276 ─五月、薔薇の木の下で。
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…………ぁ。
[ ヒューが掲げた右手>>+4:55 現実ではあり得ない証拠に納得させられたのは同じ。 頭が冴え渡っていく。 つられたように覗いたせんぱいの姿>>16 何故だろう。 たった三文字の言葉>>18に足掻くように シーツを掴んだけれど、そこに感覚はなく。 ]
(20) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 10時頃
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…………まだ、起きたくなかったんだけど、なぁ。
[ 溶けるような声は小さく。 ずるりと落ちたのは白いシーツ。 瞬きの後、耳鳴りの煩い重ったるい体を 迎え入れては眉間に皺を寄せた。
それから諦めたように笑った。 ]
だって、楽しかったから。……困ったな。**
(21) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 10時頃
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[ 薔薇の棘の呪い。 その解き方は分からない。 眠る℃魔ノ違いがあるのかどうか。 それでも指はシーツの波に触れた。 今度こそちゃんとした感覚がある。
小さく息を吐いた。 諦め悪く二度寝を決め込もうとして、 視界に広がるのは――夜明けの色。 ]
(41) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 19時頃
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…………明けたんだ。
[ 呟きは存外大きく。 残念そうなんだがどうなんだか、 逃げも隠れも出来ない状況>>27>>28に 口角を上げる。 ]
(42) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 19時頃
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[ これじゃあ、いつもと立場が逆。 一度、二度も、逃げたからこそ 今も衝動的に逃げたくはなるが、 あの時、交わした口約束>>3:162は未だ 生きている。
だけどどうも顔が見れない。 きっとどんな顔をするのか知りたくなかった。 マークが何故ここにいるのか。 そこまで考えて、ふと思い付くこと。 ]
(43) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 19時頃
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…………おはよう、マーク。
[ まずは挨拶しなくては、なんて。 悠長で暢気過ぎた。 溶けた射干玉の先に輝く東雲の空。 手折られることのなかった花が見せた 夜明けの下で、これ以上に相応しい言葉が 思い浮かばなかった。 ]
(44) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 19時頃
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[ 未だ胸に燻る熱の言い訳>>36は どう答えようか悩んでいる。 本当ならもっと相応しい言葉があったのではと、 こっそり心の中で後悔する最中、 ふと、右手の指>>29を見やった。 ]
花≠ヘ、どうなったの?
[ 答えがどんなものでもよかった。 ようやっと上げた顔は窓から差し込む光を見て ]
(45) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 19時頃
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綺麗な、色だね。
[ たった一言そう呟いて、眸を眇めた。 その先、他の場所で下された瞼>>38は 未だ知らず。 吐く息は寝起き特有の重ったるいもの。
頭の片隅で、傷ついた人も、傷つけた人も等しく 涙を流せているといい、と。 ただそれだけを、静かに願った。 ]**
(46) 24kisouth 2018/05/24(Thu) 19時頃
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蝋燭職人 フェルゼは、メモを貼った。
24kisouth 2018/05/24(Thu) 19時頃
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[ 場の空気を飲まない挨拶の反応>>111 相変わらず真相から逃げるよう遠回り。
安堵したように息を吐きながら 夜明けの空だけが柔らかい光で 室内を静かに満たしていた。
あれから、というか。 今まで何があったのか、詳しい事は知らない。 それでも花は散ったのだという>>112 ]
(123) 24kisouth 2018/05/25(Fri) 22時半頃
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そっか。 きっと、俺も知らない綺麗な花だったんだろうね。 手折られなくて、よかった。
[ 詳しい話は尋ねたいような気もした。 だが、この場では憚れ、沈黙。 ただ、散った花の先はまるで 呪いから解放されたように美しく、 その場に何か残らずとも確かに網膜に 光として刻み込まれていた。 ]
(124) 24kisouth 2018/05/25(Fri) 22時半頃
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[ その光の筋が一つこちらに流れる>>114 はたっと、気づいて視線を逸らすより 軋むスプリングの音>>115に意識を奪われた。 いつもとは逆の立場。 寝起きの彼に触れる時と同じポーズを彼は していて――。
咄嗟に耳を塞ごうとしたのに間に合わない。
目を丸くして、息を飲んだ。 聞き間違いなのではないか、と。 自意識過剰なのではないか、と。 何回も何回も言い訳を塗りたくる。 ]
(125) 24kisouth 2018/05/25(Fri) 22時半頃
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俺は今、夢の中にいるんだろうか。
[ ぽつりと落ちる声。 少し熱の篭ったような響きを向けるくせ、 視線はうろうろと彷徨って。 ]
君が、……まるで俺を、欲しがっているように聞こえるなんて、 全部、俺の都合の良い夢なんじゃないか、って思うんだけど。 …………夢じゃ、ない?
