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[深いところまで、口づけで求めあう。
夢中すぎて呼吸が苦しくなって、離して。
それから、しあわせを隠せない笑顔のままで、またじゃれるように寄り添って、色の濃い瞳を、見上げる。]
な、でも、俺さ。
お前から呼ばれんの、テツのほうがいい。
哲人、のほうがお前の声、少しでも長く聞けるけど。
テツ、のほうが、お前との距離が短くなる。
[それはたった音二つ分の距離。それでも、近くて遠い距離。
その距離をもっと縮めようと、くちづけの続きをもう一度、ねだる。]
昨日? 洗ったってー……
[誰を?って聞こうとして口を閉ざした。
つまんない嫉妬だ。聞かなかったことにしよう]
んー気持ちいい。
なんかこう、自分でできることを人にしてもらうのっていいよね。
贅沢してるって感じがする。
[そんな理由で美容院とかで髪を洗ってもらうのとか肩揉んでもらうのとか結構好きなのだ――と思っていたところで、はたと気づく]
ん、いや、そこは流石に自分でやる。よ?
[あわあわ貸して?と手を差し出した]
メモを貼った。
あー、耀を。
お前あんとき居なかったもんな、結構大変なんだぞ。意識無い人間を洗うのって。
[誰も手伝ってくれなかったしー、とぼやいておく。
その後織部に見られてはいるのだが、それは言わない]
俺は結構する方が、好きかな?ゴホーシいたします。
……ちっ。
[舌打ちを隠さず、あわあわを手に。
そうして、泡まみれの道也の背中に胸をくっつけて、泡の残った手を前に回そうと]
メモを貼った。
あ、ああ。そっか。
ごめんなー2階の様子見に行ってたから、さ。
[それは、仲良さげな二人を見ていたくなかったから逃げただけだったのだが。
……それを思えば、今こうしていることはなんだか不思議に思える。
それと同時、寧人のことを思い胸が痛んだ]
うむ、くるしゅーない。
――って! こら、自分でやるって、言ってっ
[背中に触れる温もりに一瞬動きが止まる。
前に回される手に抵抗はしてみるものの、……多分、負ける]
もしかしたら、心のどこかでは負けていいと思っていたからかもしれない。
メモを貼った。
メモを貼った。
[今、マッパで好きな相手を抱きしめている。
そう思うと少し腰が引けた、男の子的な意味で]
だって、道也が……あーでも普通に洗うから。
[項に欲情したなんてしれっと言いそうになった、危ない。
腕を掴まれたら止める心算で胸を撫で、ヘソを擽り、其処までで止めて後ろからぼそり]
タオル、どけて?
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
[手が緩められても、距離が近いことには変わらないし、
彼の腕に包み込まれていることも、変わらなかった。
絹を隔てて背を撫でる手の感触は優しく、同時に少しじれったい。
けれどこの時は、ただこうしていられるだけで、良かった。]
だって。
だって、うれしいんだもん……っ。
[泣くななんて言われれば、そんな言葉しか言えなかった。
そのくらい、本当に幸せで。そのくらい、満たされつつあった。]
[返ってくる、好き、の響きは自分よりも静かで、なんだか彼らしくて。
けれど耳元で響いたその色に、撫でられていた背が微か震えた。
ああ、漸く言えた。漸く、言って貰えた。
泣きっぱなしだった目が、また熱くなった。]
[そして、受け入れられた接触。額を通じて、熱が直に伝わる。
唇の奥で、深く、絡む。互いの潤いが混ざり合う。
いつかの時よりもっと、苦しくなる程に求めていたように思う。]
……ん、
[一度唇が離れてから、哲人の言ったことに小さく瞬いて。
惚けて安心しきった緩い顔で、淡い翠を見下ろした。]
分かった。
君がそう望むなら、そうする。……テツ。
[自然に浮かぶ微笑。再び短く呼んだ名前には、甘える響き。
もっと近くに、と欲するのは自分も同じ。
強請る前に強請られて……小さく笑い声を零した後、また唇を合わせた。]
[何か 位置的に触れそうな気がしたけれど。
腰が引かれて触れなかった。たぶん。きっと]
……ふつーに洗わなかったら怒るかんな。
[調子狂うなんてもんじゃない。
かっこよく振舞えばいいのか、かわいく振舞えばいいのかすらわからない。
素のままでいよう、と思っても、王子の仮面がない今は赤くなる頬すら隠せなくてかっこ悪い]
……ん……っ。
[洗われているだけ、だけなのに。感じる。そういえば最後に別れた彼女とは結局ヤるところまで行かなかったから、最後にセックスしたのはええと……。
……要するに溜まってる。色々と敏感になってる。
そこで更に後ろから囁かれたらもうだめだった]
[観念したようにタオルをどけると、そこには軽く反応を示していたりして]
…………。
[すごくいたたまれなくなって目線をそらした]
[また深く、くちづけを交わしながら。
もっと、近くに。そう求めて。
隔てるものを、取り除きたい。そう願って。
彷徨う手は半ば無意識に、布地の距離も失くしてしまおうと、哲人のシャツの襟元に伸びていた。]
―自室―
[ノックの音に目が覚めた。
やばい、朝か?雷が鳴ったから、確認にでも来たのだろう。誰が、神隠しにあった…?]
