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――春の日に――
[続く夢は霞んで、とある一日の出来事をぼんやりとリフレインする。
鳥の羽が小さな珠を抱くような細工をひとつ、中庭に落とした。
小さな不運だった。手が滑って、風が吹いて。
いつも通り執着などないはずで、このまま捨て置くことも考えたが、何故だかその日は拾いに行こうと思って、庭で彼に出会った。
あの頃は名前も知らず、どころか顔を合わせるのすら数えるほどでしかなくて、呼びかけることも出来ずに一度、おろ、と戸惑って。]
――欲しいなら、あげるよ。
[そんなふうに、きっと的はずれなことを言ったんだったか*]
[すぐ傍で眠りに落ちた誰かが、その相手と知るすべはない。
ない、けれど、或いは。
夢の中ならば、薔薇がいたずらに邂逅を許すやも、しれず――**]
メモを貼った。
【人】 粉ひき ケヴィン
(177) 2018/05/22(Tue) 10時半頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(178) 2018/05/22(Tue) 10時半頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(179) 2018/05/22(Tue) 10時半頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(187) 2018/05/22(Tue) 13時半頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(188) 2018/05/22(Tue) 13時半頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(189) 2018/05/22(Tue) 13時半頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(201) 2018/05/22(Tue) 17時頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(202) 2018/05/22(Tue) 17時頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(203) 2018/05/22(Tue) 17時頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(224) 2018/05/22(Tue) 20時半頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン ―――― 薔薇の木立の むこう ―――― (226) 2018/05/22(Tue) 20時半頃 |
――来客――
[振り返っても、何も見えないのがこわかった。]
[あまり子宝に恵まれない両親の元、ようやく生まれたひとりがモリスだった。
勉強や運動の方には――特に歴史と器械運動がひどく残念だ――目立った成績はないものの、伸び代があると笑って、いつもより少しでも良ければ褒められるような甘い家族に囲まれていた。
幼少期から少し絵は描いたが別に好きにもならず、談笑とじゃれ合いばかりで過ごす日々が続いたあと、この学校でようやく趣味らしいものに出会った。]
[それからは没頭した。少しの絵の経験が、作品のイメージを記すのに役立った。学年下の絵描きにも手伝ってもらったし、庭いじりの先輩には木切れをもらった。なんなら間接的に本来の庭師である用務員とのコネクションも出来た。
失敗ばかりでごみを増やした時期が過ぎれば、徐々に校内での認知も広がっていく。
夢中で、夢中で、それからふっと立ち止まった。
そう、それはいつだったか、奇しくも眠りの外
[考えたことなかったなと、振り向いた。
過去を思えば、何もなく。自分を構成しているのは木片とナイフとやすりと針だけに思える。
それをこわいと思ったのは、単なる自分の感性の話だ。
染まった人生を振り返り、堂々と好きなものは木を彫ることだと言える人だっているだろう。
いつか怯えを問いかけた時、フェルゼはその類の人間だと思っていたから、返って来た言葉は少しだけ意外で。
けれど失くなることのほうがこわいと告げるその気持ちもわかる気がした。
染まるのをこわがるくせ、この手は木と枝に触れるのを止めなかったのだから。]
[穏やかだった心に少しの亀裂。くく、と微かに眉が寄ったのに、手を撫ぜるだけのフェルゼ
そしてその内、ゆっくりと思いを振り払ったかのように表情は穏やかなものに戻る*]
【人】 粉ひき ケヴィン
(230) 2018/05/22(Tue) 21時頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(231) 2018/05/22(Tue) 21時頃 |
― 春の記憶と ―
[あの細工
何かを抱く鳥。
大事なものを抱きしめているような、優しさ。
落とし物だと思ったのに。
欲しいなら、と言われたら、「はい」なんて咄嗟に頷いて、
なんとなく気まずくってその場はすぐに辞したのだっけ。
持ち帰った細工を、同室者が「モリス先輩の?」って聞くから、それで名前を知った。
でも、それだけだ。
そのあとすれ違っても、何の視線も動かなかったから、いまさらありがとうなんて言えなくて―――]
【人】 粉ひき ケヴィン
(261) 2018/05/22(Tue) 23時頃 |
【人】 粉ひき ケヴィン
(262) 2018/05/22(Tue) 23時頃 |
― 夢の中 ―
[優しい音が聞こえる。
ヴァイオリンとは違う、鍵盤の音。
明けない夜、月の隠れた星を探すような、音。
あるいは、暗い夜。傍らに眠る家族に手を伸ばすような、安心を約束された安らぎの曲]
[表面を撫ぜる誰かの気配。
額に触れた唇は、夢の中に、濃い薔薇の香りを齎す。
それは、質量のある「想い」だ。
その色は知らねども、確かにある感情。
生まれかけた、微かな欲を、薔薇の香りが増幅させる。
それは、まだ名づけなくていいはずのもので。
形にするのも躊躇われる儚さで]
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