17 吸血鬼の城
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…… 、…――― 父は…
[手にティーカップの温もりを抱えたまま、 サイラスの問いに、ぽつりと口を開く。]
街の、人々を救いたいと、 ―― そう、申しておりました。
それが、私のお役目であるとも。
[ティーカップを持つ指先は、すみれの花びらの色。 カップを口に運ぶ際、わずかに見える唇も、 色を差したような、鮮やかな色に染まって。]
街の者を犠牲にする事は、もう、できない――と。
(338) 2010/06/20(Sun) 21時半頃
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[ "貴女はそれでよかったのか"
そんな問いに、きょとり、と首を傾げる。]
……幼い頃より、そのように育てられましたから。 街のみなさまと、父の、お役に立てるのでしたら。
[小さく胸元で十字を切って。 テーブルに置かれた瓶に、これは…?という視線を送る。]
(347) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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[カップの中に、薄紅色が広がる。 まるく息を吐いて、その様に感嘆の視線を注いだあと、 サイラスを見て、ふわり、微笑んだ。]
―― はい。 お勤めを無事に果たせますよう、 皆様が、無事にお還りいただけますよう、 わたくしも、祈っております。
[透明な声で、透明な言葉を紡ぎ。 ティーカップの中身をゆっくりと飲み終えて、 長く、長い、息を吐いた。]
(363) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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はい。 ――ありがとうございます。
[サイラスが己に投げる視線の、裏によぎる思いなど知らず。 横になった方がよいとの勧めに、初めて帽子とヴェールを取る。
はらり、と、黒い髪が幾筋か、蒼白な額に掛かった。]
少し…御言葉に甘えさせて頂きますね。
[靴を脱いで足元に揃え、 体を倒して、ベッドのなかに潜りこむ。
サイラスに微笑をむけてから、ゆっくりと、瞼をおろした。]
(385) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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[自分で感じる以上に、疲れ果てていたのだろう。 張りつめていた気が切れるのと同時に、 吸い込まれるように、眠りの中へ落ちていく。
額に触れる指先の感触に、 ほんのりと微笑を浮かべて。
すぐに、静かな寝息を立て始めた。]
(405) 2010/06/20(Sun) 23時頃
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