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[物も言わず成り行きを眺めていれば、
やがて彼は荷物を運ぶかのような雑さで僕だったモノを肩へと担ぎあげる。
でろん、とマップスの背で揺れる腕と黒髪は、まるでどこかのホラー映画から出てきたかのよう。酷い有様だ。
――ふと自分の姿を確かめてみる。
現物より霊体の方が数倍マシじゃないか…!
……なんか複雑な気分だ。]
[あぁぁ、乱雑に扱われて、憐れ僕の着物は裾が肌蹴てしまっている。
そこからちらちら覗くのは、
僕のとっておきの下着――勝負用の赤褌だ。
…え?パンツじゃないのかって?
とらんくす だか ぼくさー だか知らないけど、
そんな柔いもん穿いてるから、マップスみたいなみっともないことになるんだよ。
ゴムの力になんて頼らない、布一枚のシンプルかつ機能的な下着だ。
男は黙って褌!…これ常識でしょ?]
[遺体を担いで歩き始めるマップスを見て、ようやく状況が飲み込めてきた。
…なんだ?僕をどうするつもりだ?
ま、まさか、おまえ――]
…おい!馬鹿! 下ろせ!
どこへ持って行く気だ!
僕の身体に何するつもりだ?!
手を離せ!ソレは男だ!
……ロリでも巫女でもないっ!
聞こえてんのか、この変態!!
[――マシンガンの如き怒号。]
[聞こえないのは百も承知だったけど、そう叫ばずにはいられなかった。
どうやら目的を持って歩き去るマップスの背中にそう言葉を投げかけたと同時、
僕の目に飛び込んできたのは、]
あ……。
[……ナンデ!? ノムラクン ナンデ!?
――いつからそこにいた?
どこから見ていた?
どこまで聞いていた…?!]
[マップスは僕の悪態に何か返事をしたかもしれなかったし、
少し遠かったからその声は届かずに終わったかもしれなかった。
でもどちらにしろこの瞬間、僕の頭は目の前の野村君でいっぱいいっぱい。
――見れば見るほど、どうやらこれは幻ではないようで。
スタートのプレハブ小屋へと僕を運ぼうとするマップスのことなんて、すっかり忘却の彼方だ……]
[………。
あー…ごめん、嘘をついた。
僕だったものがどうなるのかが気になって仕方がなかったので、
歩き始めたマップス
僕は野村君らしき霊体に向けて、]
えーっと、あの、その、
さっきのは、聞かなかったことに…
[ははは、と乾いた笑い。
僕の性別を知って野村君がどんな顔をするのか、
うん、想像つくよ、8年もストーキングしてたからね。
…僕は、つぃっと目を逸らした。]*
──────………
[とろとろと、身体のはしから溶けるみたいな感覚。
温かいような、冷たいような。
何も聴こえない、見えない、手も足も髪も顔も目も耳も口も影すら、この闇の中に溶けて行ってしまった。
微睡む意識だけが、有りもしない自分の身体の感覚を訴えて、まるで脳だけの化け物になった気分。
このまま、消えてしまうまで、このままで、もういいかなあ。
ぼんやりした思考も、沼に嵌ったように、ずぶずぶと沈み込んでいく。
だって、満足してしまった。
あんなに、あんなに、手に余るほどだった、憎悪も、狂気も、情欲じみた飢えも、どこに置き忘れたのやら。]
[自分自身の存在が剥がれて薄れて逝くのが酷く心地好い。
そう思う一方で、何か、ここに来る直前に、なにかとでも大切なものがあったような。
思う通りに自分のかたちを思い描けず、沼から抜け出せない。
いや、別に抜け出す必要も無いんじゃない?けど、なんか。何かが。]
──…?
[よんだ。だれか。よんだ。
だれだろう。
遠いところに、微かにひかりがみえる。
かたちをなさない右手を、のばす。
引き上げてくれるだろうか、この心地好い沼から──]
![]() | 【人】 水商売 タバサ[よろよろと歩き出す。そこかしこが痛い。よっぽどじゃないと腕も武器も使わない使えない。上半身使うのなんてバランス取りと腹筋と体当たりと頭突きくらいだろう。] (55) 2013/10/29(Tue) 21時半頃 |
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[終わる少し前。いや、終わりのさなか。
千秋が『目覚めた』
まだ、終わりじゃなかったから。それに、やっぱりまだ、認めたくなかったから。彼らが目覚めないと信じていたかったから。
凛の霊体は、千秋と夏生の肉体に溶け込むように重なっていたから、千秋はすぐには気付けないだろう。]
――私が観測しなければあなたはいない。いないのと同じ。
私はあなたを観ない。だから、あなたは永遠に目覚めないで。
[…すべてが終わってから。目を閉じたまま、微かに呟いた。それは、霊体となった千秋に届いたかどうか]
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[どうか目覚めないで。どうかこのままで。
夏生の存在が消えかけてることも知らず、そう祈る。
――もしそれを知っていたならば、祈りとは裏腹に、彼を引きずりあげようとしただろう。
『あなたばかり消えるなんてずるい、おいていかないで――』きっと、そんな風にさけびながら。
だが、凛は、それを知らない。知らないから、祈る。
二人が永遠に目覚めぬまどろみにあり続けますように、と]
なつおくん?夏生くーん…
[彼の亡骸の頬をペチペチとたたく。頭の反対側から。
彼は"こっち"に中々現れない。何かぞわりとした予感がした。
まるで寝起きを起こすように、叩きながら優しく呼びかける]
……ん?あれ。
[ふと、違和感を感じる。亡骸に、何かが重なっている
其処から呟きが聞こえた。
それは聞き覚えの有る声だった]
りん、ちゃん…?
