17 吸血鬼の城
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ああ――
声が…聞こえる。
「今すぐ会いたいよ」か。
切ねぇなぁ。
[耳に届く声はそれだけではなく。]
――詩人?
[立ち上がる姿を振り返る。]
[自分には意味のわからない聖歌の文言。
それでも、詩人が求めるものは察せられて]
なぁ――
世の中に「使えねぇ時計」は二種類ある。
ひとつは、
「壊れて動かない時計」
もうひとつは、
「狂って止まらない時計」
あんたのそれは――なんだ?
時を刻まない時計―…‥。
[の問いに、中途半端に紡がれ、零れる言葉。]
何故、私はここにいるんでしょうね。
地獄であれば、責苦で己の穢れと罪を忘れられると言うのに―…‥
[声は平静に、視線は何処か遠くを見つめている。]
こんなに汚れているのに、何故いるんでしょう。
執事見習い ロビンは、足音を立てて廊下を歩いている。
2010/06/23(Wed) 22時半頃
[を聞いて、静かに笑みを浮かべて、ヘクターの方を向いて、]
でしたら、ナイフを持っていたならば、貸して頂けませんか。
この穢れた血と快楽に溺れた身体を清める事が出来ないのであれば――、
己の手でもう一度、我が身を死に至らしめる為に。
自殺は大罪の一つ、これで私は己の身分相当の場所にいけると。
お礼にこちらの時計を差し上げますから。
[右手に動かない錆びた懐中時計を乗せて、差し出す。]
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[こつり、と足音は止む。 とある客室の前で、弱々しい気配を感じながら。
勿論、人間たる黒薔薇は、眷属ほどの察知能力は持ち合わせてはいない。 従者としての前歴……マフィア時代の頃の直感を使ったにすぎない。]
(309) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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ほいよ。
こんなモノしかねぇが。
[薄い刃の仕込まれた指輪を引き抜いて渡す。]
刃渡りは短いから、死ぬのは苦労だろうが、頑張れよ。
[代わりに差し出されたモノを見やる。]
時を刻まないのは、そりゃあ「時計」じゃねぇだろうよ。
ネジとゼンマイで出来た「仕掛け」
…あんた自身も人の形をした、ただの「仕掛け」だって云いたそうだな。
くく――どうだ、おれにも詩才あるか。
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[ドアをノックし、入室の許可を得る。]
……ベネット様。 そんな場所で、何をなされているのですか?
[低くくぐもる声。だがそこには、ほんの少しだけ、不思議そうな色が篭っていた。]
(316) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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