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[ いくら襲われず安全だからといっても、
わたしたちはじわじわと弱っていっていた。
なんせわたしたちはもともと二人暮らしで、
お隣さんだって、旦那さんと奥さんのところに、
息子さんと弟さん夫婦が急にやってきたんだもの。
いくらお互いの家の食糧を持ち寄ったって、
これだけの人数で消費すればあっという間よね。
今晩もクラッカーを少し齧るくらいかしら。
ふと顔を上げたらリビングルームで、
ゾーイとウィレムがお互いにもたれて眠っていた。]
[ ジャーディンはきっと自室ね。
オッドを抱いて上がるのを見たわ。
ほかの大人たちもきっと、
それぞれに部屋で休んでいるんだと思うわ。
あまり栄養をとれていないからか、
だんだんと動くのもおっくうになってね。
何もしない時間が増えていたの。
いよいよ何か手を打たなくては。
わたしはそう考えながら、
犬たちの様子を見ようと部屋へ向かったの。]
[ ……ねえ、いのちに優劣があると思う?*]
メモを貼った。
メモを貼った。
[ふっと意識が持ち上がる。
さっきまで夕暮れの帰り道にいたはずなのに
目の前にはぼやけた灰色の天井が見えている。
近くにカーテンでもあるのか、
さらさらと光が反射して煌めいて
まるで休日部屋で昼寝をした時みたいだった。]
……う、
[ここは。
もしかして、全部夢かな。
ゾンビとか、進が死んだこととか、
父さん母さんが死んだこととか
振られたこととか。
…………振られたことが嘘はさすがに無理か。]
[ともかくも、
もしかしたら悪い夢でも見てたのかも、と
そう思おうとした俺を現実に引き戻すように
左肩がつきりと痛んだ。
うめき声をあげると、近くで身じろぐ気配がする。
のぞき込んできたのは――]
「目ぇ覚めたか?」
あ? …………
……なんで、あんたが、
[ぼさぼさの黒髪にやつれた顔。
死んだ目をした、体格のいい男。
ネコ元帥がそこにいた。*]
[ 部屋の前でお隣のご夫婦と鉢合わせたの。]
あら、ちょうどよかったわ。
ご相談したかったの。
これからのこととか……色々と。
[ わたしはそう言って、
彼らのもとへと歩み寄っていった。
お二人ともやつれた顔をしていたわ。
なにか話をしていたようだった。
そうよね。このまま耐えてばかりいても、
どうにもならないことは皆わかっている。]
このままでは、
皆動けなくなるのを待つだけだわ。
でもまだ生きている人はいるはず。
きっとどこかに安全な場所が──、
[ いつも落ち着いているご主人も、
少し気が立っているように見えたわ。
わたしの言葉を遮るようにして言うの。
車はもうほとんどガスが残ってないんです
腕を組んで、しきりに唇を噛んでいた。
薄く剥けた皮を剥がしているのね。
落ち着いた品のある人だったはずなのに。]
ガレージの車。
もうずっと乗っていないけれど、
こまめにメンテナンスには出してるの。
古くて小さい車だから不安だけど……
[ ご主人はゆっくりと首を横に振ったわ。
仮に動いたとして、
とても全員は乗れないでしょう
きっとそんなこと、
もうとっくに考えてたとでも言いたげにね。]
誰かが生き残っている人に助けを求めて、
そしてまた迎えに戻って来ればいいわ。
[ そう言った私に、ご主人は小さく笑ったわ。]
ならキーを渡してください
我々が行きますよ、大人を代表して
それは……、
[ わたしは黙り込んでしまった。
彼らに鍵を渡して、送り出して、
帰ってくる保証がどこにあるの?
戻ってきてくれなかったら、残された側は?
外への連絡手段だってもうないのよ。
今度こそどうしようもなくなってしまう。
ご主人はため息をついたわ。
……そうでしょう。
近所に食糧を探しに行くとは違うんです
わたしの言葉を封じるようにそう付け足してね。]
けれど、そうはいっても、
このままだともう……、
どうにかしないと。何か手はないかしら。
[ 庭で火を焚いてみるとか、
バルコニーから信号を送ってみるとか、
そんなことはもうとっくに試していたわ。
少なくとも今まで、
外界からの反応は何一つとしてなかった。
外をうごめくものの数が、
日増しに増えているように見えるばかり。
私たちだって考えてはいますよ
別に非難したつもりはなかったけれど、
ご主人は少し気分を害したようだった。]
[ これからのことを考えるはずだったのに、
あっという間に場は静かになってしまったわ。
少しの沈黙のあと、
唇をちろりと舐めてご主人が尋ねたの。
ところで、その車のキーはどこに?
ご主人はじっとわたしのことを見ていた。
胸の内まで見透かそうとするみたいにね。]
……どうしてそんなことを尋ねるの?
[ 戸惑って、問いを返したわたしに、
ご主人はだってアンフェアじゃないですか≠ニ。]
[ アンフェア?
キーの保管場所を教えないことが?