はいはい、今開けます!百瀬も土橋も居ますよ
[廊下に立つ女性が頭を下げた]
『失礼いたします。お食事の用意が出来ておりますが、如何致しますか?』
あ…い、ります
『かしこまりました。では大広間までいらして下さい』
[深々と頭を下げ、女は辞した。廊下に半身を乗りだしてその背を見送る。
そうして気付いた。こんな造りだったっけ?
そして…]
……誰?
100回ぐらいでいいのかよ?
[
…正直、俺はそれだけじゃ足りないんだけど。
なぁ?調音。
[愛おしい人の名を優しく紡いでから]
好きだ。
[と、12回ほど囁いた所で深く唇を重ねられただろう。
暫くして、最上センパイが使うはずだったろうベッドを指差され
メモを貼った。
…慣れてる。
[忍耐力とか高めなので、大人しくベッドへ。
そこで聞こえた
…………一目惚れだよ。
[すごく小さな声で呟いたので届いたかどうか。]
怒るだけなら、いたずらしたくなるからそういう事言わないの。
[やや腰の引けた格好悪い体勢で、それでもいきなりそれが触れたら困るだろうという配慮をしているのに。
声が聞こえたりなんかすればより反応してしまうのを止められない。
湯船から上る湯気と湿度、自身の体温でのぼせそうだ]
道也も、俺を洗えばお互い様?
……こっち向けるなら。
[ひとつずつ、確認するように段階を踏んでゆけば大丈夫そう、なのかな?と淡い期待を込めて]
―― 1階廊下 ――
……ゴミひとつ落ちてねぇんですケド。
[ちらっ。
視線を投げた先の少女が、無表情なりに誇らしげに見えたのは気のせいか。
生きているひとの気配がする部屋の前は静かに。
隅から隅まで、廊下を探ってみたけれど、目ぼしいものはおろか、埃すら見つからなかった]
はー……。ちょっと、休憩……。
[寒く感じるのに、頭は熱くて、身体はじとりと汗ばんでいる。
は、と暑苦しい息を吐き出し。湿気った包帯で、額を拭った]
ん?
[召使らしき女性のひとりが、2階から降りてきて、大広間へ入っていく。
誰かが食事を要請したのだろうか、と見送った]
メモを貼った。
―灰と黒とに見詰められ―
足りる、たぶん。
はっ…お前、そんなこと言ってると日課にさせっぞ?
[優しくやさしく名を呼ばれる。…やっぱ、呼びたかったんじゃねーか。
気恥ずかしくて顔を背ければ、囁かれる『好き』という甘い言葉]
……、……くっそ。
[やけくそに悪態つくしかできなかった。
それでも、良数が自分に配慮してくれているのはわかる]
ん。俺が洗うから。
……そっち向くから、良数も背中向けて。
[椅子に座ったまま向きを変えて、そろそろと良数のほうを見る]
[慣れてるだなんて、自制させるようなコトを俺が、させていた…?