…僕は、いるよ。此処に。
それにね。そんな事を言う時点で、"観測"しちゃってるんじゃないか。
…見てたのかい?
[失ったものを求めるように亡骸に沈んでいる凛へと問うた]
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[
人一人担ぐということは、両の手もふさがる上に自由も制限される。
そんな中で他の人と戦闘になったら真っ先にやられてしまうだろうに。]
わー!なんてとこ触ってるんだ!
ていうかお姫様だっことかそういうのじゃないの!?
[やっぱいいロリコンなのか…と思ったところで、いきなり胸をまさぐったと思ったら晒の一部を使うし、まるで荷物のように担ぐ姿に思わず声を上げてしまった。
やっぱこのロリコンはいいロリコンではないね。]
[しかも担いだら浴衣がはだけ、裾の下から、アレが見えてしまう。]
おいこらロリコンもっと丁寧に紳士的に扱ってよ!!
[この事態、頼んだのは僕といえ思わず言葉が荒くなってしまう。
アレが…見え………………………。
や、やめ……そんな破廉恥な姿!!!!
[ぺしぺしと歩き出すロリコンの側頭部に手刀を9回繰り出した。]
[そうしていると、僕の声でもロリコンの声でもない、第三の声が聞こえた
……ユリちゃん……?
あ、えっと…。
[僕がここにいるのだから、ユリちゃんだっていてもおかしくないはず。
だから目の前にいるのは僕と同じように幽霊となってしまったユリちゃんなんだろう。
けど…
今、なんて………?]
……。
おとこ?
[突然のカミングアウトに僕の思考回路はショート寸前。]
[よっこらせ。
屋根の上で立ち上がれば、随分と周りの景色がよく見える。
いちど、ふたつの死体と、
ひとりの霊体が居る方向に視線を向けてから。
屋根から下りて、静かに森へと足を踏み入れた。]
……… いらっしゃい。
[新たにやってきた彼らと、巫女と。
誰かに聞こえるわけでもない言葉をぽつりと漏らし、
目の前を走っていくリスの群れ
凍ったリスの霊なのか。成程。
ちょいちょいとリスさんを手招きしてみれば、
一匹が遊びに来てくれた。可愛い。
多分生身の人間だったら一生こんな機会無かっただろう。]
………何よ。私は認めないわよ。そんな声を出したって。オバケさん。
[横たわったままで憎まれ口を叩く。声をかけずにいてくれれば、目覚めてないことにできたのに。]
ずうーー…っと見てたわ。
私が死んだ後から、あなたたちが死ぬまで。
…何で死んでるのよ、馬鹿……
[またひどくかなしくなって、涙を零す。見られたくなくて顔をさらに深く、亡骸に埋める。]
あなたたちは――― きれいだったわ。
──……ん、
(だれ、)
──にぃ、…ん。
(知ってるこえだ)
──おにぃ…ん。
『──つおくん』
(もっかい、ききたかった、)
『夏生くん』
────あ、
……千秋、くン、
[思いだした。じぶんのかたち。]
[いやいやいやいや。
顔も声もかわいい女の子そのもの。
体も華奢だし、うん?華奢?ちょっと骨ばってたけど、うん、華奢だった よね……?。]
…………マジ?
[素っ頓狂な声でユリちゃんに尋ねていた。
僕の顔は呆けていたか、驚きで固まっていたか、はたまた引きつっていたか、鏡がないから確認はできなかった]
[ぺちぺちと頭を叩かれる感覚。漏れた自分の声で目を覚ました。
いや、目を覚ましたというのもおかしいのだが、体感的にはそれに近かった。
うたた寝を起こすような、優しい声。
自分の身体の『中』に寝転んだまま、片手を上げた。するん、と地面に落ちている手から、半透明の自分の手が抜ける。ちょっと薄気味悪い。
上げた手で、頭に触れている手を掴んだ。
掴めることにやや驚いた、が、反応出来ずぼうっと手の繋がった先を見遣る。──ちあきくんだ。もう一回、声に出して、言った。]
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![]() | 【人】 水商売 タバサ[芙蓉の転がった先で錠がいてリスリケンがあわわわーでその状況に怖くなりもう一度木のそばに戻る。 (73) 2013/10/29(Tue) 23時頃 |
それはまあ、死んだから。
…死にたかったから、なのかなぁ。
分かんないや
[何で死んでる、と言いながらぼくらの亡骸に埋まって泣き出す凛。
そして更にきれいだ、とも紡がれる]
…爆弾とはいかなくても花火くらいには、なれたかな。
[辺りに飛び散っている血を見ながら、呟いた
その瞬間、夏生くんの頬を叩いていた手に掴まれた感触。
ハッとして見ると、亡骸と重なった半透明の夏生くんがいた]
なつおくんだ。
[まだぼうっとしている様子が何だかおかしくて、またにやっと笑ってしまった]
メモを貼った。
メモを貼った。
――きゃ、
[千秋に答えようとした時、触れられないものの中から、急に『触れられるもの』が表れて、体勢を崩す。大体こう、千秋と夏生の半分半分ぐらいに埋れていたから、押し出される形になる。]
あ、―――
[そして、夏生の姿
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![]() |
邪魔しちゃだめよ。
[
生きている者同士の戦いだから
基本的に手出しをするつもりはなかったけれど、
流石に霊に取り付かれて死ぬのは可哀想な気がした。
あとは………お人好しへの、お礼。
あの後、私の死体を運んでくれたし。
礼は返さないと気が済まないのよ。]
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