[ 瞳が絡まるようにしがみついた。 そこに中庭の眠り姫は最早いなかったけれど 一人の髪の長い青年がそこにいたけれど フェルゼの眸には何一つ変わらないその人がいて。 ]
(126) 24kisouth 2018/05/25(Fri) 22時半頃
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俺は、君がいなくちゃ――……つまらない。
[ 掻き消えそうな程、細い声で囁いた。 どうしようもなく鼓動が速まって 胸を掻き毟りたい程、痛くなった。 ]
君の瞳に映るのは、俺だけでいたい。 ねぇ、君を望んでも、許してくれる?
[ 伸ばした腕は彼に触れようと伸びた。 それでも意気地なしの腕は途中で垂れ下がる。 ここにいるのが自分達の他にもいるかもしれないのに、 微かに震える唇だけが小さく色づいて ]
…………君が好きだ。マークが、欲しい。
(127) 24kisouth 2018/05/25(Fri) 22時半頃
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俺だけの君でいて。
[ 過ぎたる望みの成就は期待していない。 叶うなんて思ってはいなかったけれど、 零れ落ちそうな二つの月だけが、 膜を張って彼の返答を待つように 落ち着きなく指と指を擦り合わせた。 ]*
(128) 24kisouth 2018/05/25(Fri) 22時半頃
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[ 花はいつかは、枯れて散るもの。 明けない夜がないように 訪れない朝がないように 軈ては朽ちるもの。
脳裏に浮かんだのは間引かれた花>>2:252 いい花を咲かせる条件>>2:278は未だに ほんの少し素直に相槌は打てないけれど。 ]
(190) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時頃
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そうか。 その花はきっと、あいされていたんだね。 [ きっとその花は独りぼっちじゃなかったのだ。 散った後に何が残るのか。 それはきっと水をじょうずに流せた人しか 知らないのだろうけど。 ]
よかった。 花を見てくれる人がいて。
枯れずに、咲いて、散って。
(191) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時頃
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生きてくれて、よかった。
[ それだけを零せば一度唇を引き結んだ。 一夜で足りない積もる話はまた後で。 きっと相応しい時に言葉を交わそう。 ]
(192) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時頃
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[ 薔薇の香りが見せる夢は、 蠱惑的なものだった。 駆り立てられる本能は切々と 心の裏側に根を生やしては、 慾を吐き出せと囁いているような気がした。
だが、澄み切った空にその気配はなく。 だというのに胸に残るザラつきは心を いとも容易く落ち着きなくさせる。
一方夢ならば二度、目醒めてくれるな。 目の前で小さくささくれ立つ姿>>145に 願うも彼が現実だというなら 諦めて全て受け入れて言葉にした>>127 ]
(193) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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[ ほんの、意趣返し>>1:98 自分が彼に言われて喜んだその台詞を。 合言葉のようなそれを皮切りに流れ込む感情の奔流。 耳の中まで心臓と化したようにどくどくと 脈打つ音がうるさい。 ]
自惚れなんかじゃ、ない。
[ 語尾が震えた。 伝染したように移るのは朱色>>146 途切れ途切れに明かされる彼の言葉が、 どれ程この胸を締め付けてじくりと締め付け 心臓を抱きたいほどの疼きを覚えさせるのか、 彼はきっと、知らない。 ]
(194) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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――――……マーク。
(195) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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[ ふわふわ浮かぶだけの白が、 海に揺蕩うだけのくらげに ほんのり与えた彩り。 伏せた瞼こと灼かれてしまいそうで、 触れられた腕から痺れが走った>>147
どうしようもなく眉を寄せて下げて、口角を上げた。 ]
…………やっぱり君は、誰よりも綺麗だ。 怒って、泣いて、笑って、きらきらして そんな君だから俺は、…………、
[ 土で汚れた腕なんか知らない。 心の奥底に潜む諦観すらも、晴らす人に 擦り寄るようにして身を寄せた。 ]