きっとわたしは納得のいかない顔をしたんでしょう。
ご主人は当然だとも言いたげに言葉を続けるのね。
だって、協力すると約束したじゃないですか
なんだか少しまずい空気だった。
わたしとご主人はお互いを見つめあって、
少しの間黙りこくっていたように思うわ。
そうすると突然、
奥さんが仲裁するように口を開いて、
わたしたちの間に割って入ってきたのね。]
[ 彼女ははじめにご主人を窘めたわ。
脅すような言い方やめてちょうだい
エドワーズさんが警戒して当然だわ
そう言って、彼の前に立ったのね。
わたしのほうを向いた彼女は言った。
ごめんなさいね、夫も気が立ってるの。
あなたの言うとおり、状況が悪すぎて。
けれど、助けを呼びに行くのも、
実際難しいのは分かってくださる?
丁寧な物言いにわたしは当然うなずいたわ。
彼女の言っていることはまっとうに聞こえた。]
[ わたしがうなずくのを見て、
奥さんはどこか安心したようにも見えたわ。
そして、それに≠ニ言葉を続けようとしたの。
どこかぎこちのない笑みを浮かべて。
どうしてかしらね。
そのときの彼女、なんだか嫌な感じだった。]
そんなことで揉めなくたって、エドワーズさん。
ほら……ここにはまだ食べるものがあるじゃない
[ ── え? * ]
[――やだ。
そう言って顔を膝に埋める青年が小さく見えて、
まるで昔に戻ったみたいだなと笑う。]
私も、……君も。
キャロルにはなれそうにないな。
[その名を聞いて、シーシャの肩が跳ねたように見えた。
目端にちらつく動きに視線を外し、目を閉じる。]
……せめて、食事はとりなさい。
[昨日ここに来てから何も食べていないのだろう。
意識のなかった間に強盗でも入っていない限り、
・・・・
人ひとりが生きるだけの蓄えはあるはずだ。
空腹はない。
それなのに喉の渇きばかりが頭を満たしていく。
眠るフリをして、あたたかいものから目を逸らした。]*
「なんでって、お前、配信してただろ
それで近くに来てるんじゃねえかと思ってな
植え込みン中で伸びてんのを確保した。
……あ、左手無理に動かすなよ」
[丁寧に忠告してくれる元帥の言う通り
右手だけを動かして起き上がる。
よくよくみれば左腕は固定されていて
誰かが治療してくれたのだとわかった。
投げ渡される乾パンの袋を慌てて受け取って
ぱさぱさに乾いた口に放り込んでは
あまりの湿り気のなさに噎せた。
げらげらと元帥の笑う声が聞こえる。]
でもさ、なんで、俺なんか
「生き残りだから?
食料は心もとねえけど
だからと言って人手を減らせば
あいつらの数の暴力に負けるからな」
[腐った死体どもの。
と、元帥は言った。
その一瞬だけ、死んだ目にきつい眼光が宿った。
多分、目の前の男もまた、
ゾンビに大切なひとをやられたんだろう。]
俺がゾンビになってたらって考えねえの
「噛み傷がないから問題ないだろうと判断した。
駄目なら、――――」
[その手が鉈を手に取る。
俺はひきつった笑いを浮かべて首を横に振ると、
せめて茶化すように冗談を口にした。]
噛み傷ないって、確かにないけどさあ
まさか寝てる間に剥いたりとかしてないですかにゃ?!
きゃーーおまわりさー いでっ
[黙って水入りのペットボトルで殴られた。ひでぇ。]
「服の上からでもフツーにわかんだろーが。
お前もう一回ゾンビの群れに放り込むぞ」
ふぇー。やめて。ごめんなさい。勘弁して。
[俺は配信の時みたいに軽薄に笑う。
笑いながら、滲んできた涙を拭った。
手渡されたペットボトルの蓋をあけて水を飲む。
ようやく、震える声で「ありがとう」の言葉が出た。
知ってる人と話せることが、
こんなに嬉しいなんて、知らなかった。]
[乾パンを喉に流し込んだところで、
がちゃりと扉が開かれる。
数人の男たちが、
ネコ元帥に向けてひらりと手を振った**]
メモを貼った。
[ 彼女の言っている意味が理解できなかった。]
──どういうこと?
[ 理解ができなかったから尋ねたわ。
わたしにはまったく見当がつかなかった。
もしかするとわたしの知らないところで、
食糧を隠し持っていたのかと思ったくらい。
ご主人は少しばかり驚いた様子だった。
けれど、なんていうのかしらね。
理解ができていないという風ではなかった。
奥さんはしっかりとした口調で言ったわ。
まっすぐにわたしの目を見ていた。]
ねえ、わかるでしょう。
助けを求めにはいけない。
じゃあ待つしかないじゃない。
誰かが見つけてくれるのを、
ここで生きて、助けを待つしか
[ 揺らぐことのない強い目をしていたわ。
それが最善だと信じて疑わない声をしてた。
……犬、たくさん飼ってるじゃない
どうせもうじき餌もなくなるわよね
どうせ死んじゃうわ、それならいいでしょう
彼女ははっきりとそう言ったわ。
わたしは信じられない思いで立ち尽くしていた。
そのとき理解したのね。
ご主人は彼女が言ったことではなく、
今わたしにそれを告げたことに驚いてたのね。
けれど、それはとても受け入れられない提案だった。
そんなことを考える人がいるだなんて、
わたしには信じられないような惨い話に思えたわ。]
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