30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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セシルは、ふと、痛みを感じて、腕をみた。
2010/09/08(Wed) 22時半頃
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― 屋根裏部屋 ―
――……
[フィリップにまた口付けようとした時、腕に痛みを感じて、咄嗟に押さえる。]
――……ぁ?
[見れば、白いシャツの二の腕の部分に赤い染みがついた。]
(166) 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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――……血?
[行為の最中、服は脱いではいなかった。 だけど、今、違和を覚えて、白いシャツのボタンを外す……。
その肌に、全身のところどころに、赤いポツリとした傷ができていた。
それは、まるで、葉を引きちぎったあとのような。]
――……あ
[そして、その傷の一つ一つから、細く、血が流れはじめる。]
(170) 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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(フン 忌々しい)
(これぐらいで、滅びるぐらいなら)
(宿木を食って出る)
[蒼薔薇がセシルの中で、
薄く嗤った。]
(172) 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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セシルは、庭の老木が本当に小さな芽を出した。
2010/09/08(Wed) 22時半頃
セシルは、身体に細く流れはじめた血を隠すように、またシャツを羽織る。
2010/09/08(Wed) 23時頃
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>>186
きっと、誰かが、蒼薔薇を傷つけた。 だから、蒼薔薇は怒っている。 もっと、たくさんの、精気を奪うっていってる。
[見上げる翡翠に、裡なる蒼薔薇の怒りをを語る。 そして、そこまで語ってから…シャツ越しに傷を押されて、くっ…と小さなうめき声をあげた。]
――……行けっていわれた。 行かなくちゃ……。
[内なる蒼薔薇がセシルに命じている。
蒼薔薇の元に行って、その血を注げと。
でなければ、お前の「大事」の血を奪っていくぞ…と。]
(189) 2010/09/08(Wed) 23時頃
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セシルは、フィリップにはわかっただろうか、裡なるものの正体が「蒼薔薇」であること。
2010/09/08(Wed) 23時頃
―医務室―
[時折うわ言が、ぽつりぽつり漏れる。精気を吸い取られ尽くした躯。
それでも、薔薇本体が傷つけられるのなら
…今度奪われるのは生気。]
…すまん。移したかったんじゃなくて
……もう。移さないと…駄目……で。
ごめん―――…。
[莫迦は俺も同じだと…。そこまでは漏れることはなく。
傷つけられた場所から水が失われるように。またも涙に頬が濡れる]
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>>194 先輩……。 でも、ここにいたら、 先輩も……。
[そこまで言いかけて、ふと、……黙る。
裡なる蒼薔薇は、引きちぎられたことで、その残された力を、まだ小さな芽にするだけが精一杯だったらしい。]
先輩、
うん、行かない。 ここにいていい?
[蒼薔薇ののとげが、身体に巻きつく。 それは人には見えないだろうけど、 白いシャツをどんどんと赤黒く染めていく…。
そう、>>172食い破ろうとしているのかもしれない。]
(197) 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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>>201 うん、行かなくてもいいんだ。
[そう、行けといったのは、蒼薔薇のハッタリだとわかったから。 宿木の身が危ないから、 青薔薇は一度本体に戻ろうとしたのだ。]
フィル先輩の傍がいいんだ……。
[ふわりと昨日洗い立てだった白いシャツが染まっていく。 フィリップはそれを綺麗だと言ったから、ああそうなんだ、と笑おうとする。
痛さに、時々重い息を吐いて……。 そのうち、頭がグラリと揺らめいた。]
(207) 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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[ラルフが入ってきたのには、最初気づけなかった。 細く流れ出た血も、それが何本も何十本もであればたいした失血となるのだろう。
ただシャツのおかげで、直接傷が見えるのは、首筋と頬ぐらいか。]
――…大丈夫だから。
[揺らいだのにはそう答えて、 裡なる蒼薔薇が外に出てこようとするのを、押さえつけた…。
ふと、何か思い立って、ポケットを探る。]
(212) 2010/09/09(Thu) 00時頃
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>>211
蒼薔薇に呪われているんじゃなくて… ここにいるんだ。
[ラルフの問いに、自分のこめかみを指す。]
だから、大丈夫。
[それは、 自らが死ねば、蒼薔薇も滅びる、と思ったから。]
(214) 2010/09/09(Thu) 00時頃
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セシルは、ハーモニカを出すと、一音一音、呼気をゆっくり吹き込んでいく。
2010/09/09(Thu) 00時頃
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[ハーモニカで、フィリップの先輩が歌ってたという賛美歌を、一音ずつ、鳴らしていく。
その間も、血は止まらない。
だけど、構わず……。鳴らしたくて、鳴らす。]
(224) 2010/09/09(Thu) 00時頃
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>>221
[ハーモニカを鳴らしながら、ラルフをぼんやり、みる。 そして、また目は閉じてから。口を離し、]
蒼薔薇は、オレに閉じ込めておくから……。
[その言ってから、またハーモニカをくわえる…。]
(225) 2010/09/09(Thu) 00時頃
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[きっとここで、動ける蒼薔薇の魔精を閉じ込められたとしても、 薔薇園に咲くそれが、芽吹いてしまった以上。
残り香のように、それはまだ、蔓延していくかもしれない。]
(227) 2010/09/09(Thu) 00時半頃
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―夢・自室―
[締め上げられて殺されるのでないかというぎりぎりの所。
壊して欲しいという願いが叶えられるという歓喜と共に。微かな恐怖。
薔薇に囚われてしまった魂の微かな正気が覚えるモノ。]
…嗚呼。っ。
[乱暴にシャツを剥ぎ取られ。抜き取られることなくベッドヘッドに
くくりつけられる。手かせのようにきりりと締め付けられる腕。
その痕はある意味所有されるかのように痣となって。
殆ど力を失ったこの身には痛みを感じることさえ弱く。
肩を覆う蒼薔薇の毒を示す棘。それを見られて。眼を逸らす。
指先でなぞられ。相手を絡め取るような感覚と共に全身を襲う痺れ
それは快楽によるものか、衰弱によるものかはもう区別がつかない。]
…ディーン…
[今だけは、名前を甘く呼ばれて、返す名は、やはり甘やかに。
息が出来なくなるほど強く唇を塞がれ、歯列がかち合うほどに激しくぶつかって。 昨日と同じように血錆が広がる。自分のではなくディーンの血の味。 鉄錆さえ愛しいとこくりと飲み干した。]
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[そして、随分長くかけて、一曲が吹き終わったか。 ダラリと手をさげると、ハーモニカは床に滑った。]
――……先輩、ごめ
へたくそ だった。
これじゃ 駄目 だね。
[そう笑って、目を閉じる。*]
(232) 2010/09/09(Thu) 00時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/09/09(Thu) 00時半頃
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