(196) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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[ 永遠なんて、ない。 確かにそう言った。そう思っていた。 だけれど生涯きっとこの瞬間を忘れる事はない。
落ちる涙>>148を指で掬った。 だけれど今度はきっと同じ顔をしている。 目尻から湿っていたけど拭いはしなかった。
顎のラインをなぞるような親指。 耳を引っ掻くようにして名残のある濡れた指が、 耳殻を挟んだ。 ]
(197) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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[ 薔薇の薫りは今は遠く。 弾ける音はしない。 辿る手は頬に落ちて額を合わせようと くっつく。
見つめる瞳の中、確かに君がいて。 髪を梳いていた指が彼に縋るまま、 強欲にひとつ強請ろう。 ]
いつか花が散って枯れて、実になってしまっても、 …………俺の、傍にいて。
[ 答えを尋ねる前に引き寄せようと動く手。 零れる息は微かに震えていたけれども、 逃げはせず、ただ、彼を見ていた。 ]
(198) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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君の永遠を俺にちょうだい。
(199) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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[ 光が射す。 重なるような影は静かに凪いでいて。 頬に差した色はきっと彼だけが 感じ取ることの出来る、淡い赤い色だ。 ]**
(200) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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蝋燭職人 フェルゼは、メモを貼った。
24kisouth 2018/05/26(Sat) 05時半頃
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[ 触れられた腕が熱かった>>208 だがそれ以上に此方を見つめる直向きな 眼差しは水面を揺らす波紋のようで ]
( 綺麗だ。 ) ( ……似合ってる。 )
[ 知っていたと思っていたけれど、 また新たに見つけた一面に 吐き出した息は熱が籠っていた。 ]
(223) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 21時半頃
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[ こつりと合わせた額>>209 触れ合った場所から伝わる温度に しかし彼の言葉に困ったように笑った。 ]
…………だって。 ( 嬉しくて、 )
でも、そうだなぁ。 マークのせいだよ。
[ 心のすべてを打ち明けないまま、 ひとつ得られたらまた欲しくなる性に もう抗うことは無かった。 求めてはいけないと思っていたけれど その枷はするりと解き放たれて。 ]
(224) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 21時半頃
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[ 重なり合う唇>>211に安堵した。 チラつく光景も何もかもがその一瞬だけ 真っ白に弾けて、ふわふわと 浮き足立った気分のまま、ちいさく食む。
共感覚なんて持ち得ていなかったけれど、 だけども、この瞬間を彩るならきっと、 弾けたあか色>>210 ]
プロポーズなんて、我儘は言わないけど、 ……暫くでいいから君の薬指を独占させて。
(225) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 21時半頃
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[ 永遠を欲しがり求め、強請りながらも 臆病な所までが全てなくなった訳ではなかったから、
控えめに言いながらも伸びた手は彼の指の隙間を 潜り込みながらそっと力を入れて絡めた。
途切れることのない台詞>>212に 夢見るような心地を覚えながら。 ]
(226) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 21時半頃
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[ その、言葉の続きを待ったのだけど。 引いた体に身を案じる言葉>>213 瞬きを数度しながらもようやっと、 現実に足が立つ。
ハッとしたように目を見開いた。 ここは医務室で、寝息も聞こえて>>118 なのに自分は我慢が出来なくて彼の唇を奪い、 それだけでなくプロポーズ紛いの言葉を――…… ]
…………ぅ。
[ のぼせるような熱さが込み上げた。 だが、彼の心配するような辛さはもうなかった。 つまり素面かつ健康体なのだ。 ]
(227) 24kisouth 2018/05/26(Sat) 21時半頃
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