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[一つ目童女を見つければ。]
おぉ、朝は見つかったかい?
[声を掛け、ゆりに名を呼ばれれば。]
ゆり君、か…
[ゆりの驚きとは対照的な落ち着いた対応を見せた。]
きゃっ!?
[
えっ、え、口説かれ、って…?
ど、どういうことでしょう??
[疑問符を浮かべて首を傾げる。]
メモを貼った。
メモを貼った。
[から、から、からん。
下駄の音を響かせて、一つ目童女が歩み寄る。
見知った顔と、馴染みの気配にほっと安堵の息を落として、
嬉しそうな表情で駆け寄った]
うん。やっと──…
[志乃の言葉に頷いて、手を伸ばしかける。
その小さな手が、女に触れる前にふと、止まった]
ゆりの姿をじ。と見つめ──
あ……
[傍らにはゆりの姿がある。
童女の黒髪に括り付けられた、狐のお面。
他は切りそろえた黒髪に、赤い着物は元のまま。
けれども大きな大きな一つ目が、怯えたようにゆりを見つめた]
……。
[先の仁右衛門の言葉がある。
けれどヒトはやはり異形を拒絶するのかも知れず、
その恐れに、助けを求めるように仁右衛門へと目が彷徨った]
[首を傾げられれば些か格好も崩れたか
あらぁ、龍っつぁんがお熱やったから、それはそれはあの子らしい勇ましい告白をされたん思いましたのに…
[後で奴延鳥さんにでも聞かせてあげよう思うてましたんに……とちょっぴり残念そうにぶつぶつ呟いてもみたが]
さっきのパチキもそうやけど、あの子やんちゃやからねぇ。大変かもしれんけど、けどとてもええ子やからな。仲良ぅな。
… ううん。
[仁右衛門の問いに、ふるりと首を横に振る
志乃の腕にも抱きつきたかったけれども、
仁右衛門の着物に、ゆりから隠れるようにぎゅうとしがみついた]
[
はい。ゆりです。
まさか、秋月様もこちらにいらしてるとは思いませんでした…。てっきり、お屋敷にいらっしゃるのだとばかり。
でも、お会いできて嬉しいです。
[ぺこりとお辞儀をした]
夕顔の視線に気づけば、その頭に己が手をぽふっと乗せただろう*
……あらぁ
[まるでゆりを恐れるかのように、仁右衛門の着物にぎゅうと抱きつく夕顔を見れば
やっぱりセンセは優しい人やから、みんなに人気がありますのな。センセうちもぎゅうとしがみついてもええやろか?
[冗談めかしてクスリと笑った後、夕顔を見つめ]
ん? どないしたん?
ゆりさん怖ないよぅ? な、ゆりさん?
[それからゆりを眺めて『ね?』と小首を傾げる]
夕顔…?
夕ちゃん、なのですか?
[
夕ちゃん、お久しぶりです。
ふふ、私も、こちらの世界に来てしまいました。
夕ちゃんに、またお会いできてとっても嬉しいです。
[大きな丸い目を見つめて、微笑んだ。]
志乃の言葉に、「はい」と微笑み返した。
……。
[恐る恐る、仁右衛門の着物の端から顔を出す。
頭におかれた手の感触に少しだけほっとして、
志乃を困ったようにちらりと見上げた]
…あ。
[ふわりと、ゆりが屈みこむ
その笑みに恐れの色がないのを見て取って、
童女は大きな一つ目をぱちりぱちりと瞬いた]
怖く… ない?
[小さな声が問い掛ける]
…だって。わたし、志乃と違うもん。
向こうとこっちじゃ、姿が違うもん。
[口を僅かにへの字に曲げて、訴えかける
綺麗な音色の筝の化身は、やっぱり綺麗なままであったから]
嫌ダ ドウセ 皆置イテイク
イツカ 1人ニナルナラ モウイイ
[逃れようともがく]
コンナ 無理矢理
言ウ事ナンテ 絶対聞カナイ!!
