143 宵を待つ村
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[不満げな表情に、堪えていた笑いが漏れた。
声を殺したいつもの笑い――けれど表情は柔らかで、視線が合うと唇をちゅっと奪い取る]
あぁ、そうだな。
……意地悪な俺のことは嫌いか?
それとも、ずっと甘やかされたい……?
お前が望むなら、何だって……。
俺に出来ることなら、どんなことだって叶えたいと思ってる。
そんなこと位しか……してやれないだろうからな。
[再び、戯れるかのような軽いキスを落とすと同時に、素肌の質感を愉しむように指先が首筋を這う。
先のクシャミの唇が辿った痕跡を映した軌跡は、彼の終着だった鎖骨で留まるはずもなく。
胸板へと降り、脇腹へ――緩やかな接触を擦りこみながら、唇は首筋に吸い付いて赤い痕を刻む]
……ずっと、こうしていられたらいいのに……な。
[縺れて――触れ合う箇所が、まるで熱でも持っているかのように熱い。
外気に触れる素肌の面が増えたとしても身体の芯に燈った熱は冷めそうにもなく、
その熱を分かち合うように、抱いた小さな身体をゆっくりと不器用に、寝台へ押し倒した]
[言葉だけの不満を漏らして返ってきたのは、笑い声。
その反応に、潜めてた不満が顔を出すが、落とされた唇にあっさりと絆される]
もう。
……甘やかされるのも、いいけど。
意地悪でも……好きだから、困ってる。
[ごつごつとした指がつつ、と肌を辿っていく。くすぐったさか、痺れか、心地よさか。その一つ一つに身を捩って反応すれば、彼はとても愉快げで。首筋に残される甘い痛みの中、ちらりと覗く赤らむ顔と、色めいた眼差しに目を奪われる]
今だけ、今だけは……
……忘れさせて。
[ずっとこうしていたい、という願望の背面。
この行為がいずれ終わるという当たり前の事実。それを、今だけは考えたくないのだと、そう思って。
先のことなど一つも考えず、ただ熱に溺れたいと願いながら、優しく落とされる影に幸せそうに微笑んだ]
[彼が与える夜に、耽る――]
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