25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[小振りの琵琶を、こっそりとA棟の元いた部屋へと隠し、 鳥は月下の佳人の鳥籠へ]
……ふふ。
[悪戯が成功する時を想うと、漏れる笑み。
また今宵も始まるだろう花祭の刻限まで、 ゆるりとした時間をそのまま*二人一緒に*]
(232) 2010/08/05(Thu) 16時頃
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― 回想・主の部屋 ―
[夜の帳が下ろされる夕闇の頃。 東の空に上がる月を見、憂う主の傍に鳥は在った。>>343
初めて交わした時の事を思い出せば、 思わず手が伸び、主の着物の袖を握る]
……すみません。 なんだかなよたけの君が、月へ帰りたがっている様に見えて。
[薄く笑んで返す言葉に、漸く笑みを浮かべて。 広げられる腕の中に、その身を納める]
(398) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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[着物越しに主の温もりを感じても、 握った袖を離す事は出来ない。
かりょう、と。艶やかな唇が己が名前を紡ぐのを見詰めながら]
僕は……ずっと、ずっとあなたの……っ。
[謂いかけた言葉は、呼びに来た下男により伝える事が出来ぬまま。 主と対の白い着物を纏って、舞台へと向かう。
確りと、繋いだ手を握りしめて――*]
(403) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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― 客席 ―
[主の傍に侍る様に座し、 静かに花祭が始まるのを座して待っていると、 朗々と響きわたるイアンの声にそちらを見やる。
告げられる花祭の中止。 そして目の前で起きる血なまぐさい尋問に、 鳥は眸を反らす事も出来なくて]
…………ッ
[庇われた腕の中>>397 かたかたと小さく震えるだろうか]
(407) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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小僧 カルヴィンは、ランタン職人 ヴェスパタインへ、大丈夫です…と、弱々しくも答えて。目元を隠す手をそっと外す。
2010/08/06(Fri) 01時半頃
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[このような時でも、 身を包む主の心が嬉しいと思う恋情の罪深さ。
震えるのは恐怖か歓喜か。鳥自身にも判らない]
なよたけの……君、大丈夫です。 僕にはあなたがいて下さるから……平気。
[腕の中、稚く微笑んで。 抱きしめる主のその背中に、腕を回した]
(420) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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…………。
[主が同じ顔をした花主の方を見れば、途端に翳る紅石榴。 いくら鳥が幼くても。 なよたけの君が真に帰りたい場所はそこなのだと、 気づかないはずがなくて]
僕に構わず、高嶺さまのお傍へ。
[背中に回した腕を離して、身を離す様にそっと胸を押した]
(436) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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[躊躇するかのような主の耳元へ、密やかに]
……行かれなくて宜しいのですか? この機を逃せば。 僕はきっと、あなたの腕を離さない。それでも……?
(450) 2010/08/06(Fri) 02時半頃
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[主が――なよたけの君が、 同じ顔の花主へと声をかけるのを見れば、 鳥籠から抜け出す様に、半身を引いて。 黙したまま、席を辞す]
所詮僕は鳥……。 月に焦がれた愚かな鳥。 あの方が真に望む場所へ行けるなら、それで良いんだ。
[大広間を抜け出した先の、廊下の桟へ腰をおろして。 空に浮かぶ紅い月を同じ色の紅石榴に映しながら、 囀る鳥一羽]
(463) 2010/08/06(Fri) 02時半頃
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[暫し月光の下、佇んだ後。 鳥が向かうのは、先程、場を支配していた花の元。
花が住まう棟、イアンが借りている部屋の戸を静かに叩く]
……イアン様。 お時間宜しいでしょうか。 先程の話、もう少し詳しく聞きたくて。
(478) 2010/08/06(Fri) 03時頃
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[ふるりと首を振り]
いえ。 人狼病について、もう少し詳しくお話を聞きたかっただけなので。 お忙しいのでしたら、書庫にでも行って調べる事にします。
[ぺこりと、一つ。小さな頭を下げて、そのまま下がる。 途中、邦夜とすれ違えば、 やはり同じように会釈をして。 彼の行く先を見届けた後、鳥は何処かへと]
(485) 2010/08/06(Fri) 03時頃
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[花の住まう棟を出て、着いた先は庭園。 やはり鳥は。 樹上が一番似合うと笑って。
登るのに邪魔な衣を脱ぎ捨てると、 薄絹だけを纏っていつかの枝に]
……人狼病、か。
[紅い月を見上げれば、その光を受けて窄まる紅石榴]
(512) 2010/08/06(Fri) 04時頃
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人を喰らい種を孕む……。 怪談だと思ってた。でも本当だったなんて。
[呟き、自然と弧を描く唇]
(513) 2010/08/06(Fri) 04時頃
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病ゆえか、想いゆえか。 そなたを喰らうて血の涙 ててもあんよも、美味しいと。 肉とし糧とし仔を為して。孕むは狂喜、紅い夜―― [即興の歌は紅い月へと向かい、誰の耳にも届かぬまま、 空で冷えて消える。
あふ、と小さな欠伸を一つ噛み殺して。 鳥籠から抜け出た小鳥は、樹上でその眸をゆっくり*閉じた*]
(517) 2010/08/06(Fri) 04時頃
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[庭に誰かが降りる葉擦れの音に、ぴくりと震える身体。 それは野に棲む子猫が警戒する様にも似て。 閉じた眸を、薄らと開く]
……だれ?
[樹上から投げる誰何。 眸を凝らして見ても、鳥の位置からは灯りの影となって姿は見えず]
(538) 2010/08/06(Fri) 10時半頃
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色もなき心を人にそめしより 夜ふかく鳴きていづちゆくらむ
[聞こえた歌に、暫し沈黙した後。 返す歌は、月に焦がれど帰るよすべのない迷い子の歌]
どうして……迎えになど。
(542) 2010/08/06(Fri) 10時半頃
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[折れる枝の音に、闇の中動く紅石榴]
……そこにいるのは、誰?