ゆりさんも…!?
こっちに来てたの…?
[一緒にゆりも来ていれば、そちらにも挨拶をする。居なければ、聞いたのだろう。
神隠しは、そういえば幾度か行われたと聞いたと思う。彼女が居ることは然程疑問に思わない。]
…僕、明之進君に、また会いに来たんだ。
[また、を問われれば、ある程度の事情を説明するだろう。その間、微妙な表情の翳りが見えたかもしれない。
置いて行ってしまった友への心苦しさの―。]
怖くないですよ。
たとえどんな姿でも、心が夕ちゃんであるなら、私はちっとも怖くありません。
[+39 小さく問いかける声に、少しでもこちらの気持ちが伝わると良いと、丁寧に言葉を紡ぐ]
それに、そのお姿も…とても、愛らしいのですよ?
[優しく笑い、許してくれるのなら、黒髪を撫でただろう。]
[ほんとうは、ゆりが来ていて嬉しかった。
朝顔の次に、里に招きたいと願ったひと。
優しい優しい、かみさまの巫女。
会いたかった。
────だからこそ、余計に怖い]
違わへんやん。どこが違うん?
[現で聞いた彼女の愛らしい音。今は少し怖がっているように震える音色も混ざっていたけれど、女にとっては人も妖しも心の音色が全てだったから。
しばらく考えて、嗚呼一つ目を気にしているのを感じれば]
夕顔さん… 夕顔さんはどこにいたって夕顔さんやろ?
夕顔さんお音色は現でもこちらでも
綺麗で愛らしいままやん。
ほら、センセもゆりさんも
だーれも変だとか思ってないやん?
妖しを知ろうと、仲良ぅなろうとしてくれる人は……
ううん、妖しとか人とかそんなん関係ない。
友達やったら……
心に触れて心地いい思うから友達になりとぅ思うやん?
このわからず屋が…!
[ぎり、と歯を噛んだ。手が焦げていく。
ある程度は妖力で炎を抑えているものの、どのくらい持つやら
俺はいなくなったりしてねえだろうが!
お前が消えたら、置いていかれて悲しいモンがいるって、わかんねえのか…!
……っ
[伸びてきた手に、びくっと震えた
それでも逃げることはせず、温かに髪を撫でる手の感触に、
ほっとしたような、泣き出す前のような顔をへにゃりと向けた。
仁右衛門を見上げ、志乃を見上げる。
そうしてゆりへと視線を戻して、]
……うん。
[こくりと、小さく頷いた]
置いてなんかいかないよ……。
ううん、少なくとも、一人にはさせないよ。
[ヒトの身では、いずれ永遠の別れが訪れる事を否定は出来ない。
かつての"さよ"も、そうして明之進の元に戻れなくなったのだから]
私と離れたこと、悲しいって思ってくれるなら。
他の人にまで、同じ思いさせないで。
[せめてもの助けにと、辰次の横から手を伸べる。
力も妖力もない身には、そっと頭を撫でるように、手を置くしか出来ないのだけれど]
おと…?
[志乃の言葉に、ことりと首が傾いだ
やがて思いが至れば、ぱちと一つの瞳が瞬く]
ともだち。
[志乃の言葉を繰り返し、じっと志乃を見た。
そして、ゆりも見た。確かめるように見つめる]
…ともだちに、なれる?
[願うように問いかけた]
はい。おおきにこんにちは。
一平太さんもお元気そうでなによりやよぅ。
[降り立ちひらひらと手を振って]
うちは沙耶と一緒にな……
ああ、だれか思うてたらたまこちゃんと
……こちらはお初やな?
[揚羽の姿を見かけれれば、同じ九十九としてどういう存在なのかはある程度理解もできるだろう]
ああ、龍っつぁんやけしゃらんばしゃらんさんが言ってたんはこの子のことやねぇ。
はじめまして。志乃ですよぅ。
えっ、お熱…??告白???
