19 生まれてきてくれてありがとう
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そうなのかも知れない。
だから僕は君を失ってしまったのかも知れない。
けれど――
それが神に依るでなく 君の選択ならば
僕はそれを祝福したいとすら思うんだ。
ああ――そうか。
[胸元のロザリオ。変わらずにそこに在る。いつの頃からか 分からないほどの昔から ずっと]
だとするのならば、君が離れていくのも当然か
――すまない。
すまない、メアリー。
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微笑で見送られるなんて 貴方は恵まれてるのかな。
[コリーンを見送れば、墓地の片隅に咲く白色のアゲラタムを摘みセシルの墓標へ歩みを向ける。 数列前の墓標には消耗しきった様子で墓標に縋るように座り込む女性の背中が目に入った。]
(100) 2010/07/09(Fri) 23時半頃
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あんな風に終末を過ごすミッシェルを見なくて良いなんて……私は羨ましいかも。
うん。やっぱり羨ましい。 この幸せもの。
[アゲラタムを彼の墓標に供えれば じゃれるように「ぺしぺし」と墓標を叩いた。]
(101) 2010/07/09(Fri) 23時半頃
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僕も君もずっと 一歩を踏み出せなかった。
踏み出すことが赦されなかった。
すべてを拒む、線があった。
それは職であり
――それは村であり
――それは家族であり
――それは互いであり
――それは神であり
――それは信仰であり
――それは世界であり
――それは、己だった。
肉の身体から解放され
生死の楔から解放されて
されど僕にはまだ、臆病な心がある。
そう、ですね。……過ぎるほどに。
[恵まれてる、と自分の墓標へ呟くペラジーに、柔く笑う。
と、ぺしぺし叩かれるのに]
ちょっ、いた、痛くないですが痛いです。
ペラジー君は…… そんな風に過ごす何方かを、見送らざるを得ないのですか……?
[この手は届かない。
羨ましいという彼女を、撫でてやることは出来ない。
だから、ただ労しげな眼差しを、向けるのみだった]
[包帯で縛られた手のひら、さらさらとロザリオが溶けていく。柔らかな風が男を包み、あたたかい何かが薫る]
僕にはもう、必要ない。
赦しの上に 在るわけじゃないんだ。
ただ――君だけを。
君と伴に在りたい。
その想いこそが――
[光が満ちる。
眩いまでの光ではなく
柔らかく
ありふれた
仄かな光。
あの灯りはどこから生まれたのだろう――?
手のひらの温度が、優しく、男を包んで――――**]
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