はぁん…。
口元に手をやり、薄く笑んだ]
…何言ってんのか、聞こえねー
俺だって恥ずかしい、めちゃめちゃ。
[でもこの耳まで赤いのは、湿度が高い所為だ]
あ、うん。
[膝立ちのまま、背を向けて少しだけほっとした。
それと同時にもう少し普段からスキンシップを増やしてもいいのかな?とか。
ああでも抱きしめてキスはしたし、ちょっとずつちょっとずつ]
[好きと好きが交差しあって、どくんと胸が打つ。
好きだ。こいつが好きだ。自覚はとうの昔からしていたけれど、伝える気なんてなかった想い。
蓮端をひとかけらたりとも縛りたくなくて、自分より誰かの傍に居るべきだと思ってた。
伝えてしまったら崩れると思っていた。縛って壊してしまうと思っていた。
だから、自分が引けばいいと思っていた。
それが今、こうして同じ想いでいるなんて、夢のよう。]
ん……
[テツ、に戻った呼び名が、耳をくすぐって熱くする。
そうだ、だって哲人、じゃあだ名から戻ってる。心の距離だって遠い気がする。
甘えるような響きに、表情をとろかせてしまったけれど、気にしない。
たぶんきっと、これからもっと、見せるだろうから。
微かな笑い声と共に、また唇が合う。]
[シャツに伸びる手は、拒まない。
それは心では求めていた、触れ合いへの一歩。]
メモを貼った。
…一目惚れだって言ったんだよ。
[先ほどより大きな声で
メモを貼った。
[背中を見て、……正直、だいぶほっとした。
大丈夫、だ。うん。
緊張とか羞恥で色々と騒がしい心臓の上を宥めるように一度撫でてから、良数の背にあわあわを擦りつける。
背と、肩と、首筋と、腕と、腰と]
…………前。
[真正面に回るだけの度胸はまだなくて、
結局は良数がしたのと同じように後ろから手を回して洗うことにする。
背中にぴったりくっつかないようにはしていたが、熱と息遣いは十分伝わるような距離で]
メモを貼った。
[振り返ると土橋が唸ってた。そして、見知らぬ扉を2つ見つけた。開けて見ると…]
…ココ、何処?
[はぁと溜息をつき、顔を洗う。濡れた顔をふわふかのフェイスタオルで包みながら、まだベッドに居る土橋を一瞥した]
飯あるっつーから、行って来る
[タオルを首から提げ、階下に降りれば…]
は…く、せ………んぱ、い?
[目の前のタイルに手を着いて、洗われる。
それだけで背筋がぞくぞくした、道也が俺に触れている。
息を詰めてじっと堪えていたが、それでも声は漏れてしまって]
く、すぐった……アッ!
[腰まで来た所でひくんと肩が震えた、大丈夫後ろからはどうなっているかは見えない筈]
も、いい。
充分、だし。
[後ろを振り向けない、気持ちよくて恥ずかしくて、泣きそうな顔をしているから]
ん?
[そろそろ再開するか、と緩んだ包帯を巻き直していたところ。
掛けられた声
よ。調音。
[タオルを下げた格好に、風呂上りか? と尋ねたが、口が塞がっているので良く聞き取れなかったかもしれない]
[聞えた声
そうかそうか、一目…惚れ……
[口元を手で覆った。
やべぇ、にやける……。
口は覆えても、その目が細まっているからきっとばれてるだろうけど]
あ、りがと
ん?んー…。
[まだ生返事気味だったが、のそりと起き上がる。
低血圧ではないものの、睡眠時間の短さが祟っているのかもしれない。
ゆるゆると顔を洗えば階下へと向かおうとして。
……眼帯どこいったっけ?]
…だぁぁぁ、なんで居るんだよ!?
[思わず珀を指差して]
だって、消えたって、野久から聞いたぞ? 消え……
[そうしてようやく『自分達が』落雷と共に隠されたのだと思い至り、頭を抱えてしゃがみこんだ]
……
[じつと見上げ、溜息一つ]
手伝いましょうか? 珀先輩
メモを貼った。
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