[
えっと、告白、したのは私のほうかと…? あやかしのことがどうしても知りたいと告白したのですが…、辰次様は、とても丁寧に教えてくださったのです。ご自身のことも。
だから、私ももっとあやかしのことを知りたいなと思って…。もちろん、辰次様のことも…。
[そのときのことを思い出して、わずかに目元を和ませる。やんちゃ、という言葉にはくすりと笑うが、少し不安げな表情も覗かせて]
本当に、驚きました…あれ以上、お怪我されてないと良いのですが…。
はい。私も、ここで、沢山仲良くさせて頂けたら良いなと思っております。
[嬉しそうに微笑んだ]
また?
[やはり一度こちらで感じた気は彼のものだったか……
経緯を聞き、翳りを感じれば、おおよその顛末が見えてくる
嗚呼やはり明之進の歯車は彼であったか…小さくため息も漏れたか]
一平太さん。
[先程までのやんわりとした口調から、少しだけ機微としたものに変わったか]
またと言ってくれてありがとう。
その心を明之進に見せてあげて欲しいんよ。
[おそらく、急にいなくなってしまったから取り乱している……
流石に明之進の心をはっきりと捉えることはできなかったから、女が見聞きしたことを彼に語って聞かせただろう]
[志乃と共に一平太達を迎えに来れば各々にぺこりとお辞儀して]
はい。
一平太様達も、此方に来られたのですね。
「また」…?それはいったい…。一平太様は、一度来たことがあるのですか…?
[事情を聞き、表情を曇らせる一平太の顔を見れば、悲しげに目を伏せて]
そう、ですか…そんなことが…。
こないに思って貰えて明之進もええ友達を持ったんやなぁ……
これでも届かん言うんやったら……
龍っつぁんやのうて、うちがあンたをぼてくりこかして奥歯ガタガタ言わせますよぅ?
[彼のいる場所へ導きながら、ちょっとだけ物騒なことを呟いてもみたか]
一平太さん。ほんまに来てくれてありがとうなぁ。
わ、あまり無茶はしないでくれ、
俺はあやかしだし男だから、このくらいの火傷は平気だが!
[沙耶が炎に手を翳すなら、慌てて制止する。
気持ちはわかるのだが、体のつくりは自分たちとは違うのだ]
…さっき、志乃さんが一平太を迎えに行く、って言ってたぞ。
お前、こんな姿で一平太に会うつもりか?
ズット ズット 一人デ
アヤカシニ ナッテカラダッテ
一人ノ方ガ 長カッタ
[傍に誰もいなかった、長い間。]
一人ノ時ヲ モウ過ゴシタクナイ
[じぃと見つめられれば、こちらもじぃと彼女を見つめ目を細める]
そう。ともだち!
[おそらくゆりにだろう。ともだちになれるのかと言の葉が紡がれれば]
当たり前やん!
[機先を制するようにわっと飛びつけば、彼女をぎゅうと抱きしめる]
うちも、ゆりさんも、センセも他のみんなもみんなみんな友達やよ。
不安になんかならんでええ。
寂しいなんて思わんでええ。友達にそないな想いさせせんからな。
[ね? ゆりさんと目で問いかけ、おそらく彼女と一緒にこの可愛らしい友人の頭を撫でたことだろう]
『こりゃ、見事だねえ。』
[狐火がぽつ、ぽつ、と導くように順に道の先へ灯る
青白い光に照らされる火花が散ったみたいな赤い花の群れ
ふわりと金木犀が香って、遠くで賑やかな祭り囃子の音
揚羽はゆったりと体を宙に預け、夢見心地で呟いた]
[影送りたちが道の両端をたたた、と走るように幾人も去ってゆく
たまこは芙蓉に向かって、いってきます、と最後に大きく手を振った]
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