73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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──防音室──
[楽器を弾く習慣はなく、音楽の授業もとくに熱心な訳ではない。すっかり暇を持て余して。蓋をあけたピアノを、右手だけでひいてみた。]
わらべはみたり のなかのばら
[ピアノを教えてくれたのは、何組目の両親だっただろうか。覚えていないということは、どうせ期間限定の関係に、慣れて疲れて数えるのをやめた後だったのだろう。]
……はぁ。
[待ち時間に思うのは、怒らせてしまったフィリップのこと。何か怒っているようだったエリアスのこと。モリスのことからは意図的に目を逸らす。**]
(278) 2011/12/26(Mon) 01時頃
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──防音室──
[待ちくたびれてぼんやりして、うつらうつらし始めたころ。後輩の声を聞く。]
……こぉら。先輩を待たせるとか、いい度胸……!?
[語尾が途切れたのは、いきなり触れる手に驚いて。]
……っ、モリス、なに、そういう『好き』? 君も薔薇にやられた口なの。
[倶楽部での割り切った関係ならいいけれど、決まりごともない一対一は怖くて。微かな抵抗を嘲笑うように、薔薇に侵された身体は反応を示す。]
モリス……っ!
[執拗な刺激に、このまま流されてもいいかと思い始めたころ。ゲストとの言葉にまた抵抗を再開した。こんなところを人に見せる趣味などない、複数でいいようにされてしまうのではという恐怖もはしり、ぞっとする。]
……!!!
[けれども聞こえたのは、とてもとても聞き慣れた声。]
(341) 2011/12/26(Mon) 08時頃
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エ、リー……?
[自分は有り体に言って、酷い格好だっただろう。体格差も手伝い、容易に翻弄され赤くなった肌と、乱れた服と。誰がどう見たって……。]
……っ!! 嫌だ、離せ!!
[一気に顔が紅潮し、羞恥と屈辱と混乱と、見られてしまった絶望が襲いくる。モリスの腕から逃れようと暴れ。]
エリー、見ないで、違うんだ、こんなの……!!
[奇しくもあの時の彼と同じような言葉。イヤイヤと首を横に何度も振った。]
(343) 2011/12/26(Mon) 08時頃
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セレストは、混乱した感情に瞳は潤んで**
2011/12/26(Mon) 08時頃
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やめろ、やめろ……!!
[モリスの言葉を聞きたくない。こんなところをエリアスに見られたくない。
エリアスの気持ちに、欠片も気づいていなかったと言えばそれは嘘になる。けれど、目を逸らせてしまった。同室者としての親愛だとか、看病への感謝だとか、そんなものだと思い込んで、そうやって見れば納得できてしまって。
勘違いだと思っていた。このままの関係でいたかった。
……やっぱりなにも、気づけていなかった。]
やだ、ぁっ……!!
[久々の温もりに、身体の反応は早く、漏れるのは嬌声。ぱっと顔を青ざめさせ、口を固く結んで。 無茶苦茶に手足を動かす。モリスの下から抜け出そうと。**]
(351) 2011/12/26(Mon) 12時頃
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──回想・防音室──
[エリアスの怒声と、痛いくらいの力で掴んでくる腕。躊躇う余地なんてあるはずなく縋り付く。怯えた手は震えながらエリアスの服のはしを掴み。]
あ……!
[はだけたシャツの上からケープをかけられれば、助かった、そう思って。なにを見られたのかその実感が強まって来て、青ざめる。ばっと、飛びすさるようにエリアスから離れた。]
エリー、は、俺のこと……。
[首を振る。自分は汚い。エリアスが来なければ欲に流されていただろう自覚がある。そして、今回が合意で無かったのだとしても。すぐそこの生徒会長は知っているのだ。くすくすと笑いながら抱かれる自分の姿を。]
(486) 2011/12/26(Mon) 23時頃
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[こんな時だというのに触れられた箇所はまだ熱を持っていて、唇を噛む。]
ごめん、エリー、俺、きっとひどい事、するから……
[離れて欲しいと言うつもりだった。けれど、先に戻っていて欲しいと言われた時に浮かべてしまったのは、裏切られたような表情。]
……いいよ。……ごめんね、エリー。
[先に目を逸らしたのは、裏切ったのはきっと自分。 エリアスと別れ、ばらばらの方向に歩き出す。 もう、あの部屋には、帰れない。]
(492) 2011/12/26(Mon) 23時頃
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