[樹上より降り、 下駄の音鳴らす月の佳人を庇うように、音のなる方を睨む。
己が喰われる分には厭いはしないが、 それでもこの美しい人が喰われのは厭だと。
その思いが自然と、前へ―――…]
(543) 2010/08/06(Fri) 10時半頃
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なよたけの君が還りたいと願う月の都は、 あの方の元ではなかったのですか?
[枝の音が鳴った方へ、意識を残しつつも。 ぬばたまの闇夜の髪へと指先を伸ばして]
……僕は、あなたの傍に在っても善いのですか? あなたが月に還る足枷となりはしませんか?
僕はそれが一番つらい。 お傍で侍れたとしても、心焦がす月が新月の侭なら。 とても寂しい……。
[紅石榴から一つ、雨が降る]
(548) 2010/08/06(Fri) 11時頃
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夜光さま……。
[姿を現し見えた顔に、ほっと息を吐いた。 寒さを湛えるその顔には、 何処遂げなく冬を纏う友の面影を見つつ]
いえ、此方こそ。 先程のお話もあって……申し訳ありません。
(552) 2010/08/06(Fri) 11時頃
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[波打つ黒を紅石榴に収めながら、 引き寄せる月のかいなに身を寄せ、その背に腕を回す]
ならば……鳥はずっと月の傍らに。 今生も、死してなおあなたのお傍に――……。
[囀る声は月にだけ。 聞えればよいと小さきもので。
警戒を解かぬまま、夜に光る花を見詰める主に、 その身をゆだねる様に預けて]
(561) 2010/08/06(Fri) 11時半頃
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小僧 カルヴィンは、門下生 一平太の思惑を知る由はないけれど、もう二度と。月の傍を離れぬと、見詰める紅石榴は雄弁に語る。
2010/08/06(Fri) 11時半頃
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夏といえど、夜は冷えます。 夜露は花にも宜しくないかと……。
[羽織を引き寄せる黒檀が、主へと善からぬ色を見せれば、 そう囁いて]
(566) 2010/08/06(Fri) 11時半頃
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[手を引かれ、夜の名を持つ花へ背を向ける。 首筋にちりちりとする厭な緊張を感じ、 繋ぐ指を絡めて、強く握る]
……随分と冷えてしまいましたね。
[冷たい手を頬に寄せて。 叶うなら温めて差し上げたいと、その甲へ口接けを捧げて]
(569) 2010/08/06(Fri) 11時半頃
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小僧 カルヴィンは、門下生 一平太へ、ごきげんようと礼を返して。姿が見えなくなれば、ほっとしたように緊張を解いた。
2010/08/06(Fri) 12時頃
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[抱き寄せられ、ふるりと身を一つ震わせる。 鳥には彼の出自など些細なことでしかなく、
今、此処に。月のかんばせが在る事、それだけが大事で]
鳥籠に……戻りたい。 今宵は色んな事があって、鳥は少し疲れてしまいました。
[幼さの残るかんばせに、疲れた笑みを浮かべて。 同じように、疲れていらっしゃるだろう主へ、 少し休みましょうと、声を掛けた]
(577) 2010/08/06(Fri) 12時頃
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[鳥籠へ戻れば、漸く安堵したように。 もう一度息を吐いて。
額へ齎された熱を、そっと撫ぜた]
(583) 2010/08/06(Fri) 12時半頃
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[腕の中に抱かれて心が落ち着けば、 先程の花の眸に移る剣呑な色]
……なよたけの君は、 夜光さまとなにかあったのですか?
[波打つみだれ髪を思い出しながら、 最後に投げられた昂ぶる声を思い出して]
(587) 2010/08/06(Fri) 12時半頃
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[主に倣い、法泉へと礼を贈る。 潜められた声に、緩く首を傾げ]
酷い事なら、きっと、誰しもが。 それに清濁併せもつからこそ、僕は月に焦がれるのです。
[綺麗事だけではと仰る弱々しい姿に、 鳥はそう告げて]
有難うございます、なよたけの君。 でも、僕は……。
[あなたの傍に在れるのなら、どうなろうと構わない――…]
(608) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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[寝台の上、腰を下ろす主の膝へ。 鳥と謂うよりも、子猫の様に甘えるように座る。
撫でる手が心地よく、それだけで綻ぶように浮かぶ笑み]
……僕はあなたが何者であっても。 あなたのお傍に……ずっと、お傍に……。
[緊張が解けたのか、撫でる手の心地好さにそのまま眠りの縁へ。 主の着物の端を握りしめた侭、眸を閉じた]
(621) 2010/08/06(Fri) 14時頃
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[主の不安を知ってか知らずか。 眠る雛鳥は、眠ったままふにゃりと稚く笑う]
……なよたけ、の、き…み……
[夢に見るは花の誓い。 死ぬ時は一緒だと。あなたを一人にしないと、 運命を分かつ紅い糸を小指へと結んで……]
(635) 2010/08/06(Fri) 14時半頃
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小僧 カルヴィンは、ランタン職人 ヴェスパタインの撫でる手が心地よくて安心したのか、握りしめていた手はいつしか緩く……。
2010/08/06(Fri) 16時頃
小僧 カルヴィンは、執事見習い ロビンの秋の憂いに濡れる冬色を、どこか懐かしく夢に見て。
2010/08/06(Fri) 16時頃
小僧 カルヴィンは、懐刀 朧と、霞。二つの月が邂逅するのを知らぬまま、朝を迎えるのだろう――**
2010/08/06(Fri) 16時頃
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