145 異世界の祭り
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約束、しましたもんね。
[いつか、一緒にこの絵を見に美術館に行こう。
そう約束した相手は、リハビリを続けている。
今は名前が‘分からない’けれど、元の世界に戻ればきっと。
男はその絵画の額縁に触れて、
今その身を置いている異世界へと戻る。*]
― 村長宅 ―
[意識を失ってから、どれだけ経っただろうか。
男は上半身を起こして目を擦り…起きた自分の下に自分の身体がある事に気付いた。]
え、えええー?!
これって一体どういう…まだ夢の中なんですか?
[言いながら、思わず立ち上がっていた。
目に入ってきたのは先刻まで自分のいた世界の光景なのに。
男はおろおろしながら横たわっている自分の身体を見下ろす。
この現象、一体何というんだったか。]
セーカとか言ったっけ。
彼女も移動するみたいだな。
[グレッグを追って行くような方向だった。]
さて、僕らはどうする、モニカ。
まだお祭りを満喫するのも良いし、後を追っても良い、
――まあ展開が気になるならね。
……話は変わるけど、
君の世界は、科学の他には何がある?
……いや、私達は何がどうなってここに来たのかな、って。
この世界に引きずり込まれる共通点でもあったのかと。
[―確か、ユウタイリダツとかいう現象だ。
自分はどうなるのだろうかと思いつつ、気にかかるのは沙耶の事。
彼女がポーチュラカを眠らせて、既に村長宅を離れているとは知らない。
まだ男の身体は庭だっただろうか。
取り敢えずその場所から離れ、安置室の様子を見に行く。]
― 安置室 ―
…セイカさん?
[其処には沙耶ではなく、斉花の姿があった。
そして衆目のある中で、彼女がニールに胴の剣を振り下ろすのを目撃する事となる。]
―…っ!
…セイカさん。
多勢に無勢ですよ。
[その場にいる殆どを敵に回しそうな斉花の行動を見て、男は眉を下げる。
肉体を持たぬこの身では、間に入っても意味はないだろう、という事は理解していたが彼女の側に行く。]
―広場―
["科学"の説明にペラジーが納得したものと思って、
そうそう、とのんきに氷をしゃくしゃくして頬張った。
キィーンとこめかみに押し寄せる痛みに、目をぎゅっとつぶってキタァーと。]
む、むすめっ!? えっ!
[氷を噴きかけた]
名付け親? えっ?
…ぺらじー、おばさんなの?
[つまりは、人の親となるような年齢なのかと聞きたかったのだが。
きょとんとして瞬く。
視界の中に見えるセイカの頭の上ではぴよぴよとのどかな声が。]
あ、うん、そだね。
…んーっと。
[これからどうする?とペラジーの声を聞いて考えて、]
どーなるかは気になるけどさー
どっかーんてやることも出来ないしなあ…。
ボクはもうちょっと満喫するよ。
こんな不思議な空気初めてだもの。
[スプーンをくわえながら、そう決めた。
この場所をぶっ飛ばしても構わないとは思っているものの、
楽しめるものは楽しむつもりではあるらしい。]
科学の、他って…?
ボクの世界は……
[共通点?と首をかしげ、自分の世界のことを話そうとする。
しかし、よく思いだせずにふと黙りこんだ。]
え?
[おばさんなの? という質問の仕方は斬新だと思う。
残念でもあるかも知れない。]
おばさんではないな。
[取り敢えず否定した。その上で]
俺の子供じゃない。知人の遺児だよ、
他に適任もいなくてなし崩しでね。
[氷でキーンと来ている所に親近感を覚えつつ]
うみゅうみゅ、興味深いね。
自分の脳波をリアルタイムで見るのは初めてだけど、
どうやら夢を見てるときと似た感じかな。
明晰夢なパターンに似てるね。
でも、視神経に電流は流れてないね。
ポーチュ、どうやって物をみてるんだろ?
不思議だね。
神秘なんだよ。
そう、さっきの科学の話みたいに。
[自分の世界の事と言われても、そこが当たり前だから
何を話したら良いか、ピンと来ないかも知れない。]
例えば私の世界には、モニカが言うような科学はないな、
そう言うのがあり得ない世界なのか、
まだ生まれてないかは解らないが。
代わりに君が知らない、霊視だとか、僕の使う
お呪いみたいな技術はある。
[言いながら、射的の屋台に心ひかれている]
えっ、じゃ、おじ…
[ではおじさんか。おじさんだったのか。
いいかけて知人の子と聞く。あ、そうなんだ、と一応納得。]
いーひと、なんだね、ペラジーって。
[……そう言って、目を伏せた。
家族の話になると何かを壊したくなる衝動が起きそうになる。
自分の親が、好きではなかったから。]
お呪いって… いたいのいたいの飛んでいけ…とか
サンタさんにぷれぜんとくださいな、とか…かなあ。
そういうの思った通りに出来たり、するの?
[ペラジーの世界 はなんとなくおとぎばなしの世界みたいだと思った。
首をかしげつつ、ペラジーのちょっとした視線をおったら射的屋台。]
あ、射的! 鉄砲撃ってみたい!
でも、あの屋台の人ボク達見えてくれるかなあ。
[やって見たいのは山々だけど、そこが問題。]
流石はお笑いの人なんだよ。
「オラァ」とか、関西圏のにおいがするんだよ(偏見)
男らしいね。
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