儀を返した]
『お初にお目にかかりまする。
志乃さま。
我は揚羽、簪の九十九に。』
[波打つ珊瑚色は地面まで届くほどに、礼は深く]
[その傍ら、志乃に小さく礼を返して
たまこは、じっと一平太の背中を
その先にいる明之進を見つめている]
あ……志乃。
[ゆるやかな声
ん……大丈夫。
ちょっとは、……無茶だったかもしれないけれど。
[袖に隠した右手。
覗き込まれればそれ以上隠す事はせず]
動かなくなるような火傷じゃないの。
でも……すぐには箏を弾いたり、出来ないかな。
だから、ごめんね。
[自身を主と呼んだ琴古主に小さく頭を下げる]
でも、明之進も、私にとって大切な人だから……
多分、いきなりいなくなっちゃったから。
驚いてると思う、ごめんね―
[
拒絶の意思に目をぱちくりさせるも、小さく横にお断り。]
―僕を知らない?違うよ。
僕は君を知ってるし、君も僕のことを知ってる。
[周囲には、宥めるようではなく、それは淡々と聞こえるかもしれない。]
―炎の前―
辰次様!
[一平太達と共に現場に戻れば、辰次に駆け寄る。
ああ、こんな、お怪我をされて…!
もう、もうっ…
あんまり無茶は、なさらないでください…!
[辰次の手を取ろうとするが、傷に触るかもしれないと迷い、少し泣きそうな、怒ったような顔で辰次を見つめた]
もう……
[一目見て軽い火傷とも思えぬ右手を確認すれば、血相を変えて場を離れていく。
やがて、引きちぎった自らの袖に水を浸し戻ってきた女はそれを問答無用で彼女の手に覆い包む]
気休めかもしれんけど、冷やしますよぅ?
あとで薬草探してくるから、痛いんは我慢してな。
謝ることはないんよ。
すぐに弾けないとかそないなこと気にせんでもええんよ。
せやけど、……せやけどな
身体は大事にしてなぁ。
沙耶にとって明之進が大事なんはわかるけど、
うちにとって沙耶は大事なんよ。
[冷水で濡らした着物をあてがいながら、紡いだ声は震えるような声]
志乃さんお帰り、ゆりさんも…うお。
[ゆりに泣き出しそうな顔で怒られれば、少々怯み。]
だ、だってさ、明を抑えられるの、この場では俺くらいしかいなかったし…
このくらい、あやかしは平気だよ。
[たじろぎながら言い訳を重ねるが]
う、うん、ごめんな、心配かけて…
[一平太と明之進の様子を横目で見ながら]
……おい、葦藻、葦藻はいるかぁ。
いるんならちょっと出てきてくれ。
[あしもー、と邪魔にならない程度の声で呼び続けると、白くて猫ほどの大きさのネズミが一匹、ちょろりと何処かより現れた。]
あんなぁ、鎌鼬ん所行って、末っ子から薬、分けてもらってきてくれ…二人分。駄賃は後でやるから。
[頼みを聞き届ければ、葦藻と呼ばれたネズミは、ちょろちょろと駆け出していく。]
[それでも微妙に声に振動―感情のぶれ―が少しずつ尾ひれに付いて来ていて。]
だって、君は明之進君で、僕のともだち。
それで、僕は一平太で、君のともだち。
僕はね、ともだちになって、嬉しかったんだ。
[すっと、一歩前に出る。
神隠しされる前に溢れた涙がまた眼に還ってきたかのように、もう一度涙の筋をなぞろうとしていて。]
ちいさなこえで、だいじょうぶ、と呟いた**
[沙耶の元へ赴く前]
揚羽さんなぁ。ええよ様なんてつけんでも
美を彩る簪さんだけあって随分艶やかな成りですねぇ。
ほんまに綺麗……
並んだらうちが霞んで仕舞いますよぅ?
せやけど、揚羽さんみたいな絢爛なお姿は、うちには似合わへんやろか?
[しゃらりと仰々しくお辞儀をする揚羽に、照れを交えて手をひらひらと]
龍っつぁんから聞いたときは、荒ぶる付喪やったらどないしよう思うてましたけど、禍を齎すような方やないようで安心しましたんよ。
たまこちゃんと良き縁も深そうやし……常に和ぎれる九十九となってくださいな。
揚羽さんやったらきっと主様に幸を齎す九十九となってくれますやろう?
和を以て幸を成す。それが、永きを巡る九十九の在り方や、思いますんよ。
[どうぞよしなにとゆるやかな礼を返した]
辰次様は平気でも、あんなことをされたら、見ているほうは平気じゃありませんっ…!
もうっ……!!
…はい。あまり、心配かけないで、ください…。
[俯いて、辰次の着物の裾を、ぎゅ、と小さく握る。]
あっ……
[問答無用に布に包まれた右手。
水の冷たさに幾らか痛みが引いて、ほっと息を吐く]
ありがとう……志乃。
こんな風に、大事に思ってもらえるなんて……私、幸せだよ。
だから、これ以上は無茶しないから、ね?
[右手を僅かに動かして、着物越しに志乃の手を握り]
……きっと、"さよ"もかつては、同じ気持ちでいたと思うよ。
なのに、どうして……伝えられない、のかな。
[呟きながら、一平太と鬼火を見守るよう視線を向ける。
それ以上明之進への言葉は重ねず、ただ、祈るように**]
メモを貼った。
…明之進様に、きっと辰次様のお気持ちは、伝わると信じます。辰次様だけでなく、一平太様や…他の皆様の気持ちも。
[真剣な眼差しで明之進と一平太の様子を見つめながら言う。
きゃっ!
…あんなに大きな鼠、初めて見ました…。
[呆然と、鼠が走り去ったほうを眺めた]
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